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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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戦闘校舎のフェニックス
  第15話

 
前書き
二章、戦闘校舎のフェニックス開始です。

是非見ていってください。 

 
「せいっ!」
「くっ!」
 カン!
 自宅の庭、俺は今、祐斗と木刀で打ち合っている。
 とはいえ、防戦一方であり1分くらいで負ける。
 まぁ、本分が魔法の俺が騎士と接近戦をすること自体間違っている。
 だが、相手に近づかれない保証はなく、近づかれた対処として接近戦をしている。
 一応ルールとして2分耐えるか、3秒間攻撃させなかったら俺の勝ちというのがあるが勝てたことがない。
 そして
「はっ!」
 カーン!
「つぅ・・・」
 俺が持っていた短剣サイズの木刀が飛ばされて終わった。

 これが早朝の我が家の風景だ。

 今日は祐斗とやっていたが小猫とやる場合もある。こっちもルールも勝率も同じ。
 魔法は肉体強化のみだが、実践でやっても二人に対して勝率は甘く見ても2割行かないだろう。
 祐斗なら速度ですぐに詰められる。
 小猫が相手なら、すぐに詰められることはないが、一度よられたらそのまま粘着され負ける。
 それが俺の現状の強さ。
 この前の教会戦でもフリードでは2対1だったし、祭儀場での堕天使戦はほぼ躱されている。
 実戦経験のなかったと言われればそうなのだが、ならそのままにしておくつもりもないので毎朝訓練をしている。
 まぁ、住宅街の一軒家にある庭で魔法をぶっ放せないのでこのような訓練をしている。さすがに庭を壊す真似はしたくない。
 後はイッセーも毎朝トレーニングをしているそうだ。
 20kmマラソンの後ダッシュ、筋トレ100回以上、それを毎朝。
 人間時代、そんなことをしていなかったイッセーにいきなりそれは厳しすぎると思ったが今ではだいぶこなせるようになったみたいだ。
 進歩するものだ、当初は疲れ果てて遅刻したこともあったのに、今では前と同様に俺たちと登校出来るくらいには回復するようになった。

 いつもの合流場所でイッセーたちを待つ。
 一分ほどでイッセーとアーシアがやってきた。
 なぜ、アーシアがイッセーと一緒にいる理由は、現在アーシアはイッセー宅にホームステイしている。
 なんでも、部長の計らいらしく。俺の家に祐斗たちがやってきたときと同じように準備をしてから承諾に入ったようだ。
 前も思ったが断られたらどうする気だったんだ・・・
 そういうことで。俺たち計5人で登校している。
 そして、イッセーに集まる視線がすごいことになっている。
 マスコットの小猫、王子様の祐斗、金髪美少女転校生のアーシアと一緒に登校しており、俺も馬鹿のストッパーとして悪い評価はなく、エロの権化のイッセーに殺意のような視線が集まっていた。
 本人は男子の嫉妬の視線に勝ち誇ったかのような顔をしていた。
 女子からの批難の目と腐った目があるのだが見えていないようだ。

