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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百二十六話 父として

               第百二十六話 父として
 ギジェはソロシップの格納庫でシェリルに話していた。
「やはりそうなのか」
「間違っているとはわかっていたわ」
 シェリルは目を閉じてギジェに話した。
「それでも」
「イデはだ」
 ギジェはここでシェリルに話した。
「必ず善きものを持っている」
「善き力を」
「そうだ。それはどうして見ることができるか」
 それを話すのだった。
「ああしてではないのだ」
「では私は」
「間違っていた。若しもだ」
 どうなのかというのだ。
「あの時ルウが宇宙に放り出されていればだ」
「若しそうなっていれば」
「私も皆も」 
 ロンド=ベルの面々もだというのだ。
「貴女を絶対に許さなかっただろう」
「そうね、それはね」
「自分の非を認めるのだな」
「何を言われても仕方ないわ」
 やはり目を伏せて話すシェリルだった。
「私はそれだけのことをしたのだから」
「シェリル・・・・・・」
「どんな処罰も甘んじて受けるわ」
「変わったんだな」
 ここで言ったのはコスモだった。
「シェリルさんも」
「えっ・・・・・・」
「プライドの塊みたいだったあんたがな」
 シェリルに微笑んで話すコスモだった。
「こうして皆にな」
「皆に」
「頭を下げるなんてな」
「これはだ」
 ロジャーも言う。
「彼のお陰だな」
「そうね」
 ドロシーはその彼を見ていた。
「ギジェの」
「私もか」
「ええ、そうかも知れないわね」
 シェリル自身もそのことを認めて言った。
「私はギジェに出会って」
「それでか」
「変わったのか」
「生きる喜びを知ったわ」
「それだよ」
 コスモはシェリルのその感情こそがだというのだった。
「そう思うことが大事なんだよ」
「そうなのね」
「ああ。あんた今生きたいよな」
「ええ、生きたいわ」
 その通りだとだ。シェリル自身も言った。
「ギジェと一緒に。もっともっと」
「姉さん・・・・・・」
 リンはこう言う姉を見て呟いた。
「本当に変わったのね」
「そうやって罪を悔いた人間は」
 アムロがここで言った。
「処罰することはできないな」
「俺達はあれだからな」
 闘志也も微笑んでいた。
「頭の固い運命さんとは違うからな」
「だから他人の失敗にも寛容だ」
「そうだからな」
 ジュリイと謙作も微笑んでいる。
「まだシェリルさんの失敗はな」
「取り返しがついたからこそ」
「だからいいと思うわ」
 マリューも微笑んでいる。
「もうね」
「そう言ってくれるのね」
「シェリルさんは生きる運命を理解した」
 万丈はこのことを話した。
「それならだ」
「それならなのね」
「きっとイデの真理に触れることもできるさ」
「期待してます」
 キラが明るく彼女に言った。
「ギジェさんと二人でイデの何たるかを」
「俺達に見せて下さい」
 アスランもだった。
「楽しみにしていますから」
「若しイデの善き力があれば」
「そうだよね。ひょっとしたら」
「若しかして」
 ここでスティングとアウル、ステラが話す。
「アスランの額だってな」
「髪の毛が戻るかもな」
「そうなるかも」
「これは子供の頃からだ」
 アスランは己の額を両手で押さえながら必死に反論する。
「後退なんてしていない。一ミリもな」
「そこで否定するから疑われるんじゃないのか?」
 京四郎がそのアスランに突っ込みを入れる。
「人間来る時は来るぞ」
「そうよね。若い人は十代でね」
 ナナも言う。
「一気に来るから」
「怖い話だな、おい」
 マサキもその話には顔を青くさせる。
「一気にかよ」
「毛生え薬も発明していますが」
 シュウは流石だった。
「使われますか?」
「はい、御願いします」
 速攻で食いつくアスランだった。
