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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第百話 捕虜解放

                  第百話 捕虜解放
 プロトデビルンとの戦いについて考えるロンド=ベル。その彼等の調査が進みだ。
 それでだ。すぐにその本拠地がわかったのだった。
「えっ、バロータですか」
「そこにですか」
「奴等の本拠地がですか」
「そこにあるんですね」
「そうだ、そこにある」
 まさにだ。そこにだというのだ。話すのは大文字である。
「今からそこに向かうとしよう」
「わかりました。じゃあ今からですね」
「そのバロータに向かって」
「そうしてですね」
「奴等を倒すんですね」
「決戦ですね」
 こうしてだった。彼等はそのバロータに向かうことになった。それでだ。
 ここでだ。彼等はまた話をするのであった。
「バロータなあ」
「そういえば何回か話出てたっけ」
「詳しい場所がわからなかっただけで」
「それだけだったよな」
「そうよね」
 こんな話をしてだった。彼等もであった。
 バロータに進む。その中でだった。あることも話された。
「そういえばプロトデビルンの軍ってな」
「そうそう、洗脳した人間使ってるんだよな」
「その戦力を俺達に向けてるんだよな」
「じゃあその洗脳を解けば敵の戦力も減るし」
「それにその人達も助かる」
「いいこと尽くめじゃないか?」
 このことに気付いたのだ。
「じゃあ今度からは」
「そうする?」
「敵を取り除く?」
「そうしようか」
「ここは」
「それだと」
 ここでだ。また話をするのであった。
「いや、待て」
「待てって?」
「何かあるの?ひょっとして」
「その洗脳した人達に」
「何かあるんだ」
「ある」
 話したのは金竜だった。強い声で言う。
「洗脳している連中は必ず何処かに集められている筈だ」
「ああ、そうですね」
 ドッカーが金竜のその言葉に頷いた。
「いつも出撃させてる筈もないですし」
「戦力を置く場所が必要だな」
「予備ですね」
「そうだ、その予備戦力を多く場所がある」
 また話す金竜だった。
「そこを襲い敵の戦力を一気に減らすべきだ」
「いい考えですね」
 フィジカも金竜のその言葉に頷く。
「それじゃあ今は」
「よし、じゃあ敵のその本拠地を襲って」
「敵の戦力を一気に減らそう」
「そして洗脳されている人達も解放しましょう」
「ただ。問題はです」
 ここで言ったのはガムリンだった。
「その惑星の場所ですね」
「問題はそこだよな」
「どの星に洗脳した人達を置いているか」
「何処なのかだけれど」
「何処かな、一体」
「その星は」
「とりあえず?」
 今言ったのはだ。ミレーヌだった。
「敵の動きを見ればわかると思うけれど」
「戦力を出している場所がそこだよな」
「本拠地かも知れないけれど」
「けれどそれならそれで」
「敵の動きを見るか、まずは」
「プロトデビルンの」
 こうしてだった。彼等の動きも決まったのだった。
 とりあえずプロトデビルンとの戦いはなかった。だがその動きは見ていた。
 バロータ星系の場所はもう確認していた。それを見るとだ。
 彼等はある星から出撃している。その星は。
「第四惑星だな」
「そうですね。そこから出撃していますね」
「それならそこに入って」
「そのうえで」
「いきなり敵の本拠地に殴り込むのね」
 今言ったのはだ。プロフェッサーだった。
「派手な戦いになりそうね」
「正直成功率は低いです」
 ルリがこう話す。
「可能性はです」
「殆どないとか?」
「やっぱり」
「〇・〇〇〇〇十三パーセントです」
 それだけだというのであった。
「ないに等しいですね」
「何か俺達ってこんなのばっかじゃねえか?」
「作戦の可能性全然ないよな」
「本当に全く」
「これじゃあとてもなあ」
