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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第九十一話 アレグリアス

               第九十一話 アレグリアス
「ううん、これは」
「やっぱり」
「何ていうか」
 皆クスハの握った御握りを前にして難しい顔になっている。
「独特だよなあ」
「形も色も」
「青い色の御握りって」
「こっちは緑だし」
 そうした御握りであった。
「俺はじめて見たよ、四角い御握りって」
「僕もです」
「私も」
 皆まさにどん引きである。
「食べて大丈夫かな」
「いや、大丈夫じゃないだろ」
「だよなあ」
「これは」
 こう言ってだ。皆食べようとしない。しかもだ。
 それはクスハのものだけではなかった。見ればだ。
 ラクスのものもあった。それも酷いものだった。
「何、これ」
「虹色の御握りって」
「こんなのどうやって作れるの?」
「あなたの知らない世界」
「そんな感じだけれど」
「はい、皆さんどうぞ」
 しかしだ。ラクスはにこりと笑って引いている彼等にこう言うのであった。
「召し上がって下さい」
「私も握ったのよ」
 ミナキも出て来た。
「これね」
「うわ・・・・・・」
 トウマは思わず言ってしまった。
「蛸の足の先が出てるよ」
「御握りに蛸!?」
「しかも足が先に出てるって」
「何、これ」
「御握りどころかたこ焼きですらないみたいだけれど」
「これじゃあ」
 皆も言う。殆どの御握りは食べられるものだ。しかし一部の面々が作ったものがだ。あまりにも酷い状況になってしまっているのだった。
「ユリカさんのこれも」
「えげつないけれど」
 そちらは黒焦げであった。
「何処をどうやったらこんな御握りが」
「ただ具を入れて握るだけだよな」
「そうそう、それが御握り」
「シンプルかつ美味しい」
 御握りの長所である。
「それなのにこれって」
「何ていうか」
「食べたら次の戦闘は」
「完璧駄目だよな」
「ああ、死ぬぞこれ」
「絶対に」
 殆どの面々は見ただけで逃げようとしている。しかしだ。
 オルガ、クロト、シャニはだ。全く平気であった。
 それぞれその異形の御握り達を両手に持ってだ。貪るのだった。
「美味いぜ、どれもこれも」
「うん、最高だね」
「生き返る」
「そうですね」
 そしてアズラエルもだった。全く平気である。
「まずは何かを食べないとお話になりません」
「そうだよ。ここはもりもり食ってよ」
「バルマーの奴等抹殺しないとね」
「だから食う」
「前から思ったいたことなんですけれど」
 ニコルはそんな彼等を見て引きながら言うのだった。
「この人達僕達よりよっぽど凄いですよね」
「あんなの食って何ともねえからな」
 ディアッカは核心を衝いていた。
「普通の人間じゃねえかもな」
「そうですよね、やっぱり」
「普通の奴がこんなの食ったら」
 ディアッカは普通の御握りを食べている。カガリの握った形の悪いものだ。ただし悪いのは形だけだ。他は至って普通である。
「死ぬぜ」
「フレイさんのも」
「あれ、御握りじゃねえだろ」
 オレンジに輝いている御握りだった。
「何なんだよオレンジって」
「さて。僕にも何が何だか」
「近くに寄っただけでもな」
「危険そうですね」
「殆ど兵器だな」
 しかしその兵器もであった。彼等は平然と食べていくのであった。まさに無敵であった。
「まだあるか?」
「どんどん頂戴、美味しいよ」
「幾らでも食える」
 三人は全く平気である。当然アズラエルもだ。
 彼等は平気だ。しかしだ。
 スティングとアウルはだ。普通の御握りを食べていた。リンダが握ったものだ。
「何か俺達ってな」
「至って普通だよな」
「ああ。あの連中元から無茶苦茶だからな」
