スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第百二十七話 発動
第百二十七話 発動
バイラル=ジンのブリッジでだ。
「これで終わるのだな」
「そうだ」
ドバはだ。その声に返した。
「これでな」
「異星人達は全てか」
「ガンド=ロワの直撃を受けた」
こう話すのだった。
「しかし我々もだ」
「そうだな、我々もな」
「戦力のかなりの部分を失ってしまった」
そのこともだ。声に話すのだった。
「最早残っているのはだ」
「全軍の二割か」
「その程度だ。そしてだ」
ここまで話してだ。あらためてだった。
ドバはだ。その声に問うのだった。
「その声はギンドロだな」
「そうだ。友よ」
「いたのか、今も」
「死んでみてよくわかった」
ギンドロが出て来た。精神として。
ドバの前に現れてだ。それで話すのだった。
「貴殿の本音がな」
「私の本音をか」
「貴殿は本気でバッフクランのことを考えているな」
わかったのはだ。このことだった。
「あの時は疑って悪かった」
「気にするな」
ドバもだ。こう友に告げるのだった。
「だが、残留思念か」
「おそらくはだ」
「これもイデの業だというのか」
こうも考えるドバだった。
「イデの真の発動がはじまっているのか」
「そうでなければこうならないだろう」
ギンドロもドバに話す。
「とてもな」
「そうか。五分後だ」
ドバはそのギンドロに時間のことを話した。
「ビームは消滅する」
「その時にだな」
「異星人の軍勢の消滅を確認する」
「無論巨神もだな」
「その通りだ」
イデオンのこともだ。忘れていなかった。
「それを以てこの作戦を終了する」
「そしてか」
「そのうえで残っている全軍に祖国に関しての重大発表をする」
ギンドロにこのことも話す。
「それからだ」
「そうか。それならばな」
「後は。私が全てやろう」
彼等はこんな話をしていた。その時だ。
ロンド=ベルは全軍イデオンの発動したDSドライブの中にいた。その中でだ。
「まずいぞ!」
「急に飛び込んだからか!」
「くそっ、空間が不安定だ!」
「皆いるか!?」
見ればだ。何とか全員いた。その中でだ。
イデオンの中でだ。コスモが言う。
「どうなんだ!」
「な、何とかね」
「無事だ」
「生きてるよ」
カーシャにギジェ、デクが答える。
「皆もいるみたいだけれど」
「ではこれでは」
「イデはやっぱり」
「そうか、そうなんだな」
ここでだ。コスモははっきりとした顔で言った。
「わかったぞ。完全に」
「じゃあコスモ、イデは」
「ムウやメシアを」
「イデは元々知的生命体の意志の集りだ」
コスモが話すのはここからだった。
「だから俺達とかバッフクランを滅ぼしたら」
「それならもう」
「それで終りか」
「そうだ、生き続ける訳にはいかないんだ」
こうカーシャとギジェに話すのだ。
「だから新しい生命を守り」
「そして新しい知的生命体の」
「その元をか」
「ああ、イデは手に入れようとしているんだ!」
「それが真の目的なのかな」
デクも言う。
「アポカリュプシスも」
「その一面はあります」
ここでシュウが彼等に話す。
「我々が乗り越えなければならないことです」
「それじゃあよ」
カーシャがそのシュウに問うた。
「色々な星に流星をぶつけて滅ぼしているのはどうしてなの?」
「それはおそらく」
コスモがそのことについて話す。
「悪しき心をなくす」
「悪しき心をなの」
「そうだ、イデは善き心によって発動する」
コスモはこのことも話した。
「その伝説はそのことだったんだ!」
「だからルウやメシアの様ななのね」
「そうだな」
ギジェはカーシャの言葉に頷いた。
「純粋な心を守りだ」
「育ててなのね」
「イデの残る力で」
また話すコスモだった。
「善き知的生命体を復活させる」
「それじゃあどうしてなのよ!」
カーシャは激昂した声になっている。
「あたし達はどうして生きてるのよ!」
「ああ、こんな甲斐のない生き方なんてな!」
コスモもだ。利用される様な生き方はだというのだ。
「俺は認めない」
「そうよね」
「例えそれがイデの力であっても!」
「それが正解です」
シュウもそれでよしと話す。
「ここは何があってもです」
「運命を切り開く」
「そうするべきです」
シュウはギジェにも話した。
「何としてもです」
「そうだな。じゃあ」
「そろそろだよ」
