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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第九十八話 人形の末路

           第九十八話 人形の末路
 ハザルと激突するリュウセイ。その彼から。
「!?これは!」
「まさか!」
「あの力は!」
 リュウセイはだ。その力でだ。 
 ゲドル=ヴァイクランを吹き飛ばした。そうしてだった。
 そのうえでだ。自分自身が気付いたのだった。
「まさか、俺に」
「そうだな」
 ライがその彼に言う。
「力が戻ったな」
「サイコドライバーの力が。俺に」
「そうだ、リュウ」
 ライはあらためて彼に対して言った。
「御前は再び目覚めたんだ」
「俺のサイコドライバーの力が」
「最早あいつに負ける道理がない」
 吹き飛ばされたそのハザルを見ての言葉だった。
「もうな」
「これでアヤ大尉の、多くの人達の仇を」
 リュウセイにとってはサイコドライバーの力なぞどうでもよかった。大事なのは。
「討てるんだな」
「そうだ、では行くぞ」
「ああ、ハザル!」
 そのハザルに対しての言葉だった。
「もう手前には負けねえ!」
「くっ、この俺に地球人風情が!」
「ハザル=ゴッツォ!」
 アルマナも出た。ルリアと共に。
「私達もです!」
「姫様、それは」
 ヴィレッタがその彼女を止めようとする。
「危険です」
「いえ」
 しかしだとだ。アルマナは強い声で返した。
「私も貴方達と共にです」
「戦われますか」
「そうです」
 こうだ。強い声で言うのだった。
「これはバルマー帝国での争いでもあるのです」
「その通りですね」
 ルリアも彼女のその言葉に頷く。
「それで私達が何もしないということは」
「できることではありません」
「では姫様」
「はい、ルリア」
 二人で顔を見合わせて話す。
「決着は」
「私達の手で」
「アルマナ!」
 そのアルマナに対してだ。ハザルが言う。
「遂に地球人に降ったか!」
「黙りなさいハザル!」
「くっ!」
 最早だ。アルマナはハザルを圧倒していた。その器で。
「先にも言った通りです!」
「俺を討つというのか!」
「霊帝ルアフの名の下に」
 それをだ。ここでも言うのだった。
「私は貴方を討ちます!」
「へえ、これはまた」
 セレーナがそんなアルマナを見て言う。
「急に。美人さんになったな」
「美人にですか」
「美人は心からなるものよ」
 セレーナは笑ってアルマにこう話した。
「だからね。今のあのお姫様はね」
「美人ですか」
「とびきりのね。これは負けるかも」
 こんなことをだ。さりげなく言ったのだった。そしてだ。
 ハザルはまだ立ち上がりだ。怒りに満ちた目で言う。
「俺に歯向かう者はまとめて消してやる!」
「ああ、できればな!」
「手前がな!」
「そんなことができればな!」
 ロンド=ベルの面々もだ。最早誰一人ハザルに負けてはいなかった。
「手前みたいな奴にな!」
「負ける筈がねえ!」
「それを今ここで!」
「教えてやるぜ!」
「かかって来い下郎共!」
 ハザルだけが喚く。
「ここが貴様等の墓場だ!」
「そうはいくかよ!」
 トウマもハザルに言う。
「最早手前はな!」
「また終わりだというつもりか!」
「その歪んだ心と共にこの宇宙に沈みやがれ!」
 こうだ。バルシェム達を倒しながら言うのだった。
「そのままな!」
「シヴァー閣下に必要なサイコドライバーは俺だけでいい!」
 こう執念めいた声で言う。
「他の奴等は消し去ってくれる!」
「そんなこと手前にできるか!」
「どんな小さな命だろうとだ」
 ヒイロも言った。
「生まれたからには生きる権利がある」
「虫ケラが!まだ言うか!」
「だがそれすらわからない貴様はだ」
「何だというつもりだ!」
「その存在を許されない」
「ああ、その通りだぜ」
「貴様は悪でしかない」
 デュオとウーヒェイも嫌悪の目で述べた。
「手前みたいな奴はな」
「ここで倒されるべきだ!」
「おのれ、おのれ!」
 サイコドライバーをさらに増幅させる。しかしだ。
 それを見てだ。カトルが言った。
「もうあのまま」
「滅びるしかないな」
 トロワがそのカトルに応える。
「最早な」
「そうですね。彼は」
「滅びるのは貴様等だ!」
 こう言ってだ。またリュウセイに向かう。
「まずは。貴様だ!」
「どんな理由があろうとも!」
 レビがそのハザルに告げる。
「貴様のしたことはだ!」
「ふん!」
「許されはしない!」
「うおおおおおおおっ!」
 バンプレイオスの手からだ。光が放たれた。
 それが貫きだった。またゲドル=ヴァイクランの動きが止まった。
「うぐっ!」
「・・・・・・・・・」
「まだ。あの力も」 
 ハザルはここでイデオンを見て言った。
「父上のものにする」
「手前には無理だ!」
 コスモがこう言い返した。
「自分の力も制御できないような奴にだ!」
「そうよ!」
 カーシャも言う。
「イデの力なんてね!」
「コントロールできるものか!」
「まだ言うのか!」
「俺達は手前に屈しはしない!」
「何があろうともだ!」
 今度はギジェだった。
「イデにも悪意にも!」
「決してだ!」
「おのれ、カトンボ共が!」
「余裕がなくなった途端にぶち切れかよ!」
 イサムも彼に言う。
「小さい器だな!」
「地球人の分際でこの俺を愚弄するか!」
「そんな大声で言ったらな!」
