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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百十三話 拳と拳の戦い

                第百十三話 拳と拳の戦い
 バランはだ。近衛軍を率いたうえで言った。
「では行くぞ!」
「ああ、こっちもな!」
 トウマが彼の言葉を受ける。
「絶対に本星に行ってやるぜ!」
「そうだな。御主達ならば」
 バランもだ。そのことがわかってきたのだ。
「この銀河を救えるであろうな」
「あんたはどうなんだよ」
「わしはあくまでバルマーの臣」
 それは変わらないというのだ。
「それは変わらぬ」
「それがあんたの信念なんだな」
「そうだ」
 その通りだとだ。トウマに返す。
「それはわかるな」
「ああ、わかるようになったぜ」
 これがトウマの返答だった。
「それもな」
「トウマ、御主と出会えてよかったぞ」
 こうも言うのだった。
「御主はわしが出会った中で最高の漢よ」
「だっていうのかよ」
「そうだ、その御主と戦えること!」
 その鉄球を手に言う。
「我が誇りよ!」
「じゃあ誇りと誇りのな!」
「勝負よ、行くぞ!」
「ミナキ、行くぜ!」
「ええ、トウマ!」
 ミナキも彼の言葉に頷く。
「私も!貴方と共に!」
「済まない!」
「いえ、貴方と一緒なら」
 ミナキもだ。今心を言った。
「私も」
「そう言ってくれるんだな」
「そうよ。だからこの戦いは」
「勝つ!」
 トウマは断言した。
「バラン、あんたにだ!」
「ふむ」
 バランはそのトウマの言葉を聞いてだ。
 まずは目を閉じた。それからだった。
 目を再び開きだ。こう言ったのであった。
「トウマよ」
「ああ。何なんだ?」
「御主との戦いでわしは多くのことを知ったようだ」
 こう言うのである。
「地球人のこと、そして」
「そして?」
「銀河のことをだ」
 知ったというのだ。
「あれからわしは考えたのだ」
「前の戦いからだよな」
「そうだ、そしてわかった」
 こうだ。晴れ渡った声で言うのである。
「この銀河のこともだ」
「それでどうするのですか?」
 ミナキがそのバランに問う。
「貴方は」
「陛下がお許しになれば」
 その前提があればだというのだ。
「わしもまた銀河の為に戦いたい」
「けれど今はなんだあん」
「そうよ、わしはバルマーの臣」
 それはだ。やはり彼にとって絶対のことだった。
「どうしてもそれは守る」
「わかったぜ。ならな!」
「今はこうしてだ!」
「戦う!俺も!」
「バルマーに行きたくば!」
 二人の拳が交差する。
「このわしを倒していくがいい!」
「そうしてやるぜ!」
 こう言い合ってだ。拳を激突させる二人だった。
 その戦いの周りではだ。
 両軍も激しい死闘を展開していた。そしてだ。
 ゼンガーがだ。レーツェルに告げていた。
「友よ、いいな」
「うむ」
 レーツェルも彼の言葉に頷く。
「今ここでもだ」
「その力を振るう!」
「そして銀河の未来を!」
「切り開く!」
 こう言い合いだった。
 二人で敵軍の中に飛び込みだ。。荒れ狂うのだった。
 その巨大な斬艦刀が一閃させる度にだった。
 敵のマシンの首が、胴が腕が乱れ飛び艦が両断される。まさに嵐だった。
「なっ、あれがか!」
「地球のマシンだというのか!」
 近衛軍の精鋭達もだ。彼の戦いの前には言葉を失った。
「まさに鬼だ」
「あの力でこれまで戦ってきたのか」
「何という者達だ」
「参る!」
 そのゼンガーがまた言う。
「我は未来を切り開く剣なり!」
「慎悟君!」
 神代が彼に声をかける。
「私達も。いいわね」
「はい、神代さん」
 慎悟もその言葉に頷く。そうしてだった。
 二人も戦場で剣を振るう。戦いはロンド=ベルが一気に突撃をかけてだった。
 戦いを有利に進めていた。その中でだ。
 ルリアは動かない。その彼女にオルガが問うた。
「手前は戦わないだな」
「私は姫様の僕だ」
「だからだってのか」
「務めは果たした」
 そのアルマナの僕として、というのだ。
「ならば今はだ」
「傍観者でいるんだ」
「そうするんだな」
「そうだ」
 その通りだとだ。クロトとシャニにも答える。
「今はそうさせてもらう」
「ふうん、じゃあね」