決意が固まったところでだ。デクがコスモに言う。
「DSアウトだよ」
「コスモ、いけるか?」
ベスがコスモに問う。
「今は」
「わからない。しかしだ」
「しかしか」
「やれるのか、ベスは」
「わからん」
ベスもこう言うしかなかった。
「だがDSアウトするのはだ」
「それは」
「そうだ、イデの意志だ」
今は全てがだ。それに基くものだった。
「何もかもな」
「イデ、一体何故だ」
コスモはそのイデの意志に対して問うた。
「何故教えてくれるんだ」
「間違いないよ」
ここでもだ。デクが言った。
「出た先にはね」
「敵がいるな」
ギジェが鋭い顔で返す。
「我々の」
「うん、本当の敵が」
「ワンポイント攻撃だ!」
そうするとだ。コスモは言った。
「それでやるしかない!」
こうしてだった。光がだった。
彼等を包み込みそれが消えた前にいたのは。
「何だこりゃ」
「バッフクランの兵器か?」
「巨大な加粒子砲」
「これが」
「戦場を一気に壊滅させたのは」
「これなのか」
そしてだ。考える彼等を見てだ。
ドバがだ。驚愕の声をあげた。
「ガンド=ロワをかわしたというのか!?」
「全艦、全機生き残っています!」
「敵はです!」
部下達がドバに報告する。
「それに対して我々はです」
「残るは二割です」
「この銀河に展開していた全軍の二割」
「それだけです」
「くっ、どういうことだ」
ドバは唖然としながらまた言った。
「巨神もロゴ=ダウの者達も」
「いいな、コスモ」
「ああ」
コスモはモエラの言葉に応えていた。
「ここはだ」
「ワンポイントしかないな」
「それでモエラ」
カーシャはそのモエラに尋ねた。
「イデの教える敵は?」
「あそこだ!」
モエラがソロシップの艦橋において作業をしてだ。
あるポイントを指し示した。そこはだった。
「あそこか」
「あそこにいるんだな」
「俺達の今の本当の敵が」
「それが」
「あの向こうに」
「また私の前に出て来るか」
ドバもだ。察せられたことを確認して言う。
「またか」
「いたぞ!見えた!」
「バッフクラン軍だ!」
「数はかなり減ったがな」
「あの旗艦もいるな」
「じゃあ」
ロンド=ベルの面々は決戦を再び覚悟した。そしてだ。
コスモがだ。ドバに言うのだった。
「おい!」
「何だ!」
「わかっている筈だ!」
こうだ。ドバに言うのである。
「何故俺達が御前達の前に出て来るのか!」
「そのことがか!」
「そうだ、これはだ!」
「何だというのだ!」
「イデの導きだ!」
まさにだ。それだというのだ。
「それがだ!俺達出来損ないの生物の」
「我等は出来損ないか」
「その憎しみの心を根絶やしにする為にだ!」
「イデはか」
「俺達を戦わせるんだ!」
こう言うコスモにだ。ドバも言う。
「我等を戦わせていたのか」
「イデも生き延びたいからな」
「そうか、イデも」
「そしてです」
シュウが冷静に言う。
「また出て来たましたよ」
両軍の側面にだ。再びだった。
宇宙怪獣の大群が出て来た。それを見て言うシュウだった。
「彼等は我々双方をです」
「滅ぼすつもりかよ!」
「何があっても!」
「ここはまた私が引き受けさせてもらいます」
シュウはその宇宙怪獣達に向かう。
「このネオ=グランゾンの力で」
「ベス!バイラル=ジンを!」
カララがベスに言う。
「そして」
「わかっている、それ以上は言うな」
「有り難う」
「それしかないからな」
「行くわよ、コスモ!」
「ああ!」
コスモはカーシャの言葉に応える。
「これでだ!」
「終わらせるわ!今度こそ!」
「いいか、絶対にだ」
ギジェがここでコスモに忠告する。
「憎しみで戦うな」
「憎しみで」
「それでは本当に我々は」
「だからか」
「そうだ」
こう話しながらだ。イデオンとソロシップがバイラル=ジンに向かう。
バッフクランの残存戦力は他の面々が引き受ける、その中でだ。
デクがだ。コスモに言う。
「いい、コスモは」
「あの敵の旗艦にだな」
「うん、集中して」
こう言うドバだった。
「他の方角は俺達が引き受けるから」
「ミサイルでね」
「弾幕を張る」
カーシャとギジェも言う。
「敵は確かにまだ多いけれど」
「それで何とかなる」
「済まない。それに俺は」
ドバの乗るバイラル=ジンを見ての言葉だ。
「認めない!このまま!」
「まだ言うのか」
「ああ、何度でも言ってやる!」
ドバにも言い返す。