 最早だ。イサムもハザルの器を見極めていた。
「御前さんの小さな器がひっくり返ってこぼれちまうぜ!」
「その命がな」
 ガルドもであった。
 だがそれでもハザルは向かおうとする。それを遠くから見てだ。
 孫はだ。軽く言い捨てた。
「もう終わりだね」
「所詮この程度だね」
 レツィーラも言った。
「あの男も」
「そうだね。じゃあエイスも」
「そろそろだね」
「喰らえっ!」
 またしてもだ。バンプレイオスが攻撃を放った。
 今度はだ。
「こっちから仕掛ける!」
「ティーリンクコンタクト!」
「行け、リュウ!」
「行けーーーーーーーーーっ!!」
 これまでにない光だった。
「ガウンサイドジェノサイダーーーーーーーーーーーッ!!」
「うおおおおおおおおおおっ!!」
 これでだ。ディバリウムと切り離されたのであった。
 ヴァイクランだけに戻った。これを受けてだ。
 エイスが戦線を離脱した。それを見たハザルが驚きの声をあげた。
「どうしたエイス、俺の元に戻って戦え!」
「へっ、残ったのは御前さんだけだな!」
 トッドがそのハザルに告げた。見れば戦場に残っているのは彼だけだった。他のバルシェムも全員撃墜されるか彼を見捨てて逃げ去っていた。
「どうするつもりだ、まだやるってのかい?」
「ふざけるな!」
 そのハザルが叫んだ。そしてだった。
「この程度で!」
「何っ!?」
「まだかよ!」
「まだやるってのかよ!」
「俺とヴァイクランが落ちるか!」
 こう叫んでだった。またサイコドライバーの力を出したのだった。
「あの野郎、バケモノか?」
「いや、自分の命を削って戦っているんだ」
「今のあいつは」
「そうしているんだ」
 それがだ。わかったのだった。
「あの野郎、そうして」
「そこまでして戦うってのかよ!」
「何て執念だ!」
「くっ!」
 ここでだ。アルマナが叫んだ。
「まだ戦うというのですか」
「もう止めて下さい!」
 ルリアがだ。ここで叫んだ。
「ハザル様、もう」
「黙れ侍従!」
 しかしハザルはそのルリアにまた怒鳴った。
「何時までも俺の付き人のつもりでいるな!」
「ですが!」
「御前の姉貴面はもう見飽きた!」
 全てを否定する言葉だった。
「二度と見たくもない!」
「!?これは一体」
 クスハはその二人のやり取りを見てだ。怪訝な顔になった。
 そのうえでだ。ルリアに対して問うた。
「どういうことなのですか?」
「私は実は」
 ルリアはだ。それを受けて真実を話した。
「アルマナ様にお仕えする前はです」
「あいつの従者だったってのか?」
「はい」
 こうアラドに答えた。
「お仕えしたといってもハザル様が子供時代のことですから」
「あいつが子供の頃っていったら」
「遊び相手?」
「そんなところ?」
「はい、そうです」
 こうロンド=ベルの面々にだ。難しい顔で答えた。
「そうでした」
「そうだったんだ」
「あいつにもそんな頃があったんだな」
「考えてみればその通りだけれど」
「けれどなあ」
「今のあいつを見たら」
「とても」
「あの頃の貴方は」
 ルリアはだ。その悲しみを抑えられくなっていた。それが顔にも出ていた。
「無邪気によく笑う子供だったというのに」
「ええい、黙れ!」
 ハザルはルリアのその言葉を必死に否定する。
「俺は強くなった!」
「そう言うんだな」
「その通りだ!」
 リュウセイにもだ。ムキになって返す。
「俺は強くなった!父上の為に!」
「ここでもか」
「そうだな」
 ライとレビも言った。
「父親か」
「あの男にはそれしかない」
「まさにな」
「人形だ」
「それが俺の生きている証だ!」
 ハザルは言い切った。しかしであった。
 ゼンガーがだ。こう彼を切り捨てた。
「惨めなものだな」
「何っ!?」
「力に溺れ」
 まさにそのハザルに他ならない。
「己の存在する意味を見失ったか」
「黙れ、力こそが正義だ!」
 まだ言うのであった。
「それがこの銀河の絶対の真理だ!」
「ああ、その論理だとな!」
 今言い返したのはだ。トッドだった。
「御前さんは悪だ!」
「まだ言うのか!」
「御前さんはここで俺達に負ける!だから悪だ!」
「その歪んだ心!」
 ショウも告げる。
「正義の筈がない!」
「あのオーラは」
 シーラもだ。ハザルのその力を見て言う。
「ハイパー化するものです」
「そうですね。オーラバトラーに乗っていれば」
 エレもだった。ハザルの今の有様から述べる・
「間違いなくそうなっています」
「そして彼を待っているのは」
「破滅ですね」
「完全なる」
「貴様のその歪んだオーラ!」
 ショウがまたハザルに叫ぶ。
「断ち切られる運命にある!」
「俺もだ!」
 リュウセイがだ。バンプレイオスを前に出した。
 そしてそのうえでだ。ライとレビに対して言う。
「ライ!レビ!」
「わかっている」
「今度こそだな」
「終わらせる!」
 こう叫ぶ。そして。
 その手に剣を出した。それは。
「この剣でな」
「いけるな、リュウ」
「その剣、使いこなせるな」
「使いこなしてやる!」
 これがリュウセイの返答だった。
「そして今度こそ!」
「よし、わかった」
「ならだ、やれ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
 リュウセイは叫んだ。そして。
 バンプレイオスのその手にだ。巨大な剣を出した。
 それを構えてだ。今大きく振りかざした。
「受けろハザル!」
「剣如きで俺が敗れるものか!」
「手前のその歪んだ全て、この俺が!」
