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第02回 イベントの構成と人間関係

 
前書き
 物語を作る際ににはイベントという物が必ず挟まります。入れなければならない必須のイベントと、追加することで物語に深みを与えるサブイベントに分かれますが、それらの入れ方によって作品の評価が変わってきます。
 イベントのあり方とそれに伴う人間関係の絡め方を通して物語の説得力の持たせ方を考えたいと思います。 

 
 物語においてイベントを活用することというのは大前提と言っても過言ではありません。魅力的なヒロインの告白も、凄腕の騎士との一騎打ちも、全てイベントという形で括ることが出来ます。今回はこのイベントの活用方法を考えていきたいと思います。


1-01-1 イベントの類型

 前書きで軽く説明したとおり、物語の全体を一つのシナリオとして捉えると、その成立に必須なイベントと、必ずしも必要ではないがあると物語に深みを与えるイベントの2種類が存在します。あくまで私の私見ですので正確な分類とは異なるとは思いますが、それぞれを詳しく具体的に説明すると以下のようになります。


○シナリオ(必須)イベント
・ストーリーを動かすために必須の転換点(聖剣の引き抜きなどキークエスト)
・ボス戦(キークエストの結果としての戦闘)
・プロローグに準じる、物語の説明に必須の話(基礎的な説明回)
・仲間の追加、離別イベントなど(重要度が高く不可逆的な人間関係の変化)
・恋愛などで展開が大きく動く場合(告白、結婚式、初夜など)


○サブイベント
・必須でない範囲の戦闘(一般的なレベル上げ、中途における情報収集など)
・物語には必須でない説明回(背景設定の公開、印象づけなど)
・喧嘩や仲直りと言ったちょっとした人間関係の変動(重要度が低く可逆的な変化)
・特定人物とのプライベートなイベント(人物へのテコ入れ)


 こう見るとシナリオイベントは本当に限定された状況を表すものであることがわかると思います。私がそうなるように整理したというのも確かですが、物語に必須のイベントは実は意外と少ないということにも気づいていただけたかと思います。
 では、よく物語で唐突だと言われる展開は何が条件で発生するのでしょうか? シナリオイベントだけで物語が成り立つのだから、問題はないはずではないのでしょうか?


1-01-2 物語の厚みとサブイベント

 その疑問の回答がドラクエのようなRPGに隠れています。ドラクエに限らず大半のゲームでそうですが、最初は弱かった主人公や自軍が、徐々に強くなって魔王やら敵の将軍やら無敵艦隊やらを撃破できるまでに成長するというのが一般的なシステムです。
 バグを利用した『レベル1クルルによるエクスデス攻略(ファイナルファンタジーⅤ)』みたいな事例を除いてですが、ゲームをクリアするためにはレベル上げという作業が必須です。ポケモンでも道路を踏破して次のジムにたどり着きますし、東方のSTGシリーズでも道中の妖怪を退治しなければ異変の元凶には会えません。
 ではギャルゲーやエロゲーではどうでしょうか? ヒロインにいきなり告白して、それで一気に上手く行ってしまうことなんてあるのでしょうか?(襲いかかるいわゆる鬼畜系は除きます)
 ……それも違うと言っていいでしょう。主人公はヒロインを頑張って攻略します。告白して受け入れてもらうために、もしくはヒロインに告白させるために。
 つまりゲームにおいてプレイヤーが求めているのは、主人公が魔王を倒せるまでに成長する過程であり、身持ちの堅いヒロインが主人公にデレるまでの経過なのです。
 小説でも同じ過程を求めている読者が少なからず存在しているので、それが欠けている場合に唐突な展開だと非難されます。ここで問題になるのは、一人一人が自分の納得できるペースでプレイするのではなく、幾人もの読者が同じ展開を進めるので、納得できる基準、出来ない基準が各人で異なるということです。
 例えばポケモンでは、友人の強いポケモンをトレードしたり育て屋に押しつけて気軽にクリアしようとするプレイヤーもいれば、151匹を自力でレベル100まで育てようとする廃人みたいな人もいます。同じく小説でも、サクサクシナリオを読み進めたい人と、じっくりと主人公が強くなっていく過程を見たいという人に分かれてしまうのです。
 ですので自分が必要だと考えるだけのイベントを挟んでしまえば、残念ながら後の批判は無視してしまうしかありません。全員が納得してくれることはないので諦めましょう。


1-01-3 メインイベントとサブイベントのバランス

 ですが、それらの最低限のバランスは考慮する必要があるのは確かです。サブイベントがなければ「かわいいヒロイン」は記号にすぎませんし、勇者はいきなりレベルが10ずつ上昇して数話で魔王を倒すように見えるでしょう。それに、最初から最後までクライマックスでは途中で読むのに疲れてしまいます。ですので、サブイベントは必ず入れる必要があります。
 では、どのように入れるのが一般的なのでしょうか? これはジャンルによって異なりますが、戦争ものであれば5話に1話くらいですかね。ちょうど一山動いて気分が荒んだあたりで落ち着くための閑話として挟む感じがいいと思います。ちなみに戦争アニメで有名(?)なガンダムSEEDでは10話に1話程度、マクロスFでは5話に1話でした(ちゃんと測ったわけではなく記憶頼みなので違うかもしれませんが)。
 現実の日常に近い世界観を有する恋愛ものであれば、世界観説明回やちょっとした可逆的変化としてのサブイベントはもっと少なくても構わないと思いますが、ここでもう1つの要素が入ります。

1-01-4 人物へのテコ入れ

 先ほど、サブイベントがなければ「かわいいヒロイン」は記号に過ぎないと書きましたが、サブイベントには人物の印象を強めるためのエピソードを挟むことが出来ます。そこで、普段は印象が薄い個人としてのメンバーの個性を強調したり、かわいいヒロインの具体的に萌えるためのポイントを書いていくことを考慮する必要があります。
 そこで、人物が主軸となる物語(恋愛など)ではこまめ(2、3回に一度)に放り込んであげましょう。ヒロインと主人公が1人ずつしか登場しなくても最低限それぞれで3回は必要になると思います。というのも、お互いに「出会う前」、「出会った後」、「付き合うようになってから」の3回では明らかに普段の行動も変化するからです。これをメインシナリオ中だけで表現することは不可能だと思います。
 これに「恋心を自覚したあたり」、「告白する直前」、「身体を重ねた後」などの諸要素を加えると、20回くらいの中編で5回から10回は日常回における表現が必要になると思います。あるギャルゲーのコミック版(ヒロイン6人、個別ルートなし)では、5冊の内2冊でヒロインの可愛さをアピールする(=本質的なストーリーに絡まない)内容になっていました。

  
 

 
後書き
イベントの扱い方は端的に言えば

多すぎるとあまり良くなく、
少ないと良くなく、
少なすぎると大問題である、

ということです。長編を目指すなら人物描写、世界観描写のための説明回を活用できるようにして緩急をつけましょう 
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