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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百十一話 神に守られし星

               第百十一話 神に守られし星
 バルマー軍の迎撃はなかった。それでだ。
 ロンド=ベルは順調に進めた。そうしてだ。
 イルイがだ。一同に話した。
「いよいよです」
「バルマー本星かあ」
「いよいよなんだな」
「そこにか」
「辿り着くんだな」
「思えば色々あったな」
 皆これまでのバルマーとのことを思い出して話す。
「あの連中ともな」
「バルマー戦役もあったし」
「それからも何だかんだで戦ってきたし」
「本当に長い戦いだったよな」
「奴等にとっても俺達にとっても」
「それでもな」
 こうだ。さらに話していくのだった。
「それが終わるんだな」
「話し合いで解決できてばな」
「それでいいよな」
「だよなあ」
 誰もがそれを期待していた。
「それで終われば」
「それに越したことないよな」
「けれど問題は」
 ここでだ。イルイが暗い顔で言う。
「霊帝ルアフが。私たちの話を聞いてくれるかどうか」
「それなのね」
 それを聞いてだ。クスハが言った。
「問題なのは」
「はい、一体どういった人なのか」
 イルイはそのことを話すのだった。
「一切が不明です」
「私もだ」
 マーグもここで話す。
「霊帝の姿を見たことは殆どない」
「私は一度もありません」
 ロゼに至ってはそうだった。
「私の様な者が会える存在ではありませんでした」
「えっ、ロゼさんでもか!?」
 それを聞いて驚きの声をあげたのは甲児だった。
「霊帝に会えなかったってのかよ」
「はい、そうです」
「驚いたな、それは」
 神宮寺もそれには驚きを隠せなかった。
「方面軍の副司令官でもか」
「私達は元々帝国では異端だったからだ」
 それでだとだ。マーグは話すのだった。
「十二支族の一家の長でもあってもだ。それならばだ」
「中々会えないってのか」
「じゃあ霊帝ってのは」
「相当偉い存在なんだな」
「帝国ではまさに神だ」
 そうだとだ。マーグは仲間達に話す。
「唯一にして絶対の存在だ」
「じゃあ生き神様なのか」
 こう考えたのは闘志也だ。
「そういう存在なんだな」
「否定はしない」
 これがマーグの返答だった。
「地球では。キリスト教という宗教があるな」
「あ、ああ」
「それか?」
「その宗教のことを言うのかよ」
「その前身と言ってもいいユダヤ教だが」
 マーグの話はそちらに移った。ユダヤ教にだ。
「似ているかも知れないな」
「そうね。それはね」
 ミサトもだった。マーグのその言葉に頷く。
「言われてみればね」
「似ているな」
「そうね」
 加持とリツコもそれを認めた。
「妙な位にだよな」
「ええ、ユダヤ教とバルマー帝国はね」
「もう一つの死海文書の話もあるしな」
「まるで鏡で合わせた様に」
「バルマー帝国の神は一柱だけだ」
 マーグはさらに話した。
「創世神ズフィルード、即ちだ」
「ガンエデン」
「それだけ」
「本当に唯一神なんだな」
「それがバルマーか」
 こう考えていくのだった。そしてだ。
 彼等はあらためてだ。霊帝のことを考えていく。彼こそは。
「つまりあれか?」
「霊帝はバルマーじゃ本当に生神様なんだな」
「そうなのね」
「そう考えてもらっていい」 
 その通りだとだ。マーグも述べる。
「それが霊帝ルアフだ」
「ルアフ、一体どういった者か」
「相当な力の持ち主らしいけれど」
「それこそ。星を護れるまでに」
「そこまでの人物だっていうのか」
「霊帝については謎に包まれている」
 マーグはこのことも話した。
「どういった人物かもだ」
「本当に謎が多いんだな」
「そうなのね」
「それが霊帝なんだ」
「十二支族の長でも。異端なら情報が入らない」
