ソードアート・オンライン ~時を越えたデスゲーム~
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第九話
前書き
φφφ
ボス部屋が発見された。
喜ばしい報告と共に、
偵察隊が数名やられた。
そんな不吉な報告が、攻略組たちの耳に入ってきた。
「…面倒な、ことになりそうだな…」
隣でアキトが呟く。
全くその通りだ。二人の知識が通用したのもこの城の38層まで。
ここから先は、完全な未知の領域なのだ。
ルースリス・ブリット。このボスの姿は、言ってしまえば仏像。
ただし、動きが恐ろしく素早い。
まるで何かを試しているような…
そこまで考えたところで、脳裏にチリ、と何かが光った気がした。
試す、というキーワード。
父の二刀流。
「あっ…」
アキトが小さく声をあげる。
カズネが、眉を寄せてアキトの顔をのぞき込んできた。
アキトはそんなカズネを見ると、自分の推測を口にしはじめた。
今回のボス戦は、二刀流習得者を決める戦いだ、と。
「二刀流習得者…」
カズネはアキトの推測に、目を見開き驚いていた。
「成る程な…無慈悲な、弾丸、か…」
弾丸。目に止まらないほど素早く通り過ぎる、弾丸。
「アキト…二刀流…取るの?」
「当たり前だろ」
「…ヒースクリフと戦うことになるんだよ」
「構わないさ」
「…そっか…なら私も手伝ってあげる」
「やられるなよ?」
「当たり前!」
二人は不敵な笑みを交わした。
φφφ
ボス戦当日。
攻略組プレイヤー達の空気は、緊張が漂い、言葉を発する者は誰一人居なかった。
カズネとアキトも同じで、言葉で表せないような緊張感に腕を震わせていた。
「カズネ…震えてるぜ」
「アキトこそ人のこと言えないでしょ」
「武者震いだね」
「どーだか?」
二人は軽口をたたき合いながらも顔を合わせようとはしない。
見つめているのは、目の前に立ちはだかる、ボスとプレイヤーを遮る大きな扉だった。
未だかつてない緊張感と共に、二人は剣の柄に手を添えた。
後書き
φφφ
早い。 とにかく、早かった。
さすが、試しなだけある。
でも負けるつもりは…
「「さらさら…無いねッ!」」
二人はボスへ向かって走り出していった。
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