「死ねっ、リュウセイ=ダテ!」
「効くかよ!」
 バンプレイオスはヴァイクランのそのビームを全て弾き返してしまった。
「何っ、ヴァイクランの攻撃を!」
「念動フィールドだ!」 
 まさにそれの力だった。
「最早手前の攻撃は通じねえ!」
「おのれ、まだだ!」
「これで最後だ!」
 そしてだった。その剣を振り下ろし。
「喰らえ天上天下!!」
 その剣の名を今叫ぶ。
「念動無双剣!!」
「ぐわあああああああああああああっ!!」
「終わりだ、ハザル=ゴッツォ!!」
 遂にであった。ヴァイクランは縦に両断された。
 それで完全に動きを止めた。今度こそだった。
「馬鹿な、こんな馬鹿なことがあってたまるか!」
「馬鹿なじゃねえ!」
 バンプレイオスは剣を構えたままだ。そのうえで言うリュウセイだった。
「手前は負けだ!完全にだ!」
「俺はハザル=ゴッツォだ!」
 しかしまだハザルは言う。
「選ばれたサイコドライバーがこんなところで!」
「何っ、まさかあいつ!」
「まだ!」
 勇とヒメが叫ぶ。まだサイコドライバーを出そうとしていたのだ。
「もうそんな力はない筈だ!」
「それでもなんて!」
「今度こそあいつは」
「死ぬよ、絶対に」
「ハザル様、もう!」
 ルリアがだ。必死の顔で訴える。
「お止め下さい」
「こうなったら!」
 ダバがエルガイムマークツーのバスターランチャーを構えた。
「これで!」
「ああ、止めだ!」
「今度こそくたばりやがれ!」
「成仏しろ!」
 皆それぞれ構える。しかしだった。
 戦場にだ。バランが出て来たのだった。
「あれは」
「ペミドバン。バランかよ」
「そうだ、トウマよ」
 バランはミナキとトウマに対して答えた。
「銀河に戻ってきたな」
「ああ、それであんた一体」
「うむ、用があってな」
 こうだ。アルマナ達を見て言った。
「それで来た」
「迎えか」
「うむ、その通りだ」
 こうゼンガーにも答えた。そしてそのうえでだ。
 アルマナ達にあらためて述べた。
「よくぞご無事で」
「バラン殿」
「来て頂いたのですか」
「遅くなり申し訳ありませぬ」
 バランはそのことは謝罪した。
「ですが今こうして参上しました」
「有り難うございます」
「姫様は御無事です」
「それはなにより。そして」
 二人との話を終えてだ。ロンド=ベルの面々に対してあらためて述べた。
「地球の戦士達よ」
「どうしたんだ?」
「願わくばだ」
 こうトウマに述べた。
「ここからは我等にこの男の処遇を委ねて頂きたい」
「おいおい、そんなことできるかよ!」
「そうよ!」
 すぐにラウルとフィオナが反論した。
「そいつは今まで俺達を散々いたぶってくれた奴だぜ!」
「しかもどれだけの人が死んだか!」
「それを考えたらな!」
「許せるものですか!」
「その通りだ」
 ミリアルドも同じ意見だった。
「その男の罪は重いと言う他ない」
「それを見逃せっていうのはな」
 ミシェルもであった。
「ちょっと虫がいいな」
「同じバルマー人っていっても」
 キラも難しい顔になっている。
「納得できません」
「それともあれ!?」
 アスカも怒りを露わにさせている。
「今更見逃せってやっぱりバルマーの人間ってことよね!」
「否定はせぬ」
 ハザルは無念の顔で答えた。
「それはだ」
「しかしってのか」
「どうしてもここはか」
「そいつを」
「そうだ。同じ星の人間としてだ」
 ハザルを見てだ。彼は言った。
「このまま坊が」
「坊!?」
「坊って」
「あんたこいつを知ってるのか」
「まさか」
「ハザルが倒されるのは見るに忍びない」
 こう言った。それを見てだ。ゼンガーが彼に言った。
「バラン=ドバン、まさか」
「・・・・・・・・・」
「泣いているんだな」
 トウマにもだ。それがわかった。
「そうなんだな」
「バラン殿はです」
 ここでまたルリアが話す。
「ハザル様の武術の師なのです」
「そうだったのかよ」
「それでか」
「笑うがいい」
 こう言うバランだった。
「ロンド=ベルの者達よ」
「そう言うのかよ」
「そうだ、笑え」
 こうトウマにも言う。
「このバラン、この歳まで幾多の戦場を駆け巡ってきた」
「それでもだっていうんだな」
「それでもだ」
 まさにそうだと返してだった。
 バランはだ。無念に満ちた言葉で言う。
「たった一人の弟子すらまともに育てることはできなかった」
「バラン・・・・・・」
「それがこのわしよ。情けない限りよ」
「諸君」
 ここでだ。言ったのはグローバルだった。
「司令を倒されたゴラー=ゴラムはだ」
「そうですね。最早一兵もいません」
「戦場に残っているのは彼だけです」
 未沙とクローディアも言う。
「それではです」
「これ以上の戦闘は」
「そうだ、こちらの損害を招くだけだ」
 これがグローバルのここでの言葉だった。
「だからここはだ」
「おい、待ってくれよ」
「そうよ」
 シンとカーシャが異を述べる。
「じゃあこいつをよ」
「このまま見逃すっていうの?」
「こんな奴見逃しても」
「何にもならないわよ」
「いや、それはだ」
「違うな」
 二人にはアスランとコスモが話した。
「この男は最早どちらにしてもだ」
「祖国の裏切り者だろ?」
「ま、まあそれはな」
「その通りだけれど」
 これはだ。二人にもわかることだった。アスランとコスモは二人にさらに話す。
「もうゴラー=ゴレムさえ地球から退けば」
「帝国は地球に出だしはしない筈だ」
「若しもです」
 アルマナも言う。
「決着を私達に委ねて頂けるなら」