「できれば。前から気になっていまして」
「やっぱり禿だよな」
「ああ、来てるよな」
「確実にな」
「蝿の呪いなじゃないのか?」
 ここでも蝿の話だった。
「カメレオンの胃の中にいて髪の毛溶けたんだろうな」
「多分な」
「だから何でまた蝿なんだ」
 アスランにとってもそれは不本意な話だった。
「結局そこに至るんだな」
「じゃあ覆面の参謀はどうだ?」
 ショウが言ってきた。
「俺はそちらの世界では緑のオクラって言われてるけれどな」
「緑のオクラ?」
「ああ、バサラの世界なんだ」
 ショウはこうチャムに話した。
「そちらの世界じゃそうなっているんだ」
「日輪の策謀家よね」
「よくわかったな」
「何となくだけれどね」
「では俺は猿なのか」
 今言ったのはライだ。
「そうなるか。アスランが覆面の参謀なら」
「俺は魔王なのか」
 アレンも言う。
「いいのか悪いのかわからないな」
「俺は主人公だな」
 ブレラが言うと何故かキラも頷く。
「あの世界も面白いものがあるがだ」
「だよな。海賊いたりするしな」
 ヘクトールも参戦した。
「あれはあれで面白い世界だよ」
「何かあちこちの世界が入り乱れてるんだな」
 アスランはあらためてこのことに気付いた。
「本当に」
「そうね。それで私は」
 許されたシェリルはあらためて言った。
「もう。間違えないわ」
「ええ、正しい道を歩んで下さい」
「是非」
「イデの善き力」
 ギジェが呟く。
「それを引き出せるのはやはり」
「それにしてもな」
「そうよね、カララさんもね」
「妊娠してるなんて」
「ベスさんの子供を」
「すいません」
 カララはだ。仲間達に謝罪の言葉を述べた。
「どうしても言えなくて」
「それはどうしてなんだ?」
 ベスがカララに問う。
「今まで教えてくれなかったのは」
「皆さんに嫌われたら」
 カララは暗い顔で述べた。
「そう思って」
「そんなことがあるものか」
 ベスはカララの今の言葉を否定した。
「誰が嫌うものか」
「そう言ってくれるのね」
「何度でも言うさ」
 こうまで言うのだった。
「本当に何度でもな」
「ベス・・・・・・」
「それにだ」
「それに?」
「君はあの時バッフクランの戦艦に入った」
 その時のことも話すのだった。
「ジョリバと共に」
「あの時のことね」
「そして助かった」
 奇跡的にだ。その話だった。
「それもやはりだ」
「私のこのお腹の中にいる」
「そう、俺達の子供のお陰なんだ」
 こう言うベスだった。
「おそらくはな」
「私達が助かったのは」
「そう思う」
「ということは?」
 カーシャはベスの話をここまで聞いて言った。
「イデがカララの赤ちゃんを中心に力を発動させてるってことよね」
「ただ守りだけの為なのか」
 コスモは考えながら話す。
「それともバッフクランを倒す為の力なのか」
「そこまではわからないわよね」
「ああ、全く」
 コスモはこうカーシャに話すのだった。
「けれどそれでもな」
「付け加えるなら」
 ロッタも行ってきた。
「ルウがいることも関係あるのよね」
「勿論さ」
「はい、私は」
 カララもここで話す。
「ルウとお腹の中の子供は」
「その二人は、か」
「そうなるよな」
「ええ。会いたがっているのよ」
「ルウとカララのお腹の中の子供」
「その二人がか」
「それでイデは?」
「ここはあえて」
 皆もこう考えはじめる。その中でだ。
 ロッタがだ。こう仲間達に話すのだった。
「けれどね」
「けれど?」
「けれどって?」
「男の人って鈍感ね」
 言うのはこのことだった。
「言われるまでカララのことに気付かなかったの」
「済まない」
 ベスは父としてまずは謝罪の言葉を述べた。
「けれどそれでも」
「それでもって?」
「今は戦争中なんだ」
 それでだとも言うのだった。
「だから少し」
「無理だったっていうのね」
「気付くどころじゃなかった」
 まさにそうだというのだ。
「だから」
「あら?けれど」 
 しかしここでビューティが言った。