「そうした相手かあ」
「おそらくはです」
 ロゼも話す。
「バラン殿も詳しくは知らないでしょう」
「あのおっさんでもかよ」
「詳しいことは知らないってのか」
「そうなんだ」
「はい、おそらくは」 
 その通りだとだ。ロゼはさらに話した。
「御存知ありません」
「一体何者なんだ?じゃあ」
「霊帝っていうのは」
「全てが謎に包まれた大帝国の主」
「何と謎めいた存在なのか」
 どうしてもわからないままだ。彼等は本星に向かう。そしてだった。
 その本星ではだ。戦闘が行われていた。
 バッフクラン軍がだ。攻め込んでいた。そうしていたのだ。
「行け!このまま進め!」
「数で押せ!」
「数でなら負けてはいない!」
「このまま押し切れ!」
「くっ、ここまでとはな」
「予想以上の数だ」
 ここにも彼等がいた。エペソとラオデキアがそれぞれ言う。
 見れば七隻のヘルモーズがある。バルマー軍は彼等を中心として戦っているのだ。
「この数で来るか」
「しかもだ」
「駄目だ、止む気配はない」
 サルデスが言う。
「隕石雨はな」
「おのれ、小癪な」
 ヒラデルヒアも忌々しげに言う。
「この状況では」
「怯むな!」
 ここでだ。彼が戦場に到着した。
 ジュデッカ=ゴッツォがだ。七人に告げる。巨大ヘルモーズの艦橋からだ。
「いいな、退くな!」
「おお、尚書戻られましたか」
「ようこそ」
「よし、持ちこたえているな」
 ジュデカ=ゴッツォはまずはこのことをよしとした。
「よくぞ守ってくれた」
「ですが」
「このままではです」
「我等も」
「わかっている。バックフランめ」
 ジュデッカ=ゴッツォはそのバッフクラン軍を忌々しげに見て言う。
「自分達の銀河の戦力の殆どを投入してきたか」
「無駄なあがきだ」
 そのバッフクラン軍の指揮官が言う。
「既にこの銀河の半分はだ」
「貴様等の手中にあるというのか」
「そうだ、我が軍が展開している」
 まさにだ。その通りだというのだ。
「後はこの本星さえ陥落させればだ」
「我等が終わりだというのだな」
「そうだ、終わらせてやろう」
 こうジュデッカ=ゴッツォに告げる。
「今ここでだ」
「各軍突撃だ!」
 別の指揮官が言う。
「防衛線を突破しだ」
「そしてですね」
「そのうえで」
「攻めるのですね」
「そうだ、敵本星へ降下する!」
 まさにだ。そうするというのだ。
「いいな、そうするぞ!」
「了解!」
「それでは!」
「ならん、させるな!」
 ジュデッカ=ゴッツォの声に緊張が走る。
「わかっているな、我等はだ」
「はい、有史以来です」
「本星に敵の侵入を許したことはありません」
 艦隊司令達が応える。
「ですからここは」
「何としても」
「そうだ、防ぐのだ」
 これはジュデッカ=ゴッツォの言いたいことだった。
「何としても陛下を御守りするのだ!」
「了解です」
「それでは」
「今は守る時だ」
 ジュデッカ=ゴッツォも覚悟を決めていた。
「守りきる時なのだ」
「では我々も」
「いざという時は」
 ズフィルードを出す覚悟をしていた。その中でだ。
 迫るバッフクラン軍をだ。雷が襲った。
 それも一個や二個ではない。十を超える光がだ。
 彼等を次々と撃ちだ。その数を減らしていく。
「な、何だ!?」
「この攻撃は一体」
「要塞の砲撃か?」
「それだというのか!?」
「あれこそは」
 エペソがそれを見て言う。
「ネビーイームの裁きの雷」
「では陛下が」
「霊帝ルアフ様が目覚められたというのか」
「遂にか」
「今こそそうされるというのか」
 バルマー軍の者達にだ。生気が戻っていく。
 そしてだ。こう口々に言うのであった。
「よし、勝てる!」
「我等の神が降臨された!」
「バルマーの救世の神が」
「戻られたのだ!」
 こう言って喜ぶ。そうしていた。
 その中でだ。彼等はだった。
 陣を再編成した。その彼等にだ。
 霊帝がだ。こう声をかけるのだった。
「バルマーを護る兵達よ」
