少年と女神の物語
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第二話
前書き
テストが終わり、そのまま授業があってふざけんな、と思いました。
では、本編へどうぞ!
さて、昨日決まった旅行先に着いた。
終業式はまあ無事と言えなくもない状態に終わり、成績についても十分に取ったため、安心して向かったのだ。
「じゃあ、ここからはそれぞれ別行動。仕事が終わったら他の人が終わるまで自由」
「早く終わらせてあっそぶぞ~!」
「まあ、仕事さえすれば問題ないか。そんなに差ができるとも思えないけど」
どれも神話レベルの武器だし、復活させるにはかなりの時間がかかるはずだ。
手元にあるのも同じくらいの穂先だけだし、強いて言うなら保管してある神殿などを回る時間くらいのはず。
「いや、私のブリューナクや立夏のゲイ・ボルグは十個、武双のロンギヌスは二十個のパーツがあるから、単純に考えて二倍の時間がかかるはずだぞ?」
「その間、私とリズ姉は遊んでるから、頑張ってね~!」
「不公平だ!?」
まさかの、一人だけ面倒なパターンだった。
おおかた、早い者勝ちだったのだろう。一番帰りが遅かったのは俺だ。
「はあ・・・じゃあ、俺はもう行くから」
「うん、ゆっくり完成させてね!」
「一秒でも早くするに決まってるだろ!」
「いや、それは許可できない。もしそんなことをしたら、姉妹揃って風呂に乗り込むぞ」
「全力で止めてください!お願いします!」
なんという脅しをして来るんだこの人!
そういったことに抵抗がないんだよな、俺の兄妹(姉弟)は!せめて立夏から上は自分の年齢と俺の年齢を考えてくれ!
家の風呂は広いから、無駄にリアルな脅しなんだよ、それは!
◇◆◇◆◇
さて、とりあえず初日のうちに十個のパーツを集め、合成することができそうだ。
今はその十個目を受け取り、ようやく槍に見えてきたロンギヌスに合成している。
リズ姉と立夏のほうは、さっき五個終わったというメールが来た。
今日はもうこれで終わりにするそうだから、終わるタイミングは大差ないだろう。
「まあ、あの二人はわざとこのペースでやってるんだろうけど」
あんなことを言っていたが、俺を含め神代の人間は家族への愛が大きい。
全員で遊ぶために、全員が終わるようなペースを考えて行動している、そんなところだろう。
「終わりましたよ。私達に出来るのはここまでです」
そんなことを考えているうちに、ロンギヌスのパーツはくっつき、呪詛も込められたようだ。
見るからに、凶悪さを増した槍がそこに浮いている。
「ありがとうございました。それと・・・家の親が、色々と申し訳ない・・・」
「いや、私達は一切抵抗していないよ。むしろ・・・」
そう言いながら、牧師っぽい人は浮いているロンギヌス(未完成)を見て、
「あんないわく付のものを手放せて、喜んでいるよ。信仰の対象は他にもあるからね」
「さいでっか・・・じゃあ、遠慮なく受け取っていく」
浮かんでいるロンギヌスをつかみ、『送還』の魔術で消す。
穂先だったころならいいが、ここまで来るともう持ち歩くことはできない。
怪しすぎるし、警察とかに目を付けられたら記憶を消すのが面倒だ。
「まあ、今回のお礼に、俺にできる範囲で何かあったら手を貸すよ。なんかあるか?」
「そうだねえ・・・じゃあ、窓の掃除でも」
その瞬間、ズドガアアアアアン!!!という音が外から聞こえてきて、教会が揺れた。
「この音の原因をどうにかしてくれるかな?」
「ただでさえ面倒だったのが、余計に面倒になったな・・・了解。引き受けましょう」
窓拭きのほうがまだ楽だった・・・まあ、手を貸すといったのは俺なので、言われたことはこなそう。
リズ姉や立夏はそれぞれホテルを取って休んでいるそうだから、今日はもうこれ以上やらなくてもいいだろうし。
そう思って外に出て、音がしたほうに向かうと・・・
「・・・女の子?」
銀髪の、短い髪の少女がクレーターの中に倒れていた。
◇◆◇◆◇
あの後、倒れていた少女を抱えて予約しておいたホテルに来たわけだが、一向に起きる気配がない。
もちろん、目立たないために陰陽の術を使ってここまで来た。クレーターはさすがにどうしようもなかったから放置したけど。
「さて・・・連れてきたはいいがどうするか・・・」
とりあえず、治癒の術をかけ、その姿を観察する。
ぱっと見では年齢は俺と変わらないように見える。同い年か一つ下ぐらいだろう。
それと、かなり美しい少女だった。
幼い見た目をしているのに色香をまとい、蠱惑的な可憐さを持っている。まず、普通の少女というわけではないだろう。
「あとは・・・あの方法を使わないと効かないくらい、術は効きづらいし、呪力もハンパじゃないんだよな・・・俺もかなりのもののはずだけど、比較にならないくらいあるし・・・」