「そっちには攻撃しない」
 二人もそれで納得した。こうして彼女は今は動かない。戦いはその間も続く。
 一時間程戦闘が続いた。その時戦場に声が響いた。
「バラン、もういいよ」
「!?そのお声は」
「戦闘は中止だ」
 その声が驚くバラン達に告げる。
「これでね」
「は、はい」
「それでは」
 近衛軍が動きを止めた。それを見てだ。
 ロンド=ベルもだ。ある予感を察してだ。動きを止めていた。
 その彼等にもだ。声がかけられたのだった。
「よく来たね。ナシムの子等よ」
「まさか」
「この声は」
「この強大な念は」
「間違いない」
 彼等はそれぞれ言った。
「このプレッシャー、あの時と同じだ」
「バランの園での」
「ということはあの」
「バルマーの統治者」
「霊帝ルアフ!」
「そう、僕がそのルアフだよ」
 銀河にその巨大な映像が浮かんだ。ルアフのだ。
 そのルアフがだ。ロンド=ベルの面々に話すのだった。
「バルマー帝国の唯一の統治者だよ」
「それではだ」
 アムロがだ。そのルアフに告げた。
「我々の話を聞いてくれるか」
「話を?」
「そうだ、我々はだ」
 アムロはそのルアフに対して話す。
「戦う為ではなくだ」
「別の理由で来たというんだね」
「この銀河を救う為にだ」
 その為にだというのだ。
「この星に来た」
「このバルマーまで」
「そうなのだ」
 クワトロも話す。
「この銀河を終焉から救う為にだ」
「僕の力が必要なのかな」
「まずは会談をしたい」
 クワトロは政治的に話した。
「そのうえで我々に力を貸して欲しい」
「そうだね」
 一呼吸置いてから。ルアフは答えた。
「君達はナシムの子だ」
「だからなんですね」
「そう。ならばこの出会いも運命だろう」
 こうシンジにも言う。そしてだった。
「いいだろう」
 こう言ったのだった。
「君達がゼ=バルマリィの地に降りるころを許そう」
「おい、話が決まったぜ!」
「ああ、これで遂に」
「俺達の戦いがまた一つ終わるんだ」
「バルマーとの長い戦いも」
「これでようやく」
「待っているよ、ナシムの子等」
 ルアフは喜ぶ彼等にまた告げた。
「そこで全てをはじめよう」
 こう話してだ。戦闘を終わらせたのだった。そうしてだ。
 ルリアがだ。彼等のところに来てだった。
 そのうえでだ。彼等に話すのだった。
「あの」
「ああ、ルリアさん」
「大尉のことは有り難うございます」
「本当に」
「いえ、そのことではなくです」
 ルリアはだ。こう彼等に話すのだった。
「貴方達のことですが」
「俺達の?」
「俺達のっていうと」
「一体何が」
「あるんですか?」
「アポカリュプシスのことです」
 そのことを話すのだった。
「そのことですが」
「何かわかったの!?」
 セレーナがすぐに問うた。
「まさか」
「はい、まず貴方達御自身のことです」
 そのことから話すのだった。
「陛下が仰っていました」
「あの霊帝が」
「俺達のことを」
「貴方達はあらゆる力を備えた」
 それが何かというのだ。
「銀河の特異点なのです」
「ふむ、特異美か」
「そうです」
 ガビルに対しても述べる。
「力が集中しています」
「ふむ。そうなのか」
「そしてそれはです」
 その力の集中が何かというのだ。
「それ自体がアカシックレコードの意志なのです」
「アポカリュプシスを引き起こす」
「その意志」
「そうです、言うならばカードを揃える為に」
 何をしたのかというのだ。
「あらゆる手を使って」
「それではだ」
「はい、イデに関してもです」
 こうギジェにも話す。
「同じなのです」
「そうだったのか」
「そうした意味で、です」
 ルリアの言葉は続く。
「貴方達は選ばれたと言えます。しかしです」
「しかし?」
「しかしというと」
「貴方達はその力を戦いに使われてきました」
「それはだ」
 ブライトが反論する。
「我々が生き残る為に止むを得なくだ」
「はい、しかしです」
「しかしというのか」
「そのこと自体がアカシックレコードの定めた真理に反していたのです」
 そうだったというのだ。
「力なき者は淘汰される」
「バルマーの論理」
「それか」
「それが宇宙の掟だからだというのです」
 それで話すというのだ。
「ですが貴方達は結果としてそれに逆らい」
「戦い続けた」
「それが」
「無限の力を浪費したことになるのです」