「おお、ルアフ様」
「我等の前に姿を現されるとは」
「これは二年振りか」
「何ということだ」
 艦隊司令達が恍惚として言う。
「これで我等はだ」
「救われるのだ」
「この危機から」
「審判の日は近い」
 こう言うルアフだった。
「その時こそだ」
「はい、その時にこそ」
「我等はなのですね」
「選ばれると」
「バルマーの民はこの銀河に生きる唯一の民となろう」
「ルアフ様万歳!」
「バルマーに栄光あれ!」
 こうしてだ。ネビーイームの援護を受けてだ。
 隕石は全て叩き落しバッフクラン軍を退けた。バッフクラン軍はだ。
「くっ、これではだ!」
「止むを得ん、撤退するしかない」
「下がるぞ」
「ここから撤退だ」
 こうしてだ。彼等は大損害を受け撤退したのだった。そしてだ。
 ジュデッカ=ゴッツォ達は勝利の報告にルアフの前に来た。そこは玄室を思わせる巨大でかつ神々しさに満ちた部屋であった。
 その部屋の玉座に座りだ。ルアフは彼等に告げた。
「面を上げよ」
「はっ、それでは」
「御言葉に甘えまして」
 八人はそれを受けて顔をあげる。そうしてだった。 
 あらためてだ。ルアフの言葉を受けるのだった。
「さて、遂に来たね」
「バッフクラン軍が」
「彼等が」
「いや、彼等じゃないよ」
 ルアフはだ。それは否定したのである。
別の相手だよ」
「宇宙怪獣でもないですな」
 ジュデッカ=ゴッツォが言った。
「となると」
「そう、ロンド=ベルだよ」
 そのだ。彼等だというのだ。
「遂に来るんだね」
「あの者達がですか」
「そうだと」
「そう。そして」
 ルアフはここでだった。
 彼等にだ。別のことを尋ねた。
「宰相が何処だい?」
「シヴァー様ですか」
「あの方ですか」
「うん、何処にいるのかな」
 尋ねたのは彼のことだった。
「瞑想から目覚めてみれば彼の姿が見えなくてね」
「そういえば一体」
「どちらにおられるのか」
 八人の返答はあやふやなものになっていた。
 いぶかしみだ。互いに顔を見合わせながら話すのだった。
「おられぬな」
「確かに。何故だ」
「宰相殿がこの危機におられぬとは」
「一体どういうことなのだ」
「やはりね」
 ルアフはそれを聞いてだ。納得した様に呟いた。そのうえでこう言うのであった。
「姿を消しているんだね」
「私にネビーイームを一個授けて下さいました」
 ジュデッカ=ゴッツォはルアフにこのことを話した。
「ですが今は」
「では宰相殿は?」
「まさか」
「本星防衛の任務を放棄されたというのか」
「馬鹿な、あの方がか」
「あの方の忠誠は絶対だったのではないのか」
 シヴァーはだ。その忠誠でも知られていたのだ。
 だからこそだ。彼等も驚きを隠せずだ。口々に言うのだ。
「バルマーへの忠誠篤きことバラン様に匹敵する」
「そして臣民を想うこともだ」
「あの方がというのか」
「信じられぬ」
「それについてだけれどね」
 ルアフがその彼等に話す。
「彼の目指す先は多分」
「多分?」
「多分といいますと」
「それ以上だろうけれどね」
 思わせぶりな笑みと共の言葉だった。
「おそらくね」
「と申しますと」
「それは一体」
「君達が気にすることではないよ」
 こう言ってだ。八人の詮索を止めた。そのうえでだった。
 彼等にだ。あらためてこう話した。
「それよりも今日まで本星を守ってくれたことを」
「それをと仰いますか」
「このことを誉めてつかわそう」
「勿体なきお言葉」
「有り難うございます」
 この言葉にだ。感激を覚えない八人ではなかった。
 それでだ。礼の後でこう述べたのであった。
「既に民の多くは隕石雨を逃れる為にです」
「辺境の星に退避しております」
「シヴァーの手によってだね」
「はい、左様です」
「その通りです」
 すぐに答える彼等だった。
「それによってです」
「この星には戦える者だけが残っています」
「しかしこの本星はです」
「我等がです」