「その時はです」
 ルリアも話す。
「私達は本星に戻り」
「宰相の企みを陛下にお話します」
「そしてその上で陛下に」
「貴方達と話し合いの場を持つことをお勧めします」
「そう言うのね」
 セレーナがそれを聞いて応えた。
「御姫様達が」
「是非。御願いします」
「それで」
「お気付きの筈です」
 アルマナは心から憂慮する顔で述べた。
「この銀河を襲う未曾有の危機を」
「そのことか」
「はい、宇宙怪獣にプロトデビルン」
 クォヴレーに彼等から話した。
「別の次元や世界からの敵」
「多かったな、そういえば」
「それもかなりな」
 ロンド=ベルの面々には非常に心当たりのあることだった。彼等こそがその別の次元、別の世界で戦ってきた者達だからである。
「これはです」
「これは?」
「これはっていうと」
「神代の頃から伝えられているアポカリュプシスです」
 この言葉が出て来たのだった。
「それの到来でしょう」
「アポカリュプシス?」
「何だそりゃ」
「一体」
 殆どの者が首を傾げさせた。
「何かよくわからないけれど」
「一体」
 シュウはその中で沈黙していた。あえて言わないのであった。
 その彼にだ。チカが声をかけた。
「御主人様はおわかりですよね」
「おやチカ、気付かれましたか」
「だってあたしは御主人様のファミリアですから」
 だからだというのである。
「わかりますよ。けれど今はなんですね」
「はい、あえてです」
「わかりました。御主人様らしいですね」
「ふふふ、どうでしょう」
 含み笑いと共に今は言わない彼だった。
 その間にもだ。アルマナとロンド=ベルの会話は続いていく。
「それでそのアポカリュプシスって」
「何なの?」
「禍々しいイメージはするけれどな」
「その全容はわかっていません」
 アルマナはここでこう言った。
「伝承では全ての終わりとはじまりと言われ」
「終わりとはじまり?」
「それだって?」
「はい、銀河の終焉を意味すると言われています」
 こう言われるとだ。多くの者が何となくだが理解した。
「銀河の終焉」
「それがアポカリュプシス」
「それだっていうの?」
「銀河の終焉が」
「はい、そうだと言われています」
 アルマナはこう答えた。しかしだ。
 ここでだ。謎の声がしてきて言うのであった。
「けれどね」
「!?」
「何だ?」
「この声は」
「あいつか!?」
「あの女神官」
「ええ、そうよ」
 その通りだという返答だった。
「そしてその答えじゃね」 
 その声は言うのだった。
「不十分ね」
「エツィーラではないか」
 バランが彼女とそのマシンを見て言う。
「何故ここに」
「どうしてここに来たのかな」
 万丈がエツィーラに問うた。
「企みがあってのことなのはわかるけれどね」
「やはり気付いていないようね」
 エツィーラはこう彼等に返した。
「自分達がその全ての終わりとはじまりである」
「そのアポカリュプシスのかい」
「そうよ。鍵であることをね」
「!?どういう意味だよそりゃ」
「俺達が鍵だって」
「一体」
「どういうことなんだ?」
「訳がわからねえけれどな」
「それって」
「わからないならいいわ」
 エツィーラはいぶかしむ彼等を小馬鹿にしたように述べた。
「どうやら御前達が宇宙収縮現象を止めたところで」
「ソール十一遊星主」
「あの連中かよ、今度は」
「あの連中を止めても」
 エツィーラのその言葉が続けられる。
「銀河はまた少し終焉に向けて流れだしたのだから」
「待て、エツィーラよ」
 バランがその彼女に対して言う。
「御前もシヴァーに加担して陛下に叛旗を翻すつもりか」
「さてね」
 エツィーラはバランに対しても小馬鹿にした口調だった。
「私が興味があるのは」
「何だというのだ」
「この銀河を終焉に導くものの存在だけよ」
 こう言うのであった。
「残念ながらその坊やは」
「ハザル坊のことか」
「その鍵になる前に壊れちゃったけれどね」
「貴様、一体」
 バランが言った時にだった。
 エイスのディバリウムが出て来た。そうしてだった。
 動かないハザルのヴァイクランにだ。攻撃を仕掛けたのだった。
「何とっ!?」
「・・・・・・・・・」
 これにはだ。バランも驚いた。そうしてだった。沈黙しているエイスに対して問うた。
「貴様、どういうちもりだ」
「な、エイス」
 ハザルもだ。瀕死であるが彼に問うた。
「何を・・・・・・する」
「不要になったおもちゃを処分するだけだ」
「!?その声は」
 ハザルはその声に驚愕を覚えた。
「まさか」
「そうだ」
 そしてだった。その仮面を外すとだった。
「何っ!?馬鹿な」
「ハザルがもう一人!?」
「そんな、馬鹿な」
「じゃああいつは」
「ハザル=ゴッツォのクローンだったのか!?」
「違うな」
 エイスが驚く一同に述べた。
「俺とこいつ、どちらがオリジナルというものでもない」
「クローンじゃない?」
「っていうと」
「じゃあ何なんだ?」
「双子!?」
「まさか」
「俺達は閣下の手によって作られたのだ」
 こう答えるエイスだった。
「ハイブリッドヒューマン=タイプPDだ」
「何だと!?」
 これを聞いてだ。バランも驚きの声をあげた。
「坊が。まさか」
「このことは閣下の友人である御前も知らなかったな」
「馬鹿な、初耳だ」
「閣下は来る日に備え」
 エイスの言葉が続く。
「自分の意のままに動く戦力を必要とした」
「それがか」
「手前等だってのか」
「そのプロジェクトの一つが」
 エイスは淡々と話していく。
