少年と女神の物語
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第三話
前書き
本日二度目の投稿です。
あと一回投稿する予定です。
では、本編へどうぞ!
「ええっと・・・女神?そんな存在が現実にいるのか?」
とりあえず、とぼけてみることにした。
何とか病の人かもしれないし、もし女神なのだとしたら、今までの態度に問題が出てしまう。それは避けたい。
「とぼけなくてもいいですよ?貴方からは魔力・・・その見た目だと、呪力が正しいのでしょうか?まあ、それをかなりの量感じますし、それも頻繁に使っているでしょう?」
はい、無駄でした。
それに・・・ここまで正確に当てれるなら本当に女神様なんだろうな・・・アテか・・・
「・・・はあ、そうだ。俺はそっち側の人間だし、まつろわぬ神の存在も知ってる。今までの無礼をわびたほうがいいか?」
もうここまでこの態度だったのなら、今更変えてもどうしようもない。
どうしたらいいのかは、本人に聞くのが一番。まつろわぬ神である以上殺されても可笑しくはない。抵抗はするけどね。意地でも生き残ってやる。
「いえ、あの場からここまで連れてきてくれたこと、それに治癒の術もかけてくれたみたいですし、恩があるのは私のほうです」
何とびっくり、常識を持った神様でした。
まつろわぬ神は人を見てないって聞いたことがあるけど・・・しっかりと俺を見てる。
それに・・・一切の神性を感じない。色々と可笑しい、ありえない。
「えっと・・・じゃあ、話し方は今までどおりでも?」
「ええ、構いません。それと・・・私には、貴方に恩を返すだけの能力がないのですが・・・」
本当に・・・聞いてきたのとは違う部分ばっかりだ・・・プライドが高いから恩を返そうとはするんだろうけど、こんなにしおらしくなるはずじゃない・・・
「それは別にいいよ。俺が勝手に連れてきて、勝手にやったことだ。質問いいかな?」
「はい。なんでしょう?」
「じゃあ・・・御身から神性を感じないのはなんで?」
一応、呼び方はこれにした。
神に対して御身なら、間違ってはいないと思う。
「あ、呼び方はアテで構いませんよ?それか、アーテーでもいいです。どちらも私の名ですから」
「じゃあ、アテ。なんで?」
もう、まつろわぬ神なのに、という疑問は抱かないことにした。考えるだけ無駄だ。
「それは・・・まず、あの場に倒れていたことの説明からいいですか?」
「長くなりそうだな・・・飯を食いながらにするか」
結局、昨日は何も食べずに寝てしまったので腹が減っている。死にそうなくらい減っている。
「はい、どうぞ」
「いや、どうぞじゃなくて・・・アテの分もあるんだけど?」
起きたら一緒に食べるつもりだったので、二人分買ってある。
神様が食べるようなものではないのは間違いないが。
「えっと・・・よいのですか?」
「買っちゃったから、食べてくれないともったいないよ」
とりあえず、テーブルを持ってきてその上に昨日買っておいた弁当を並べ、魔術で温める。
「まあ、間違いなく神様が食べるようなものじゃないけど」
「いえ、貴方の言うとおり私は今神性を失っていますので、人の子と大差ありません。美味しくいただけるかと」
「ならよかった。じゃあ、食べようか」
二人(いや、一人と一柱か?)はそのまま食事を始め、話も再開する。
「さて、私があの場に倒れていた経緯ですが、ある神に攻撃され、限界まで弱っていたのです」
「ある神・・・それも、まつろわぬ神?」
「はい。私と同様に、神話の世界から出ることを望み、こちらの世界に出てきたものです」
この辺りには、もう一柱神が出現してるのか・・・危険地帯過ぎるだろ・・・
「そういえば、なんでアテは神話から出てきたんだ?話してる感じだと、聞いてたまつろわぬ神とは違うんだけど・・・」
「それは・・・私がどのような神か、それについては知っていますか?」
「ああ。ギリシア神話において、狂気を女神神格化した存在。一番有名な話だと、ゼウスすら狂気に取り付かせて、ゼウスにキレられて地上に落ち、人間に狂気を振りまいた」
