スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第九十九話 プロトデビルン再び
第九十九話 プロトデビルン再び
ハザルとの戦いは終わりアヤが生きていることもわかった。しかしであった。
ロンド=ベルの面々にはだ。謎が残されていた。
「結局な」
「そうだよな」
「謎は全然解決してないよな」
「何だ?それでアポカリュプシスって」
「一体」
「若しかすると」
ここで言ったのはユングだった。
「宇宙怪獣のことかしら」
「あいつ等が?」
「そのアポカリュプシス?」
「それだっていうの?」
「そもそも宇宙怪獣はどうして生まれたのかよ」
ユングはこのことについても言及した。
「それも謎よね」
「そういえば何か自然発生したいみたいな」
「そんな感じで出て来たよな」
「本当に急に」
「何時の間にか」
「しかも幾ら倒しても出て来るわね」
ユングの指摘は続く。
「飽きる程ね」
「っていうか嫌になってくるな、奴等は」
「洒落にならない位強いし」
「しかも本能だけとはいえ生物だし」
「それも考えたら」
「あの連中がアポカリュプシスなら」
ユングはさらに話す。
「説明がつくけれど」
「バルマーもゾヴォークも悩まされてたっけ。そういえば」
「ゼントランディやメルトランディにも襲い掛かってるんだっけ」
「はい、その通りです」
エキセドルも答える。
「非常に厄介な相手です」
「銀河のあらゆる存在にとっての脅威」
「恒星に棲み付いて全てを破壊する」
「それが終焉をもたらすのなら」
「やっぱり?」
「宇宙怪獣がアポカリュプシス?」
皆この考えを抱きだした。
「じゃああの連中を倒すことが」
「アポカリュプシスを救う?」
「そうなる?」
「その可能性はあるわね」
ユングがまた話す。
「そう考えると妥当だし」
「じゃあ俺達のこれからの相手は」
「連中?」
「宇宙怪獣?」
「そうなる?」
「いや、皆待ってくれ」
ここでフォッカーが出て来た。
「他にもだ。敵はいるぞ」
「プロトデビルンですか」
「あの連中ですね」
「そうだ、奴等もアポカリュプシスである可能性はある」
フォッカーはこう話すのだった。
「それは忘れるな」
「確かに。奴等もですね」
「その行動が不可解なところがありますし」
「出自なんか特に」
「それだと」
「そういうことだ。現に連中との決着はついていない」
フォッカーはこのことも話した。
「余計にだ。奴等の存在はだ」
「忘れたらいけませんね」
「むしろ。今は」
「バルマーとのことや宇宙怪獣も気になりますけれど」
「あの連中をどうするか」
「それですよね」
こう話していくのだった。彼等はプロトデビルンもまた警戒した。
そうした中でだ。まずは進路を決める必要があった。
「とりあえずどうする?」
「どの勢力を相手にするか」
「それだけれど」
「大尉のことが心配だな」
ここで言ったのはタシロだった。
「しかもバルマー本星の位置もわかった」
「はい、これまでの帝国との戦いで得た多くの宙図にです」
副官がここで話す。
「その場所は判明しています」
「ここからでも行けるな」
「充分です」
副官は確かな声でタシロに答えた。
「長距離ワープも可能です」
「わかった。それならだ」
「進路決定ですね」
「バルマー本星に向かう」
タシロは強い声で言い切った。
「諸君、それでいいな」
「了解です」
「それでは」
こうしてだった。彼等はバルマー本星に向かうのだった。進路はそこに決まった。
その中でだ。ふとコスモが言った。
「なあ、今の状況だけれどな」
「今の状況って?」
「いや、バッフクランの連中がな」
コスモがカーシャに話すのは彼等のことだった。
「何処まで攻め込んでるかな、この銀河に」
「ううん、かなり深くじゃないかしら」
