ヘタリア大帝国
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TURN68 連合軍の反撃その十一
「成り行きでここにいるしな」
「そうですか」
「妙な成り行きではあるけれどな」
このことには複雑な苦笑いになるフランスだった。
「それでも姫さんは処罰とかはされないさ」
「私達がいますので」
フランス妹もシャルロットに言う。
「ご安心下さい」
「すいません、何かと」
「いいさ。それにしても本当に何がどうなるかわからないな」
フランスはその成り行きについてはやはりこう言うのだった。
「ドクツに負けて連合に入って」
「マダガスカルまで逃げて」
「で、そこでも負けて今は太平洋にいるからな」
「枢軸として戦ってもいますし」
「人生色々なんだな」
フランスは腕を組んでそれで妹に応える。
「何が起こるかわかったものじゃねえな」
「本当にそうですね」
「わからないな、それじゃあな」
「シカゴに行きましょう」
「インド洋の端から大西洋の端を目指すか」
つまりガメリカ東海岸まで至るというのだ。フランスの戦いはまさに流転だった。そしてその流転の中で。
フランス達のところに今度へビルメが来てこう言ってきた。
「ちょっと日本さんに言われたんだけれどね」
「ああ、どうしたんだよ」
「あんた伊勢志摩に詳しかったね」
「隣で付き合いも長いからな」
フランスは伊勢志摩と聞くとすぐに返した。
「結構知ってるぜ」
「そうだね。あんたの上司とあそこの上司縁が深いね」
「あそこの上司は俺の上司の家から出てるんだよ」
「ブルボン家だね」
「そうさ、オーストリアのところの上司の家の別れたもう一つの筋だったんだよ、あそこの前の上司はな」
オーストリアの上司はハプルブルク家である。フランスの上司の家はブルボン家でその仲はかなり悪かった。
「そこが断絶してなんだよ」
「あんたの家が入ったんだね」
「ああ、そうだよ」
「結構激しい戦争があったって聞いてるよ」
「伊勢志摩継承戦争な。あれも派手にやられたな」
「あんた結構弱いからね」
「それは余計だよ」
フランスは眉を顰めさせてビルメの今の言葉に返した。
「これでも気にしてんだよ」
「そうなのかい」
「そうだよ。とにかくあの戦争でな」
「負けたね」
「負けたけれど王位は認められたんだよ」
ブルボン家が王位に就いたというのだ。
「その目的は達したさ」
「負けたのにかい?」
「負けたけれどオーストリアの奴の伸張を警戒するエイリスが動いてな」
尚この戦争ではオーストリアとエイリス、それにオランダがフランスの敵になってそれでフランスを叩きのめした。
「それでなんだよ」
「目的は達成したんだね」
「負けてしかもかなり色々なのを取られたけれどな」
目的は達したが、だったというのだ。
「いや、いい戦争じゃないさ」
「そうなんだね」
「とにかくあの戦争であの国の上司はブルボン家になったんだよ」
彼の上司の家の分家筋になったというのだ。
「目出度くな」
「そういうこともあったんだね」
「そういうことからも俺とあいつは縁があるんだよ」
「じゃあ詳しいんだね」
「それなりにな。で、その伊勢志摩のことか」
「日本さんは知りたいみたいだね」
「わかった、じゃあ色々と教えるな」
フランスは確かな顔でビルメに答えた。
「あそこはまた独特だからな」
「独特っていうか内戦起こしてるね」
「夫婦喧嘩なんだよ、あれは」
「夫婦喧嘩が戦争になるのかい」
「まああそこはそれが普通だからな」
「普通ねえ」
いささか呆れた調子で応えるビルメだった。
「何か違う気がするんだがね」
「まあそれでも日本があそこについて聞きたいんならな」
「話はするんだね」
「ああ、そうさせてもらうさ」
「じゃあ今から日本さんのところに行くかい?」
「出撃準備が終わってからな。そうさせてもらうさ」
「わかったよ。じゃああたしはリシュリューに入るからね」
シャルロットの乗艦である。オフランス軍の最新鋭の戦艦だ。
「そこで姫さんと一緒に出撃準備に入るよ」
「ではご一緒に」
シャルロットもこうビルメに言う。
「参りましょう」
「それじゃあこっちはこっちでやることがあるからね」
ビルメは伝えただけだった。
「後はそっちで宜しくね」
「ああ、わざわざ教えてくれて有り難うな」
「お礼なんていいさ。あたしもついでだったからね」
だからいいというのだ。
「そっちはそっちでね」
「ちょっと行って来るな」
こうしてフランスは出撃準備を整えてから日本に伊勢志摩のことについて話すことになった。戦いはまさに人類の銀河世界全体に及んでいた。
TURN68 完
2012・11・15
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