「そう・・・私は神話の中にいる限り、それを続けなければならない。でも・・・そんなの、嫌だった」
確かに、自我を持ってしまうとつらいものがあるかもしれない。
自分のせいで神が、人が狂うのを目の前で見るのだ。本人が狂ってでもいない限り、嫌に決まってる。
「それで抜け出してきたんだ」
「はい。でも・・・結果は変わりませんでした。私が現れた地の人々は、皆狂ってしまった」
少し雰囲気が暗くなったので、このあたりで止めておこう。
「もういい。その辺りについては理解した。それで、アテを戦闘不能にした神様の名前は?」
「・・・ありがとうございます。甘えさせてもらいます」
アテは俺に頭を下げてから、質問に答えていく。
「私をこの状態にしたのは、まつろわぬゼウスです」
予想外の大物でした。
アテとは比べ物にならないくらいのネームバリューだ。
「そいつにボッコボコにされて、ダメージが大きすぎて弱った結果、神性を保てなくなったってこと?」
「はい。おかげでいまこうしていられます」
「神性がないから、ゼウスに居場所がばれずに済んでるってこと?」
「そうです。ですから、私をあの場から連れてきてくれたこと、本当にありがとうございます」
また頭を下げられた。この話を父さんにしたら卒倒するだろうな・・・母さんは「そんなことより、その子を連れてきなさい」とか言いそうだ。
「あの場所に残ってたら殺されてたってことか・・・それは連れてきてよかった。で、これからどうするの?」
「そうですね・・・神性を失っている今なら狂気を振りまかずに済むようですが・・・これといって目的がないんですよね・・・」
ふむ、それならば・・・
「確か、今は俺ら人間と大差ないんだよな?」
「はい、そうですけど・・・」
「つまり、腹も減るし眠たくもなる。その認識でいい?」
「はい、その通りです。でも、それがどうかしたのですか?」
なら、別に迎え入れても問題ないよな?
「じゃあさ、俺と一緒に来ない?」
「貴方と、一緒に?」
「ああ。俺の家、神代ではある基準にかなった子供を引き取ってるんだ」
「ある基準?」
「まあ、そこまで複雑じゃないんだけど。魔術の才が見込まれることと、美人、美少女になりそうってこと。簡単でしょ?」
「確かに簡単ですね・・・」
「で、アテはその辺の基準はクリアしそうだし、もしよかったらうちに来ない?って話なんだけど」
「二つ目の条件が当てはまらないと思うのですが・・・」
女神様が、一体何を言っているのだろう?
「アテが当てはまらないって、どんだけ厳しいんだよ・・・大丈夫。当てはまることは保障する」
「そうでしょうか?じゃあ、その前提で考えて見ますけど・・・」
そういってアテは悩みだした。少し頬が赤い気がするけど、この部屋、暑いのかな?
「・・・本当にいいのですか?私は今、弱って神性を失っていますが、回復すれば神性も戻りますよ?」
「その辺は多分大丈夫。家にはいろんな神具があるし。確か・・・グレイプニルがあったはずだから、少し改良すればいけるはず」
あれに込められている術式を“フェンリル”を抑える、から“神性”を抑える、に変えれば問題ない。
本来ならかなりの労力がかかるけど、うちにはその手のことのエキスパートもいるし、たいした問題はないだろう。
「・・・では、お願いしてもいいですか?」
「ああ。じゃあこれからよろしく、神代アテ」
「はい。よろしくお願いします。武双」
こうして、新しい家族が増えた。たぶん、俺と同い年、ということになるだろう。
ちなみに、あの後父さんと母さんには連絡し、問題ないかを聞いた。
父さんは俺が呪力に付いての話しをしたら二つ返事で許可。
母さんは顔写真、全体像を送ると、むしろ引き込めといわれた。
神様だってことも話したよ?でも、そんなことはどうでもいいそうです。
後書き
こんな感じになりました。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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