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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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黒と蒼の竜剣士

「「誰だっけ?」」

ー訪ねてきたプレイヤー、ディアベルをみた第一声がそれだった。

「えぇ!?いやほら、ディアベルだよ。
第一層からの攻略組の……今はギルド【解放戦線】のリーダーをやってる」

いや、そこまで聞いてないし

「聞いたことあったか?」

「いや、無いね……病気でも患ったのかな?」

ユウジとソウヤはディアベルに対してボロクソな発言を連発し始めた。

いや、これまでにも親しい人間…本当の事を知っている人間(キリトとか)以外の
攻略組には大体こんな感じに弄る。
無論故意であり悪意も多少入っていると言えよう。

「……聞いていた通りの対応だね……
正直来ても良いのか迷ったけど…どうしても君たちの力を借りたいんだ!」

「いや、いきなり凄まれても…ねぇ?」

「僕達が攻略に協力しないのが誰のせいと問われれば…回答なんて一つしかないわけだし」

「しかし!今回のボスはとても危険なんだ!
何人死ぬか分からない…それこそ全員かもしれないんだ!」

「力説どうも。
だけどな……お前達は俺等の前で誓ったんだ。
誓いは約束よりも硬い。
何人死ぬか分からない?当たり前だ。
そんなものはこのデスゲームが始まった瞬間から解りきったことだ。
おまけに散々チートだの茅場の回し者だと罵ってくれた貴様等が、
今さらになって助けを求める?大概にしろよ青髪優男」

