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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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戦闘校舎のフェニックス
  第16話

 
前書き
2時間ほど遅れましたが投稿します。

是非見ていってください。 

 
 イッセーからの謎の電話から一夜明け、登校時間。
 イッセーは大変眠そうな顔をしていた。
「どうしたんだい?イッセー君」
「昨日寝てなくてな・・・」
 あの電話の後一睡もしてなかったようだ。
 そんな状態で朝のトレーニングをしたのか?
「早朝のトレーニングをしなかったので、体調を崩したのかなって心配なんですよ」
「いや、今日は部長も都合がつかなかったみたいで、早くに連絡がきたんだ」
 どうやら今日はトレーニングをしなかったようだ。イッセーからの電話と関係がありそうだ。
 二人に聞いてみるか。
「なあ、木場―――」
 イッセーも同じことを思ったのか祐斗に聞いてみるが
「イッセェェェェ!!!!」
「死ねぇぇえぇえ!!!!」
「グォッ!」
 後ろから松田と元浜のダブルパンチを食らい、倒れた。
「ふざけるなぁ!!」
「イッセーお前ってやつは!!」
 二人は鬼の形相でイッセーを睨む。昨日のあれか。
「どうしたのかな?二人とも?」
 イッセーはとぼけているが、予測がついているのだろう。
「何が『ミルたん』だ!!世紀末覇者じゃないか!!」
「もしくは、性転換している三国志の変態だろ!!」
 どうやら、無事『ミルたん』に会うことはできたようだ。その後が無事ではなかったみたいだが。
「・・・どうしたんですか?」
 小猫が聞いてくる。
「昨日、イッセーに二人がいい子を紹介してほしいって事で紹介して昨日会ったみたいだ」
「・・・イッセー先輩に紹介できる人なんているんですか?」
「それがどうして世紀末覇者?」
 小猫も祐斗もごもっともな疑問である。
「イッセーの契約のお得意様でな。ゴスロリ、猫耳装備の筋肉隆々の漢だ」
「そんな人がどんな契約を?」
「魔法少女にしてほしいと・・・」
「・・・悪魔にも無理なことはあります」
 だろうな。まず性別を超えないことには。
「イッセーくんは変わった人に呼ばれるね。スーザンさんとか」
「・・・類友」
「小猫、やめてくれ。俺も変人入りすることになる」
 魔法使いという変わった部類であることは認めるが、あれらと一緒にされるのは嫌だ。
 ちなみにスーザンというのはイッセーの契約者の鎧武者。
 イッセーと部長が告白の手伝いをし、堀井という騎士甲冑を身にまとう彼氏を得た。
 怪奇特番で取り上げられていたとイッセーが言っていた。
 そんなあれな奴は同類にダブルブレインバスターを喰らっていた。
 二人のおかげで聞くことが出来なくなった。
 まぁ、放課後にでも聞けばいい。