「成功しないっていうか」
「けれどそれでもな」
 彼等はだ。それでもだというのだった。
「やらないといけないな」
「ああ、それじゃあ」
「やるか、第四惑星への殴り込み」
「洗脳している人達の為に」
「ここは」
「よし、わかった」
 ここで頷いたのはだ。全員であった。
「やってやるか」
「それならもう腹括ってな」
「そのひでえ確率を百パーセントにするか」
「そうするか」
「その通りですね」
 ルリもだ。ここで微笑むのだった。
「どれだけ可能性が低くても。成功させるのが私達ですね」
「そういうことだからな」
「それならな」
「一気に突入して」
「解放して一気にな」
「離脱するか」
「そうしましょう」
 こう話してだ。作戦が決まったのだった。
 全軍密かに第四惑星に向かう。そうしてだった。
 惑星の裏側からだ。降下した。
「いいか、洗脳されている人達の場所を突き止める!」
「エネルギー反応の高い場所だ!」
「そこに行き一気に!」
「解放してそして!」
「離脱だ!」
 指示が次々に下る。
「そうするぞ!」
「いいな、行くぞ!」
「今からだ!」
「出撃だ!」
 こうしてだった。彼等はだった。まずはエネルギー反応を見た。するとだ。
 惑星のあるポイントにだ。それがあった。
「あったな」
「ああ、あそこか」
「あそこに行ってそうして」
「解放だ」
「いいな」
「そうするぞ」
 こう話してだった。彼等はだ。
 そのポイントに向かう。しかしそこには既にだ。
「やはり来たな!」
「ガオオオオオン!」
「げっ、あの美野郎!」
「それにあのでかいのも!」
「またいやがったか!」
「あの二人かよ!」
 ガビルとグラビルだった。いるのは彼等だった。
「あの連中かよ」
「糞っ、腐れ縁にも程があるだろ」
「全くよ、ここでもかよ」
「奴等と戦うんだな」
「さて、戦いだ!」
 だが、だ。ガビルは上機嫌で言うのであった。
「この戦いは防衛美!」
「どういう意味だよ、それ」
「守る美しさ?」
「それ?」
「その通りだ。そして御前達は攻撃美!」
 しっかりとだ。ロンド=ベルの面々にも言うのだった。
「そうなるのだ」
「防衛美に攻撃美」
「つまり攻防かよ」
「そう言うんだな」
「じゃあ俺達だって」
「ここは」
「戦う気がないならここには来ないな」
 また言う彼だった。
「それならだ」
「よし、来るぞ!」
「それなら!」
「やるぞ!」
「ここは!」
 こうしてだった。ロンド=ベルはガビル達に向かう。両軍の戦いがここでもはじまった。
「よし!突入するぜ!」
「ちょっと、バサラ!」
 ここでもだ。ミレーヌはバサラに言う。
「一機で突っ込むつもりなの!?」
「ああ、おかしいか?」
「おかしい以前の問題でしょ」
 ミレーヌは常識から話す。
「普通そんなことしないでしょ」
「俺には普通なんてないんだよ」
「またそう言うのね」
「そうだよ。俺は俺だ!」
 ここで高らかに叫ぶ。ギターも出す。
 それを奏でながらだ。彼はあの台詞を叫んだ。
「俺の歌を聴けーーーーーーーっ!」
「来たな熱き男よ!」
 ガビルも嬉しそうである。
「御前の美、また見せてもらおう!」
「おう、どんどん聴け!」
 バサラもガビルのその言葉を受ける。
「遠慮なくな!」
「そうさせてもらおう!」
「あの二人って」
「だよな」
「あれで案外な」
「馬合ってるよな」
 その二人を見て周りも言う。
「さりげなく言葉も訂正してるし」
「訳のわからない関係だな」
「本当にな」
 こんな話をしているうちにだった。戦いがさらにだった。
 激しくなる。だがロンド=ベルは少しずつ目的地に向かっていた。
「よし、もうすぐだ!」
「もうすぐ辿り着く!」
「そうしたら捕虜の人達を解放して」
「撤退だ!」
「待て」
 ここでだ。言ったのはギジェだった。
「一つ聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「聞きたいことって?」