「霊帝に対抗する為の人工サイコドライバーだ」
「人工サイコドライバー」
「それがか」
「この連中だっていうのか」
「そしてだ」
 さらに話すエイスだった。
「並行して銀河の各所からだ」
「サイコドライバーをか」
「集めてたってのか」
「そうだ。素質を持った人間を集めもした」
 そうだったというのだ。
「貴様等の中にもいたな」
「俺かよ」
「そして私も」
 リュウセイとクスハが言ってきた。
「それだっていうのかよ」
「そうなのですね」
「そうだ。だが」
 エイスはまた言った。
「最終的にはだ」
「最終的には?」
「どうだっていうんだ?」
「閣下が作り出した人工ドライバー」
 こう言うのであった。
「それがもっとも優秀だったということだ」
「それがか」
「あんただってのね」
「そういうことなのね」
「そうだ。そしてだ」
 エイスはあらためてハザルを見る。そうしてそのうえで彼に告げた。
「壊れた貴様はだ。出来損ないはだ」
「嘘だ!」
 まだそれを否定するハザルだった。
「この俺が人工生命体であってたまるか!」
「事実だ」
「人形であってたまるものか!」
 エイスにどれだけ言われても否定しようとする。
「俺はハザル=ゴッツォだ!」
「そうだ、その通りだ」
 バランもそれを言う。
「この者は。ハザル坊だ」
「帝国宰相シヴァー=ゴッツォの息子だ!それ以外の何でもない!」
「御前はそういう風に育てられた」
 だがエイスは無機質に告げる。
「そうしたモデルだったのだ」
「それでは」
 ルリアもそれを聞いて唖然として言う。
「私が遊び相手として付けられたのも」
「察しの通りだ」
「やはり」
「こいつには人間らしい感情というものを植えつけてみたかったらしい」
「くっ!」
 バランはエイスの今の言葉に顔を背けさせた。
 そうしてだ。忌々しげにこう言い捨てた。
「シヴァー、見損なったぞ!」
「バラン、あんた」
「言うな、トウマ」
 バランはトウマの同情は拒んだ。
「わしはそうしたことは受けん」
「そうなんだな」
「察してくれ」
「ああ、済まない」
 二人も話していた。そしてエイスも。
「俺はその下らない茶番を横から観察させられることでだ」
「それでか」
「それでだっていうのね」
「情愛というものの馬鹿らしさ」
 まずはそれであった。
「その非生産性を知り」
「こいつ、人間じゃねえな」
 ヘクトールはエイスの今の言葉を聞いて言い捨てた。
「機械だな」
「否定はしない」
 エイス自身もこう返す。
「俺は機械的に任務を遂行することを仕込まれた」
「嘘だ、嘘だ!」
 ハザルは尚も否定しようとする。
「俺は、俺は父上の」
「見苦しいぞ」
 エイスはハザルの顔で機械的に告げた。
「御前が失敗作であることは既に証明された」
「俺は!」
「ヴァイクランから降りろ」
 エイスは尚も機械的に告げる。
「その機体は俺のものだ」
「嘘だ!俺は父上の子供だ!」
 最後の最後までだ。ハザルは否定しようとする。
「ハザル=ゴッツォだ!」
「消えろ」
 最後にはこう告げてだった。サイコドライバーを放ってだ。
 それによってだ。ハザルを破壊したのだった。
「ぎゃあああああああああああ!」
「ハザル!」
「ハザル様!」
 バランとルリアがハザルに問う。しかしだった。
 最早返答はなかった。ハザルは完全に沈黙していた。ヴァイクランの機体でだ。視点が定まらない顔で完全に崩れ落ちてしまっていた。
「・・・・・・死んだというのか」
「まさか。ハザルさまが」
「おもちゃは完全に破壊した」
 エイスの言葉は素っ気無い。
「今俺が完全に破壊した」
「完全にだと」
「ではハザル様は本当に」
「そうだ、死んだ」
 こうだ。崩れ落ちているハザルを機械的に見ながら言うのであった。
「完全にだ」
「くっ、何と惨い」
「そこまでするなんて」
「やはり感情を処理できなかったか」
 唖然とする二人をよそにだ。まだ言うエイスだった。
「所詮は出来損ないか」
「手前、まさか」
 トウマはそのエイスに対して怒りを見せていた。
「ハザルを挑発する為に素顔を!」
「策略だ」
 それに過ぎないというのであった。
「それだけだ」
「おのれ!」
 バランもだ。ここで前に出ようとする。
「エイス=ゴッツォ、許さん!」
「バラン=ドバンよ」
「何だというのだ!」
「俺達のことを霊帝に報告するのならいい」
 見ればだ。何時の間にかだ。
 エイスの周りにだ。キャリコとスペクトラもいた。孫もだ。
「貴様等、まさか全員」
「そうだよ。実はね」
 孫が明るくバランに返す。
「僕達は最初からそのつもりだったんだ」
「誰があの様な男に忠誠心なぞ持つものか」
「全くだ」
 キャリコとスペクトラはハザルについて言っていた。
「同じ人形だというのにだ」
「それを知らず我々を愚弄してくれたな」
「つくづく人望のない男だったんだな」
 アーウィンはそんなハザルをこう評した。
「そうだったんだな」
「否定はしないよ」
 孫がアーウィンに対して答える。
「正直嫌な相手だったからね」
「そういうあんたはどうなのよ」
 ミーナが目を顰めさせて孫に言い返した。
「如何にも腹に一物だけれど」
「さて、どうかな」
 孫はミーナの言葉にはとぼけて返す。
「案外素直かも知れないよ」
「いや、それはないな」
「絶対にね」
 誰もがそれは否定した。そしてエイスは。
 バランにだ。また告げるのだった。
「今更言っても遅いだろうがな」
「貴様・・・・・・」
「くそっ、ここで!」
