DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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一章 王宮の女戦士
1-24お泊り
ふたりは宿屋一家に招かれ、夕食を共にした。
ここでもププルが、ホイミンに食器の使い方などを教え、甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。
部屋に戻ると、ホイミンがもじもじしながら切り出した。
「あのね、あのねライアンさん。一緒のベッドで、ねむってもいい?」
風呂は駄目で寝るのは良いのか、そう言えばひとりで寝るだろう。
微笑み答える。
「いいよ。一緒に寝よう、ホイミン」
添い寝すれば、やはり疲れているのか、すぐにうとうととし出す。
「ライアンさんは、やっぱりお城に戻っちゃうんだよね……」
「そうだな、まずは報告に上がらねば」
「ぼくまだ魔物だから、お城じゃ暮らせないね……」
ホイミンを撫でる。
「ぼく、人間になるための旅を、これからも続けようと思うの……」
ホイミンを撫でる。
「ライアンさんは……お城に、帰るんだもん、ね……」
ホイミンは眠ってしまった。
明日は王宮に上がらねばならない。
ライアンも眠ることにした。
翌朝、村を出るふたりを、村人はほとんど総出で見送った。
ホイミンのことも昨夜のうちに知れ渡り、騒ぎになることは無い。気さくに声をかけて来る者も多くあった。
『アレクス』夫妻は城下町に戻ったそうであるが、件の不埒な下手人を厳重に監視しているとのことで、牢番の姿は無かった。
あの有能な男がそこまでするからには、余程の事情があるのであろう。
職務に差し支えてもいけない、お互い命があればいずれ会うこともあろうと、挨拶はせずに行くこととした。
道中の洞窟には、ここで調査を続けていた同僚がいた。
結局、事件との関連は無かったが、鍵となった古井戸とは近しい環境と言えなくも無い。
やはり何か、これはと感ずるものがあったのだろう。
話を聞いていたホイミンが複雑な顔をしていた。理解が難しかったのかも知れない。
ライアン自身、よくわからぬことである、どうしても気になれば聞いてくるだろうと、後始末があると言う同僚と別れ、王宮を目指す。
城下町に入る。
先触れがあったのだろう、イムルでのように声をかけて来る者こそ無いが、ホイミンの姿にも騒ぎになることは無い。
「ぼくお城に入っても平気かな」
「事件解決の立役者だ。堂々と入ろう」
ホイミンは、王宮に入るのが不安なようだ。過去に、何かあったのか。
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