「一体それ何ですか?」
「急にまた」
「今回捕虜になっている物に地球の者は少ない」
 ギジェが言うのはこのことだった。
「我等の同胞も多いだろう」
「ああ、バッフクランな」
「そういえば多いですよね」
「プロトデビルンって連中とも戦ってるし」
「それならですね」
「やっぱり」
「そしてだ」
 しかもだ。まだあるのだった。
「バルマー帝国もいるし」
「後はグラドスに」
「ゾヴォークの人達もいるし」
「ゾヴォークはいいとして」
 彼等はだ。いいとした。
「ボアザンにキャンベルの人達もいるし」
「他にはゼントラーディとか?」
「色々な人がいるよな」
「やっぱり」
「その中で問題はだ」
 ギジェが指摘するのはだった。
「バッフクランやバルマーの者達はいいか」
「あの連中か」
「ギジェさんやカララさんの同胞ですよね」
「あの人達も」
「私達の同胞かどうかは今は置いておこう」
 ギジェが言いたいことはそこにはなかった。
「彼等は敵だ」
「ええ、確かに」
「それはその通りです」
「そのことですか」
「そうだ。敵であろうとも解放するのだな」
 ギジェの言葉が具体的なものになった。
「また敵になろうとも」
「そんなこと関係ねえよ」
「このままプロトデビルンに洗脳されて利用されるよりな」
「そんなこと全然な」
「いいからな」
 こう話す彼等だった。
「敵とかそんなのな」
「関係ねえよ、今更」
「そうそう」
「気にしないですから」
「捕虜を解放すればまた敵に回る」
 ギジェはまた話した。
「それでもいいのだな」
「だからいいんだよ」
 答えたのはコスモだった。
「そんなこと今更な」
「そんな問題ではない」
 ベスもだ。わかってきたのだ。
「他ならないギジェを見てわかった」
「私をか」
「そうだ。わかったんだ」
 こう話すのだった。
「だからここはだ」
「敵とかそんなの関係ねえ!」
「バッフクランだろうがバルマーだろうが!」
「関係ないから!」
「わかった」
 ここまで聞いてだ。納得した顔で微笑むギジェだった。
 そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「では私はもう何も言わない」
「そうか、それなら!」
「一気に行くぜ!」
「そして奴等を倒す!」
「プロトデビルンの奴等を!」
「面白い、来るのだ!」
 ガビルがその彼等を受けて立つ。
「戦う、これこそ戦闘美!」
「また美かよ!」
「それでも今はな!」
「一気に行くぜ!」
「覚悟しやがれ!」
 そこは洞窟だった。そこを目指すのだった。
 彼等は洞窟の前に来た。するとだ。
 一気にだ。バサラが突っ込んだ。
「ここで歌えばいいんだな!」
「ああ、歌ってくれ!」
「一気にな!」
「やってくれよ!」
「よし!いいか皆!」
 バサラはここでもギターを構えた。ミレーヌとレイ達も一緒だ。
「ライブの開始だ!」
「ええ、何時でもいいわよ!」
「派手に奏でるぞ!」
「・・・・・・・・・」
 こうしてだった。ファイアーボンバーのライブがはじまったのだった。
 演奏がはじまるとだ。自然にだ。
 捕虜達は少しずつ目覚めてだ。そうしてだった。
「な、何だ?」
「俺達どうしてこんなところにいるんだ?」
「ここは何だ?」
「何処なんだ?」
「それにこの連中」
「ああ、そうだな」
 彼等はだ。ここで言うのであった。
「ロンド=ベルか!」
「敵だ!」
「何故こんなところに!」
「一体どういうつもりだ!」
「話は後です!」
 綾人がその彼等に告げる。
「今は脱出する方が先です!」
「脱出?そういえば」
「ここってプロトデビルンだよな」
「ああ、そうだな」
「俺達この連中に捕まってたんだ」
「そうだったんだ」
 このことにも気付く。そしてだ。
「糞っ、こうなったら!」
「あの連中ぶっ倒して!」
「脱出するぞ!」
「すぐにな!」
「何だ、この連中」
 ここでだ。火麻が言った。
「俺達とリアクション変わらないよな」