「俺達は元は普通だったから」
「身体の頑丈さが尋常じゃないんだな」
 シーブックはこう分析した。
「そういうことだね」
「ニュータイプやコーディネイターでも無理だよな、あれは」
「サイボーグでも」
「俺でもあれは駄目だろうな」
 そのサイボーグの宙もであった。
「あんなものを中に入れればだ」
「破壊されます?」
「やっぱり」
「ああ、そうなるな」
 こうスティングとアウルに話すのだった。
「つまりあの三人とアズラエルさんはな」
「普通の人間じゃないんですね」
「元から」
「そういうことになるな」
「しかしまああれだな」
 バサラは普通に食べている。
「食い物は粗末にしちゃいけないからな」
「あんたも食べてるのね」
「ああ。食わねえとギターが弾けないからな」
 こうミレーヌに答える。
「だから俺も食うぜ」
「まずは食べてなのね」
「そうだ、腹の中に入れてからだ」
 金竜はユンの握ったキムチ入りの御握りを食べている。
「また戦いだ」
「そういうことですね」
「そうだ。しかし」
 ここでだ。金竜は難しい顔になって述べた。
「あの男は」
「ハザル=ゴッツォ」
「あの男ですね」
「そうだ、あいつだ」
 こうフィジカとドッカーにも返す。
「あいつは何故バルマーの姫を」
「あいつの言うことは何か」
「妙に違和感を感じるんですけれど」
「そうだな。何か別の考えがあるな」
 それは金竜も察していた。
「それがな」
「あいつは碌な奴じゃない」
 ユウキはそれを察していた。
「これまでのことでそれがな」
「わかるわよね」
「ああ、その通りだ」
 こうカーラにも言う。二人も御握りを食べている。
「これまででわかるな」
「何なのかしらね、あの傲慢さ」
 カーラも眉を顰めさせながら言う。
「自分達のお姫様にもああだし」
「何か。あの態度って」
「最初からアルマナさん達を見捨てるつもりだったとしか」
 リョウトとリオも眉を顰めさせている。
「そんな感じに思えるけれど」
「そうね。迷いもなくっていうか」
「だからだ。人を迷いもなく切り捨てられる奴はだ」
 ユウキはそれを言うのだった。
「間違いなく碌な奴じゃない」
「そういうことなんだね」
「あのハザルっていう男は」
 リョウトもリオもユウキのそうした話を聞いていた。そのうえで今は御握りを食べていた。
 そしてその中にはだ。二人もいた。
 二人はだ。ミナキの握った御握りをだ。美味しそうに食べている。皆それを見て言うのであった。
「まさかと思うけれど」
「美味しいとか?」
「あの御握りが」
「美味いが」
 実際にこう言うルリアだった。
「そうは思わないのか」
「はい、とても美味しいですけれど」
 アルマナも言う。
「皆さんどうして」
「いや、まあ」
「何ていうか」
「それはその」
「ちょっと」
 これが通常の味覚と胃袋を持つ面々の言葉だ。
「ま、まあ何ともなかったら」
「どうぞ」
「お好きなだけ」
「一杯ありますし」
 こう言って逃げるのであった。そしてルリアは。何故かオルガと喧嘩をはじめた。
 御握りを取り合ってだ。こう言うのだった。
「待て、それは私のだ」
「俺のだ」
 一つの御握りを巡って睨み合っている。
「俺が見つけたんだからな」
「私が先に手を取った」
「見つけたのは俺なんだよ」
「いいや、私だ」
 こう言い合ってだった。そうして。
 こんなことまで言い出すのであった。
「そういえば貴様は」
「ああ!?そうだよな」
 お互いに何かに気付いたようである。
「白鳥かよ」
「緑の牛だな」
「ここで会ったが百年目だ!」
「黙れ、この金欲弁護士が!」
 妙な言い争いに入るのだった。
「今度こそな!後腐れのないように!」
「成敗してやる!」
 喧嘩をはじめた。それを聞いてだ。アキトが言うのだった。
「鏡の世界だね」
「そうみたいね」
 キーンが彼の言葉に頷く。
「私もちょっとだけわかるから」