 ◇◆◇


「部長のお悩み?きっとグレモリー家に関わることだと思うけど」
 放課後、オカルト研究部2年生組は部室に向かっていた。
 そこでイッセーは祐斗に最近の部長の様子について聞いてみた。
 だが、祐斗も知らないようだ。
「朱乃さんなら知ってるよな?」
「朱乃さんは部長の懐刀だからね。知ってると思うよ」
 眷属にも話していない事に俺が立ち入るのはやめといたほうがいいだろう。
 下手に深く考えて迷惑をかけるのもいただけないからな。
 旧校舎に入る手前で祐斗が止まる。
「・・・僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて・・・」
「・・・誰かいるのか?」
「うん、あの人が直接来るなんてね」
 あの人?どうやら祐斗が知っている人物のようだ。
 祐斗の顔が強張っているが警戒した様子はないので大丈夫だと思うが最低限の警戒はしておこう。
 そうして、旧校舎の中を進み部室につく。
 中に入ると、銀髪のメイドが居た。
「お嬢様、彼は?」
 そのメイドは俺を見ながら部長に聞く。
「彼は望月朔夜、魔法使いで私の関係者よ」
 部長から説明を受けたメイドは俺に頭を下げ自己紹介をした。
「はじめまして。私は、グレモリー家に仕える者でグレイフィアと申します。以後、お見知りおきを」
「はじめまして。自分は望月朔夜。リアス先輩の後輩で魔法使いです。よろしくお願いします」
 俺も自己紹介をする。部長の家のメイドで、部長も俺を魔法使いと言ったのだから魔法使いと名乗っても問題ない。
「さて、みんな揃ったわね。少し話があるの」
 部長がそういう。
「部長、お家の事ならば俺はさがった方がいいですか?」
 俺はオカルト研究部に所属し、部長たちの協力者だが眷属ではない。なら家の事柄に関与するのはやめておいた方がいい気がする。
「いえ、大丈夫よ。あなたも私の仲間なのだから」
 部長がそういうのなら大丈夫なのだろう。グレイフィアさんも何も言わないようだし。
「お嬢様、私がお話しましょうか?」
「いらないわ。実はね―――」
 部長が話し出したその時、部室にある魔法陣が光だす。
 魔法陣中央のグレモリーを表す紋章が形をかえ別の紋章に変わる。
「―――フェニックス」
 祐斗がそう呟く。
 それと同時に、魔法陣が火を放ち、その中に人が現れる。
「ふう、人間界は久しぶりだ」
 火が収まると、そこには男が立っていた。
 赤いスーツをき崩した二十代前半の男性。悪魔だから見た目の年齢なんて当てにならないが。
 その風貌はホストと称するのがふさわしい。
 そのおとこは辺りを見渡し部長を見つけると口を開く。
「会いに来たぜ。愛しのリアス」
 愛しの?ということはこの人は部長の恋人か何かか?
 と考えたがどうやら違うみたいだ。部長の目が全く歓迎していない。
 邪険に扱う目をしている。それでも何もしない所を見るに敵ということではないようだ。
「さて、リアス。さっそくだが式場を見に行こう。日取りも決まっているんだ早い方がいい」
 男は部長の腕をつかむが
「・・・離して頂戴。ライザー」
 低い声でそういう。かなり怒っているようだ。
 そしてこの男の名前はライザーと言うのか。
「おい、あんた。部長に対して無礼だぞ!つか、女の子にその対応はどうよ!」
 イッセーが男に言う。
「あ?お前誰?」
 男はイッセーを見下しており、イラつかせた口調で聞く。
「俺はリアス・グレモリー様の眷属悪魔!『兵士』の兵藤一誠だ!」
 イッセーは高らかに名乗りを上げるが
「ふーん。あっそ」
 男は興味が失せたのか。適当に返していた。
「つーか。お前こそ誰だよ?」
 イッセーが男に問う。
 男は驚いた表情をし、部長の方を向く。
「・・・あれ?リアス、俺の事話してないの?」
「話す必要がないもの」
「あらら、厳しいことで」
 部長とそんなやり取りをしているがまだ名乗らない。
 そこにグレイフィアさんが介入してきた。
「兵藤一誠様。望月朔夜様」
「は、はい」
「はい」
「この方はライザー・フェニックス様。純血の上級悪魔で、フェニックス家の三男でございます」
 フェニックス。日本じゃ不死鳥で有名だが、悪魔としてもその名がある。確か序列37番目の侯爵を持つ悪魔だったか。
「そして、グレモリー家次期当主の婿殿でございます」
 ということは
「つまり、リアスお嬢様とご婚約されておられるのです」
「えええええええええええええええ!!!!!!」
 イッセーが五月蠅いが驚きは理解できる。
 この男が部長の婚約者とは。