「万丈は気付いていたんじゃないの?」
「まさかと思ったけれどね」
 それでもだと話す万丈だった。
「けれどね」
「じゃあ万丈さんの言っていた切り札って」
「つまりは」
「ああkちゃんのことだったんだ」
「そうだよ」
 まさにそうだとだ。万丈も仲間達に話す。
「より純粋な防衛本能」
「それがか」
「つまりは」
「赤ちゃん」
「それなんですね」
「そう、本能のみで生きている」
 万丈はこう表現するのだった。
「その子供のことだったんだ」
「成程なあ。そうだったんだ」
「それで万丈さんはか」
「ああしたことを言ってたんだ」
「そうだったの」
「ただね」
 ここで万丈は言い加えた。
「逆に変に意識してね」
「それでなんですね」
「それを戦術に利用する」
「そういうのは万丈さんじゃないよな」
「確かにね」
「その通りさ」
 万丈自身もこう返す。
「そういうことは僕の性に合わないんだよね」
「何はともあれだ」
 ブライトはベスを見て声をかけた。
「おめでとう」
「ブライト艦長・・・・・・」
「父親になりわかることは多い」
 ベスに微笑んで話すのだった。
「君はその第一歩についたのだ」
「そうなんですか」
「そうだ。それもわかってくる」
 こう言うのだった。
「頑張ってくれ」
「わかりました」
「さて。それではだ」
 あらためてだグローバルが総員に話す。
「バッフクランのことだが」
「連中ですね」
「もう俺達のことはわかってますよね」
「彗星から脱出したことは」
「それは」
「わかっていない筈がない」
 グローバルはこのことは断言した。
「しかもだ」
「はい、片腕である姉を失いました」
 カララが真摯な顔で話す。
「ですから父、いえドバ総司令は」
「来るよな、全軍で」
「もうこうなったらな」
「いよいよ」
「バッフクランとの戦いもいよいよなんだな」
 コスモが顔を引き締めさせて言う。
「終わる時がくるか」
「ここで重要なことはだ」
 ギジェが話す。
「やはりおそらくだが」
「イデのことだよな」
「そうだ。イデが赤子、即ち」
 カララとルウを見ての言葉だった。
「彼等を守る為に働けば」
「当然アポカリュプシスも起きない」
「そういうことですね」
「そうなる」
「そうか、それならだ」
「私達にもわかるわ」
 オリファーとマーベットが話す。
「子供のことを考えるとな」
「それもね」
「ああ、確かにな」
「そうよね」
 ジャーダとガーネットもだった。
「子供の持つ力はな」
「そう考えていくとね」
「赤ん坊は銀河を救う救世主か」
 カズマはこう言った。
「まさにそうなんだな」
「確かこんな話を聞いた」
 フォルカの言葉だ。
「伝説に出て来る世紀末救世主」
「呼んだか?」
 何故か一矢が出て来た。
「呼ばれた気がしたんだけれどな」
「俺もだ」
「俺もだな」
「俺もです」
 竜馬にフォッカーに洸も出て来た。
「何故かはわからないが」
「そんな気がした」
「不思議ですね」
「俺もだしな」
 サンシローもだった。
「何故かこうなるんだよな」
「だからそういう話じゃなくてあれよ」
 カーシャが話を切って述べた。
「メシアよ」
「飯屋のおっさん?」
 今言ったのは豹馬だった。
「そんなの何処にでもいるだろ」
「いや、メシアだ」
 今言ったのはギジェだった。
「つまりベスとカララの子供のことだ」
「何だ、そうか」
「世紀末救世主の時点でおかしくなったよな」
「あれはちょっと禁句だからな」
「だよなあ」
「全く。どうなってるんだよ」
 今言ったのは宙だった。
「俺はどっかのチームのエース止まりだってのにな」
「聖闘士じゃなかったの?」
 美和がその宙に問うた。
「宙さんは」
「ああ、そっちもあったか」
「そうだったと思うけれど」
「最近赤とかレッドにもなってるんだよな」
 何故かこんなことも言う。
「世の中訳わからねえよな」
「確かに。俺も皇帝になったり王子になったりしたかと思えば」
 コウである。