「ああ、何かな」
「外見も言葉遣いもな」
「バッフクランでもバルマーでも」
「全然な」
 このことに気付いたのだった。他の面々もだ。
「変わらないんだな」
「そうなんだな」 
 このことにも気付いたのだった。そしてである。 
 あらためてだ。凱が彼等に叫ぶ。
「皆で脱出するぞ!」
「あ、ああ」
「そういえばそれだな」
「とにかく今はここから脱出しないとな」
「話がはじまらないな」
「そうだ。脱出だ!」
 また叫ぶ凱だった。
「わかったな!」
「皆洗脳が解けたな!」 
 バサラがこのことを確認する。
「それならだ!」
「あんた達は早く脱出してくれ!」
「ここは俺達が後詰になる!」
「今はな!」
「だから早く脱出を!」
 こう捕虜達に告げる。それを受けてだ。
 彼等も脱出する。それでだった。
 まずはプロトデビルンの機体に乗っている彼等を脱出させる。それからだ。
 彼等もだ。敵と戦いながらだ。少しずつ脱出するのだった。
「後詰か」
「そういえばいつも真っ先に突っ込んでるけれど」
「こうして後詰になるのって」
「結構難しいよな」
「何か」
「いや、かなり難しいぞ」
 今話したのはテツヤだった。
「後詰の経験はあるが。やはり慣れないな」
「確かに。これは」
「しかも追いすがって来るのがあの連中だし」
「中々やばいな」
「ここは」
「そんなの気にするこたあねえ!」
 ここでも叫ぶバサラだった。ギターを手にしている。
「追いすがるならな!」
「歌か」
「それかよ、ここでも」
「歌売ってんだな」
「その通りだ!どいつもこいつもな!」
 そしてだった。この言葉だった。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーーっ!」
「その通りだ!」
 応えたのは大河だった。
「諸君、バサラ君の歌を聴きだ!」
「そのうえでですか」
「この戦場から脱出する」
「そうするんですね」
「その通り、全員脱出する!」
 一人残らずだというのであった。
「いいな、この惑星からだ!」
「了解!」
「それなら!」
「全員で脱出だ!」
「この惑星からな!」
 こうしてだった。戦いながらだ。彼等は撤退するのだった。
 次第にだ。戦場を離脱してだった。
 最後にだ。一斉攻撃を放った。それでプロトデビルン達の軍を退けた。 
 それを受けてだ。ガビルは。
「むっ、これでは」
「ガオオオオオン!」
「そうだ、グラビル怯んではならない」
 数が減ってもだ。それでもだった。
「このまま追うぞ」
「ガオオオン!」
「この星を出ようとも」
 それでもだというのであった。
「あの者達を追うぞ」
「ガオオオオオン!」
「それこそ追撃美!」
「よし、来るなら来やがれ!」
 バサラもガビルのその言葉を受ける。
「俺達は今は逃げきってやる!」
「次の戦いの為にね!」
 ミレーヌもだ。そこにいた。
「今は!」
「逃げ切ってやるぜ!」
 ロンド=ベルは全軍だ。戦場から離脱したのだった。
「そして次の戦いの為に!」
「生きてやるわよ!」
「絶対にな!」
「皆、いいかい!?」
 万丈もここで言う。
「捕虜の人達を護衛するんだ!」
「了解!」
「それを忘れたらね!」
「お話にならないですよね」
「やっぱり」
「そう、それも忘れないことだ」
 こう言うのであった。
「いいね、それは」
「了解です」
「何はともあれあの美野郎の軍勢は振り切りましたし」
「それならですね」
「後は」
「そうだ、この惑星から離脱する」
 グローバルが述べた。
「いいな、今からだ」
「了解です」
「それじゃあですね」
「今から」
 こうしてだった。彼等は第四惑星から離脱するのであった。
 だが、であった。離脱してもだ。彼等は安心してはいなかった。
「まあ捕虜の人達は解放したけれど」
「けれどよね」
「この人達をどうするか」
「それだけれど」
「それは安心することだ」