 ここでだ。彼等の言葉が強くなる。
「この本星防衛軍で、です」
「必ずや守り通してみせます」
「頼もしいね。何しろ」 
 八人の言葉と心を受けながら。ルアフはまた言ってみせた。
「僕にとって最大の敵がやって来るからね」
「ロンド=ベルが」
「あの銀河辺境の蛮族がですか」
「この本星に」
「不遜なことに」
「すぐに迎撃の準備を」
 ルアフは彼等にすぐに告げた。
「いいね、彼等を駆逐した後でね」
「はい、その後で」
「そのうえで、なのですか」
「我がゼ=バルマリィ帝国はこの銀河を一つにする」
 そうしてみせるというのだ。
「ゾヴォークやキャンベルを取り込んででね」
「おおい、遂にですか」
「創世神hがそのお力で我等を」
「御救いになられるのですね」
「その通りだよ」
(待っているよ、ナシムの子等)
 ルアフは心の中でも呟いた。
(そして決めよう。この銀河の終焉を乗り越えるのは)
 誰かというのだ。
(ナシムの子なのか、ゲベルの子なのかを)
 こうしてだった。彼等も決戦に赴くのだった。
 ロンド=ベルは遂にだ。本星のすぐ手前まで来た。
「来たなあ」
「ああ、バルマー本星」
「連中の本星はあそこか」
「あの星なのか」
「何か同じだな」
 今言ったのはサンシローだ。
「地球と大して変わらないな」
「大気等の状況は同じだ」
 ヴィレッタがサンシローにこう話す。
「そうしたものはな」
「そうなのか」
「そうだ。無論海もあれば気候もある」
 そうしたものも存在しているというのだ。
「地球とだ。地形以外は同じだ」
「それがバルマー本星か」
「あの星なのね」
「そうなのか」
「バルマー戦役からの戦いの元凶のか」
「本拠地なんだな」
 そんな話をしてだ。本星に近付く。その彼等の前にだ。
 バルマーの大軍が姿を現した。そのうえでだ。
 ジュデッカ=ゴッツォがだ。彼等に言うのであった。
「もうここまで来たというのか」
「ああ、そうだよ」
「ここまでな」
「来たぜ」
 その通りだとだ。彼等も返す。
「ここに来た理由はわかってるな」
「話し合いだな」
「そうだ、我々との会見に応じて頂けるか」
 大文字がロンド=ベルを代表して告げた。
「これからだが」
「会見か」
 ジュデッカ=ゴッツォが彼に応じる。
「何度も話しているそのことだな」
「そうだ、その返答は」
「その必要はない」
 返事は同じだった。ここでもだ。
「一切ない、その必要はだ」
「それは何故だ」
「我が帝国は唯一にして絶対の銀河の覇者だ」
 それが理由だというのだ。
「そのわれらが他の星の人間の言葉を聞くなぞあってはならないのだ」
「我等が聞くのは霊帝ルアフ様のお言葉のみ」
「それ以外にはないのだ」
 エペソやラオデキア達もここで言う。
「その我等がだ」
「どうして話を聞こうか」
「しかしだ」
 大文字はまた彼等に言う。
「貴方達も気付いていることだ」
「今の銀河のことか」
「そうだ、何かが起ころうとしていることを」
 彼はこう冷静に話していく。
「降り注ぐ隕石雨に異常発生する宇宙怪獣」
「そういったものを見てだな」
「それ等はある意志によるものであり」
 大文字はさらに話す。
「全ての生命体は力を合わせてそれに立ち向かっていく必要がある」
「それはだ」
 ジュデッカ=ゴッツォが大文字に反論する。
「我等が神ズフィルードによって為される」
「創世神ズフィルード」
 アムロがその名を呟く。
「バルマーのガンエデンか」
「だからだ。汝等と話し合いは不要だ」
 こう結論がだ。ジュデッカ=ゴッツォから出た。
「そしてだ。汝等はだ」
「既に我がバルマーの軍を多く崩壊に追いやった」
「多くの領土を失わせた」
「その汝等はだ」
「神罰に値する」
 エペソ達が言う。そうしてだ。
 ジュデッカ=ゴッツォがだ。ここでまた言った。
「だからこそだ。覚悟するのだ」
「ここで汝等を滅ぼす」
「チリ一つ残さずにな」
 こうそれぞれ言ってだ。軍を出してきたのだった。
