FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第153話 仇
前書き
こんばんは~♪07でぇ~す♪
今回はリョウの元に1通の手紙が届いた。送り主は・・・えっ?アカネ?手紙の内容とは・・・?
リョウ目線で書いていきたいと思います。
それでは、第153話・・・スタート♪
ヒュゥゥゥゥゥと風が吹き抜ける。
リョ「うぅ・・さ、寒ィィィ・・・!」
俺ははぁーっと両手に息を吹きかける。マグノリアもまた冬がやって来た。また1年が経つんだなぁ~。俺が妖精の尻尾に加入してからもうすぐで2年も経つのか。『時』っていうもんは、どうしてこうも早いんだ?そんな答えも分からない疑問を抱えながら、俺は仲間が集まる暖かいギルドのドアを開けた。外は寒いとゆうのに、妖精の尻尾は酒を片手にお祭り騒ぎだ。まるで中年のお花見だな。俺は冷えた体を暖めようと椅子に腰掛けようとすると、
ミ「リョウ~!ちょっと来てぇ~!」
バーカウンターからミラが手を振って俺を呼んでいる。何だ?マカロフさんから急ぎの依頼か?俺はすぐさまミラの方に歩いて行った。
リョ「何か用か?」
ミ「はいこれ。」
そう言ってミラが俺に差し出したのはピンクや黄色の花柄の封筒だった。手紙か?裏を見ると、
『リョウ・ジェノロ様』と緑色のインクで書かれていた。
リョ「誰からだ?」
ミ「正規ギルド、幸福の花のギルドマスター、アカネさんからよ。」
読者の皆は覚えているか?幸福の花。以前俺達最強チームに勝負を挑んできた正規ギルドだ。魔道士は全員女で着物姿がよく似合う親子6人。魔道士としての腕もなかなかで、俺と同じ聖剣の1つ、『花錦剣』を使うユリがいるギルドだ。何だ?また「勝負をしたい「っていうお願いか?封筒を開けて、手紙を出すと、以前と同じように艶やかな黒髪に、淡い赤色の着物を着た小さく微笑んでいるアカネのホログラムが浮かび上がった。
ア『リョウ様、お久しぶりどす。お元気でございますどすか?』
訛りのある京都弁は相変わらず変わってないな。すると、さっきまで微笑んでいたアカネの顔が、急に険しく、悲しい表情になった。
ア『実は・・・お話したい事があるので、今度の土曜日にまた幸福の花のギルドに来て下さりませんか?もちろん、最強チームの皆さん全員で来ても構いませんし、リョウ様1人で来ても構いません。お返事待っております。』
そう言ってアカネのホログラムが消えた。
リョ「お話したい事・・・?」
俺は顎に指を当てて考えた。何でアカネは俺に手紙を出したのか?どうせなら、以前みたいに最強チーム宛に書けばよかったのに・・・それに、あのアカネの表情・・・なんかまずい事でもあったのか?俺が考え込んでいると、
ル「リョウ?どうしたの?深刻な顔なんかしちゃって。」
ルーシィが横から俺の顔を覗き込んできた。
ル「何か、あったの・・・?」
リョ「・・・ちょっと、な。」
俺は手紙の事をルーシィや皆に黙っておく事にした。最強チームに話があるのなら、初めから最強チーム宛に手紙を書くはずだ。なのに、俺だけに手紙を出したとゆう事は・・・アカネが言う話は、俺だけに関係してるって事だ。もしその話が、危険な話だったら、ルーシィはもちろん、最強チームの皆や、ギルドの皆を巻き込む訳にはいかない。俺はルーシィに向き直ると、
リョ「ルーシィ、悪いけど、今週の土曜日に用事が出来た。」
ル「用事?」
リョ「あぁ。急な用事がな。」
ル「私は、行っちゃダメ・・・かな?」
リョ「・・・悪い。今回はダメなんだ。」
ル「そっか・・・」
ルーシィから視線を逸らすが、ルーシィが暗い顔をしてるのが分かる。
ル「・・・分かった。浮気とかしないでね。」
リョ「するわけねぇだろ。もししたら、『銀覇剣』か『天力剣』か『嵐真剣』で、俺の首を切り落としてくれ。」