 その捕虜の責任者、バッフクラン軍の将軍だった者が言ってきた。
「安全圏まで出られたらだ。後は自力で脱出できる」
「大丈夫だっていうんですか」
「そうなんですか?」
「大丈夫なんですか」
「そうだ、我々とてだ」
 こう話す将軍だった。
「それだけの能力はある」
「まあ移動用の艦船もありますし」
 プロトデビルンのその船のことだ。
「それを使ってですね」
「移動できるからですか」
「それで、ですね」
「そうだ。そのことは心配無用だ」
 見ればだ。他の者達もそうだというのであった。
「我々は安全圏まで脱出できればだ」
「後はそれぞれの場所に戻られる」
「諸君等にそこまで迷惑はかけぬ」
「それは安心してくれ」
「わかりました」
 ベスが応えた。
「それではそうさせてもらいます」
「うむ。それにしてもだ」
 将軍はそのベスにだ。こう言うのであった。見れば武骨な顔をした如何にも軍人といった顔立ちの男である。
「君達は我々を助けてくれたがだ」
「そのことですか」
「それは何故だ」
 将軍にしてもだ。そのことを聞かずにはいられないのだ。
「何故我々を助けた」
「そうだ、我々は君達の敵だ」
「それ以外の何者でもない」
「何故敵の我々を助ける」
「それはどうしてだ」
「助けずにはいられないからだよ」
 答えたのはコスモだった。
「だからだよ」
「だからだというのか」
「ああ、そうだよ」
 また言うコスモだった。
「そりゃあんた達は俺達の敵さ」
「うむ、その通りだ」
「けれどな。あんた達はプロトデビルンに利用されていた」
「それでなのか」
「そのあんた達を救えば結果的に奴等の力も削げる、それにだよ」
 ここでだった。話の核心を話すのだった。
「あんた達があのまま利用されるのを見るのもな」
「忍びなかったか」
「そう思ってくれていいさ」
 コスモはここでは幾分素直でなかった。
「俺が言うのはそれだけさ」
「そうか」
「それよりもよ」
 今度はカーシャだった。彼女は将軍に問うのだった。
「あんた達食べ物とか水はあるの?」
「あっ、そうだよな」
「プロトデビルンってものは食わないから」
「水とかは?」
「そういうのはあるんですか?」
「大丈夫ですか?それは」
「安心するのだ」
 こう答えた将軍だった。
「それもある」
「あるんですか、ちゃんと」
「じゃあそのこともですね」
「心配はいらない」
「そうなんですか」
「そうだ、それもある」
 また言う将軍だった。
「そのことも安心していい」
「じゃあまあ」
「とりあえず安全圏までってことで」
「送らせてもらいます」
「そういうことで」
 こう話してだった。彼等はだ。
 解放された捕虜達を安全圏まで送るのであった。そうしたのである。
 その中でだ。コスモはだ。先程の己の言葉を反芻していた。その彼にだ。
 グン=ジェムがだ。声をかけたのだった。
「どうした、元気がないな」
「ああ、おっさんか」
 コスモは彼をこう呼んだ。
「ちょっとな」
「さっきの言葉だな」
「ああ、実はな」
 こう答えるコスモだった。
「俺自身の言葉だけれどな」
「それでも自分でああ言ったことがだな」
「俺はずっとバッフクランの奴等とも戦ってきた」
 コスモはまず彼等から話した。
「それにバルマーともな」
「そうだな。長い間な」
「けれど。さっきはそんなことは構わないと言った」
 そしてそれはなのだった。
「自然と言葉に出た」
「つまり心からの言葉だな」
「俺は自然とバッフクランの奴等を憎いと思わなくなっているんだ」
 そのことにだ。今時分でも気付いたのである。
「不思議な話だよな、この俺が」
「何、全く不思議ではないぞ」
「そうなのか?」
「そうだ。全く不思議ではない」
 また言うグン=ジェムだった。
「わしにしてもだ。変わった」
「そういえばおっさんは最初の頃は」
「ギガノスの汚物と言われてな。暴れ回ったものよ」
 顔を崩してだ。こうコスモに話すのだった。
「随分とな」
「けれど今はここにいるよな」
