ポケモン+ノブナガの野望
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始まりの章
後悔と羨望
「ええっ!? カズヒデがもう旅に出た?!」
カズヒデのつい数時間前に飛び出した家の前で少女――シノは叫んでいた。
「ごめんねえ。あの子なんだか急に家を飛び出して。『ランセ一のブショー』になってやる! とか言って」
「そっかー……」シノは落ち込んで、言った。それを見た隣のイーブイは心配そうに彼女の顔を眺めた。
「まあ…… なんだか、楽しそうに行ったけどねえ……。なんで、急にどうしたってんだい? 今から行けば間に合うとは思うけど」
「……そうですかっ。ありがとうございます」
そう言ってシノは走って村を出た。
彼女は、彼がこの村から出たわけを知っていた。だから。
六年前-
「……もう日が暮れてきたねー」
「……、」
「どうしたの? 急に黙り込んじゃって」
「……あの人は強い」
「……“ノブナガ”のこと?」
シノの発言にゆっくりとカズヒデはうなずく。
「おれは今までブショーになりたかったんだ……。でもポケモンが懐いてこないし、戦いは苦手だし。俺には向いていないと思ったんだ」
でもな、とカズヒデは続ける。
「今日、あの人と会って頑張れる気がしたよ。俺。こいつ――カーフとがんばる」
「カーフ……。『ふくらはぎ』?」
「こいつ、なんでか知らないけどふくらはぎに傷があるんだよ。それで」
「なるほどね。じゃあさ」
「なに?」
「その時は私も旅に連れてってよ」
「……あぁ」
現在-
「そっか……。まさかほんとに行くなんてね」
シノは村を出て山道をとぼとぼと歩いていた。
「だったら、その夢、私にも手伝わせてくれればいいのに」
そう言ってシノは空を見上げた。
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