おそらく、兄妹(姉弟)全員の呪力を合わせてもまだ足りないだろう。
その量が普通ではない、神代の兄妹(姉弟)のものを合わせても、なのだから異常すぎる。
ありえそうな存在が二つほど浮かんだが、そのどちらかが目の前にいる可能性と呪力がただ多いだけなら、後者のほうがまだ現実味がある。
「大体、前者ならこんなに起きないってことはないだろうし、俺が近づいた時点で殺されてるだろうな・・・うん、間違いなく後者だろ」
さて、この子は起きそうにないし、仕方ないからこのまま寝かせておこう。
風呂には入ったし、食事は一応冷蔵庫に入れてるから、起きたら一緒に食べればいい。
というわけで、やることがなくなった俺は今日のことを二人に報告することにした。
「あ~・・・もしも~し。武双だけど、報告会いい?」
『リズだ。問題ないぞ。もうこのまま報告会が始める前に寝るつもりだったし』
「寝るな。報告会の後にしろ」
『私もいいよ~。ふぁ・・・』
「そんな欠伸をしながら言われても問題ないとは思えないんだが」
二人とも、寝るき満々だった。
「じゃあ、眠そうな人もいることだし手短に済ませようか。槍のほうはどうですか?」
『ブリューナク、五つ合成して残り五個。合成に問題はなし』
『ゲイ・ボルグ、五つ合成して残り五個。合成の途中で盗もうとした集団はいたけど、もう壊滅したから問題なし!』
一人十分な問題が発生していたが、そのまま滅ぼされたようだ。
その集団は運がなかったとしか言いようがない。
「ロンギヌス、十個合成して残り十個。合成に問題はない」
『じゃあもういい?どこも問題は発生してないんだし、終わりでも』
『だね~。もう寝たいし・・・』
「ゴメン、合成とは別で問題がある」
一応、あの子のことは報告しておいたほうがいいだろう。
『なに?手短に済ませてよ』
「じゃあ、最後によった協会付近で空から降ってきたと思われる傷だらけの少女を発見。保護した」
『状態は?』
リズ姉の声が一気に真剣なものとなる。
眠そうだった声など、元からなかったかのように。
「治癒の術をかけたから傷は全部治ってるけど、全然起きる気配はない」
『その子、年はどれくらいなの?』
「多分、俺か立夏と同い年くらい」
『そっか、私達と・・・服はちゃんと着てたの?』
「着てたよ。ボロボロではあったけど」
『じゃあ、奴隷とかじゃないよね・・・他に気になることは?』
あとは・・・あれかな。
「呪力の量が多い。八人全員のを合わせても、まだ足りないくらいに」
『・・・・・・』
『・・・・・・』
二人が驚いて固まった。表情が見れたなら、さぞ面白いだろう。
『そうか・・・まあ、念のために保護しておけ』
『だね。親とかの手がかりがあったら探してあげてもいいし、もしそうじゃなくても』
「家で引き取れるだろうな。間違いなく、あの二人の御眼鏡にはかなうよ」
魔術、容姿、どちらをとっても文句は出ないだろう。
「俺のほうであったことは以上だ。二人のほうでは?」
『特に何もない。本当に問題なく行動できているよ』
『私のほうは無法者が多いみたいだけど、所詮はただの人間だからね~。問題ないよ』
一人、すごく心配なのだが・・・まあ何かあったら連絡が来るだろう。
「じゃあ、これで終わりとします。お休み」
『ああ、お休み』
『お休みなさ~い。ふみゅう・・・』
こうして、その日は終わった。
そして、次の日。
「ふあああ・・・あの子、起きたかな?」
起きてすぐ、あの子が寝ているベッドを見た。
あ、俺は床に寝袋で寝たぞ。何でも持ち歩くものだな。
「う~ん・・・まだ寝てる、お」
少女の顔をのぞいたら、ちょうどそのタイミングで目が開いた。
「ここは・・・貴方は?」
そう聞いてきた少女の声は、吸い込まれそうなほどに澄んでいた。
「・・・ああ。俺は神代武双。で、ここは俺が取ったホテルの部屋だ。倒れてたから勝手に運ばせてもらった。君は?」
「そっか、あの後倒れたんだ・・・仕方ないといえば仕方ない、かな」
少女は質問には答えず、そうつぶやいていた。
「あの~・・・俺の質問に答える気は?」
「あ、ごめんなさい。つい気絶する前のことを考えちゃって・・・」
そう、本当にすまなさそうに謝ってきて、顔を上げると、
「驚かないで欲しいんですけど・・・私はアテ。ギリシア神話の女神ですが・・・知ってますか?」
そう、俺に自己紹介してきた。
え、マジですか・・・?
後書き
こんな感じになりました。
今日中にあと二話くらい、問題児の方の二作も一、二話位投稿する予定です。
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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