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国連宇宙軍奮闘記

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――2199年5月15日 アステロイドベルト――
――国連宇宙軍旗艦・戦艦『えいゆう』 作戦会議室――


「ふむ。」
沖田提督が資料を睨む。
資料には各艦の整備報告が記載されていた。
「これでは突撃戦は不可能ですね。」
副官の近藤大佐が同じ資料を見ながら言う。
 資料には対消滅エンジンの部品が不足し、最大出力は危険であると書かれた突撃艦が多数であった。
(機関部の部品不足はおそらくA-140号のせいだろうな。)
A-140には新型機関が搭載されていた。
その調整には手間がかかり、数多くの部品が捨てられていった。
その結果が多数の整備不良の艦であった。

突撃のできない突撃艦と戦力としては微妙の巡航艦、そして老朽戦艦で構築された艦隊。
それが今の地球の限界であった。
「突撃可能な艦は5隻か。」
「はい、巡航艦『あかし』、突撃艦『くろしお』『ひびき』『なみかぜ』『はたかぜ』の計5隻です。」
すぐさま近藤大佐が答える。
「5隻の艦長を呼び出してくれ。」
「はっ!」
沖田提督は決断した。


「何のご用でしょうか?」
今は珍しくなくなってきた女艦長である『ひびき』の艦長が質問する。
「うむ、こいつを見てくれ。」
「これは敵の哨戒網ですか?」
頭のよく回る『なみかぜ』の艦長がすぐに気付く。
「貴官らにはこれを撃破してもらいたい。」
「な、なぜです!」
納得できない『あかし』の艦長が叫ぶ。
「我々は冥王星に行ってはいけないのですか!」
突撃バカの『くろしお』の艦長がそれに続く。
「我が艦隊の突撃艦に突撃戦が可能なのは貴官らだけだからだ。」
それに対して沖田提督が答える。
「それなら尚の事我々を主力艦隊に!」
 それでも『くろしお』の艦長が食い下がる。
「逃げる哨戒艦を必ず仕留めるためには事が出来るのは突撃できる貴官らだけなのだ!」
沖田提督が反論を許さない口調で言い切る。

「つまり、主力艦隊は隠れて行動しなければいけない訳ですね?」
黙って聞いていた『はたかぜ』の艦長が聞く。
「ああ、そうだ。」
沖田提督が答えた。
「つまり、冥王星に着くまで主力艦隊は脇役。」
「?」
(つまり何が言いたいのだ?)と全員が考えた。
「つまり、我々が主役という事ですな!」
「!!」
『はたかぜ』の艦長が言い切った。

「主役が舞台に上がらない訳にはいかないな。」
 『なみかぜ』の艦長が言う。
「ついでにここ等辺で放棄された遊星爆弾警戒衛星も持っていくか!」
作戦を思いついた『あかし』の艦長が話す。
「敵にしてみたら哨戒網を再構築しているように見えるな、それ。」
『ひびき』の艦長が思ったことを言う。
「敵の哨戒艦が勝手に近づいて来るな!」
『くろしお』の艦長も言う。
「頼んだぞ、諸君。」
沖田提督が言うと全員が綺麗に敬礼した。


2199年5月17日 土星圏 国連宇宙軍突撃艦『くろしお』 艦橋


木星圏の哨戒艦を血祭りに上げた囮部隊は土星圏に展開していた。
「『あかし』より連絡『これより警戒衛星を作動される』です。」
通信士が報告する
「ここからなら天王星もレーダに映りますね。」
 副官が言う。
「ああ、敵は絶対につぶしに来るぞ、絶対に。」
「敵哨戒艦部隊がこちらに近づいて来る!」
レーダー員が報告する。
「よし、そいつらを血祭りに上げるぞ!」
「おおー!」
 士気は最高まで高まっていた。


木星圏 国連宇宙軍旗艦・戦艦『えいゆう』 艦橋


「データ来ました!」
こちらでも通信士が報告していた。
「予想以上の働きですね。」
近藤大佐が驚く。
「うむ、敵の哨戒艦は各個撃破されぬように数隻で固まって行動しているようだな。」
 沖田提督がレーダー情報を見ながら言う。
「これなら行けますね。」
近藤大佐も見ながら言う。
「全艦、冥王星に向け発進!」

地球最後の艦隊は敵に見つからずに冥王星まで駆け抜けようとしていた。
 
 

 
後書き
次回 冥王星の戦い!(前編)を予定。 
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