 クラスの違う祐斗と学年の違う小猫と別れ教室に向かう。
 アーシアのクラスメイトとの関係は良好で、女子からはいろいろと教えてもらい、男子からはアイドルのような存在。
 ちなみに、イッセーと仲がいいのを知った男子が『兵藤でもいけるなら!』とアーシアに告白して撃沈した数は2ケタに上る。
「おはよう!アーシアちゃん!」
「おはよう!アーシアさん!」
 教室に居た松田と元浜がアーシアに挨拶をしてくる。俺たちもいるんだが。
「おはようございます。松田さん、元浜さん」
 アーシアの挨拶に感無量のばかり泣き出す二人。
「・・・これだね!元浜くん!」
「そうだね。松田くん。美少女の『おはようございます』。これだけで生き返る!!」
 小さいな。と思いながらも本人たちが幸せなのだからいいだろう。
 二人はある程度噛みしめた後、イッセーを捕らえる。
「ときに、イッセー。ここ毎日アーシアさんと登校しているようだが!」
「最初は、誠に遺憾だが、小猫ちゃん同様、朔夜の家に居るのだと思っていたが、違うそうじゃないか!!」
 祐斗の存在が消えているのに気付いてほしいところだ。
 イッセーは勝ち誇った顔をして、二人に告げる。
「ああ、今アーシアは俺の家で暮らしているからな。な、アーシア?」
「はい!今は、イッセーさんのおうちでご厄介になってます」
「「!!!!!」」
 声にならない悲鳴を上げた。
 前にも似たようなことがあったな。
 こっちに来る前に逃げるか。祐斗の所にでも行こう。
「「嘘だ!!!!」」
 そんな叫びを聞きながら祐斗のクラスに入る。
「すまない。祐斗。匿ってくれ」
「いいけど。どうしたんだい?悲鳴のような叫び声も聞こえたけど?」
「アーシアがイッセーの家で暮らしていることがな」
「ああ、なるほど」
 その後、祐斗と会話をしていたが、時折呻き声が聞こえていた。
 予鈴がなりクラスに戻ると、うめいていたはずの二人が幸せそうな顔をしていた。
 疑問に思いイッセーに聞いてみる。
「イッセー。あの二人どうしたんだ?」
「『一人くらい、いい子を紹介してくれ』って頼まれてな。紹介してあげてやったんだ」
 いったい誰を紹介したんだ?俺の知るイッセーの交友関係では紹介できる子なんていないと思うんだが。
 誰を紹介したのかを考えていると松田がイッセーに聞く。
「ところで『ミルたん』ってどうして『ミルたん』なんだ?」
 悪魔がここに居た。いや、悪魔なんだがな。


 ◇◆◇


 夜になり、今は旧校舎オカルト研究部部室に居る。
 イッセーはアーシアの手伝いでチラシ配りをやっている。
 先輩悪魔として後輩のフォローを頑張っているようだ。
 その間俺は、朱乃さんに悪魔の文字について教えてもらっていた。
 理由は悪魔の書物を読んでみたいから。
 魔力の扱い方に関するものや、魔法の書物だってある。
 魔法使いとして目を通してみたい。
 それを部長に相談してみたら、教えてくれることになった。
 契約として対価を覚悟したが、部員としてタダで教えてもらえた。
 書物も悪魔の方で簡単に手に入るものならいいとのことなのでありがたい限りだ。
 そして俺はそれらを読むために頑張って勉強中というわけだ。
 今では、簡単なものなら読める程度にはなっている。
 学校の成績維持も必要なのでゆっくりとしたペースだが確実に覚えている。
「ただ今戻りました!」
 そんな感じで朱乃さんに教えてもらっているとイッセーたちが帰ってきた。
「あらあら、お疲れ様です。今お茶をいれますね」
 朱乃さんはイッセーたちにお茶を入れる。
「お帰り。夜のデートはどうだった?」
「最高に決まってんだろ!」
 祐斗の問いに親指を立てて答えるイッセー。
「・・・深夜の不純異性交遊」
「小猫は厳しいな」
 ぼそっと厳しいことを呟く小猫に俺は言う。
「部長、ただいま戻りました」
 イッセーは部長に報告するが反応がない。
「・・・部長?」
「え?あ、ああ。おかえりなさい、ご苦労様、イッセー、アーシア」
 部長はここ最近あんな調子だ。話しているときは普通なのだが一人でいると時折ぼーっとしている。
 すぐに取り繕い、イッセーとアーシアに指示を出す。
「今日からアーシアも契約を取ってきてもらうわ」
 アーシアも今日から契約を取るのか。また、俺がフォローに駆り出されるのだろうか。
「え?私がですか?」
「ええ、チラシ配りは今日でおしまい。でないと、あなたたちのデートの方が先に進みそうだもの」
 自転車の二人乗りで深夜のデートの時点で十分進んでいると思う。ましてや他人に気付かれないため補導されることもない。
「朱乃、アーシアの魔力の量を調べてくれるかしら?」
「はい、部長」
「イッセーの件があるからね。ちゃんと調べておきましょう」
 ああ、イッセーは未だ魔法陣で依頼主のもとに行けない。むしろ、自転車で来る悪魔としての地位をモノにしている。
「部長、大丈夫ですわ。部長、私に次いで多いキャパシティを有しております」
「それは吉報ね」
 イッセーもそのことを我が事のように喜んでいた。
 だが次第に顔が崩れていって、最終的に涙を流しだした。
「イッセーくん。どうしたんだい?」
 その様子を見ていた祐斗が俺に聞いてくる。
「・・・自分の少なさに嘆いているのでは?」
 小猫も自分の予想を言ってきた。だがそうではない。
「あれはアーシアが変な契約者にいかがわしい依頼をされた想像をしているんだろう。
 あいつはアーシアには過保護だからな。あの二人が兄妹だったならイッセーはシスコンと呼ばれる類になっているはずだ」
 自分が変態なだけにそういう想像は容易にできるみたいだ。同じ穴のなんとやら。
 ゆえにそんな目に合わせたくないんだろう。
 イッセーと部長の会話を聞くに当たりだったようだ。
「よくわかったね」
「それだけ一緒に居るということだ」
「・・・イッセー先輩マスター」
「・・・イヤな称号だ」
 結果としてアーシアはイッセーと共に契約者のもとに向かった。
 フォローするはずのイッセーがアーシアにフォローされながら向かったことは何ともいえないな。