カーシャはコスモの言葉に考える顔になって述べた。
「だって。私達がいた星にまで来ていたんだし」
「あの時は先遣隊でもか」
「ええ。かなり深くじゃないかしら」
「だとしたらまさか」
「そうだ、主力は銀河中央に向かっている」
ギジェがここで二人に話してきた。
「目標はバルマー本星だ」
「そこにか」
「目指してるのね」
「その主力部隊はおそらく」
ギジェはさらに話す。
「今は銀河の中枢に達しようとしている」
「じゃあバルマーとも」
「交戦状態に入ってるのね」
「その可能性は高い」
その通りだというのである。
「そしてそうなればだ」
「どちらが倒れるか」
「そうした話なのね」
「だとするとだ」
ベスが暗い顔になって述べてきた。
「大尉は。最悪」
「戦いに巻き込まれてか」
「そうならなければいいが」
こうモエラにも返す。
「そうなる前にだ」
「迅速にバルマー本星に向かうか」
「正直話し合いで解決できるかどうかはわからない」
ベスは楽観していなかった。バッフクランとのことからだ。
「だがそれでもだ」
「行くしかないな」
「そうだ。今の俺達は」
「その通りだな」
アランが彼等の前に出て来た。
「結果論だがそうだ」
「バルマー帝国か」
コスモは彼等のことを考えその目を鋭くさせた。
「奴等ともこれまで色々あったな」
「そうね。ハザルのこと以外にもね」
カーシャもそのことを言う。
「マーグさんだってポセイダルだって」
「本当に色々あった。俺達の宿敵だ」
「だよね。けれど何か近いものも感じるし」
デクはこう話した。
「妙な相手ではあるよね」
「妙なか」
「うん。そんな気がするよ」
デクはコスモにもこう話した。
「外見が近いせいかも知れないけれど」
「近いっていえば」
「そうだな」
カララとギジェがここで話す。
「私達バッフクラン人と地球人も」
「近いな」
「むしろ殆ど変わることがないのかしら」
「生物的にも思考的にもな」
「似た者同士だからだな」
今言ったのはアランだった。
「余計に争うことになるのだ」
「若しかして」
ここで言ったのはリュウセイだった。
「イデだよな。それってな」
「それって?」
「それっていうと?」
「何かお互いを争わせてるのか?」
こう皆に話すのだった。
「俺達とバッフクランをな」
「そうかもな」
ギジェはそれを否定しなかった。真剣に考慮する顔でだ。
「それもだ。有り得る」
「そのイデの意思ってやつでな」
「イデは正直今も殆ど何もわかってないわ」
シェリルがこのことを話す。
「どういったものかもね」
「何もかもですか」
「わからない」
「それがイデなんですね」
「そうよ。その謎もわかればいいけれど」
「ですね、本当に」
「それは」
こんな話をしてだ。彼等はバルマー本星に向かう。その中でだ。
不意にだ。警報が鳴り響いた。
「来たか!?」
「バルマーか宇宙怪獣か」
「それとも」
「プロトデビルンです!」
サリーが全員に告げる。
「彼等が来ました!」
「後方からです!」
美穂も言う。
「その数五十万!」
「よし、わかった!」
「それならね!」
「今から!」
「総員出撃です」
エキセドルがこの言葉を告げた。
「シティ7を守りながら戦闘に入ります」
「了解!」
「それならね!」
こうしてだった。ロンド=ベルは全員出撃してだった。シティを護衛しながら布陣した。その彼等の前に姿を現したプロトデビルンは。
「またあいつか」
「本当によく出て来るな」
「全くだよ」
「またあいつか」
「その通りだ。こうしてまた巡り会えた」
ガビルがだ。上機嫌に彼等に告げる。当然グラビルも一緒だ。
「運命美!」
「おい、その美は前に言ったぜ」
バサラが冷静に彼に突っ込みを入れる。
「二回言ってもいいんだな」
「一向に構わない」
そうだというガビルだった。
「様式美もまた美の一つ」