「この前悪とか麿とかになった気がするんだよな」
「何気にそっちの世界とは縁があるわね、皆」
 カナンも出て来て言う。
「私もあの侍の世界については思うところがあるわ」
「俺は天使だな」
 カミーユもここで言う。
「そういえばジュドーも魔法使いと」
「そうそう、そうなんだよ」
 ジュドーも頷いて言う。
「あっちの世界も中々面白いけれどな」
「まあ何はともあれだ」
 グローバルがまた言った。
「我々はこれよりルウとメシアを中心としてだ」
「そうして防衛ラインを引いてですね」
「敵を迎え撃つんですね」
「そうする」
 まさにそうだというのだ。
「諸君、それで行こう」
「弱き者、大切なものを守ろうとする想い」
 ガビルが言った。
「それは確かな力になる。これこそ」
「ああ、何だ?」
「何なんだ?それで」
「勇敢美!」
 この美だった。
「それこそまことの勇気だ!」
「コオオオオオ!」
 シビルもその通りだと言う。
「では戦うとしよう。戦闘美!」
「ああ、イデが何者かは知らねえがな!」
 バサラにとっては大した問題ではない。
「それが善い力ならな!」
「それならなのね」
「ああ、その想いだ!」
 こうミレーヌにも言うのだった。
「それが大事なんだよ!」
「イデは純粋な防衛本能に」
 ここでまた話すカララだった。
「例えば大人よりも子供のそれにシンクロしますから」
「だからイデはコスモ達に力を貸していたか」
「そうだったんだな」
「それで」
「俺に操縦なんてできなかったさ」
 コスモ自身も言う。
「考えてみればな」
「じゃあ今からか」
「俺達の生きようとする意志を見せるか」
「例えイデが試練を与えても」
「それでも」
 こう決意してだった。
「生きようとする強い想い」
「それを見せて」
「アポカリュプシスに打ち勝つか」
「本当に」
「その通りです」
 シュウも言うのだった。
「それこそがイデ等に見せるものなのです」
「イデ等?」
 シモーヌはシュウのその言葉にふと気付いた。
「今イデ等って言ったわよね」
「はい、そうです」
「じゃあゲッターとかも」
「そうなります」
 シュウは微笑んでシモーヌに話した。
「その他の力もです」
「そうだね。あらゆる力がそうなるよね」
「その通りです。そしてです」
「そしてだね」
「運命に向かうのです」
「運命、ね」
 シモーヌはシュウのその言葉を聞いてだ。
 まずは頷いた。しかしこうも言うのだった。
「あんたが言うとどうもね」
「何かありますか?」
「含みがあるように思えるわね」
 こうだ。少し笑ってシュウに言うのである。
「そう。あんたは知っていることを全部話さないからね」
「さて。何のことでしょうか」
「まあいいさ。今のあんたが敵じゃないのはわかるしね」
 そのことはだ。シモーヌも本能的に察していた。
「だからいいさ」
「それでいいというのですね」
「そうさ。それよりもね」
「はい、これからですね」
「バッフクランとの戦い、絶対に終わらせないとね」
「そのことですが」
 またここでカララが言ってきた。
「私に考えがあります」
「カララさんそれは一体」
「どういう考えですか?」
「はい、それは」
 カララは己のその考えを仲間達に話した。そうしてそのうえで、であった。ロンド=ベルは全軍でバッフクラン軍に向かうのであった。
 バッフクラン軍の将校の一人が言った。
「重力異常を感知しました」
「そうか」
「はい、何者かが来ます」
 将校はこうドバに話す。
「この宙域にDSアウトしてきます」
「宇宙怪獣か。それとも」
 ドバが言った時だった。彼等が姿を現したのだった。
「巨神とロゴ=ダウの者達か」
「さて、カララ」
 ベスがカララに対して問うた。
「これでいいんだな」
「はい」
 カララもだ。それでいいというのだった。
「バッフクランの総司令ドバ=アジバが」
「彼が」
 ベスも今は彼をカララの父とは言わなかった。あえてだ。
「はい、彼が戦いを止めないのならです」
「最後の手段か」
「彼を討つことで」