ル「そ、そんなグロテスクな事、さらりと言わないでよ・・・」
ルーシィが小さく笑った。これで安心だ。俺はミラから紙と鉛筆と封筒を貰い、アカネに返事をした。
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土曜日。俺は馬車から降りて、運転手のおじさんに礼を言う。おじさんも俺に小さく頭を下げると、馬車を走らせて行ってしまった。俺は目の前にある幸福の花のギルドを見つめる。
リョ「相変わらずでっけぇ~ギルドだなぁ~。」
何度見ても、どこかのお屋敷と間違えそうだ。こんなでっけぇ~ギルドに、たった6人しかいないなんて、随分贅沢だよなぁ~。そう思いながら、俺はギルドのドアを叩いた。すると、金髪のおかっぱ頭に黄色い着物を着たパンジーが以前と同じように出迎えてくれた。パンジーは俺の顔を見ると目を輝かせて、
パ「リョウさんだリョウさんだっ!おか・・じゃなくて、マスター!皆ァ~!リョウさんが来たよ~!!あ、どうぞ中にお入り下さい。」
8歳だとは思えないくらい礼儀が正しすぎるぜ。俺はパンジーの案内により、大広間に通された。
中ではアカネ、ナデシコ、サクラ、スミレが頭を下げて待っていた。アカネが顔を上げると、
ア「リョウ様、本日は突然のお呼び出しに来て頂き誠にありがとうございます。」
リョ&ア以外「ありがとうございます。」
あぁ~やばい・・・頭が可笑しくなりそうだ。こんな礼儀正しすぎるあいさつを毎日のようにしてるなんて、俺には考えれないぜ。
サ「どうぞ。」
リョ「あ、あぁ、ありが、とう・・・」
サクラがお茶を入れてくれた。俺は小刻みに震えている手でゆのみをを持つと、恐る恐る口に近づけた。
ア「リョウ様、普通に飲んでいただいて構いませんよ。」
リョ「あ、そ、そうですか?アハハハハ・・・」
こ、こんな恥ずかしい思いをしたのは、ルーシィとの初キス以来だ/////////////////俺は一度両頬をペチンと叩いて神経を集中させた。
リョ「ところで、話というのは・・・?」
ア「その前に、リョウ様、もしかして私たちに気を使ってくれたんどすか?」
リョ「えっ?」
ナデ「リョ、リョウ様なら、て、てて、てっきり、ルーシィ様や、さ、最強チームの、み、皆様と、ご、ご一緒に、ま、まま、参るのかと、思いまし、て・・・」
ナデシコがオロオロしながら聞く。どうやら俺の考えは当たってたみたいだな。
リョ「やっぱり、俺だけに関係する話なのか。」
ス「はい・・・この状況で、すでに変わった事が1つだけあるのですが、お気づきになりましたでしょうか?」
リョ「えっ?」
すでに変わってる事があるのか・・・?俺は辺りを見回す。大広間は以前とは何一つ変わっていない。窓から見える景色や家具の位置も一切変わっていない。
リョ「あ、あのぉ~・・・何が変化し・・・ん?」
アカネ達を見回して、変わった事が分かった。
リョ「ユ・・ユリが、いない・・・」
そう。俺と同じ聖剣使いのユリがいない。そういえば、さっきから一度もユリの声を耳にしていなかった。
リョ「えぇっと・・ユリはどこに・・・ってえぇぇっ!!?」
恐る恐るアカネ達に聞こうとすると、俺以外全員ボロボロと大粒の涙を流していた。。パンジーは鼻水まで垂れている。
パ「うぅ・・・ビェェェェェェェェェェンッ!!」
リョ「うぉあっ!」
涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃのパンジーが俺に抱き着いてきた。ナデシコは薄紫色のハンカチで涙を何度も拭っているが、涙はどんどん流れ落ちるだけ。サクラは必死に涙をこぼれないように堪えているのか、拳を硬く握り締め、体が小刻みに震えている。スミレは着物の袖で涙を拭っている。そのスミレの背中をアカネが優しく摩っている。アカネの瞳にも、大粒の涙が溜まっていた。未だに状況が分からない俺はすっかり混乱している。目の前でいきなり泣かれるんだ。戸惑うのは当たり前だ。