 リュウセイがバンプレイオスを前に出そうとする。
「このまま見逃すかよ!」
「ロンド=ベルよ」
 だが、だった。エイスはここでそのリュウセイに言うのだった。
「御前達の力は見せてもらった」
「それがどうした!」
「しかしだ」
 だが、というのであった。
「俺達が戦う場所はここではない」
「何っ!?」
「じゃあ何処だっていうんだ!」
「ゼ=バルマリィ帝国」
 ハザルは己の祖国の名を言ってみせた。
「そこだ」
「何っ!?」
「手前等の祖国じゃねえか!」
「そこに来いっていうのかよ」
「まさか」
「そのまさかだ」
 だがエイスはこう返すのだった。
「そこに来るのだな」
「貴方は」
 アルマナは眉を顰めさせてエイスに問うた。
「本星を戦いの場にする気ですか」
「もう一つだ」
 しかもというエイスだった。
「ここまで生き残った褒美をやろう」
「何だよ、今度は」
「一体何だ?」
「それで一体」
「情報だ」
 それだというのであった。
「御前達の仲間アヤ=コバヤシは」
「大尉が?」
「どうだっていうんだ?」
「シヴァー閣下が預かっている」
 淡々と言った。だがその言葉は。ロンド=ベルの面々にとってはまさに驚くべきことだった。
「た、大尉が!?」
「生きているだって!?」
「そしてバルマーにいるって」
「まさか」
「俺は嘘は言わない」
 ここでも機械的な言葉であった。
「あの程度の能力者でもだ」
「大尉がか」
「どうだっていうんだ?」
「実験サンプル程度の使い道はあるらしい」
 やはり他の者を機械とみなしていた。
「だが、だ」
「何だってんだ、それで」
「今度は」
「人間の形を留めているかは保証できんがな」
「貴様、やっぱりここで!」
「そうだ、倒す!」
 リュウセイとレビが激昂する。しかしだった。
 エイスはその彼等をよそにだ。撤退するのであった。
「また会おう」
「それじゃあね」
 エツィーラも告げる。他の者達も彼等にしたがって撤退に入る。
「期待しているよ」
「何についてですか?」
「御前達がアポカリュプシスを導くことをね」
 こうシンジに告げてであった。彼女も撤退した。
 他の面々も同じだった。戦場に残ったのはロンド=ベルの面々だけだった。
 彼等は遂に憎むべき敵ハザル=ゴッツォを倒した。しかしであった。その彼等の中には謎が残っていた。
「俺達が銀河の終焉を導く?」
「どういうことなんだろう」
 シンとシンジが話す。
「さっぱりわからないぜ」
「うん、どうして僕達が」
「はったりだろう?あのおばさんのな」
 豹馬はそう考えた。
「どうせな」
「そうだな。地球の為に戦っている俺達が」
 タケルも話す。
「どうして銀河を破壊するんだ」
「大体私達にはよ」
 ルナも言った。
「そこまでの力はないわよ」
「いえ、それはどうでしょうか」
 だが、だった。ここでシュウが彼等に話すのだった。
「そう考えるのは早計ですよ」
「っていうと」
「まさか」
「その力って」
「やっぱり」
 シュウの言葉を受けてだ。彼等もわかった。
「イデか」
「それがか」
「銀河を滅ぼす力」
「そういえば」
 考えていけばだ。さらにであった。
「ゲッター線やビムラーだって」
「他の力だって」
「下手をしたら」
「そうだよな」
「イデと同じ位危険だよな」
「そうかも」
 こう話すのだった。そうしてだった。
 アルマナがだ。また話すのだった。
「あのエツィーラ=トーラーですが」
「あの女かよ」
「あの赤い髪の派手な女」
「あいつか」
「彼女は帝国の祭司長の地位にあります」
 アルマナはまずそのことを話した。
「トーラー家の者として」
「そうだったな」
 ここで言ったのはレビだった。
「そして」
「んっ、レビどうしたんだ?」
 リュウセイがレビのその忌々しげな口調に気付いて問うた。
「何かあるのかよ」
「いや、別に」
 レビはすぐに表情を消して言葉を返した。
「何もない」
「別に何もないんだな」
「そうだ、何もない」
 あくまでこう言うのであった。
「気にしないでくれ」
「わかった、じゃあそれならな」
「ああ」
「そしてです」
 アルマナの話はさらに続いていた。
「旺盛な知識欲を持っています」
「祭司長であるが故に」
「それでか」
「彼女はここ数年はです」
 こう話していく。
「無限の力にその全てを注ぎ込んでいたのでしょう」
「だからか」
「あんなことを言ってたんだな、あいつ」
「それでか」
「その彼女の言葉ですから」
 アルマナはまた言った。
「そこには何らかの根拠があるのでしょう」
「まずはです」」
 今言ったのはエキセドルだった。
「情報を整理しましょう」
「はい」
「全てはそれからです」
「私もです」
 ここでだ。アルマナの顔が意を決したものになった。
「私も皆さんと同じです」
「同じ!?」
「同じっていうと」
「一体」
「生まれた星を愛しています」
 こうした意味でだというのであった。
「その平和と繁栄を守る為にです」
「その為にだっていうのか」
「じゃあ姫さんも」
「俺達と同じく」
「まさか」
「はい、戦います」
 こう答えるのだった。
「そうさせてもらいます」
「姫様」
 そのアルマナにだ。ルリアが声をかけた。
「御見事です」
「有り難うございます、アルマナ」
「では及ばずながら私も」
「共に歩んでくれるのですね」
「是非。そうさせてもらいます」
 こうアルマナに話すのだった。
「決意させてもらいました」
「左様ですか」
「はい、その様に」
 二人が誓い合うとだった。彼もであった。