 ◇◆◇


 夜の部活動も終了し自宅に帰る。そして俺は魔法の練習をする。
 ここ最近は『源力の湧泉』について調べながら練習をしている。
 教会での一戦で一度に法力を出すことが出来ると判明しそれを練習しているのだが、うまくいかない。
 ただ放つだけでも制御がうまく行かず、魔法として構築できない。
 あの時はアンコールに法力を込めるだけだったからうまくいった。込めるだけで、銃と弾丸に刻まれた術式を構築し放つことが出来た。
 要は武器に救われた。
 だが武器に頼るわけにはいかない。本来ならアンコールもアゾット剣も今の俺には過ぎたる武器だ。
 それらを十全に扱うには俺自身の技量を上げないといけない。
「朔夜君、携帯なってるよ」
 練習をしていると部屋の外から祐斗がそういってきた。
 時間は深夜だ。普通ならこんな時間にかける奴なんてそういないだろう。
 携帯の画面を見てみるとイッセーの文字。
 こんな時間に何の用だと出てみる。
「もしもし、なんだこんな時間に」
「さ、朔夜!メイドの部長がいきなり生でおっぱいできすを!!!!」
 意味が分からない。先ほどイッセーマスターの称号を得てしまった俺でもこれは分からなかった。
 落ち着いたイッセーの話を聞くと
 部屋にいきなり部長が登場。
 処女をもらってくれと要求。
 そのまま裸になる。
 もう少しのところでメイドが転移。
 どうやらグレモリー家のメイドらしい。
 そのまま話はなかったことになり二人は転移
 転移の前に部長はイッセーのほほにキスをした。
 そして混乱した頭のまま俺に電話した。
 ということらしい。
「俺はどうすれば!!!」
「落ち着け、明日部員の誰かに聞けばいいだろう。朱乃さんなら知っている可能性が高いし」
 正直、推測するにも情報がなさすぎる。部長の狂行が最近の変な様子から来ている可能性があるとしか分からない。
「取り合えず明日だ。じゃあ、また明日」
「あ、ああ。またな」
 そういうと俺は携帯を切る。

 また、何かが起こるのだろうか。 
 

 
後書き
今回は朔夜の一日を描いてみました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 
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