全てが的を射てる。

そう感じざるを得ないディアベルは頭を垂れるが真剣な眼差しをユウジに向けて言葉を放つ。

「なら……俺個人の、ギルドからじゃなく…俺からの依頼として受けてくれないか?」

「あの場での契約対象はお前と関西親父だったはずだ。
自分自身が疑いをかけ、俺の提示した誓いを承諾した。」

「だけど!」

「残念な事にお前達とボス攻略はしない。
そう誓いをたてたのだから。
頑張ってきてくれよ?皆のヒーロー攻略組様」

「……君は……君は犠牲者が出てもいいって言うのか!
この世界に取り込まれたプレイヤーがどうなっても!
他人だからという理由で見捨てるって言うのか!」

感情的になるディアベルはどんどん声を荒げて怒鳴り散らす。

「少なくとも、あの時俺を信じることができなかったやつなら
知ったことではないと思っているな 」

ディアベルは黙ってしまう。

あの場でユウジ信じたプレイヤーは3人だけだったからだ。
それはつまりディアベルもどうでもいいと言うのと同じである事がわかる。

「………分かった。
ボス攻略は明日になっている。
もし気が向いたら参加してくれ。」

そう言って帰っていったディアベルの背中はリストラにあった
派遣社員のようだった。

因みに可哀想なんて微塵にも思わないね。















「そうですか……やはり駄目でしたか」

とある洞窟の中。

複数人の集合地点でその会議は行われていた。

白を主にした特徴的な制服はアインクラッドで知らないものはいないと言われる
巨大ギルド【結盟騎士団】の制服だ。

そんな制服をまとった長髪の少女、アスナはディアベルの報告に肩を落としていた。

「……すまない……まだ根に持ってたよ。
誓いは約束よりも硬い、だそうだ」

「はんっ!あんなやつら居らんくてもワイ等解放軍がハパッと倒したるわ!
あいつ等がおる方が邪魔になるで」

「うるさい黙れお前には聞いてないし発言も許可されていない。
て言うかお前が謝ってこい」

キリトがその後ろから声を描け、キバオウは腰を抜かした。

「な、なんやお前は!ビーターは引っ込んどれや!」

「キバオウさん、貴方がそう言った態度を示したからユウジさんやソウヤさんが
参加しないと宣言してしまったんですよ?
少しは改めた方がいいをんじゃないですか?」

「何やと!?ワイは当然の事をしたんや!」

「だがチートだと言う証拠等はなかったし見つからなかった。
詰まりあんたがユウジ達を認めないからじゃないか!」

「ぬ、ぐぅ……」

キバオウは言い返せないのか黙ってしまった。

「それで…ディアベルさん。
もうひとつの方はどうでしたか?」

「もう一つ……っしまった…聞きそびれてしまった…
すまない、言われたことのショックが大きくて…」

ディアベルは後頭部に手を当てながら謝った。

「そうですか…」

アスナは顎に手を当てて考える素振りを見せた。

「でも、ホントに居るのか?探索隊の見間違えとか…」

壁に持たれていた色黒の男、エギルが言った。

「しかし、実際に68~72層まで連続で攻略されています。
私たちはそれに関わっていませんし…
隊の人達が見たとされる黒くて背中に竜の紋章…
それに青色の服にやっぱり竜の紋章。
この二人が関わっている事に間違いはないと思います」

「………黒竜剣士と蒼竜剣士…か」

「…今度は俺が聞いてくるよ」

キリトは徐に立ち上がり洞窟を出ていった。

「兎に角、攻略は明後日になります。
各ギルドにおいて準備をお願いします」

アスナはそう言うと会議を打ちきり解散にした。












「んーー"ピピピピッ"んーーー?」

ユウジが寝転がっていると、急にメッセージが届いた。

「誰から?」

ソウヤがアイテム整理をしながら聞いてくる。

「ん、キリトだな。
あっと?


『突然すまない、話があるんだ。
今からちょっと会えないか?』

だってよ。また攻略かねぇ?」

「そうだろうね」

「まぁ、暇だしな…行くか」










「ーーここだな」

ユウジとソウヤは65層にある大衆酒場に赴いていた。

「えーっと…あぁ、いたいた」

ソウヤは中を見渡したのち、キリトを発見してそちらに向かった。

「久しぶりだなソウヤ、ユウジ」

キリトは片手をあげて挨拶をして来た。

「久しぶりだねキリト」「久しぶりボッチ(キリト)」

「おい!今違う言い方しなかったか!?」

ふっ…直感スキルでも上げているのか?やるな…

「それで、話って?」

「あぁ、それなんだけど…じ「私も良いかしら?」…何でここにいる」

キリトの話をぶち破ってアスナが登場。

「あら、いちゃいけないのかしら?
それとも、居たら困ること出もあるの?」

アスナがキリトをじと目で見ながら言う。

「はぁ、無い、無いよ…全く………
それで、ユウジとソウヤは黒竜剣士と蒼竜剣士ってしってるか?」

「……厨二病患者?」 「俺tueeee症候群か?」

「「違う!」」

「「おおぅ…」」

キリトとアスナがテーブルを叩いて身をのりだし、否定をした。

ユウジとソウヤはその勢いにちょっと引いた。

「その二人は68~72層を連続で攻略したって言われている」

………………あれ?

「そいつ等がどうかしたのか?」

「あぁ、次の攻略に参加してほしくて探してるんだ。
何か知らないか?」


(……ねぇ、これって…)

(あぁ、俺等のことだな)

(ちょっと不味いんじゃないかな?)

(確かに……俺達が厨二病だって思われてしまうな…)

(いやそうじゃなくて!)