 それを見てだ。ロンド=ベルもだった。
「仕方ないな」
「こうなったらな」
「実力行使しかないか」
「戦わないと生き残れない」
「それなら!」
 取る手段は一つしかなかった。そしてだ。
 その手段がだ。今取られたのだった。
「全軍出撃だ!」
「攻撃開始だ!」
「そして意地でもだ!」
「霊帝と会見するんだ!」
 実力行使だった。それを今決意したのだった。
 リュウセイもだ。こう皆に言う。
「行こうぜ皆!」
「ああ、わかってるって」
「ここはな」
「それしかない」
 サブロウタにラッセ、それにクルツが応える。
「行くとするか」
「ああ、長いバルマー戦役からの戦いもな!」
 リュウセイはロックオンにも告げた。
「ここで決着だ!」
「そうだな。そして」
 レビも言う。
「私自身の因縁も」
 こうしてだった。両軍は戦闘に入った。
 バルマー軍はその数を活かしてだ。
 ロンド=ベルを半月状の陣で囲みだした。そのうえで彼等を包囲殲滅せんとしていた。
「よいか、ヘルモーズを前に出すのだ」
「はい、そしてですね」
「その主砲で」
「撃つのだ」
 ジュデッカ=ゴッツォ達が艦隊司令達に命じる。
「いいな、そしてそれと共にだ」
「はい、奴等を包囲し」
「そのうえで」
「殲滅する」
 こう言うのであった。
「よいな」
「了解です」
「それでは」
 こうしてだった。彼等はロンド=ベルを包囲しようとする。そのうえでだ。
 十二の要塞も来た。それこそは。
「ネビーイームか」
「それも持って来たのね」
「しかも今度は一つじゃない」
 十二だ。全てあった。
「あんなので攻撃を受けたら」
「それで敵のこの数」
「洒落になってないな」
「どうするべきか」
「動くことだ」
 シナプスが言った。
「ここはだ。動きだ」
「敵を囲ませない」
「そして狙わせない」
「そうだ。全軍これより正面に向かう」
 まずは正面というのだ。
「そして中央突破を計りだ」
「敵の本星にですか」
「降下しますか?」
「いや、それをすればかえってまずい」
 それはしないというのだ。
「降下の時を狙われる。降下は戦いに勝ってからだ」
「それからですか」
「それから降下ですか」
「そうする。少なくとも敵を倒してからだ」
 降下をするというのである。
「わかったな。それではだ」
「中央突破をしてそれから」
「反転してまた向かう」
「そうしていくんですか」
「その通りだ。ではだ」
 こうしてだった。作戦が決定した。
 ロンド=ベルはそのまま全軍で正面に向かう。ヘルモーズの主砲が彼等を襲う。しかしだった。
 それはかわされる。それを見てだ。ラオデキアが言う。
「機動力を活かすか」
「そうだな、そして寡兵も」
「かえって活かしてか」
「そのうえで戦うか」
 他の艦隊司令達も口々に言う。
「どうやらここまで来たのはだ」
「運ではないようだな」
「陛下の仰る通りだ」
「この者達はだ」
 どうかというのである。
「我が帝国にとって最大の脅威」
「伊達に四つの方面軍を破ったわけではないか」
「それならばだ」
 彼等も覚悟を決めた。しかしだ。
 その彼等にだ。ルアフが言うのであった。
「いいかな」
「はっ、陛下」
「何でしょうか」
「今はズフィルードを出す必要はないよ」
 それはいいというのである。
「敗れたらね。ズフィルードシステムと一緒にね」
「共に」
「どうせよと」
「本星に戻ってくるんだ」
 そうしろというのである。
「いいね、そうするんだ」
「それで宜しいのですね」
 ジュデッカ=ゴッツォがルアフに問い返す。
「今は」
「うん、いいよ」
 ルアフの言葉は変わらない。
「それでいいからね」
「わかりました。それでは」
 こうしてだ。彼等の方針が決まったのだ。その中でだ。 
 ロンド=ベルの戦いが続く。彼等は機動力を活かしてバルマーの大軍を相手にしていた。
「よし、これで!」
「動き回ってれば当たらないってね!」