 カララもだ。今は彼をあえて父と呼ばなかった。そのうえで話すのだった。
「戦いを止めるしか方法はないでしょう」
「けれどそれだとよ」
「そうだよな」
 エルとビーチャがここで言う。
「イデは大丈夫なのかしら」
「そこが心配になるよな」
「若しもイデが変に思ったら」
「その時は」
 モンドとイーノも話す。
「イデが発動して」
「僕達も」
「その危険はあるのよね」
 ルーも言う。
「零じゃないから」
「けれどな。無駄な血を流し続けるよりはな」
 ジュドーはそれよりはというのだ。
「ましだぜ」
「戦いを止める為の戦い」
 カミーユも言う。
「永遠に終わりのない泥沼かもな」
「へっ、因果なことだな」
「全くだな」
 ジェリドとヤザンはこう言った。
「ティターンズの時とはうって変わってだな」
「そんな哲学的な状況になっちまうなんてな」
「運命、ね。あの時は考えたこともなかったね」
「そうだったな」
 カクリコンはライラに言葉を返した。
「ただ戦うだけだった。楽だったよ」
「確かに毒ガスには嫌気がさしていたがな」
「思えばティターンズの思想は小さかったな」
「全くだ」
 ラムサスとダンケルもティターンズ時代のことを話す。
「地球でしかなかった」
「そこから出ることはなかった」
「それが今では宇宙を見て考えている」
「変われば変わるものですね」
 マウアーとサラもだ。その変換に戸惑いさえ感じていた。
「けれど。今の私達は」
「その運命に従えますね」
「正直あんた達も変わったよな」
 ジュドーはそのティターンズの面々にも話した。
「まあ声とかは前からどっかで聞いたとか思ってたたけれどな」
「おいおい、それを言ったらな」
 ジェリドが笑いながらそのジュドーに言い返す。
「御前さんの声はゲーツ=キャパにそっくりじゃないか」
「あっ、わかったか」
「あれだろ?俺の声は黄金とかヤンロンとかだっていうんだろ」
「前から似てるって思ってるんだけれどな」
「否定はしないさ」
 ジェリド自身もだ。それはしなかった。
「実際に似てるんだからな」
「っていうかそっくりだぜ」
「私も」
 ロザミアも言う。
「リンダさんと」
「そうよね。似てるわよね」
 リンダもそのロザミアに笑って返す。
「ケーンだってイーノ君とかダンケルさんに似てるし」
「何かそれ言われるのってな」
 そのケーンが言う。
「微妙な気持ちだな」
「そうだろ。声の問題ってのはな」
「言われるとそうなるな」
 タップとライトもだった。
「俺もだしな。ヤザンさんとかヂボデーとかな」
「俺はマシュマーさんだしな」
「私も最初は驚いたものだ」
 マシュマー本人が言う。
「何故私がもう一人いるのだとな」
「確かにそっくりね」
 リンダも驚くことだった。
「そういえばミンさんとフォウもね」
「ははは、似てるね」
「他人の気がしないわ」
 ミンとフォウが笑いながら言う。
「妹どこか分身って気がするよ」
「私がもう一人いるみたいな感じね」
「本当に同一人物じゃないの」
「そうよね」
 二人の話を聞いてシルヴィアとゼオラが言う。
「フェアリさんもそう思いますよね」
「似過ぎですよね」
「そうよね。意外とね」
 そのフェアリも言うのだった。
「似ているわね」
「これだけよく言えるなと思ったことはな」
「ないな」
 今言ったのはだ。ショウとトロワだった。
「しかし。本当に似ているからな」
「俺達も人のことは言えない」
「というか誰が誰かわからなくなってきたな」
 実はミリアルドも心当たりがかなりある。
「とにかくだ。戦いだな」
「メビウスの環ですね」
 リリーナの言葉だ。
「それを断ち切る戦いですね」
「その想いを胸に!」
「今ここで!」
「どうせな」
 コスモが少し忌々しげに言う。
「遅かれ速かれイデは俺達と敵の総大将をぶつけるように仕向けるさ」
「それならばだ」
「ああ、やってやるさ」
 ギジェにも応えるコスモだった。
「自分達の意志でな」
「戦いを終わらせるしかない」