リョ「え、えぇっとぉ~・・・?」
俺はどうしたらいいか分からず、俺に抱き着いているパンジーの背中を摩っていると、泣きすぎたのか、目が真っ赤になったパンジーが、
パ「ヒッ・・ユ、ユリお姉ちゃんが・・・ヒック・・死んじゃった・・・ヒッ・・・」
リョ「え・・・?」
俺はパンジーの言葉が理解出来なかった。
リョ「パ、パンジー・・・い、今、なんて・・・」
パ「ヒック、ヒッ・・ユリ、お姉ちゃん、が・・・ヒッ・・死んじゃったの・・・ビェェェェェェェェェェンッ!!」
さっきよりもでかい声でパンジーが泣き崩れる。自分でも分かった。パンジーを抱えている両手が震えているのを・・・俺はアカネ達を見つめる。皆真っ赤になった瞳で俺を見つめるとゆっくり頷いた。
リョ「ユ・・ユリが・・・死んだ・・・・?な、何で・・・?」
戸惑いながら問うと、
ア「そ、それが・・・わ、私達にも・・分からないんどす・・・2週間程前に、ユ、ユリが1人で、修行の為に・・・『花錦剣』を持って、あそこの・・ヨモギ山に行ったんどす・・・・」
アカネが指で涙を拭いながらヨモギ山を指差す。
ア「修行の時間は1人2時間と決めているはずなのに・・・3時間も、4時間も、5時間経っても、ユリは帰って来なかったんどす・・・」
アカネがそこまで説明すると、パンジーが俺の着物の裾をギュッと摑む。ナデシコは拳を硬く握り締め、サクラは両耳を塞ぎ、スミレは自分の肩を抱いてその場にうずくまる。この先の話は聞きたくないんだろう。
リョ「そ、それで・・・」
ナデシコ達には悪いが、俺は恐る恐る聞いてみた。
ア「み、皆で、ヨモギ山に行って・・・ユリを、捜しました。そ、そしたら・・・サクラが、杉の木の根元に・・よ、寄り掛かって・・・血を、流している、ユリ・・・を見つけたんどす・・・・!」
サ「イヤアアァァアアアァァァアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
サクラが悲鳴を上げてその場にうずくまる。
ア「も、もう・・・サクラが駆けつけた時には、す、すでに、ユリは、息を、していなかった、どす・・・・」
リョ「・・・・・」
俺の頭の中は思考が完全に止まって真っ白になり、言葉を失い、開いた口が塞がらなくなっていた。まるで、『時』が止まったみたいだった・・・
ア「・・・この事を、リョウ様に、お伝えしようと・・・手紙を出したんどす・・・・」
俺はまだ今までの話を全て信じる事が出来なかった。そして俺は何かに弾かれたようにアカネに詰め寄ると、
リョ「か、『花錦剣』は・・・!?ユリの聖剣はっ!!?」
そして予期せぬ言葉がアカネの口から語られた。
ア「聖剣は・・・ユリの、『花錦剣』は・・・どこにも、無かったどす・・・」
リョ「・・・え・・・・?」
ア「ヨ、ヨモギ山全てを、くまなく皆で・・捜したんどす。でも・・・『花錦剣』は見つからなかったどす・・・恐らく、ユリは『花錦剣』を奪った何者かに、殺されたんだと・・・・」
リョ「ユ、ユリは・・・『花錦剣』を奪われた時に、殺されたのか・・・・?」
俺の言葉に、アカネはゆっくり頷いた。俺はパンジーを床に下ろし、立ち上がると、『嵐真剣』を鞘から抜いた。
リョ「つまり・・・俺がユリを殺して、『花錦剣』を奪った、どこかの愚か者を殺めればいいんだな・・・?」
その言葉に、サクラがすぐに大きく頷いた。
サ「どんな方法を使ってもいいから、ユリを殺した奴を痛めつけて下さい・・・!ううん、殺したって構いませんっ!!その時の罪は、リョウ様じゃなくて、私が身代わりになりますっ!!」