「モンスターだったっけ」
「ええ。それであそこにいた気がするから」
 それでだというのである。
「何かね」
「僕は電車の世界で」
「そっちだったのね」
「クライマックスってね」
 こんなことを言うのだった。
「そうだったけれど」
「それってかなりよくない?」
「けれど結構扱いが悪かったような」
「それでも主役だったらいいじゃない。私なんて変な叫び声だけで」
「ううん、それはちょっとあれだね」
「そうでしょ?だからよ」
 こうアキトに話すキーンだった。
「メインだったら最高よ」
「けれどキーンさんって確か」
 不意にミオが出て来た。
「理事長と生徒会長やってなかった?」
「うっ、それは」
「私その学校にいて」
「その話をここで出すのね」
「あとお姫様もやってたわよね」
「あっ、それでしたら」
 今度はカトルが来た。
「僕も関係ありますよね」
「あたしもだよな」
「私もね」
 リョーコとジュンコも出て来た。
「いやあ、プリティサミーって面白かったな」
「あの時は科学者だったわね」
「ううん、あの時はねえ」
 エクセレンまで登場する。
「レインにかなり困らさせられたっけ」
「むっ、それは私の言葉よ」
 レインは笑いながらエクセレンに返す。
「それを言ったらね」
「あっ、そうだっけ」
「そうよ。まああの世界はあの世界でね」
「懐かしいわね」
「しかし。皆色々な世界に関わってるな」
 カミーユがこんなことを言った。
「俺最近悪い天使になったみたいだしな」
「天使か」
 何故かここでオズマが言う。
「それは俺もだ」
「オズマさんは天使というか騎士なんじゃないんですか>」
「一応そうなっているからな」
 こう言うオズマだった。
「まあ何はともあれだ」
「ええ。まずは御握りを食べて」
 カミーユはファから直接その御握りを受け取って食べている。
「それからですね」
「その通りだ」
「あたし思うんだけれどな」
「どうしたのだ?」
 ノインがリョーコの言葉に応える。
「何かあったのか」
「いやさ、マリュー艦長とかミサトさんの声ってな」
「二人の声がどうかしたのか」
「その声の人達って料理下手じゃね?」
 こう言うのである。
「あたしそんな気がするんだけれどな」
「そういえばそうだな」
 それにノインも頷く。
「考えてみればな」
「そうだろ?何でだろうな」
「逆に遥さんだと」
 今度は遥を見るリョーコだった。綾人に自分の握った御握りを手渡している。
「そういうのがなくてな」
「私お料理はそんなに」
「それでもさ。マリュー艦長とか」
「ええ、お料理は大の苦手よ」
 自分で言うマリューだった。
「軍にいるし」
「私もよ」
 ミサトも居直っている。
「そんなの。ビールとレトルトと」
「二人共それじゃあだな」
 それを聞いてだ。また言うシンだった。
「三十超えたら。つまりもうすぐぶくぶくとだな」
「はい、そこから先はね」
「言ったらどうなるかわかってるわね」
 急に鬼の顔になる二人であった。
「戦いで死ぬ前にね」
「死んでもらうわよ」
 本気の言葉だった。
「わかってると思うけれど」
「いいかしら」
「あの、二人共」
 遥がここで二人を止めて言う。
「既にアルゼンチンバックブリーカーしてるけれど」
「あら、そうだったの」
 マリューがシンをそうしていた。
「無意識のうちにしていたわ」
「私もよ」
 今度はミサトがシンをカナディアンバックブリーカーでしめている。
「何か身体が勝手にね」
「そうしてるわね」
「ううん、気持ちはわかるけれど」
 それはわかるという遥だった。
「それでもね」
「まあねえ。スタイルはね」
「気をつけてるし」
 一応こんなことを言う二人だった。
「これでもよ」
「ビールばかりでもね」
「そうよね。お肌にもね」
 遥もそれは同じだった。
「私達の歳になるとね」
「お肌がお水はじくなんてこともないし」