 こう話すのである。
「そういうことなのです」
「あの」
 ラクスがそのルリアに問うた。
「宜しいでしょうか」
「はい」
「どうしてなのでしょうか」
 こうルリアに問うのであった。
「それは」
「それはというと?」
「それで私達はアカシックレコードに反しているのですね」
「結果としてそうなるようです」
 こう話すルリアだった。
「例えとしてイデです」
「イデか」
「はい、それが一番わかりやすいと思います」
 コスモに対しても答えた。
「イデはアカシックレコードに最も忠実な力とのことです」
「じゃあまさか」
「それって」
「そうだな」
 イデオンとソロシップの面々は顔を顰めさせて話をはじめた。
「俺達の怒りと憎しみの念が」
「それを導いてしまった?」
「今の状況を」
「戦いに」
「それがです」
 または案スルリアだった。
「今の状況へと」
「何てこった」
 思わず言うタシロだった。
「そうなるとはな」
「そうですね。生きる為だったとはいえ」
 副長も言う。
「こうしたことになるとは」
「いえ、悲観することはないと思います」
 ルリアはそれはいいというのだ。
「おどらくどの星の者であっても結果は」
「それならそれで」
「銀河の生命体全てが失敗作になるんじゃ」
「だよな、やっぱり」
「それだと」
「それでだけれど」
 今度尋ねたのはセラーナだった。
「アポカリュプシスから逃れる術はないの?」
「それは」
 ここで顔を曇らせるルリアだった。そのうえでの言葉だった。
「ですがアポカリュプシスはです」
「それ自体は?」
「というと」
「先史文明の頃からその存在を予見さてていたそうです」
「っていうと」
「今までのあれか」
「時々出会った」
「惑星ラクスの遺跡」
「ライディーンの記憶」
「それに死海文書」
「そしておそらくはです」
 さらに話すルリアだった。
「ガンエデンもそうですし」
「そうだったのですか」
 イルイがそれを聞いて言った。
「私もまた」
「そう、あと貴方達が行ったという」
「補完計画ね」
 リツコが察して述べた。
「それね」
「はい、それもまた」
 補完計画もそうだったというのだ。
「アポカリュプシスへの備えだったのです」
「ひいては冥王計画も」
 マサトもわかったのだった。
「その為の」
「そうね。冥王計画は補完計画のスペアだったから」
「はい」
 マサトはミサトの言葉に応えて述べた。
「そうなりますよね」
「結果としてね」
「じゃあつまりは」
「全てはそれに備えて」
「それでだったのか」
「ガンエデンの惑星防衛システムも」
 イルイが言う。
「アポカリュプシスの為の」
「そうなります」
「それでだけれどね」
 アイビスがだ。ルリアに尋ねた。
「もう一つ聞きたいけれどいいかな」
「何でしょうか」
「私達の地球とバルマー帝国のことなんだけれどね」
 こう前置きして尋ねるアイビスだった。
「二つの星にガンエデンが存在する理由は?」
「それについてはです」
「それについては?」
「陛下に御聞き下さい」
 そしてくれというのだった。
「我が帝国の統治者、そしてです」
「もう一つのガンエデンに選ばれし神子」
「霊帝ルアフ」
「彼にか」
「はい、陛下に御聞き下さい」
 ルリアはそこまでは知らなかった。それでだというのだ。
「それで御願いします」
「わかりました。それなら」
「今から降下して」
「そのうえで」
「ひょっとしたらだけれど」
 ティスが話す。
「今のこの状況もよ」
「そうだね。あの人と力を合わせたら」
「若しかしたら」
 ラリアーとデスピニスも言う。
「乗り越えられるかも知れない」
「何とか」
「正直ね、あたし達別の世界の人間だけれど」 
 ティスはそれでもだというのだ。
「こっちの世界にも長いし」
「皆がいるから」
「その世界がなくなるのは」
 後の二人も同じ意見であった。
「嫌だから」
「何とかできたら嬉しいです」
「私の話はこれで終わりです」
 ルリアは話をこれで終わらせた。
「知っているのはこれで」
「いや、待ってくれ」
 だが、だ。トウマがここで彼女に言ってきた。
「アルマナさんはどうなったんだよ」
「姫様ですか」
「ああ、あの姫さんはどうなったんだ?」
「姫様はです」
 ルリアはそのことについて話をはじめた。
「今陛下に直接御会いしてです」
「その霊帝とだな」