幸福の花の魔道士全員の瞳が仇で満ちていた。
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俺は幸福の花のギルドを出た後、俺は馬車に揺られながらずっとユリの事とユリを殺した愚か者の事を考えていた。ユリを殺した愚か者は、たぶん俺やユリと同じ聖剣使いだ。でも、俺やユリとは違って、『闇』の聖剣使いだ。
『光』の人間が聖剣を使うと、人を正義に導く物になる。
だが、
『闇』の人間が聖剣を使うと、人を殺める物になる。
そして、その『闇』の聖剣使いが持っている聖剣の数は2本か3本。元から自分が持っていた聖剣と、ユリを殺してまで手に入れた『花錦剣』を持っているはずだ。聖剣は世界で7本しかない剣だ。その内の『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』は俺と契約をしている。ちなみに、聖剣は星霊と同じで、所有者が命を落としたら自動的に契約が解除されるんだ。その為、ユリは『花錦剣』と契約していたが、何者かに殺されて、ユリと『花錦剣』との契約は解除され、ユリを殺した奴の聖剣になった。これで6本。残りの1本はまだ誰も目にした事がなくて、聖剣の中でトップの強さを誇る「伝説」とも言われる聖剣だ。たぶん、ユリを殺した奴は、7本の聖剣を全て集めてコンプリートしようとしているんだ。だから、いつか俺も命を狙われる可能性があるって事だ。・・・やっぱり、ルーシィや皆を連れて来なくて正解だったな。俺は腰にある3本の聖剣にそっと触れた。
リョ「ユリ・・・絶対に、仇とってやるからな。」
すると、脳裏に幸福の花のギルドを出る直前にアカネに言われた事を思い出した。
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リョ『そんじゃあ、どれだけ時間が掛かるか分からねぇけど、必ずユリの仇をとってやるから、その時まで待ってろよ。』
ア『えぇ。期待してますわ。』
俺が出て行こうとすると、
ア『リョウ様。』
リョ『ん?』
ア『あの子・・・ユリは、リョウ様のお陰で、変わったどす。』
リョ『えっ?俺?』
アカネはゆっくり頷くと、話し始めた。
ア『元々ユリはものすごく人見知りで、内気で微弱な子だったどす。魔道士としての腕はかなりのものだったどすが、他人とは一切勝負はせず、いつも1人で生け花をしてるくらいだったどす。』
確かに、初めてユリを見た時、ユリだけ神秘的なオーラを放っているように感じた。
ア『ですが、リョウ様と勝負してから、あの子は人が変わったどす。口数もすごく多くなって1人で街に買い物に行けるようになったどす。あの時のユリは一生忘れる事が出来ないどす。』
アカネはそこで話を区切り、俺は真っ直ぐ見つめると、
ア『リョウ様には、ルーシィ様がいる事をユリはもちろんご存知だったどす。でも、ユリは初めて小さな恋の花を咲かせていたんどす。ユリはリョウ様の事を、「自分を変えてくれた大切な人」とおっしゃってたどすよ。』
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リョ「・・・ユリ・・・・」
運「お客さん、マグノリアに着いたぜ。」
いつの間にか空は夕日色に染まって、マグノリアの街を照らしていた。
後書き
第153話終了~♪
何者かに命を奪われたユリと消えた『花錦剣』。その仇を討つ為、リョウがアカネたちと約束を交わした。
次回はショールの元に2通の手紙が届いた。って、最近手紙シリーズ多いな・・・
お楽しみに~♪
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