「まあそうだな」
「おい、それで納得するのか」
宙はバサラのその言葉に驚いて突っ込みを入れた。
「相変わらず何かが違うな」
「俺はそれでもいいと思うからな」
バサラはこう返すだけだった。
「あいつがいいっていうんならいいだろ」
「そういうことかよ」
「まあそうだな」
そんなやり取りの後でだった。ガビルは。
「さて、それではだ」
「やるってんだな」
「今回も」
「全軍攻撃美!」
ガビルが指示を出した。
「グラビル、我等も行くぞ!」
「ガオオオオオオオン!」
グラビルも応えてだ。そうしてであった。
彼等も戦いに入る。それはかなり激しいものだった。
その中でだ。バサラは歌い続けていた。
そのうえでガビル、グラビルの前にいる。ガビルはそのバサラに対して言う。
「そこの御前」
「ああ、何だ?」
「御前は歌っているのだったな」
「それが俺のやり方だからな」
「ふむ。貴様のその歌」
それを受けながらだ。彼は言うのであった。
「妙に心地よい」
「そう思うんだな」
「このガビル、そこに美を見出そう」
楽しげに笑いながらだ。こう言ったガビルだった。
「音楽美というのか」
「何とても言ってくれていいぜ」
「それを感じる」
こんな話をしながらだ。彼等は戦っていた。そしてだ。
次第にプロトデビルンの数が減ってきていた。それを見てだ。
グローバルが言った。
「彼等の今回の襲撃はだ」
「はい」
「どういったものだと思われますか」
「緒戦だ」
未沙とクローディアにこう述べた。
「それだな」
「では彼等の襲撃は」
「これからですか」
「そうだな。またすぐに来る」
「では艦長」
「今は」
「勝てても油断しないことだ」
帽子の奥のその目が光る。
「決してな」
「わかりました。それでは」
「警戒体制はこのままですね」
「何時でも敵が襲ってきていいようにしておこう」
そしてだ。グローバルはこうも言った。
「デトロイドも何時でも出せるようにしておこう」
「モンスターもですか」
「あの機体も」
「そうだ。動けるデトロイドは全てだ」
まさにそうだというのである。
「出せるようにしておこう」
「総力戦ですね」
「それでは」
「そうだ」
また答えるグローバルだった。
「またしてもだがね」
「その状況が続きますね」
「今は」
「仕方がない。今は正念場だ」
グローバルは未沙とクローディアにこうも話した。
「御互いにな」
「プロトデビルンにとってもですね」
今言ったのはエキセドルだった。マクロス7からモニターを通して話す。
「彼等にとっても」
「おそらく。そうだろう」
「若し彼等がそのアポカリュプシスと関係があれば」
「ああ、それはないだろうな」
だが、だった。バサラがそれを否定した。
「あの連中はそのアポカリュ何とかとは無関係だな」
「わかるのですか、そのことが」
「ああ、何となくだけれどな」
それでもだ。わかるというのである。
「あの連中、いつも美とかいう奴いるだろ」
「あの彼ですか」
ガビルのことはだ。エキセドルも知っているのだった。何度も戦ってだ。
「そういえば前の戦いでは」
「俺の音楽に反応したからな」
「そこからおわかりになられるのですか」
「音楽がわかる奴に悪い奴はいねえよ」
これはまさにバサラの持論である。
「だからな。あの連中はな」
「アポカリュプシスではありませんか」
「あの女が言うにはアポカリュプシスだったよな」
「はい、そうです」
「あれは何か禍々しいものを感じるんだよ」
「しかしプロトデビルンからは」
「全く感じないな、俺は」
バサラはだ。己が感じ取ったことをそのまま話した。
「だから。俺が見たところ奴等は」
「アポカリュプシスとは関係がない」
「むしろどっかで理解し合える存在かもな」
「そうなのですか」
「俺はそう考えるぜ」
「バサラが言うとな」
今言ったのはキャオである。