「甲斐のない生き方なんてな!」
「巨神がブリッジに向かっています!」
「速いです!」
部下達もドバに言う。
「このままではです」
「ブリッジに」
「わかっている。ガンド=ロワだ!」
それをだ。再び使うというのだ。
「また使ってでも仕留めろ!」
「は、はい!」
「それでは!」
「このままでは皆滅んでしまう」
ベスは危惧を口に出した。
「その前にケリをつけるんだ!」
「撃て!それで今度こそ終わらせろ!」
ドバはガンド=ロワを使う決断を下した。
「全てだ!」
「来るわコスモ!」
「ああ!」
「それでどうするの!?」
「イデオンソードだ!」
それをだ。使うとカーシャに返した。
「あれで終わらせる!」
「わかったわ。それなら!」
「ゲージはもう充分だ!」
ギジェはゲージのことをコスモに話す。
「イデオンソードもだ」
「いけるか、それなら!」
「やろう、コスモ」
デクも言うのだった。
「イデオンソードで!」
「ああ、これで!」
早速イデオンソードを出し。そしてだった。
それでだ。バイラル=ジンを貫いた。艦橋は攻撃しなかったがだ。もうそれで充分だった。
「やったか!?」
「いや、機能は停止したが」
「まだ沈んでいない!」
それでもだ。もう攻撃もできなくなっていた。
「あれだけの巨艦だ」
「そう簡単には爆発しないわね」
「けれどそれでも」
「これで終わりだな」
「ああ、終わったんだ」
「バッフクランとの戦いも」
ロンド=ベルの戦士達は動けなくなったバイラル=ジンを見てそのことを確信していた。しかしだ。ドバだけはだ。まだこう言っていた。
「ガンド=ロワだ!」
「司令、最早です!」
「この艦はもちません!」
「一刻も早く脱出を!」
「さもなければ!」
「構わん!」
だがだ。ドバは脱出を促す部下達にこう返した。
「発射だ!ガンド=ロワ!」
「そんなことをすれば我々も」
「この艦ごとです」
「全滅です!」
「全軍最早!」
「このままでは!」
「ならだ!」
ドバは命を惜しむ彼等にまた告げた。
「潔く死んでくれ!」
「なっ、総司令」
「我々に死ねと」
「そう仰るのですか!」
「そうだ、サムライとしてだ!」
こう言うのである。
「潔くだ。死んでくれ!」
「しかしです!」
「最早この有様では無駄死にです!」
「我等とて確かにサムライ!」
その埃はだ。確かにあった。
だがそれでもだとだ。彼等は言うのだ。
「この状況で命を落とすことはです!」
「無駄死にに他なりません!」
「それでもですか!」
「死ねと!」
「まともに戦って勝ち目のない相手だ」
イデオンとソロシップ、そしてロンド=ベルを見ての言葉だ。
「だがあと一息で殲滅できる!」
「その前に我等が全滅です」
「我等全員がです!」
「それでもなのですか!」
「二人でも三人でもいい!」
まだだった。ドバは言うのだった。
「生き残ればそれでいい!イデの力を我々に!」
「その我々はです!」
「イデなぞ欲しくはありません!」
「最早我々は破れました!」
「それならばです!」
敗北した。それならばだというのだ。
「生き延びられれば!」
「今はです!」
「そうするしかありません!」
「見よ、その巨神はだ!」
ドバは旗艦に向かって来ると。彼にはそう見えるイデオンを指差して叫ぶ。
「我々を生き延びさせてはくれん!」
「それは総司令の主観です!」
「巨神は最早動いていません!」
「彼等も戦いが終わったとわかっているのです!」
「おわかりになられていないのは貴方だけです!」
「総司令だけです!」
「その訳がわかるか!」
イデオンが来ていると見ていてだ。彼の言葉は続く。
「その訳はだ!」
「では一体どうしてなのですか?」
「我々は動いていないと見えますが」
「それでも巨神が動いている理由は」
「どうしてだというのでしょうか」
部下達は冷静さを取り戻しだ。ドバに問うた。
「あの、まさか総司令」
「最早貴方は」
「若しかして」
「バッフクランとしての業」
ドバが言うのはこのことだった。
「それを持っているのは私は」
「ではイデは業に反応すると」
「そうだと仰るのですね」
「だからこそ巨神は総司令に向かって来られる」
「そう御考えですか」
「そうだ、その通りだ」
まさにそうだとだ。ドバは答えた。
「だからこそ。私は!」
「・・・・・・では総司令」
「もうお言葉はありません」
「それならばです」
「御覚悟を」