「はい、そのうえで、です」
「俺達との会見をか」
「提言されています」
 こう話すのだった。
「今はそうされています」
「それなら」
 リョウトがそこまで聞いて言った。
「あの人の言っていたバルマーの為の戦いですね」
「我々がこの星に帰還してからでした」
 ルリアの話がここで変わった。
「隕石雨が現れました」
「それがか」
「じゃあそれもまた」
「アポカリュプシスの」
「シヴァーによりネビーイームの一つを失った本星はです」
 どうかと話すのであった。
「防衛システムが追いつかず」
「隕石がか」
「バルマーにまで」
「落ちたんですね」
「はい、姫様はそれを御覧になられ」
 どうしたかというのだ。
「アポカリュプシスを確信されました」
「そうでしょうね」
 ミナキがそれを聞いて言った。
「私もそう思いますし」
「はい、その回避の為にです」
「俺達とか」
「他の文明との協力を」
「そこに至った」
「そうです。全てはです」
 どうなのか。それも話すルリアだった。
「貴方達との出会いによるものです」
「わかった。それはな」
「はい」
「じゃあルリアさんはどうなんだ?」
 トウマは彼女自身にも問うた。
「あんたはどうなんだ?」
「私は?」
「ああ、今でもなのか?」
 きょとんとしたルリアに問うのである。
「バルマー以外の人間は対等には見られないか?」
「いえ、それは」
「なくなったんんだな」
「おそらくは」
 どうかとだ。彼女は話したのだった。
「私の中の下らない垣根は壊れていたと思います」
「垣根」
「それが」
「はい、貴方達はです」
 そのロンド=ベルの面々に言うのである。
「姫様を守る為に自分の身を投げ出してくれましたね」
「ハザルとの戦いの時」
「あの時に」
「それを見てからです」
 その時からだというのだ。
「私は。もう」
「そうか、有り難うな」
 トウマはここまで聞いて彼女に笑顔を見せた。
「そう思うようになってくれて」
「いえ、お礼はいいです」
「いいっていうのかよ」
「私もこの銀河に生きる人間の一人ですから」
 だからだというのだ。
「ですから」
「それでなんだな」
「はい、姫様もです」
 ルリアは彼女についても話した。
「勇気を出されました」
「霊帝に提言する」
「それが」
「我が帝国において陛下は絶対の存在です」
 まさにだ。生ける神だというのだ。
「その陛下に提言されるのですから」
「それなら俺達は」
「生きとし生ける者全ての為に」
「戦おう」
「何があっても」190
 こう決意してであった。
 彼等はバルマーに降下していく。最後にだ。
 トウマが乗り込んでいるクロガネも降下しようとする。しかしだ。
 まだ銀河にだ。バランが残っていた。その彼にだった。トウマが声をかけたのだ。
「あんたは来ないのか?」
「わしはだ」
「あんたは?」
「シヴァーに操られておった」
 そのことを悔やんでいるという言葉だった。
「逆賊にな」
「それは仕方ないんじゃないのか」
「陛下はそのわしに御心をかけて下さった」
 先の戦いのことだ。
「その陛下に今はだ」
「会えないっていうのかよ」
「うむ、わしはこの国を去る」
 こうまで言うのだった。
「結果としてそのお心に添えなかったのだからな」
「それは」
「ならばだ!」
 しかしだ。ここでだった。
 ゼンガーがだ。そのバランに言うのであった。
「戦うのだ!」
「戦えというのか」
「そうだ、戦うのだ!」
 こうバランに言うのである。
「己が今したい戦いをだ」
「御主、まさか」
「トウマよ!」
 ゼンガーは今度はトウマに対して告げた。
「わかっているな」
「あ、ああ」
 トウマも頷く。そうしてだった。
 クロガネを出る。ゼンガーも一緒だった。
 ダイテツがだ。その彼に問うた。
「後で来るな」
「はい、大雷鳳は大気圏突入可能ですから」
 だからだ。大丈夫だというのだ。
「心配無用です」
「わかった。それならばだ」
「先に御願いします」
「このダイゼンガーもだ!」
 ゼンガーの機体もだというのだ。
「宇宙の熱気なぞ問題ではない!」
「ふふふ、御主らしいな」
 バランはそんなゼンガーの言葉を聞いて笑った。
「その心で通るか」
「その通りだ。それではだ」
「立会人は御主だな」
「いえ、私もです」
 ミナキもいた。彼女はだ。
 雷鳳に乗っていた。それに乗りだ。
