少年少女の戦極時代
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第11話 爆誕! アーマードライダー月花
バロン側にいた子供たちが一斉にフィールドを回り込んで龍玄側に走って来た。紘汰たちがいる側に。
「あなたたち、そのマーク……リトルスターマイン?」
「舞、知ってんのか?」
「紘汰、知らないの!? ビートライダーズ中、最年少のチームで、初めてのインベスゲームで戒斗に勝ったっていう、話題のチームだよ!?」
チームのブレーンを自負する光実は、リトルスターマインの存在も知っていた。
駆紋戒斗と同じくインベスを複数同時制御できる小学生の女子。その子をリーダーとした、小学生だけで構成されるビートライダーズの異色チーム。
『その節はガキのオユーギにつきあってくださった上に負けてくださってアリガトウゴザイマシタ』
『フン』
そんなチームが自分に助太刀した。特に交流もなければ敵対もしていないのに。理由があるとすれば、それは妹・碧沙の存在に他ならない。
薄々察してはいた。小学生の碧沙がビートライダーズをやれるチームは一つしかない、と。
自分が碧沙の兄だから、この少女ライダーは助けに入ってくれたのだ。
『今日はハンデも手加減もなしだ』
『いいわよ。あたしだって、あんたに勝たせてあげるつもりなんかない』
咲は両手に、新体操のバトンに似た武器を出して構えた。バトンの両端にはドラゴンフルーツの意匠が刺さっていて、まるで和太鼓の撥だ。
『あんたはあたしのトモダチを泣かせた。あたしたちだけじゃあき足らず、トモダチのお兄さんをキズつけた』
『だからどうした。強い者が勝って奪い、弱い者が負けて失くす。それが俺たちのゲームだ。ガキの出る幕じゃないんだよ』
すると、外野にいた咲のチームメイトが叫んだ。
「さっきからガキガキうっさいわよ! 他の呼び方思いつけないの!? のーたりん!」
「そもそも3対1なんてヒキョーだ!」
「……オトナげない」
「KYヤロー!」
いかにもコドモらしいシュプレヒコール。龍玄は危うく脱力しかけた。
逆にバロンは琴線に触れたらしく、リトルスターマインに対して殺気を放っている。……あの子たちの言う通り、大人げない。
「咲は『ガキ』じゃねえぞ! そいつはなァ、おれたちのアーマードライダー……」
「「「月花だ!!」」」
「げ、げっかぁ?」
月花と名付けられた少女ライダーは、胸を張るようにしてバロンと向き合った。――月の花はドラゴンフルーツの異称だ。
『インベスはあたしが引き受ける。お兄さんはあいつと戦って』
『う、うん、ありがとう!』
月花はインベス2体に向かっていった。状況の整理は一時棚上げにし、龍玄はバロンへ向かった。
『はああっっ!!』
月花はDFバトンを両手に、フィギュアスケーターのように回転をかけてインベス2体を叩き抉った。
インベスからの攻撃は受けるのではなく避けるほうに専念する。変身して等身が伸びたといっても、軽さだけはどうにもならないと、試運転で知ってたからだ。
(お兄さんのとこには行かせない)
足を前後180度に開いてしゃがみ、その態勢のまま、ブレイクダンスの要領でインベスの足を蹴って転ばせる。即座にバク転で離脱し、月花は両手に紅い実の形をした、手に握り込める小ささの手榴弾を持った。
DFボム。DFバトンと同じで、ドラゴンフルーツアームズのもう一つの基本装備だ。
そのプチ手榴弾を月花はインベス2体に投げつけた。
着弾、そして、二つの小爆発。
「やったぁ!」
後ろのチームメイトが快哉を上げた。だがまだ月花は油断しない。二回目のDFボムを出す。
案の定インベスは健在だったので、敵影がちらっと視えるや、月花は再びDFボムを投げつけ、爆破した。
(あたしのほうは、初戦にしてはイイかんじ。ヘキサのお兄さんは?)
2体の挟み撃ちを上手く捌きながら、月花は、バロンと戦う龍玄に目をやった。
後書き
これまた後書きで回収して申し訳ないのですが、「月花=ムーンフラワー」は本文にもありますようにドラゴンフルーツの異称です。リトルスターマインがヒロイン①のアーマードライダーに名前をつけようと言い出し、みんなで辞典や図鑑を調べたりして命名したものです。学校外でも一緒な6人組です。
ちなみに他の異称で「夜の女王」もあるそうですよ(THE☆ム・ダ・チ・シ・キ)
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