彼等は一斉に銃を取り出した。そうしてだ。
そのうえでドバを撃とうとする。だがドバはその彼等にまだ言う。
「最早後戻りはできん!」
「それは貴方の主観です!」
「おわかりになられないのですか!」
「イデは発動した!」
こう言って最後のガンド=ロワを放とうとする。しかしだ。
それを見てだ。コスモは再びだった。
「くそっ、まだか!」
「あいつ、何処までわからないのよ!」
「総司令、貴方は・・・・・・!」
カーシャとギジェも忌々しげに言う。
「もうこなったら!」
「やるしかないじゃない!」
「完全に断ち切る!」
再びイデオンソードを出すコスモだった。
それでだ。あの惑星を両断した時の様にだ。
バイラル=ジンを断ち切った。ガンド=ロワもだ。
それによってだ。遂にだった。
ドバは炎に包まれだ。断末魔の叫びをあげた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「何処までわからなかったんだ!」
コスモが爆発の中に消えていくドバに叫んでいた。
「だから!こんな!」
「!?いかん!」
最初に異変に気付いたのはギジェだった。
全てが光に包まれ。そしてだった。
全てが光に包まれていく。その中でだ。
彼等はだ。わかったのだった。
「イデの発動!?」
「じゃあ俺達は間違っていた!?」
「生きる為に戦ったことが」
「それが間違っていた」
「じゃあ私達は」
「結局」
その光の中でだ。言っていくのだった。
「この宇宙の失敗作なの!?」
「やることが全て遅かったというのか」
「まさか、こんな」
「こんな結末なんて」
「俺達は死んだのか?」
コスモが光の中で呟く。
「結局」
「まだだ」
何者かが。彼に言ってきた。
「審判の時は続く」
「御前は」
「・・・・・・・・・」
声は誰なのかは言わない。しかしだった。
コスモは声が誰なのか本能的に考えだ。怒りの言葉をぶつけた。
「御前の為にだ!」
「そう言うのだな」
「そうだ、どれだけの生命が失われたんだ!」
こうぶつけるのだった。
「全部御前が仕組んだことだ!」
「我は場を用意したに過ぎない」
こう反論する声だった。
「それだけだ」
「そう言うのか!」
「そうだ、我は見たいのだ」
声はまたコスモに言ってきた。
「御前達の生きる力」
「それをだっていうのかよ」
「善き力を」
こう言うのだ。
「この宇宙を生き残る力をだ」
「それならだ」
コスモは声の言葉にだ。すぐに問い返した。
「教えてくれ」
「我がか」
「そうだ、俺達はどうすればいいんだ」
こう問うのだった。
「どうすれば生き残れるんだ!」
「我々は見たい」
だが声は答えなかった。こう言うだけだった。
「我々の施した枷を越える者を」
「枷!?」
「運命を覆すものを」
光の中での言葉だった。そして。
光が消えた時。彼等がいたのは。
「ここは」
「俺達の銀河だ」
「あれは殴り込み艦隊」
後方に見えた。つまりはだった。
「じゃあ戻ってきたのか」
「本当に」
「そして生きているんだな」
「あの中で」
「幻じゃないんだ」
「諸君、奇跡だ!」
大河が言ってきた。
「皆無事だ!」
「皆生きていてここにいる」
「じゃあ俺達はまだ」
「運命に屈していないんだな」
「そうなんだな」
「コスモ」
ベスがコスモに対して言ってきた。
「俺達はまだ、だ」
「ああ、そうだな」
コスモもベスに対して言葉を返す。
「俺達はまだな」
「戦いは続くんだ」
「俺達が生きているからこそ」
「また一つの戦いが終わったことは間違いない」
タシロの言葉だ。
「ならば諸君!」
「はい!」
「それならですね!」
「力は集った」
こう言うのであった。
「我々の作戦はだ」
「最終段階ですね」
「いよいよ」
「そうだ、神壱号作戦はだ」
その作戦がだ。遂にだというのだ。
「その時に来たのだ」
「遂に宇宙怪獣とも」
「奴等との戦いも終わるんだ」
「あのバケモノ達とも」
「本当に」
「最終段階に入る」
タシロの声は重厚なものだった。
「いよいよだ」
「了解です」
「それじゃあ」
こうしてだった。ロンド=ベルは殴り込み艦隊に復帰してだ。宇宙怪獣達との最後の戦いに挑むのだった。また一つだ。戦いが終わろうとしていた。
第百二十七話 完
2011・6・7
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