「妙に説得力があるんだよな」
「普通の奴が言ったら暴論だがな」
「しかしこいつが言うとな」
アレンとフェイもバサラがわかってきていた。
「こいつの直感はな」
「確かなことを当てるからな」
「俺はただ思ったことを言ってるだけだけれどな」
バサラにはだ。少なくとも自惚れてはいない。彼にはそれはない。
「今度だってそうだぜ」
「その直感が凄いのよ」
クェスもこう言う。
「異常に鋭いから、バサラのは」
「だからな。他の奴が言ったら暴論なんだよ」
ギュネイもこのことを話す。
「けれどバサラが言うとな」
「説得力があるんだよな」
ビルギットが唸る。
「これまでその直感が外れたことないからな」
「そうね。バサラの勘は違うわ」
唸っているのはアンナマリーもだった。
「ニュータイプ、いえそれ以上のものがあるわね」
「ニュータイプな」
この言葉にだ。バサラも反応した。
「何か一時妙にバケモノじみて言われてたけれどな」
「実際そうでもないよな」
「そうよね」
「カミーユさんが言ってたな」
今言ったのはディアッカだ。
「勘がいいだけだってな」
「ああ。それでもその勘にしてもだ」
他ならぬそのカミーユが話す。
「やっぱり。バサラにはな」
「負けるんですね」
「バサラの勘は何かが違うんだ」
カミーユはキラにもこう話す。
「超絶的な勘だよ、本当に」
「そのバサラが言うと」
「じゃあやっぱり」
「プロトデビルンはアポカリュプシスではなくて」
「また別の存在か」
「普通に銀河にいる」
「つまりあれ?」
今度はミレーヌが話す。
「プロトデビルンはアニマスピリチュアをどうにかすればいいのね」
「それは何とかなるな」
バサラは今は断言した。
「間違いなくな」
「なるのね」
「あいつは俺の音楽を聴いたんだ」
そこからまた話すバサラだった。
「だったらな。そこからな」
「ううん、何とかなるんだったら」
「やっぱり何とかしたいよな」
「そうよね」
「できるんなら」
「それで」
皆も言う。そうしてだった。
彼等はプロトデビルンについても考えるのだった。そしてだ。
その中でだ。彼等の中でまた騒動があった。
「だから俺人参は駄目だから」
「えっ、人参パンもですか?」
「駄目なんですか?」
皆コウが昼食の人参パンを食べないことを見て言った。
「美味しいのに」
「そうよね」
「人参パンって」
「けれど食べられないんだよ」
困った顔で話すコウだった。
「どうしてもね」
「人参駄目っていったら」
「ええと、他に誰かいたかしら」
「探したら結構いない?」
「そうよね」
実はコウ以外にはだ。これといっていないのだった。
「うちの部隊って何でも食べる面々ばかりだし」
「中にはそれどころじゃない面子もいるけれど」
「何かが嫌いな人ってね」
「結構少ない?」
「確かに」
「レイちゃんはお肉は駄目だけれどね」
クリスがこのことを話した。
「それはどうしてもね」
「はい」
その通りだと答えるレイだった。
「それは駄目です」
「けれど他は」
「いないよな」
「むしろ何が食えないんだて面子はいるけれど」
「それでも」
いないというのである。そしてだ。
今のメニューを見るとだ。それは。
「人参パンにミルクに」
「海草サラダにジャガイモと玉葱のスープ」
「それと羊の炙り焼き」
「鰯を煮たものに」
「デザートは林檎」
「こんな感じよね」
「鰯というのは」
今話したのはアポリーだった。
「頭から食べるものだな」
「そうだな。それがいいというな」
このことに応えるロベルトだった。
「実際に美味いものだ」
「鰯を頭からか」
レビもその鰯を食べている。ただ彼女は後ろから食べている。
「それが美味いのか」
「鰯を頭から食えば頭がよくなるっていうよな」
勝平がそれを話す。
「俺いつも食べてるからな」
「じゃあ食べても同じか?」
