ポケモン+ノブナガの野望
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ブショー、出会う。
ここは、ランセ地方の南にある城下町、ロサン。
ランセ地方のロサン、といえば桜が綺麗なことで有名である。
そしてここにあるハクロ城。名前を聞くと違和感を感じる人もいるかもしれない。なぜかといえば、
「城の名前=街の名前」じゃないのか? ということだ。
確かにこの街の名前はロサンだ。それに、一応この城の正式名称もロサン城である。だが、この城はどちらかといえば『ハクロ城』のほうが名前としては有名である。それは、この城が白の漆喰で塗られた素晴らしい城であることや、東にあるウキタのキンウ城(黒の漆喰で塗られていてまるで鴉のように見えることから)との対比ともとれる。
さて、そんな街にカズヒデと相棒のカーフはやってきたのだが、
「……あれ?」
カズヒデは街の外れにある裏通りにやってきていた。
「……右を見ても、左を見ても、同じ光景……?」
カズヒデが足元を見るとカーフ――イーブイが悲しげに鳴いていた。
「迷ったな。こりゃ……」
カズヒデがきょろきょろと当たりを見渡していると、一匹のポケモンが目に入ってきた。
「……プリン? なんでこのへんにいるんだ?」
そう、そこにいたのはプリンだった。
そして、
「あっ、プリン! こんなところにいたの?」
声が聞こえて、カズヒデは振り返った。
そこにいたのは、ひとりの少女だった。
そして、彼女は一瞬驚いて、口を開いた。
「……あなたが、プリンちゃんを助けてくれたの?」
**
「私の名前はオイチって言います」
団子屋えるれいどと書かれた看板の掲げられた店先に置かれた長椅子に腰掛けた少女は同じく腰掛けたカズヒデに向けてそう言った。
「オイチ? ……もしかしてブショーの家族とかそんな感じ?」
「……わかります?」
「ああ。そりゃ…… 服装で大抵わかるよ。だって服が綺麗だもんね」
「そ、そうですか……」
なんとなくオイチが恥ずかしそうな感じにしていたが、カズヒデがそれに気づくことはなかった。
「んで……なんでブショーの人間がここに? だってここは城下町でも端っこの方じゃないか?」
「ええ……」
オイチはどことなく悲しげな表情を見せて、言った。
「あなたなら……頼めるかもしれないですね」
オイチは真剣な表情になり、言った。
「……実は私は、とあるブショーの妹なのです。……しかしブショーはお分かりのとおり皆『ランセの伝説』を望んでいるが故に、政略結婚というものをさせたりするのです。……まあ、ブショーになりたてのあなたにはわからないでしょうが」
「……言わせるじゃねえか……。で? 何を頼むってんだ?」
カズヒデは乗り気じゃなかったらしいが――完全にオイチの作戦勝ちだろう、完全に乗せられている――オイチに尋ねた。
「……ええ。では、夜に私の住む城……ハクロ城にきてください。裏口を開けておきます。だから、そこから私に会いに……きてくださいね?」
そう言ってオイチは立ち上がり、歩いて、街へ消えていった。
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