「戦えませんか。ここからです」
「トウマの力になるか」
「はい、大雷鳳の戦いを見させてもらいます」
 そうするとだ。ゼンガーに答えるのだった。
「トウマの戦いを」
「ミナキ・・・・・・」
「トウマ、バランさんと戦って」
 ミナキは切実な顔でトウマに告げた。
「そしてその人の心を」
「ああ、わかってるさ」
 トウマもだ。言うまでもなかった。
 それでだ。あらためてであった。
 バランを見据えてだ。そのうえで言うのであった。
「行くぞ、バラン」
「そうか。わしはこれから」
「その名を捨ててみるがいい!」
 ゼンガーは再びバランに告げた。
「そうして生まれ変わればだ!」
「今まで見えていなかったものがだな」
「そうだ、見えてくるものだ!」
 そうだとだ。断言する彼だった。
「人それを新生と呼ぶ!」
「御主、そこまでわしを」
「そしてそれを果せる者こそ!」
 今度はだ。トウマを見てであった。
「この男だ1」
「そうだな。トウマこそがだな」
「ならば戦うのだ!」
 またしてでもドバンに告げた。
「そして己の新生とせよ!」
「不思議なものだ」
 バランは笑みになっていた。自然にだ。
「先程まで闘志どころから」
「生きる意味もだな」
「それさえ失っていたがな」
 だが、だというのだ。
「御主の言葉とトウマを見ているとだ」
「今俺の名前を呼んだな」
「うむ、呼んだ」
 その通りだとだ。バランはトウマにも笑顔で返した。
「今確かにな」
「そうか。じゃあ俺も」
「わしの名を呼ぶな」
「ああ、バラン=ドバン!」
 実際に彼の名を呼んでみせたトウマだった。
「やるぜ、今こそ!」
「うむ、来るがいい!」
「この戦いであんたは生まれ変わるんだ!」
「礼を言うぞ!」
 ゼンガーとトウマ達への言葉だった。
「くすぶっていた燃えカスに火を点けたことはな!」
「そしてだな」
「そうだ。トウマよ!」
 トウマへの言葉だった。
「このバラン=ドバンとだ」
「そしてそのぺミドバンだよな」
「ドバン家の魂よ!」
 ペミドバンこそがだ。そうだというのだ。
「御主に打ち砕くことができるか!」
「ああ、やってやるさ!」
 トウマも彼のその言葉を受ける。
「そして勝つのはだ!」
「御主だというのか!」
「ああ、俺だ!」
 まさにだ。彼だというのだ。
「それを見せてやる!」
「来い!」
 両者は対峙しながら言い合う。
「我が鎖受けてみよ!」
「俺のこの拳をな!」
 こうしてだ。彼等は一騎打ちに入ったのだった。
 互いに一歩も引かず攻防を続ける。百合、二百合と重ねていく。だが二人は戦い続ける。
 そして千合に達した時だった。遂にだ。
 トウマがだ。ミナキに告げた。
「ミナキ、あれだ!」
「あの技ね、トウマ!」
「そうだ、バランにはあれだ!」
 まさにだ。その技だというのだ。
「あれで決める!それが最高の勝負の決め方だ!」
「そうねトウマそれじゃあ!」
「ダイナミックライトニングオーバー!」
 トウマは叫びはじめた。
「フルドライブ!」
 こう叫んでだった。
「プラズマドライブ!」
 ミナキもだ。ボタンを押した。
「フルバースト!」
「受けろバラン!」
 こうしてだった。
「俺の全てを賭けて!」
「ええ、トウマ!」
「ミナキ!大雷鳳は今!」
「舞って!最高の舞を!」
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
 跳んだ。そしてだ。
 神の鳥になりだ。ペミドバンに蹴りを浴びせた。
「せいやああああああああああああああっ!!」
「百パーセント突破!けれど!」
「これが俺の!」
 攻撃を浴びせてからだ。トウマは再び跳んだ。そしてだ。
 さらにだ。急降下で蹴りを浴びせてだ。
「限界を超えた一撃だ!」
「むうっ、前よりも!」
「受けろ、あんたの新生をーーーーーーーーーーーっ!!」
 再び蹴りを浴びせた。それを受けてだ。
 ペミドバンは大きく吹き飛ばされた。それでだった。
 勝負は決まった。まさにだ。
「俺の勝ちだな!」
「うむ、見事だトウマよ」
 バランは立ち上がった。そのうえでだ。
 トウマに対してだ。こう告げたのだった。
「貴様は勝った、このわしにな」
「ああ、これであんたもな」
「そうだな。しかしな」
「しかし。どうしたんだ?」
「よいぞ、この戦い!」