「イデの意志に操られてたまるかよ」
 コスモの偽らざる本音だった。
「俺達の生き方は俺達が決めるさ」
「じゃあ行こうか」
「では行きましょう」
(それがそもそもの間違いだったのだ)
 シュウはまたあの声を聞いた。
(御前達はだ)
「さて、どうでしょうか」
 シュウは余裕の笑みを浮かべてその声に返した。
「私達とて捨てたものではありませんよ」
「どうしたのだ?」
 クォヴレーがそのシュウに問うた。
「誰かと話をしているのか」
「一人言ですよ」
 ここでもこう言うだけのシュウだった。
「御気になさらずに」
「そうなのか」
「さて、じゃあはじめましょう」
 セラーナはもうやる気だった。
「派手にいくわよ」
「各機突撃だ!」
 ブライトが指示を出す。
「狙うはバッフクラン旗艦」
「あのバイラル=ジン」
「そうですね」
「その一点だ」
 まさにだ。その旗艦をだというのだ。
「沈める。いいな!」
「了解!」
「それなら!」
「飛んで火に入る虫とはこのことだ!」
 ドバも言う。
「来い、巨神よ!」
「巨神も来ます!」
「全軍です!」
 部下達が報告する。
「一直線に!」
「今こうして!」
「それならばだ!」
 ドバも考えは決まっていた。既にだ。
「ガンド=ロワの発射準備だ!」
「あれをですか」
「遂に」
「そうだ。ここで全ての生命体の業を払い」
 そしてだとだ。ドバも決意していた。
 その決意のままだ。彼は言うのだった。
「巨神の力、止めてみせようぞ!」
「了解です!」
「ならば!」
「全軍迎撃せよ!」
 ドバはこうも命じた。
「よいな!」
「そうしてですね」
「ここで彼等との戦いを」
「全ては終わる」
 ドバもだ。これ以上の戦いは考えていなかった。
 それでだ。今言うのだった。
「その為にだ」
「わかりました」
 彼等も頷く。そうしてだった。
 両軍は戦闘をはじめる。いきなりだった。
 バッフクラン軍がロンド=ベルの前に殺到した。
「行かせはせん!」
「ここで止める!」
「貴様等との戦いも!」
「これで終わりだ!」
「それはこっちの台詞だぜ!」
 勝平がこう返す。
「この分からず屋共が!」
「そうよ、分からず屋はね!」
「貴様等にはわからん!」
 恵子にも言うドバだった。
「決してな」
「それはどうだろうか」
 ふと言い返したのはブライトだった。
「娘を持っているのならだ」
「何が言いたい」
「おおよそはわかるつもりだ」
「わかるというのか」
「おおよそだが」
 それでもだ。わかるというのだ。
「しかし貴殿のそれはだ」
「何だというのだ」
「我だ」
 それだとだ。ドバに対して言うブライトだった。
「それでしかない」
「ならそう思うがいい。全軍攻撃を浴びせ続けよ!」
 再び全軍に命じるドバだった。
「殲滅せよ!」
「はい!」
「それでは!」
 両軍の戦いも続く。ラー=カイラムもだった。
「前からです!」
「次々に来ます!」
「照準は合わせるな!」
 それだけ敵がいればだとだ。ブライトはサエグサとトーレスに告げる。
「撃て!一斉射撃を続けよ!」
「了解です!」
「それなら!」
 こうしてだ。ラー=カイラムは前に一斉射撃を続けてだ。
 バッフクラン軍を倒して前に進んでいく。そしてその中でだ。
 ドバのバイラル=ジンに接近した。するとだった。
「ベス!後方だ!」
「敵の援軍か!?」
「いや、違うようだ」
 ハタリはこうベスに告げる。
「この重力振の感じは」
「DSドライブではない!」
 ジョリバも言う。
「この感じはだ!」
「まさか」
「くっ、こんな時にか!」
 ベスに続いてモエラが言った。
「宇宙怪獣か」
「狙いすました様にか!」
 その宇宙怪獣が出て来た。それと共にだ。
 エルトリウムのモニターにだ。メキボスとゼブが出て来て言うのだった。
「悪いがこちらもな」
「今から出撃となった」
 二人が話すのは殴り込み艦隊のことだった。
「もう待てん」
「銀河中央に進ませてもらう」
「わかった」
 タシロも彼等に対して答える。