「そうよね」
「それじゃあね」
「勝平がそれしてだから」
「意味ないよな」
「絶対にね」
「ちぇっ、俺の何処が悪いんだよ」
勝平は皆に言われていささか苦い顔になった。
「俺が馬鹿だっていうのかよ」
「まあそう言うな」
「いつものパターンでしょ?」
宇宙太と恵子がその彼をフォローする。
「その分骨が丈夫になってるからいいだろ」
「そっちに栄養がいってるのよ」
「何かそれじゃあよ」
勝平も二人の話からあることを察した。それは。
「俺が実際に馬鹿みたいじゃねえか」
「だからそうじゃない」
ここでアスカが言う。
「あんたが馬鹿じゃなかったら何なのよ」
「何っ!?今何て言ったよ」
「馬鹿って言ったのよ」
アスカはまた言った。
「あんたがね。馬鹿も馬鹿、大馬鹿じゃない」
「俺の何処が馬鹿だ!」
遂に怒った勝平だった。
「許さねえぞおい!」
「何よ、やろうっての!?」
「ああ、やってやらあ!」
いがみ合いに入る二人だった。
「この赤猿!言われておけばな!」
「赤猿ってのは何よ、赤猿は!」
「赤い服着てるから赤なんだよ!」
「あれはプラグスーツっていうのよ。覚えておきなさい!」
「何?プロトタイプドム!?」
「そんな訳のわからないのと一緒にしないで欲しいわね!」
「わかった、じゃあやっぱり赤猿だ!」
勝平はここにこだわる。
「御前は猿だ、この猿女!」
「あたしが猿ですって!?よくも言ってくれたわね!」
「何度でも言ってやらあ!この猿女!」
こうしてだった。二人は見事取っ組み合いの喧嘩に入るのだった。
それを見て。宇宙太が呆れながら言った。
「この二人もな」
「仲悪いわよね」
恵子も呆れた顔になっている。
「そういう組み合わせだけれど」
「それでもな。何かっていうとな」
「結構喧嘩するわね」
「ああ、本当に仲の悪い奴等だ」
それに尽きるのだった。
「この連中はな」
「アスカって誰ともこうだけれどね」
「猿っていうよりかはな」
宇宙太もここで言う。
「まあ。言わないでおくか」
「猛獣だよな」
代わりにシンが言った。
「こいつはこれだよ。猛獣だよ」
「俺はそこまで言うつもりはなかったぞ」
宇宙太はシンに唖然として言った。
「トラブルメーカーって言うつもりだったんだよ」
「そんな上等なもんじゃねえよ。こいつは猛獣だよ」
「猛獣って」
「それ以外の何だってんだよ。まあうちにはもう一匹それがいるけれどな。いや、二匹か」
「その二匹は誰なんだ?」
勇がシンに問うた。
「それじゃあ」
「そりゃよ、オーブの金髪の猿に連邦軍のピンク色の駄猫だよ」
やはりこの二人だった。
「あいつ等なんてよ。それこそよ」
「待て、そこで言うか」
「何ですってえ!?」
その二人が出て来て抗議する。
「私達が猿だと」
「猫って何よ、猫って!」
「そのものだろうがよ」
その二人にも言うシンだった。
「頭の中のレベルがまんまじゃねえかよ」
「猿だというのか!」
「猫だって!」
「そうだよ、二人共な!」
「よし、話は聞いた!」
「それならよ!」
二人はここまで聞いてだ。完全にいきり立ちだ。
シンに飛び掛る。そしてシンも受けて立つ。
そのうえで喧嘩に入る。そんな彼等を見て一同は呆れ返って言う。
「全く。飯の時にもなあ」
「何時でも何処でも喧嘩する奴等だな」
「特にシンとカガリな」
「仲悪いよな、本当に」
「アスカも参戦してるし」
常にこの三人と揉めているシンだった。
「しかし。三対一か」
「シン不利だけれどな」
「それでも互角だからな」
「ある意味凄いよな」
「そうよね、猛獣三人相手なのに」
「全然平気って」
「シンは特別なんです」
シホがここで話す。
「アカデミーでもパイロット能力と戦闘能力はダントツでした」
「戦闘能力もか」
「それも」
「はい、直感で動きますし」
まさにシンらしいことだった。
