ソードアート・オンライン~未来を切り開く~
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はぁ…なんでこんなことに……
前書き
四話目です!
ひとつだけ悲鳴があがった。
みんな震えている。隣のクラインもキリトも。
当たり前だ、こんなことがあって、恐怖しないやつがいるか?
まあ、俺も内心恐怖している。
アイツが言うのが本当なら…。
いや、本当だろう二百人以上、人間が死んでいるのか。
なんなんだよこれ…おい……
不幸だな。
「信じねぇ……信じねぇぞオレは」
クラインが石畳に座り込んだ。
「ただの脅しだろ。できるわけねぇそんなこと。くだらねぇことぐだぐだ言ってねえで、とっとと出しやがれってんだ。いつまでもこんなイベントに付き合ってられるほどひまじゃねえんだ。そうだよ……イベントだろ全部。オープニングの演出なんだろ。そうだろ」
はぁ、何で人間はこんなに現実から目を背けようとするんだろうか?
受け入れなくてはな…やっぱり……
絶対生き残ってやるよ…
このゲームをクリアしてやる…!
『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に除装される危険はすでに低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうみに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』
はぁ…ためいきしかでねぇな。
「何を言ってるんだ!ゲームを攻略しろだと!?ログアウト不能の状況で、のんきに遊べってのか!」
キリトがご乱心かー以外だなぁ
「こんなの、もうゲームでも何でもないだろうが!!」
「キリト、少し落ち着け!」
俺はキリトの腹に拳を入れた。
まあ、痛みはないから大丈夫かな。
『しかし、充分に留意してもらいたいり諸君にとって、ソードアート・オンラインは、すでにただのゲームではない。もうひとつの現実と言うべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に』
『諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』
HPかー、これがオレの魂。命が数値化されたものだよな。これがなくなったらリアルでも…おしまいか
二ヶ月間のベータテスト期間中なんかい死んだかなー
まあ、五十回くらいか?
広場の北に見える宮殿、《黒鉄宮》という名の建物の中で蘇生する…。
RPGというのは、そういうものだ。何度も何度も死んで、学習して、プレイヤースキルを上げていく種類のゲームだ。
それができないって辛くないか?一度で失敗して死んだら人生おしまいか?
はははははっ!!笑えてきたぜ
おもしれぇじゃねぇかよぉ!!
「……馬鹿馬鹿しい」
キリトは低く呻いた。
そんな条件で攻略するやつなんているか?
みんな安全な街区圏内に引きこもり続けるに決まってるな。
『諸君がこのゲームから解放される条件はたったひとつ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第百層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう。』
全プレイヤー、しん、と沈黙した。
さすが茅場だな。全プレイヤーの思考を読んでるような発言だ。
「クリア……第百層だとぉ!?」
クラインが突然言った。
「で、できるわけきゃねぇだろうが!!ベータじゃろくに上がれなかったって聞いたぞ!!」
キリトがいったのか…まあ真実だよな。
オレと、キリト二人で十層までしかいけなかった。
たしか、それがベータテストの一番上だったはすだ。
層が上がってくにつれて強さは上がってく。
プレイヤー全員が思っただろう。
クリアするのにどれくらいかかるだろう?と
それに時間が流れるにつれてここに慣れていくだろう。
帰れなくていいと思うやつも出てくるはずだ。
てかみんなこの状況が″本物の危機″なのか″オープニングイベントの過剰演出″なのか判断できていないのだろう
茅場の言葉が逆に現実感を遠ざけている気がする。
理解したやつがいても現実を受け入れきれてないみたいだ。
キリトも…クラインも…
赤ローブがいきなり右の手袋をひらりと動かし、一切の感情を削ぎ落とした声で告げた。
『それでは、最後に、諸君にとって、この世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントが用意してある。確認してくれたまえ』
それを聞いた俺は正直迷った。
茅場がろくなものを渡すとは思えない。
まあ、見てみるか。
興味本意で右手の指二本を揃え真下に向けて振った。
周囲のプレイヤー全員同様のアクションをし、広場いっぱいに電子的な鈴の音のサウンドエフェクトが響く。
メインメニューからアイテム欄のタブを叩くと
その贈り物とやらは所持品リストの一番上にあった。
アイテムの名前は《手鏡》
顔映したら、現実の顔が出るとか?
いやーそんなことないか。
手鏡をタップしオブジェクト化して手に取った
それは普通の小さな四角い鏡だった。
なにも起こらない…自分のアバターの顔が映るだけだ
隣をみるとキリトもクラインも同じ鏡を持っており呆然としていた。
突然、クラインやキリトや周りのアバターを白い光が包んだ。と思った瞬間、オレも同じ光に呑み込まれて視界がホワイトアウトした。
ほんの二、三秒で光は消え、もとのままの風景が現れ……。
少し違かった。
クラインとキリトの顔が変わっていた。
若侍だったクラインは野武士になった。
キリトも前のアバターと変わってまだ幼さが残っている顔。
女か?と間違えるほどの中性の顔をしている
「お前ら……誰?」
「おい……誰だよおめぇら」
「キリトとクラインだよな?だよな?」
鏡で自分の顔を見てみると、見慣れたリアルの顔に戻っていた。
はぁ…不幸だ。
後書き
また変なところで終わりましたね。
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