 ◇◆◇


「いや。リアスの『女王』が入れてくれたお茶はうまいね」
「痛み入りますわ」
 部長の婚約者であるライザーが朱乃さんのお茶をほめる。
 朱乃さんもそれに笑って答えているが、表情だけだ。声も笑っておらず口調も冷ややかなものだ。
 そして、ライザーは部長に絡んでいるが明らかに嫌悪されている。
 俺たちはその様子を離れてみている。
 イッセーはその様子にイライラしていたが今度はにやけだした。
 ・・・何を考えているんだ?まぁ、卑猥な妄想だろうが。
 そのとき
「いい加減にして頂戴!!」
 部長がライザーに言う。堪忍袋の緒が切れたようだ。
「ライザー!以前にも言ったはずよ!あなたとは結婚しないわ!」
「ああ、以前にも聞いたよ。だが君のお家事情は意外と切羽詰まってると思うんだが?」
「余計なお世話だわ!私が次期当主である以上、婿は自分で決めるつもりよ。お父様もお兄様も皆急ぎすぎてるのよ!当初の話じゃ私が大学を出るまで自由にさせてくれるはずだったじゃない!」
「その通りだ、リアス。君は基本自由だ。大学に行ってもいいし、眷属も自分で決めていい。だが、先の戦争で減ってしまった純血悪魔の血を絶やさないことは悪魔全体の問題だ。だから君のお父さんもサーゼクス様もこの縁談を進めた。この縁談は悪魔社会の未来が懸かっているんだ」
 相当難しい問題のようだ。悪魔は人間では及びつかないほどの長寿ではあるが、その代わりか人間よりもはるかに出産率が低い。それが三すくみの戦争で軍を保てないほど激減した。
 今の悪魔社会は転生悪魔も多くいるが、純血の悪魔が貴まれているのだろう。
 そして、純血の悪魔を残すための方法が部長とライザーの縁談というわけか。
「これが最後よ、ライザー。私はあなたと結婚しない!」
 部長がはっきりと断る。だが
「リアス。俺もフェニックス家の看板を背負っているんだ。名前に泥を塗られるわけにはいかない」
 そういうとこちらに顔を向け
「君の下僕を全員焼き尽くしてでも君を冥界に連れて帰る!!」
 殺意と敵意が放たれた、火のオーラを纏った。
 俺は反射的に臨戦態勢を取った。もはや本能的と言っていいだろう。
 イッセーも同様に手を震わせており、アーシアはイッセーの袖にしがみついていた。
 小猫と祐斗は震えてはいないものの、臨戦態勢を取ってもおかしくない雰囲気だ。
 部長はライザーと同様に赤黒いオーラを纏いライザーを迎え撃つ気のようだ。
 そのまま二人が衝突するかと思った時
「お二方とも落ち着いてください。これ以上は私も黙ってみているわけにはいきません。わが主サーゼクス様の名誉のためにも遠慮はいたしません」
 別のプレッシャーが襲った。出所はグレイフィアさんだ。
「・・・最強の『女王』と称されるあなたと相対する気はないからな」
 そういうとライザーはオーラを抑える。
「朔夜様も落ち着いてください」
 グレイフィアさんの言葉に俺も臨戦態勢を解く。
 殺気や敵意を感じなかったがそれでも二人を超えるプレッシャー。恐ろしいものだ。
 プレッシャーを解かれた今でも震えが止まらない。
 しかも、イッセーを見るに特定の人物のみに放ったもののようだ。
 そのままグレイフィアさんが話の舵を取る。
「こうなることは、皆様重々承知でした。よって、最終手段として『レーティングゲーム』をなされてはどうでしょうか?」
 レーティングゲーム。悪魔が行う、眷属同士を戦わせて競うゲームだ。
 話で駄目なら力を示せ。そういうことだろう。
 本来ならゲームに参加するためにはそれ相応の権利がいるはずだが。
「ご存じの通り。本来『レーティングゲーム』は成熟した悪魔しか参加できませんが、今回は非公式のものですので、お嬢様でも参加できます。この場合の多くが―――」
「身内同士、お家同士のいがみ合いよね。
 つまりお父様方はゲームで婚約を決めるつもりのようね。何処まで私の生き方をいじれば気が済むのかしら・・・!!」
 相当頭に来ているようだ。殺気が漏れている。
「では、拒否なさるのですか?」
「いいえ、やるわ。ゲームで決着をつけましょう。ライザー」
 部長が参加を表明する。
「へー。やるのかい?俺は構わないけど。俺は成熟した悪魔だし、公式の経験もある。勝ち星だって多い。それでもやるっていうのかい?」
「ええ。あなたを消し飛ばしてあげるわ!!」
「わかったよ。俺が勝ったら即結婚してもらうぞ。リアス」
 二人はにらみ合い、グレイフィアさんが最終確認をする。
「承知いたしました。ご二人の意志は私グレイフィアが確認させてもらいました。今回の『レーティングゲーム』指揮は私が取らせていただきます。よろしいですね?」
「ああ」「ええ」
「では、ご両家には私からご報告いたします」
 どうやら、ゲームをすることで話はまとまった。
「ところでリアス。ここにいるメンツが君の下僕かい?」
 ライザーが俺たちを見ながら部長に聞いてくる。
「彼は違うけど、そのほかは私の下僕よ」
 その答えにライザーは笑い出す。
「あはは。これじゃ、話にならないんじゃないか?『女王』の『雷の巫女』ぐらいしか俺の下僕に対抗できそうにないな」
 そういうとライザーは指を鳴らし、魔法陣を出現させる。
 それは先ほどのライザーが転移してきたときと同じように火を放ちそして、そこにはライザーの眷属が現れた。
「と、まあ。これが俺の可愛い下僕たちだ」