「全然ね」
「ったくよ。本当に戦いの前に死ぬところだったぜ」
「普通死んでるよ」
 キラがシンの介抱をしながら突っ込みを入れる。
「背骨折られてて」
「ああ、恐ろしい技だぜ」
 その二つのバックブリーカーのことである。
「プロレスってのは怖いな」
「他にも怖い技一杯あるしね」
「ああ、じゃあとにかくな」
「御握り食べてね」
「戦うか」
 そんな話をしていた。その中でだ。
 セレーナはだ。ツグミから説明を受けていた。
「じゃあ何時でもね」
「ええ、いけるわよ」
 こうセレーナに話すツグミだった。
「だから安心してね」
「ええ、ソレアレスが駄目になっても」
「戦えるから」
 二人はそんな話をしていた。そうしてだ。敵の第二陣が来たのであった。
「来たなあ、次が」
「敵がまた」
「さて、それじゃあ」
「また」
「総員出撃して下さい」
 レフィーナが告げた。
「また。戦闘です」
「よし、それじゃあね」
 こうしてだった。セレーナが応えてだった。
 彼等はすぐに戦闘に向かう。既に敵はすぐ傍まで来ていた。
「では隊長、ここは」
「正面からですね」
「そうだ、このまま攻める」
 スペクトラだった。彼女が指揮官だった。
 その彼女がだ。こう部下達に言うのだった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「今から」
「あの女は私がやる」
 セレーナにだ。強烈な憎しみを向けていた。
「いいな」
「はい、それでは」
「我々は」
「御前達は他の敵を倒せ、いいな」
「了解です」
「それでは」
 こうしてだった。バルマー軍から動いてであった。ロンド=ベルを攻める。
 ロンド=ベルはだ。その彼等に対してだ。
「方陣ですね」
「それですね」
「はい、まずは守りましょう」
 ルリがユリカに話していた。
「そうしてそのうえで」
「頃合いを見てですね」
「攻勢に移ります」
 これがここでのユリの策だった。
「そうしましょう」
「わかりました。それでは」
 こうしてだった。彼等は今は敵を迎え撃つのだった。そうしてその数を少しずつ消耗させていく。
 だがその中でだ。スペクトラは。
「いるか!」
「私のことかしら」
「そうだ、そこにいたな」
 セレーナを見て言うのだった。
「それではだ」
「何かあんたいつもそうね」
 セレーナはそのスペクトラを見ながら話す。
「私に来るわね」
「貴様だけは私が倒す」
 こう言ってであった。
「何としてもだ」
「言うわね。けれどね」
「けれど。何だ」
「私もそう簡単にやられるつもりはないから」
 余裕の微笑みを作っての言葉だった。
「それはわかっておいてね」
「ふん、あがくか」
「あら、人間あがいてこそよ」
 早速攻撃が来たがそれをかわしながら言う。
「そうであってこそよ」
「醜いものだな」
「醜いっていうかそれが素直なのよ」
「何処がだ」
「あんただってあがいてるしね」
 懐に飛び込む。そうして鞭を繰り出しながら言ってみせる。
「今もね」
「私があがいているだと。戯言を」
「これが戯言じゃないからね」
「何処がだ、私が嘘を言っているのか」
「嘘じゃなくてね」
 そうではないと告げてからだった。
「自分で気付いてないだけよ」
「まだ言うのか」
「だから。あんた今私を倒そうとしてるわね」
「それがどうした」
「それがあがいてるってことよ」
 こう彼女に言うのであった。スペクトラにだ。
「そうして私を倒そうって必死に向かうのがね」
「ではだ。どうするつもりだ」
「私もあがくのよ」
 そうするというのである。
「そして倒されないようにするのよ」
「ならばそうしてみるのだな」
 ヴァルク=イシャーの右手に剣を出しての言葉だ。
「この私の手から逃れてみよ!」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 セレーナも攻撃を繰り出す。