 これが彼等の狙いだった。そうしてだ。
 彼等は敵の数をだ。次第に減らしていった。それでだ。
 気付けば敵の戦力はだ。
「半分位だな」
「ああ、そうだな」
「それ位には減ったな」
「大体な」
 敵の数をだ。そこまで減らしたのだ。しかしだ。
 戦いはまだ続く。彼等の機動戦は続く。
 その中でだ。万丈は。
 ダイターンハンマーを振り回した。周りの敵を叩き潰していた。
「敵の数が多い時はやっぱりこれだね」
「万丈、いいか」
 マリンがその彼に声をかけた。
「敵の動きだが」
「そうだね。少しね」
「静かだな」
 このことにだ。彼は気付いたのだ。
「妙に。これは一体」
「普段のバルマーなら」
 何度も戦っているだけにだ。もうその手の内はわかっているのだ。
「それこそもっと攻めてくるのに」
「それがない」
「さて、何を考えているのかな」
 万丈は探る顔で言った。
「彼等は」
「へっ、何が来てもな!」
 忍が言う。
「一気に叩き潰してやるだけだぜ!」
「そう簡単に考えていいのか」
「かえってその方がいいね」
 いぶかしむマリンに万丈が話す。
「今はね」
「そうなのか」
「そうだよ。今は難しく考えない」
 また言うのだった。
「どうせまた考えないといけない時が来るんだ」
「その時がか」
「今敵のネビーイームは離れた場所にあるけれど」
 その通りだった。敵の人工惑星はどれも離れた場所にある。
 しかしだ。そのそれぞれが動いていた。次第にだ。
 彼等に近付いてきていた。それを見て言う万丈だった。
「ほら、来ているからね」
「まさか。要塞の砲撃で」
「僕達を殲滅するつもりだろうね」
「まずいですね、それは」
 ファーラがそれを見て言う。
「このままですと。敵の砲撃が」
「その前にケリをつけるか」
 黄金は短期決戦を主張した。
「ここは」
「そうしよう。だから考えるよりもね」
 万丈はまた言った。
「今は動くべきなんだ」
「そういうことか」
「うん、そうだよ」
 マリンに話してだ。そうしてであった。
 彼はハンマーを振るい続ける。それで左右の敵を粉砕していく。その彼等の攻撃は遂に。
 ヘルモーズにも及んだ。まずは七隻の戦艦がであった。
「くっ、それではだ」
「総員退艦せよ」
「そしてだ」
 彼等は口々に言う。
「ズフィルードシステムを持ってだ」
「本星に撤退する」
「そうするぞ」
 こう言って撤退する彼等だった。そしてだ。
 ジュデッカ=ゴッツォもだった。巨大ヘルモーズが撃沈されてだ。
 彼もまた撤退する。それと共にだ。
 バルマー軍もその数を大きく減らしたうえで撤退する。ロンド=ベルはまずは勝利を収めた。
「さて、敵は退けたけれど」
「これで本星に降下する?」
「いよいよ」
「それができればいいんだけれどね」
 ここでまた言う万丈だった。
「果たしてね」
「っていうとやっぱり」
「ネビーイームかあ」
「あれを何とかしないと」
「降下どころじゃないか」
「その通りだよ」 
 そしてだ。さらにであった。
 あの声が出て来た。それと共にだ。
 彼等の前に出て来たのはだ。あの女であった。
「エツィーラ=トーラー!」
「出て来たってのか!」
「ここで!」
「そうさ。あんた達を試させてもらいにね」
 それで出て来たというのである。
「私自らね」
「!?また!」
「また出て来た!」
 彼女の前にだ。バルマーの軍勢が出て来た。
 先程の本星方面軍より多くはない。しかしだ。
 結構な数の軍が出て来た。それを引き連れる形でまた言うエツィーラであった。
「私とこの軍だけじゃないよ」
「ネビーイームもかよ」
「敵さんの第二陣」
「それが出て来たってんだな」
「そういうことになるね」
 エツィーラは言う。その間にだ。
 十二のネビーイームが接近してきた。そしてだ。
 ここでだ。レビが不意に叫びだった。
「うっ!!」
「どうしたってんだ、レビ!」
「感じた」
 こうリュウセイに言うのであった。