 15人。一人の王が下僕にできる最大数だ。
 対するこちらの下僕は5人。三倍の差の数がある。
 数で決まるわけではないが複数を相手にしなければいけないということは難しい。
 俺が戦略面で相手の下僕を観察している中、隣のイッセーは涙を流していた。
 まぁ、そうだろうな。相手の下僕は全員女。イッセーが求めるものを体現したものがそこにあるのだから。
「お、おい、リアス。・・・この下僕くん。大号泣してるんだが・・・」
 基本こちらに無関心だったライザーがイッセーをみて本気で引いている。
 部長も困り顔で説明する。
「その子の夢がハーレムなの。だからそれを形にしたあなたに感動してるんだと思うわ」
 すみません、部長。こんなので。
 それを見たライザーの眷属が色々言う。
「きもーい」
「ライザーさま、この人気持ち悪いー」
 あんな表情の後だと擁護できない。
「まぁ、そういうな。下級悪魔に羨望の眼差しを向けられるのは上級悪魔の務めだ。なんなら、もっと見せつけてやろう」
 そういうとライザーは眷属の一人とキスをしだした。ディープキスというやつだ。
 何を考えているんだ?この男は。
 婚約者の前で。いや、婚約者がそんなライザーを好んでいるのなら構わないだろうが、その婚約者である部長は明らかに嫌悪している。
 そんな婚約者の前でそんなことをすれば好まれるわけがない。
 ライザーは何人かの眷属とキスを行った後イッセーに向かい言葉を発する。
「おまえじゃ、こんなことは一生できまい。下級悪魔くん」
 その言葉に頭に来たのかイッセーがライザーに噛みついた。
「うるせぇ。思った事そのまんまいうんじゃねぇ!ちくしょう!ブーステッド・ギア!!」
 イッセーが神器を取り出し更に言葉を続ける。
「お前みたいな女ったらしなやつ。部長と不釣り合いだ!」
「お前はそんな女ったらしに憧れているのだろう?」
「それと部長の事は話が別だ!部長と結婚した後も、下僕といちゃつくんだろ!」
「英雄、色を好む。この国のことわざだったな。いい言葉だ。まぁ、これは下僕とのスキンシップだ。お前もリアスに可愛がってもらっているのだろ?」
「なにが英雄だ!お前なんかただの種まき鳥やろうだ!火の鳥フェニックス?ハハ、焼き鳥じゃねぇか!」
「焼き鳥だと!?貴様調子に乗るな!!」
 売り言葉に買い言葉。挑発の応酬でお互いヒートアップしていく。このままじゃマズイ。
「お前なんか俺のブーステッド・ギアでぶっ倒してやる!」
「やめろイッセー!」
「止めるな、朔夜!ゲームなんて必要ない!この場で全員倒してやる!」
「『Boost!!』」
 その音声を合図にイッセーが飛び出した。
「やれ、ミラ」
「はい」
 ライザーの眷属から棍を持つ小柄な女の子が飛び出しイッセーと対峙する。
 そして、その子はイッセーに向けて突きを入れようとしている。イッセーは反応できていない。
 俺は後ろからイッセーを横に蹴り飛ばし、防御魔法を展開した。
 棍は防御を突破することは無く止まった。
 あの子が飛び出した後、対峙してくれてよかった。飛び出すと同時に攻撃していたら間に合ってなかった。
「ほう」
 ライザーは関心しているようだ。
「朔夜!何しやがる」
「落ち着けイッセー。ゲームをするって決まったんだ。仮にここで全員倒せてもただの喧嘩だ。意味がない」
「だが!」
「それに今の突きに反応できたか?」
「うっ」
 そのことを指摘されてイッセーが止まる。
「あはは、そこの『兵士』よりもその人間の方が強いじゃないか。そいつはミラ。俺の『兵士』だ。眷属内じゃ一番弱いがお前よりは実戦経験があって強い」
 ライザーがイッセーに向かって言う。
「ブーステッド・ギアは確かに凶悪だが、使い手がお前みたいな雑魚じゃ話にならない。こういうのを確か『宝の持ち腐れ』だったか」
 イッセーは何も言い返さない。悔しくて俯いてしまっている。
「リアス。ゲームまでに10日の時間をやろう。それまでに少しでもそいつを使えるようにした方が面白そうだ」
「・・・ハンデをくれるって言うの?」
「ああ、なんならそこの魔法使いの人間も参加させてもいい」
「いいんですか?」
 俺はグレイフィアさんに聞いてみた。
「構いません。今回は非公式です。稀にですが、非公式のゲームで眷属以外のものを参加させる場合もございます。それにライザー様からの提案ですから」
 どうやら大丈夫のようだ。
「嫌か?屈辱か?感情だけで勝てるほど『レーティングゲーム』は甘くないぞ。どれだけ才能があろうと、初陣で力を発揮できなかったやつを何人も見た」
「わかったわ。私たちに時間を与えたこと後悔するといいわ」
 その言葉に満足したのかライザーは魔法陣を展開し、イッセーに言葉をかける。
「リアスに恥をかかせるなよ。お前の一撃がリアスの一撃になるんだ」
 再び部長の方を向き
「リアス。次はゲームで会おう」
 そういい残し、ライザー・フェニックスは去って行った。 
 

 
後書き
予定ではライザーの登場で切るつもりだったんですが。それだと3000字も行かないのでここまで長くなってしまいました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 
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