「力も凄いですし素早いですし」
「だからか」
「あんだけ強いのか」
「それでなんだ」
「格闘の訓練で敗れたことはありません」
そこまで強いというのだ。
「ですから。カガリさん達を相手にしてもです」
「全然平気か」
「成程ねえ」
「それでなんだ」
「あれだけの数相手にして平気なのは」
「それでか」
皆だ。そんなシンを見てあらためて納得するのだった。そして話をしている間にもだ。シンと三人の喧嘩というか噛み合いは続いていた。
「あんた今度こそ死になさい!」
「この私が引導を渡してくれる!」
「ここでね!」
「ああ、やれるものならやってみろ!」
シンは一歩も引かない。見事ですらある。
「答えは聞いてない!」
「ああ、出て来たね」
マサトが今の言葉に突っ込みを入れる。
「今の言葉はね」
「ああ、そうだよな」
「もう言ったら丸わかりの」
「まさにあの台詞」
「ここで出るなんて」
「いかんでごわすよ」
大次郎もそのことにはいい顔をしない。
「例えばおいどんがシンタローーーさーーーんと言うでごわす」
「おい、それだけは止めろよ」
「絶対にな」
霧生とマサキが速攻で大次郎に言う。
「その言葉を聞くとな」
「金縛りに遭うんだよ」
「その通りでごわす。だから自重しているでごわす」
「不気味な言葉だ」
ヒイロも言う。
「二度と聞きたくはない」
「何かこの三人にとってはねえ」
「そうだよな」
「トラウマになってるんだな」
「やっぱり」
「気持ちはわかるな」
今言ったのはカイだ。
「誰だってそんなのはあるからな」
「そういえばカイもだな」
盾人がそのカイに話す。
「俺と一緒で。無類の女好きと思われていたよな」
「俺はそこまで女好きじゃないけれどな」
カイの言葉がぼやきになっている。
「全くよお。何でそうなるんだよ」
「仕方ないな、それは」
突込みを入れたのはサンシローだ。
「俺達だってな。それこそな」
「色々あるよな。サンシローさん達は特に」
「一矢さんに竜馬さん」
「フォッカー少佐にって」
「それこそ何人も」
「私も多いんですよね」
笑顔で話すのはユリカである。
「リィルちゃんもそうですし」
「それを言うとな。実際に困るものがある」
ナタルもであった。
「雰囲気が似ている相手はな」
「いるなあ。誰にも」
「僕も実は」
アレルヤが暗い顔になっている。
「あのハザルに」
「敵のことは言わない方がいいぜ」
「言うと落ち込むからな」
「それこそ何人いるかな」
「わからないからな」
「サンドマンさんなんか特に」
「いいのだ」
だがサンドマン本人は全く気にしていない。
「それが面白いのだ」
「あの、それは」
ブリットが言う。今は仮面での言葉だ。
「言うと複雑になる言葉ですから」
「そうですよ。キバの人ですよね」
「その真似だが」
「何か余計に話がややこしくなってきたな」
「もう滅茶苦茶っていうか」
「雰囲気の話をするとなあ」
「ややこしくなるし」
「誰でもだし」
本当に誰でもであった。
「わしにしてもじゃ」
「あっ、爺ちゃん」
兵左衛門まで出て来た。
「常に猫じゃらしを前で振られてしまうがだ」
「ゲキだよな」
「それだよな」
「絶対に」
「全く。困ったものじゃ」
「兵左衛門さんそれだけじゃないし」
彼にしても厄介ごとが多いのだった。
「ネタ、多いよなあ」
「わしの眼鏡何処じゃ?とか」
「そういうの次から次にだから」
「本当にね」
「どれだけあるのやら」
そうなのであった。彼もまた然りなのだった。
「私何処かで兵左衛門さんの声聞いたことあるのよね」
「そうそう、そうなんですよ」
ノリコとトビアが同時に言う。
「八宝とかどうとか」
「その感じで」
「あっ、そういえば私そこじゃトビア君とも」
「ですよね。何かずっと一緒にいたような」
「クリスさんと入れ替わりになったわよね」