 笑ってだ。こう言うのだった。
「これこそが漢の戦いよ!これをしてこそよ!」
「そう言うのだな」
「トウマ、御主とはだ」
 そのトウマを見ての言葉だった。
「これからもだ」
「これからもなんだな」
「うむ、正面からこうして戦いたい」
 それがだ。彼の今の願いだった。
「それでよいか」
「ああ、何時でも受けてやるぜ」
 トウマも笑顔でバランに返す。
「あんたとの勝負はまさにな」
「漢の勝負だというのだな」
「だから。これからも頼むぜ」
「うむ、それではな」
「今わしの目は開いた」
 つまりだ。新生がなったというのだ。
「こうなればことの成り行きをだ」
「一緒に見るんだな」
「そうしようぞ。若しもだ」
 ここでだ。断りを入れるバランだった。
「御主等が陛下の敵となればだ」
「その時はか」
「トウマよ、もう一度互いの星と意地を賭けて死力を尽くして戦おうぞ」
「ああ、その時はな」
「そうしようぞ」
 こう言葉を交えさせてであった。
 彼等もバルマー本星に向かうのだった。その大気を超えて。
 ハガネの格納庫の中でだ。マイがアヤに話していた。
「アヤ、これで」
「御免ね、マイ」
 アヤはそのマイに謝罪の言葉を述べる。
「心配をかけて」
「ううん」
 それはいいとだ。マイはアヤに言う。
「アヤが生きていてくれたから」
「いいっていうのね」
「こうしてまた私達のところに帰ってきてくれた」
 そのことをだ。心から喜んでの言葉だった。
「それが嬉しい・・・・・・」
「マイ、これからはね」
 アヤは泣いていた。マイもだ。
「ずっと一緒よ」
「アヤ・・・・・・」
 二人は互いを抱き締め合う。それからだった。 
 アヤはリュウセイに対しても言うのだった。
「話は聞いたわ。貴方は立ち上がったのね」
「けれど俺は」
「いいのよ」
 彼が何を言うのかを察しての言葉だった。
「それはね」
「そうなのか」
「あの時は私もああしたから」
 だからだというのだ。
「それに今の貴方を見ればわかるわ」
「今の俺を」
「あの時の経験がリュウをね」
 どうしたかというのだ。
「より強くしてことがね」
「アヤ・・・・・・」
「只今、リュウ」
 彼にも言うのだった。
 そしてだった。次はだ。
 ライに顔を向けてだ。言うのだった。
「貴方もね」
「大尉・・・・・・」
「私がいない間は貴方がだったのね」
「俺は」
「チームをまとめてくれていたのよね」
 ライに謙遜はさせなかった。
「本当に有り難う」
「・・・・・・はい」
「こうして皆がまた揃うことができたわ」
「そうだよな」
 リュウセイもそのことを言った。
「これでな」
「皆、今日までよく戦ってきてくれたわ」
 アヤは笑顔でだ。ロンド=ベル全員に話した。
「けれどね」
「だよな、本当の戦いはな」
「これからだから」
「バルマーに乗り込むか」
「それとバッフクラン」
「宇宙怪獣も」
「アカシックレコード」
 単語が次々と出されていく。
「いよいよだよな」
「最後の戦いか」
「終わりのはじまりか」
「それ等に立ち向かうには」
 アヤの言葉がだ。鋭いものになっていた。
 その表情もだ。そのうえで言うのだった。
「私達は力を一つにして」
「そして戦う」
「それしかないな」
「バンプレイオスもだな」
 リュウセイも言った。
「力を一つにして」
「銀河の為に」
「戦おう」
「それにしても」
 皆で言い合う中でだ。ヴィレッタは。
 アヤを見ながらだ。いぶかしむ顔で言うのだった。
「アヤは精神制御を受けた様子はない」
「そういえばそうですね」
 彼女の言葉にだ。ウェンディが応える。
「肉体も無事ですし」
「バラン=ドバンに救われた」
「それも出来過ぎていますね」
「しかもトロニウムまで奪取してきた」
「いい条件が揃い過ぎている?」
「若しかして」
 ヴィレッタはその考えを続けていく。
「我々は何者かの思惑の中にいるのだろうか」
「だとするとそれは」
 疑念もあった。そしてそれはだ。一つの大きな謎でもあった。だがその謎の真相を知る者は。今ロンド=ベルにはいないのだった。


第百十三話   完


                                      2011・4・11 
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