「このロンド=ベルにな」
「それが変わったってんだな」
「今ではわしもあの小僧達と共に戦っている」
「ケーン達か」
「そうだ、あの小僧達とな」
 親しみを込めてだ。ケーン達をこう呼ぶのだった。
「戦っている。共にな」
「かつては敵同士でもか」
「それと同じだ。イデオン自体がそうだな」
「ああ。カララさんにギジェに」
 二人の顔がだ。実際にその瞼に浮かぶ。
「バッフクラン人ともな」
「そういうことだ。同じなのだ」
「そうだってんだな」
「これで話がわかったな」
「ああ」
 コスモはグン=ジェムのその言葉に頷いた。
「そういうことなんだな」
「そうだ。ではだ」
「では?」
「どうだ、飲むか」
 豪快にだ。笑っての言葉だった。
「そうするか、今から」
「おいおい、ここで酒かよ」
「何だ?飲めないのか?」
「いや、好きだけれどな」
 ロンド=ベルで酒を飲まない人間はいない。見事なまでにいない。
「それでも。今はな」
「敵が何時来るかわからないからか」
「そうだよ。だから酒はまずいだろ」
「わかった。では酒はなしだ」
「何か食うんなら別だけれどな」
 それはいいというのである。
「それで何を食うかだけれどな」
「豚の丸焼きがあるぞ」
 これまた豪快な料理であった。
「どうだ、一気に食うか」
「おい、また凄いボリュームだな」
「戦いだからこそ食う。違うか」
「それはそうだけれどな。それでも」
「何だ?足りんか?」
 豚の丸焼きでだ。こう言うのであった。
「では牛の丸焼きだな」
「っておい、大きくなってるのかよ」
 これにはコスモも驚く。
「おっさんどんだけ食うんだよ」
「だから言っているだろう。食わんとだ」
「戦えないっていうんだな」
「そうだ。だから食うぞ」
「ラーメンか何かにしないか?」
 コスモが言う料理はそれだった。
「そんな豪快なのは今はな」
「駄目だというのか」
「ああ。ちょっとな」
「そうだな。ラーメンも悪くないな」
 グン=ジェムもだ。それで頷くのであった。
「ではだ。十杯程食うとするか」
「量は変わらないんだな」
「だから言っているだろう。食わないとだ」
「戦えないっていうんだよな」
「イデもそうではないのか?」
 ここでこんなことも言うグン=ジェムだった。
「食わんと動けんだろう」
「いや、イデは意志だからな」
 ここでは真面目に答えるコスモだった。
「だからそういうのはな」
「ないか」
「ちょっと。ないな」
 また言うコスモだった。
「飲んだり食ったりするのはな」
「そうか。なら仕方ないな」
「そういうことでな。じゃあホウメイさんとアキトのところまで行ってな」
「うむ、ラーメンをな」
「一緒に食おうか」
「丁度いい、他の面子も呼ぶぞ」
 グン=ジェムは笑いながらこんなことも言った。
「食うのなら大勢の方がいい」
「そうだな。それはな」
 コスモもその言葉には笑顔で返す。
「本当にその方がいいな」
「呼べる奴を全員呼んでだ。行くぞ」
「ああ、それじゃあな」
「よし、行くぞ」
 グン=ジェムは早速たまたまそこにいたモエラに声をかけた。
「ラーメンをだ。食いに行くぞ」
「何か変わった組み合わせだな」
 モエラはまずは二人を見てこう言った。
「コスモとグン=ジェムさんかよ」
「まあ確かにな」
「普通はない顔触れだな」
 それは二人も認める。
「けれどそれでもな」
「今はこうしているのだ」
「そうか。それでラーメンか」
 モエラは二人の話を聞いてから述べた。
「じゃあ今からな」
「食いに行こうぜ」
「他の連中も誘ってだ」
「わかった。それじゃあな」
 モエラも快く頷く。そうしてであった。
 彼等もだ。戦いの前に食事を楽しむのだった。戦いの合間のだ。些細な息抜きであった。


第百話   完


                      2011・2・24 
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