「こうしてね!」
「くっ!」
 両者の攻撃がぶつかり合う。二人の戦いも激しくなってきていた。
 その中でだ。戦局は膠着していた。
「今はです」
「我慢する時ですね」
「はい、こうして攻防が拮抗している時こそです」
 ルリはここでもユリカに話していた。
「耐えてです」
「そして機を見て」
「仕掛けます」
 こう言うのであった。
「その為にも今はです」
「わかりました」
 ユリカもルリのその言葉に応えて頷く。
「それでは」
「あとは」
 ルリはここでセレーナとスペクトラの戦いを見た。
「セレーナさんは」
「援護射撃はできますか?」
 ユリカはすぐにルリに問うた。
「セレーナさんの」
「いえ、それは」
「それは?」
「止めた方がいいです」6
 こう言って止めたのであった。
「アイビスさん達がおられます」
「だからですか」
「はい、そうです」
 こうしてだった。ナデシコは二人の戦いへの介入はしなかった。そしてだ。
 アイビス達もであった。動かなかったのだ。彼女達は彼女達の敵を倒していた。
 その中でだ。スレイがツグミに問う。
「これでいいのか」
「セレーナへの援護をしないことね」
「そうだ、あの女は強い」
 スペクトラのことに他ならない。
「それでだ。放っておいてだ」
「ええ、大丈夫よ」
 ツグミは確かな声で答える。
「今のあの娘なら」
「死なないっていうんだね」
 アイビスもツグミに問うた。当然彼女も他の敵と戦っている。
「絶対に」
「絶対よ」
 アイビスにも確かな声で返した。
「だから安心して」
「ツグミがそこまで言うならね」
「信じよう」
 二人も彼女の考えを受け入れた。そうしてであった。
 彼女達はセレーナを見守りながら自分達の戦いを行っていく。戦場での戦いをだ。
 セレーナはその間に。ソレアレスにかなりのダメージを受けていた。
「つうっ、やっぱり強いわね」
「私を侮ってもらっては困る」
 こう返すスペクトラだった。
「貴様とは浅からぬ因縁だがな」
「そうね、あんたに私のいた部隊を壊滅させられたしね」
「あの時に貴様も殺しておくべきだった」
 忌々しげに言うスペクトラだった。
「そうでなければ今な」
「こうして楽しい思いはしなかったっていうのね」
「違うな、それは」
 言葉の忌々しげなものがさらに強くなった。
「私をわずらわせる女狐め」
「どう?美人の狐でしょ」
「ふん、顔はどうでもいい」
「じゃあ身体かしら」
「そんなものには興味がない」
 スペクトラはあくまでこう言うのだった。
「私が興味があるのはだ」
「何だっていうのかしら」
「貴様の命だ」
 それだけだというのである。
「貴様のそれを貰いたいだけだ」
「そういうことなのね」
「死んでもらう」
 憎しみそのものの言葉をだ。今出した。
 そしてそのうえでだ。一旦距離を放してだった。
「何をするのかしらね」
「セレーナ、気をつけて」
 アルマが彼女に言う。
「何か様子が違うから」
「そうね。これまでの攻撃とは違うわね」
「うん、だから」
 こう言ってセレーナに注意を促す。そしてだった。
 スペクトラは。その攻撃を繰り出すのであった。
「さあ、受けるのだ!」
「来た!?」
「セレーナ、かわして!」
「わかってるわ、けれど!」
「遅い!」
 そしてだ。その攻撃を放ったのだった。
「ヤラー=イリュージョン!」
「くっ!」
 それを受けてだ。ソレアレスは大きく吹き飛ばされたのだった。
「勝負あったな」
「ま、まだ・・・・・・」
「セレーナ、大丈夫!?」
「私はまだ生きてるわよ」
 こうアルマに返すのだった。
「生きているのならね」
「そうか、それならだ」
 それを受けてだ。スペクトラが言ってきた。
「ここで止めを刺しておこう」
「生憎ね。首を切られても動いてみせるわ」
 不敵な笑みでスペクトラに返すセレーナだった。