「強大な念と共に」
「念と共に!?」
「アヤの念を感じた」
 それをだというのだ。
「ネビーイームの中に」
「ってことは」
「あのエイスって奴が言ってた様にか」
「大尉は生きている」
「そうだってのか」
「おそらくはだ」
 ヴィレッタもここで話す。
「ネビーイームの雷撃だが」
「そういえばそうね」
「そうだな」
 カナンとヒギンズがここで気付いた。
「バラルの園のものとね」
「同じだな」
「そうだ。その制御システムはだ」
 それを話すヴィレッタだった。
「同じものだろう」
「念動力を用いて」
「その照準や出力の調整を行っている」
 ナンガとラッセも言う。
「それがか」
「あのネビーイームの正体か」
「おそらくアヤは」
 レビがまた言う。
「そのコアに」
「わかるか、レビ」
 リュウセイはすぐにレビに問うた。
「その念を何処から感じたか」
「わからない。ただ」
「十二のネビーイームのどれかになんだな」
「違う」
 それはその通りだが、というのだ。
「もっとはっきりわかる」
「どのネビーイームにいるかがか」
「バンプレイオスのティーリンクセンサーと私の念を同調させれば」
 それによってだというのだ。
「わかる。それは」
「それは!?」
「あれだ!」
 ネビーイームの一つを指し示したのだ。一番奥のものだった。
「あのネビーイームだ!」
「あれか!」
「あれなのね!」
「あのネビーイームにアヤがいる」
 こう仲間達に話す。
「あの中にだ」
「それならな!」
 リュウセイが叫ぶ。
「行くぞ!バンプレイオスで救出する!」
「了解だ!」
「行こう!」
 ライとレビも応える。
「大尉を、今度こそ」
「死なせはしない!」
「気付いた様だね」
 エツィーラも彼等のやり取りを見て言う。
「どうやら」
「全軍でだ」
 大河が指示を出す。
「アヤ=コバヤシ大尉の救出を援護する!」
「了解!」
「それならだ!」
「やってやる!」
 全軍戦いの後だが士気は維持されている。そのうえでの言葉だった。
「覚悟しやがれ!」
「その防衛ライン突破してやるぜ!」
「できればね」
 エツィーラも受けて立つ。そうした言葉だった。
「このエツィーラ=トーラーを甘く見るんじゃないよ」
「言うものだな」
 マーグが彼女に返す。
「かつては徳の高い神官だった貴様も。今ではまさに魔女だ」
「確かに。以前とは全く違いますね」
 ロゼもそのことについて言う。
「まるで別人です」
「何があった」
「知ったのさ」
 そうだとだ。マーグ達に返すエツィーラだった。
「何もかもをね」
「知ったというと」
「まさか」
「察しがいいね。そうだよ」
 二人の言葉を受けてだ。また言うエツィーラだった。
「アポカリュプシスも。何もかもをね」
「では聞かせてもらおう」
 マーグはそのエツィーラを見据えてまた言った。
「アポカリュプシスのことをな」
「是非共」
「おっと、言ううもりはないよ」
 しかしそれは断るエツィーラだった。
「勿体ぶる訳ではないな」
「それとは違うというのね」
「その通りだよ。さて、捕らえている女だけれどね」
 エツィーラは話を変えてきた。アヤについてだった。
「助け出したければ。わかってるね」
「ああ、当然だ!」
 リュウセイが彼女に返す。
「御前の軍を倒して!そして!」
「ネビーイームを全て破壊する!」
 レビも言う。
「そうしてだ!大尉を!」
「アヤを救い出す!」
「その通りだ」
 ライもだ。当然そのつもりだった。
 そしてだ。三人はだ。バンプレイオスを駆りだ。
 今突進をはじめた。彼等を先頭にしてだ。 
 ロンド=ベルも突進する。そのうえでアヤを助け出す戦いをはじめるのだった。


第百十一話   完


                                  2011・4・3
 
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