「それでは追いかけよう」
「仕方ないことだ」
 ダイテツもそれでいいとした。
「何、こちらの戦いもすぐに終わる」
「終わらせます」
 レフィーナはそうするというのだった。
「ですから。あちらで」
「合流するとしよう」
「ああ、楽しみにしてるぜ」
「合流の時をな」
 メキボスとゼフはそれぞれ彼等に告げた。
「こっちも早速宇宙怪獣と交戦中だがな」
「その数は尋常なものではない」
「こちらもだ」
 リーは彼等の後方の宇宙怪獣を見て言う。
「今までの比ではない」
「御互いにやばいみたいだな」
「そちらにも来たか」
 メキボスとゼブはリーの話を聞いてまた言った。
「アポカリュプシスがな」
「遅かったのか」
 ベスはふと言った。
「我々は」
「そんなことがあるもんか!」
 コスモがそのベスに反論する。
「俺達は生きてるんだ!」
「それなら生きている限りは!」
 タケルも言う。
「俺達は負けない!」
「最後の最後までだ」
 ロジャーも今はその言葉に熱を込めている。
「私達は戦うとしよう」
「あがき続けるのね」
「結果としてはそうなる」
 こうドロシーにも話すロジャーだった。
「いつもと同じだ」
「そうね。同じね」
「それだけだ」
 ロジャーは割り切っていた。こうだ。
 その話をしてからだった。彼等はそのまま突き進もうとする。
 その彼等を見てだ。ドバは呟いた。
「これもイデの采配か」
「イデの」
「それだと仰るのですか」
 ギジェとカララはドバのその呟きを聞いて言った。
「この戦いも」
「そしてアポカリュプシスも」
「新たな宇宙を生む為の浄化か」
 こうも考えるドバだった。
 そしてだ。彼はこうも言うのだった。
「そうだとしてもこの戦い」
「総司令、貴方は」
「どうしてもなのですね」
「最早止める訳にはいかん」
「まだ戦うってのかよ!」
 抗議したのは宇宙太だ。
「何処まで石頭なんだよ!」
「このまま戦ってもだ」
「何にもならないのにか!」
 兵左衛門も一太郎も呆れていた。
「この男、最早」
「業に」
「父上、その業」
 カララも無念の声で言う。
「どうしても捨てられませんか」
「後ろは宇宙怪獣だ」
 モエラがベスに話す。
「こうなってしまうと」
「そうだな。進むしかない」
「前に言った言葉だが」
 モエラはここではだ。以前の自分の言葉を思い出していた。
 そしてその言葉をだ。今また言うのだった。
「運命は自分で作るものだ」
「ああ、そうだ!俺達だってな!」 
 コスモがそのモエラの言葉に応えて言う。
「ルウやメシアと同じだ!」
「あの子達とな」
「そうだ、十分に生きちゃいない!」
 これがコスモの今の言葉だった。
「これからなんだ!」
「無駄だ、今こそだ!」
 遂にとだ。ドバが言うのだった。
「巨神!ロゴ=ダウの異星人よ!」
「!?何だ!?」
「何をするつもりなの!?」
「バケモノ共と共に銀河のチリと消えよ!」
 こう言ってだ。バイラル=ジンは一旦戦場から姿を消したのだった。
 それを見てだ。ロンド=ベルの面々は口々に言う。
「消えた!?」
「逃げた!?」
「持久戦に持ち込むつもりか!?」
「その数を利用して」
「いや、違う!」
 アムロがすぐに察して言った。
「これは」
「悪意だ」
 クワトロがそれを察していた。
「人のエゴだ」
「来るぞ!」
「コスモ!」
 デクがコスモに告げる。その時だった。
「撃て!ガンド=ロワ発射だ!」
「了解!」
「わかりました!」
 その光がだ。ロンド=ベルに向かって放たれたのだった。
 それを見てだ。コスモは。
「死ぬかよーーーーーーーーーーーーっ!!」
 イデオンを動かした。その力でだ。その攻撃を防ごうとするのだった。


第百二十六話   完


                                        2011・6・4
 
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