「はい、なりました」
こう二人で言い合うのだった。
「だからクリスさんとは」
「私あまり出番なかったんじゃ」
クリスは苦笑いと共に話す。
「あちらの世界では」
「それでも一緒だったから」
「そうでしたよね」
「ううん、確かにね」
クリスもそのことは否定しない。
「あの世界もあの世界で楽しかったって記憶があるわ」
「アイナさんやカティさんもいたし」
「そうね。姉妹でね」
「三人一緒にいたな」
そのアイナやカティも乗る。
「結構仲のいい姉妹で」
「いい感じだった」
「ああ、大佐もそういうのあるんですね」
不死身のパトリックが出て来た。
「成程、やっぱり大佐はいい人なんですね」
「何故そういった言葉になる?」
「何となくです」
それでだとだ。平然と返すパトリックだった。
「御気になさらずに」
「気にしないでいられるものか」
カティの返答は極めて冷静なものである。
「全く。私はだな」
「俺大佐がいないと駄目ですから」
素直でないカティをよそにさらに言うパトリックだった。
「その代わり大佐の為なら火の中水の中」
「勝手にしろ」
一応口ではこう言う彼女だった。
「全く。何だというのだ」
「まあ何ていうか」
「皆久し振りにハメ外してるか?」
「そうよね。何か」
「今の感じって」
皆もだ。久し振りにリラックスしている。それは確かだ。
「今の雰囲気ってな」
「いいよな」
「ずっと。十一遊星主やハザルとの戦いで」
「色々あったから」
「ちょっとな。緊張が続いたから」
「途中何度か息抜きしたけれど」
それでもだった。本格的にはなのである。
「今はなあ」
「本当にリラックスしててな」
「いい感じだよな」
「とてもね」
自然とだ。微笑みさえ浮かべていた。
「この感じだと」
「まだ戦えるっていうか」
「まだまだこれからっていうか」
「そう思えるよな」
「本当にね」
「俺はあれだけれどな」
ここでオルガが言った。
「あの白鳥女だけは今度会ったらな」
「また言うんだね、あいつのこと」
「しつこい」
クロトとシャニがそのオルガに突っ込みを入れる。
「オルガあいつと相性悪いね」
「最悪」
「おうよ、あいつとは何時か必ず決着をつけるぜ」
こうまで言うのであった。
「絶対にな」
「この人達は仲が悪いのか」
光がそんなオルガを見て言う。
「オルガさんとルリアさんは」
「ううん、別の世界の因縁がね」
「関係ありますわね」
海と風もそれを話す。
「私はそういうのはこっちの世界ではないみたいだけれど」
「けれど。しがらみは誰もがありますわね」
「私なぞどうなるのだ」
クリフであった。
「冥神になったのだぞ」
「ああ、それ俺もだよ」
ジュドーもだった。
「ちょっとな。洒落にならないものがあるんだよな」
「悪役の話はだ」
「止めにしよう」
「それがいいな」
「同意だわ」
カミーユにコウ、それにジンにカナンだった。
「その話をすると俺も困るからな」
「そうした人間も多いのよね」
困った顔で話すカナンだった。
「私なんか顔も出したから」
「顔もって」
「そういえばそうか」
「和服着てねえ」
「あれは驚いたね」
「本当に」
「だから止めましょう」
カナンは困った顔になっていた。
「洒落にならないから」
「そうだよなあ。いい役にしても」
「結構古傷だったりするし」
「洒落にならない傷ねえ」
「あるから」
「また言っちまうんだろうけれど」
こうした言葉も何気に出る。
「まあそれは言わないで」
「とにかく。お昼食べて」
「プロトデビルンとの戦いだな」
「それのこと考えましょう」
こう話してだった。とりあえず食事を終わらせる。そうして今度は作戦会議に入るのであった。
第九十九話 完
2011・2・22
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