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少年少女の戦極時代

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第12話 強さの定義

 龍玄は隙を見てはバロンにブドウ龍砲を撃っているが、それより速くバロンのほうが懐に入ってバナスピアで龍玄に斬りつける。

 遠近の差が如実に表れている。圧倒的というほどではないにせよ、不利なのは龍玄だ。

 また一撃。バナスピアの刺突が龍玄の胸に入る。龍玄は両膝と手を地面に突いた。

『負けられない……! 紘汰さんが……舞さんが……見てる!! うああああああ!!』

 それでも龍玄はしゃにむに起き上がり、バロンに向かっていく。だがダメージを受けてふらつく龍玄を、バロンは無慈悲にバナスピアで突き、斬りつける。

 月花はとっさに駆けつけようとしたが、目の前にインベスが立ちはだかった。

 自分がインベスを放置すれば、その分だけ負けに近づく。月花はDFバトンでインベスを殴った。
 DFボムをバロンに投げて龍玄を援護するにも、ああも彼らが動き回っては狙いが定まらない。
 つまり月花のポジションからはどうやっても龍玄のフォローに行けない。

(だれか。ねえだれか。たすけてあげてよ。あたしのトモダチの兄さんをたすけてあげて!)

 ――まるで咲の心の悲鳴に応えるかのように。

『おおおおおおおおっっ!!!!』

 オレンジの鎧武者が月花の前を走り、バロンに殴りかかった。


『ここからは俺のステージだ――!』


 アーマードライダー鎧武に変身した、後に知る彼の名は、葛葉紘汰。





 鎧武はインベスを大橙丸で一度退け、龍玄の腕を取って立たせた。

『やはりな。弱さの枠には収まらない奴――!』

 バロンがインベス2体をこちらに向かわせる。だがインベスの侵攻は横から投げられた小さな紅い果実の小爆発で遮られた。

『あたしがいるの忘れんなぁ!』
「行けー! 行ったれ咲~!」

 鎧武の中で闘志がより固まった気がした。

 あの白いアーマードライダーに殺されかけた時は独りだった。だが今は違う。光実がいる。咲がいる。そして、相手は同じビートライダーズ。
 自分は決して、巨大すぎる敵に独りで挑んでいるわけではない。

 鎧武はインベスを抜けてバロンに大橙丸で斬りつけた。

『貴様らはこのベルトの力を持て余している。弱者を支配し、強さを求める意思がない!』
『違う! 強さは力の証明なんかじゃない!』

 鎧武がバロンと切り結ぶ間にも、龍玄と月花がインベスと戦い、鎧武を助けるように動いてくれている。
 バロンが言う「強さ」を鎧武が振りかざしたとして、彼らは助けてくれたか? ――NOだ。

『強い奴の背中を見つめていれば、心砕けた奴だって立ち上がることができる!!』


 数で劣る相手にも決して屈しなかった光実を見つめて。
 助けたいというだけで大人のリングに飛び込んだ咲を見つめて。

 葛葉紘汰は再び戦場に帰って来られた。

『誰かを励まし! 勇気を与える力! それが本当の強さだ!!』
『……ほざくなっ!』

 バロンがバナスピアを突き出すより速く、鎧武はバロンの胸板を殴った。再びバロンが向かってくれば、また殴った。今なら武器なくしてもバロンに負けないと思えた。 
 

 
後書き
 後半はまんま原作ですね。ヒロイン①ちまっとしか出ておりません。版権云々になりませんように。てかもうちょい出張ってくれよウチの子!
 あくまで作者なりに観て感じた紘汰の心情ですので、他の読者様とズレはあるでしょう。「こういう見方もあるんだ」と生暖かい目で流してくだされば幸いです。

 紘汰と舞が見ているからという理由で戦ったミッチには心中ボロ泣きでした。あんたって子は…本当に二人のこと好きなのね(T_T)

 ついでに言うと武器がないなら殴ったれ!という紘汰の姿勢はすごく好きです。 
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