「姫様のお覚悟は」
「バラン、貴方もですか」
「はい、このバランもしかと受け取りました」
 こう言うのであった。
「バラン=ドバンとペミドバン」
「貴方だけではなくですね」
「左様です、陛下と姫様の為に」
 こうアルマナに言うのであった。
「生命を懸けて戦うことを誓います」
「頼りにさせてもらいます」
 アルマナはバランだけでなくルリアも見ていた。
「貴方達のことを」
「はい、是非共」
「そうして下さい」
 こうしてであった。彼等も誓い合うのだった。
 そしてだ。アルマナはロンド=ベルの面々と向かい合う。そうして言うのであった。
「セレーナさん」
「あら、私なの」
「はい、そして皆さん」
 優しい微笑みでだ。彼等に話すのだった。
「また何時か会える日を楽しみにしています」
「ええ、こっちもね」
 セレーナも微笑みで応えた。
「そうさせてもらうわ」
「それではまた」
「行くんだな、あんたも」
 トウマはバランに声をかけた。
「また」
「トウマよ」
 バランもだ。彼に対して言う。
「御主の拳とわしの鉄球」
「ああ」
「武人として雌雄を決したかったな」
「そうだな」
 トウマはここで微笑んでだ。バランに言葉を返した。
「是非共な」
「しかしそれは戦場では叶わぬな」
「残念だけれどな」
「この後御主等とわし等がどの様な道を行くかは知らぬ」
 それはわからないというのである。
「だが」
「ああ、それでもだな」
「御主等が帝国とわしの前に立ちふさがることになれば」
「その時こそだな」
「雌雄を決しようぞ」
「じゃあ。またな」
「うむ、また会おうぞ」
 こうしてだった。アルマナ達はロンド=ベルの面々と別れた。そしてだ。
 そのうえでだ。マスターアジアとシュバルツもであった。
「ではわし等もだ」
「帰らせてもらおう」
「師匠、兄さん」
 ドモンが二人に声をかける。
「地球に戻るんだな」
「うむ、地球にも守りが必要だ」
「だからこそだ。帰らせてもらおう」
「そうか、それじゃあな」
「またな」
「会うとしよう」
 こうして彼等も地球に帰ろうとする。しかしだ。 
 ふとだ。リィルがこんなことを言った。
「ここから地球に。どうして帰るのかしら」
「それは簡単だ」
「次元を超えて一気に戻る」
 要するにワープするというのである。
「そうすればだ」
「地球にも一瞬だ」
「そうなんですか」
「我等の力を以てすればな」
「次元を超えることもたやすい」
「だからそれもう人間の力じゃないから」
 アスカがここでも二人についてこう忌々しげに言う。
「全く。変態は無敵ね」
「ううん、やっぱり凄い人達だなあ」
 だがシンジは憧れを見せている。
「そこまでできるなんてね」
「人間かどうかって疑問はないのね」
「疑問って?」
「わからないんならいいから」
 もう強くは言わないアスカだった。流石に諦めていた。
 何はともあれ彼等も帰った。そしてシュウもだ。
「では私も」
「御前も帰るんだな」
「はい、私の仕事は終わりましたので」
 こうマサキに述べるのだった。
「ですからこれで」
「それでまた出て来るんだな」
「時が来れば」
 思わせぶりな笑顔での言葉だった。
「そうさせてもらいます」
「ああ、じゃあまたな」
「はい、また御会いしましょう」
 二人の別れはこれで終わりだった。そうしてだ。
 ロンド=ベルの面々だけになってだ。彼等はあらためて話をするのだった。
「帝国にも分かり合える人はいるんだな」
「だよな」
「戦い以外の解決の道もな」
「あるよな」
「絶対に」
「それに」
 そしてであった。彼等が見るのは。
「銀河の終焉か」
「アポカリュプシス」
「それだよな」
「それが何か」
「気になるな」
 このことを話すのだった。
「行く手に何が待っていようともな」
「立ち止まる訳にはいかないし」
「最後の最後まで」
「やるか」
「戦おうな」
 こう話をするのであった。
「絶対に」
「それに大尉だって」
 アヤの話も為される。
「生きているんだ」
「それならな」
「もう迷うことはないな」
「何とかして救い出そう」
「絶対に」
 あえてだ。強く言う彼等だった。
「バンプレイオスもある」
「大尉が乗るべきマシンも」
「それもあるから」
「だから」
「そのバンプレイオスだが」
 ライが仲間達に話す。
「機動兵器であると同時にだ」
「同時に?」
「あの次元を斬った力」
「それなのね」
「そうだ、ゲートにアクセスする力も持っている」
 まさにそうだと話すライだった。
「念動力をT-LINKシステムで増幅し」
「そしてか」
「その力で」
「サイコドライバーの域まで高めることでそれが可能となる」
 こう話していく。
「それができる」
「じゃあリュウセイだけじゃなくてか?」
「クスハも乗れる?」
「バンプレイオスに」
「いや、それは無理だ」
 ライはそれはできないと話した。
「バンプレイオスはリュウの為のマシンだ」
「専用機か、つまりは」
「そうなんだ」
「そしてだ」
 ここでさらに言うライだった。
「バンプレイオスは一つ特徴がある」
「特徴?」
「特徴っていうと」
「分離はできない」
 それはだというのだ。
「それあ無理だ」
「あっ、そうなんだ」
「そういえば分離してないよな」
「確かに」
「それは」
「元々あのSRXは」 
 ライはあのマシンについての話もした。
「エックスタイプの名前が示すようにだ」
「試作型だったんだな」
「そうだったの」
「あの強さで」
「そうだった。しかしだ」