「何をこそこそ話してるの?」

「いや別に…」

「そんな奴等知りもしませんよ?
ええ、本当ですとも」

「挙動不審だぞお前ら」



話題休暇




「それじゃ、攻略頑張りたまえよ?」

「お前らが居れば大部楽にになるんだけどな…」

キリトは肩を落として呟いた。

「まぁまぁ、ソレがあればなんとかなるって」

ソレ。

キリトがユウジから渡された赤い宝石だった。

「なぁ、教えてくれよ。
これってどんな効果があるんだ?」

「ん?まぁ、ピンチになったら叩き割れって。
そうすりゃわかるし、お前らも助かる 」

「はぁ……まぁ良いや。
じゃあまたな。生きていたら会おう」

キリトはそう言って去っていった。

「じゃあ私も…」

アスナもまた去っていこうとしてそれをソウヤが止めた。

「アスナちゃん!
女は度胸って言うからね!
応援してるよ!」

「へ?………っ!なぁ!?」

ソウヤの言葉にアスナは少し考えたあと、顔を赤くして詰め寄ってきた。

「ちょっと!……だっ……誰にも言ってないわよね………!?」

「あはははっ。
大丈夫だよ。誰にも言ってないし言わないから」

「な、なら良いのよ!じゃあね!」

小走りで去っていったアスナはまだ顔が赤かった。

「………なんの話だ?」

「何でもないさ。」













「A隊、B隊さがって!C隊スイッチ!」

「アスナ!後ろだ!」

「えっ!?きゃあああ!?」

キリト、アスナを含んだ攻略組はボスを相手に苦戦を強いられていた。
最初は優勢であったものの、ボスの体力ゲージが残り一本になった瞬間に更に巨体になり、
毒を撒き散らし始めた。
ボスはクラーケン・ラフレシアという名前で地面から生える触手で
見方を半数以下殺している。
そんなボスが毒を撒き散らし始めたのだから、プレイヤー達はパニックになるのもまた必然であった。

「アスナ!無事か!?」

キリトはアスナに駆け寄って体を持ち上げた。

「キリトくん、大丈夫だよ。」

見るとアスナの体力ゲージは赤を示している。

いくらボスの攻撃が弱いと言っても今は毒がある。

到底どうにかなる現状ではない。

「くっ………どうすれば……!?」

「キリトくん!あれを!ユウジ君からもらった宝石!」

キリトはポーチから例の宝石を取り出した。

「頼む!何とかなってくれ!」

キリトは宝石を地面に叩きつけた。

宝石は砕け、粉々になって赤い粒子を散らしながら空へと舞い上がっていった。

「何も、起きない……」

「騙されたの……?」

「お前ら!危ねぇ!」

エギルが叫んだ。

キリトとアスナに数本の触手が向かってきていた。

触手はキリト達の3mほど前方で"踏み潰された"

「……は?」「……へ?」

二人は視線をゆっくりと上に持っていった。

そこには紅蓮の鱗に覆われたドラゴンがキリト達に背を向け、
ボスと相対するように君臨していた。

「「嘘ぉぉぉぉぉ!?」」

二人は…いや、プレイヤー全員が全力で後退し、扉の前に固まっていた。

「Gaaaaaaaaaaa!!」

ドラゴンが雄叫びを上げてボスの華を燃やす。

フロアが一気に熱されるがプレイヤー達は気にしている暇もなく、
ただ目の前の光景に目を奪われていた。

ボスと称して良いほどのドラゴンが第73層目のボスと戦っているのだから。





「やれやれ、ホントに使うとは思わなかったんだがな」

ふと後ろから声がした。

「まぁ、死んでなくて良かったと思うよ」

キリト達が振り返った先にはー

「よっ!」「昨日ぶりだね」

ユウジとソウヤが立っていた。

「ユウジ!?何だよあのドラゴンは!」

「そうよ!いきなりすぎてビックリしたんだから!」

二人は全力で食いかかってきた。

「あれは俺のテイムモンスターだ。
そして宝石はアイツを呼ぶためのマーキングだ」

「マー…」「キング……」

「んでもって、だ。
お前らの探していた…二人組も来たわけだ。
あとは任せて休んでろ」

「二人組…ソレってまさか!?」

ユウジとソウヤはそんな声をBGMに装備画面を開いてショートカットをタッチした。

瞬間で外見は代わり、ユウジは真っ黒なロングコートに所々に装飾の入った…背中に竜の紋章が入った防具に。

ソウヤはその青いバージョンの装備に変わった。
それぞれに現実で使っているバリアジャケットだった。









ソレからは一方的だった。

明らかに高レベルと言えるスピードでボスを翻弄し、隙在らば切り刻み、燃やすと言った戦闘法。

プレイヤー達は唖然とその戦いに見とれて、気がつけば戦いは終わっていた。

「お疲れさん、先に戻っていて良いぞ」

ユウジはアイテムストレージから大きめな肉を取り出してドラゴンに放り投げ、
それを一飲みにして飛んでいった。

プレイヤー達は未だに唖然としており、話などができる状態ではなかった。

「あー、まぁ、あれだ。
これからもギルド【何でも屋】を宜しくお願いしまーす。
って事で帰るぞ!」

「合点!」

ユウジとソウヤはそんな空気を残して転移結晶を使って帰っていった。

キリト達が再起動したのはそれから10分程たったあとだった。 
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