 ライはさらに話す。
「完成型の設計、開発はかなり早い段階から進められていた」
「とはいってもな」
 リュウセイも話をしてきた。
「随分と難航してたらしくてな」
「それで今まではか」
「出ていなかった」
「そうだったのね」
「ああ、俺達の復帰もそれでな」
 遅れたというのである。
「本当に危ないところだったぜ」
「それでどうして合体と分離はないんだ?」
 竜馬がこのことを尋ねた。
「SRXの特徴の一つだったが」
「本来はそのつもりだった」
「けれどそれがか」
「できなくなった」
「そうなんだ」
「完成を急ぎ」
 ライはその理由についても説明した。
「機体強度を重視した為にだ」
「分離はできなくなった」
「そういうことなんだ」
「本来は各Rマシンの合体も為された」
 このことも話される。
「しかし今はその分離機能は封印している」
「成程なあ」
「そういう事情があってか」
「合体したままだったんだ」
「それで分離はできない」
「それが今のSRXなんだ」
「そういうことだ」
 ライも話す。そしてであった。今度はだ。マイヨが言った。
「もっとも驚いたのはだ」
「閉鎖空間のことだよな」
「そうだ。あれは何故できた」
 マイヨはこうリュウセイに問う。
「あそこまでの力は」
「バンプレイオスには二十六の秘密があってな」
「待て」
 レビがリュウセイの今の言葉に突っ込みを入れる。
「三番目をここで出すか」
「駄目か?」
「電車や蝙蝠の関係者がいるぞ」
 何気なくマサトやアスランを見るレビだった。
「それでもするか」
「俺だって関係者だぞ」
「そういえば電車だったか」
「そうだよ。御前だって戦隊で関係なかったか?」
「そうかも知れないな」
「少なくともブレラはあっただろ」
「ジョーカーだったな」
 そのブレラが応える。
「俺はあの時緑色だった」
「だろ?ほら、カナンさんとかコウさんとかな。カミーユさんなんかラスボスだっただろ」
「よく知ってるな」
 カミーユも呆れる程だった。
「あれは俺も楽しめたが」
「俺の話も知ってたのか」
 コウも驚いている。
「リュウセイはこうした話には強いからな」
「全くね。驚く他ないわ」
 アイナは関係ないといった顔だったがリュウセイは彼女にも言った。
「いや、アイナさんだってな」
「そうだったわね。アイナさんもね」
 カナンは友人を見つけた顔で言った。
「出たのね、遂に」
「ま、まあそれはね」
 照れ臭そうに言うアイナだった。何気に多くの人間が心当たりのある話になっていた。
 そしてだ。話は戻ってだ。ライがまたはアン巣。
「あの力、次元斬はだ」
「文字通りだな」
「次元斬」
「それか」
「空間を切り裂き任意の空間と直結させる力だ」
 ライはそれだと話した。
「それを使えるのはリュウだけだ」
「こいつだけがか」
「それができるんだな」
「やっぱり」
「そうだ。そしてそれは」
 ここでだ。ライの話が大きく変わった。
「イルイ=ガンエデンの協力によってできた」
「えっ!?」
「イルイちゃんの!?」
「今シティにいるのに」
「何時の間に地球に」
「どうして」
「彼女は神だ」
 そのことに最初に気付いたのはクワトロだった。
「神の力ならばだ」
「銀河中を瞬時に移動できる」
「そういうことですね」
「そうだ、それも可能だ」
 まさにそれだというのだった。
「それによってだな」
「その彼女の協力によってだ」
 ライはさらに話す。
「レビにXNディメンション、つまり」
「ゲートへのアクセスの仕方を」
「教えてそうして」
「バンプレイオスが」
「そういうことだ。それでだ」
 それでだというのだった。
「そしてあの娘はだ」
「メッセージを残してくれた」
 レビも話す。
「ナシムの子よ」
「ナシム!?」
「ナシムって何だ!?」
「一体」
「それはわからない。だが」
 レビはいぶかしむ仲間達にさらに話す。
「この銀河を救って下さい。こうメッセージを残した」
「そのメッセージを残して」
「今ここにいる?」
「いや、もういないかもな」
「だよな。また何処かに行っている」
「そうかも」
 何となくだがだ。誰もがそう察したのだった。そのうえでさらに話していく、
「けれど銀河を救う」
「その言葉は多分」
「アポカリュプシス」
「それよね」
「間違いなく」
「しかしな」
 ここで言ったのは忍だった。
「そのアポカリュプシスの正体はわかってないんだぜ」
「そうだな。それは」
 ニーも彼のその言葉に頷く。
「正直何一つとして」
「終焉、結末というが」
 大介も言う。
「それが何の為に起き何が起こるのかは」
「わかっていないよな」
「全然」
「あの女が知っているのか」
 金竜が言う。
「あのエツィーラ=トーラーが」
「俺達がアポカリュプシスを導く」
「その存在だと」
「あの言葉か」
「じゃああの婆に直接聞いてやればいいさ」
 シンの言葉だ。
「とっ捕まえてな。俺はああいう婆が大嫌いなんだよ」
「御前誰でも嫌いだろ」
 今シンに突っ込みを入れたのは闘志也だった。
「誰が相手でも喧嘩するしな」
「俺は別にそこまではよ」
「まあとにかくだ」
「戦うしかないか」
「今は」
 それは確かだった。彼等の戦いはまだ続くのであった。


第九十八話   完


                                      2011・2・18       
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