「そう簡単には死なないわよ」
「何故そこまでして生きようとする」
 スペクトラはそれをセレーナに問うた。
「最早機体は動かないというのにだ。それでもか」
「決まってるわ、それはね」
「それは?」
「あんたを倒す為よ」
 憎悪をだ。ここで見せたのだった。
「隊長と皆の仇であるあんたをね」
「私をか」
「仇を討つまでは。絶対にね」
「ふん、ならば余計にだ」
 ヴァルク=イシャーの右手にだ。また剣を持っての言葉だった。
「ここで止めを刺しておこう」
「セレーナ、ここは本当に」
「いいえ、大丈夫よ」
 不敵な笑みをだ。パートナーにも向けるのだった。
「切り札があるから」
「切り札!?それじゃあ」
「ええ、ツグミ!」
「ええ、セレーナ!」
「あれに乗り換えるわ、出して」
「了解、それなら!」
 すぐに応えるツグミだった。そうしてだ。
「発進、アレグリアス!」
「何っ、ここで出すのか!?」
「まさか!」」
 スレイもアイビスも驚きを隠せない。
「宇宙空間での乗り換えか」
「幾ら何でも無茶だ、それは」
「無茶!?大好きよ」
 不敵な笑みで返すセレーナだった。
「危険を承知でね。戦ってるんだから」
「馬鹿な、それだけのダメージを機体に受けているんだ!」
「あんただって無事じゃないだろ!」
「言った筈よ。首が外れても動いてみせるってね」
 二人にもだ。セレーナはこう言うのだった。
「そうよね」
「くっ、本当に命は惜しくないのか」
「死んでもいいっていうんだね」
「だから私は死なないのよ」
 それをまた言うセレーナだった。
「絶対にね」
「・・・・・・わかった。それならだ」
「好きにするんだね」
 二人も遂に頷いた。
「やってみろ」
「あんたのしたいようにね」
「ただしだ」
「いいね、約束だよ」
 二人は切実な顔でセレーナに告げた。
「死ぬな」
「死んだら許さないからね」
「わかってるって言ってるじゃない」
 顔だけは明るく見せるセレーナだった。
「それじゃあね。見せてあげるわ」
「セレーナ、それじゃあ」
「アルマ、一世一代の賭けよ!」
 アルマに対しても告げた。
「ソレアレスからね!」
「アレグリアスに」
「一気に乗り換えるわよ!」
「ラジャー!」
 こうしてだった。セレーナはアルマと共に宇宙空間に出た。そしてだ。
 そこに赤い機体が来た。それこそ。
「アレグリアス出ました」
「セレーナ、今だ!」
「早く!」」
 ツグミに続いてスレイとアイビスが叫ぶ。
「乗れ!」
「さもないと!」
「よし、いったわ!」
 セレーナはアレグリアスのコクピットに手をつけた。そしてだ。
 アルマと共に中に入りだ。そうしてだった。
「よし、これで!」
「行けるね!」
「機動させるわよ!」
「うん、すぐに!」
 こうしてだった。アレグリアスがだ。動きだしたのであった。
「何っ、まさか」
 それを見てだ。スペクトラも驚きを隠せなかった。
「まさか。動くというのか」
「そうよ、見ての通りよ」
「そんな筈がない」
 彼女は今自分が見ているものを信じようとしなかった。
「宇宙にマシンを出してすぐにとは。ましてだ」
「私がこうしてマシンを動かせることね」
「ダメージはかなりの筈だ」
 その手応えは確かにあった。
「それで何故だ」
「私は不死身なのよ」
 ここでも不敵な笑みを作ってみせて告げたのだった。
「だからよ」
「また戯言を。不死身というのならだ」
「ええ、見せてあげるわね」
「来い!今度こそだ!」
「やっつけられるのはあんたよ!」
 こうしてだった。二人は再び激突するのだった。
 今度はだ。セレーナが押していた。
「くっ、この機体」
「いい感じね。しっくりくるわ」
 セレーナは鞭を振るいながら言う。
「このアレグリアスはね」
「そうだね。合ってるね」
「私にね」
 アルマにも気軽な言葉を返す。
「この機体なら」
「いける?」
「ええ、いけるわ」
「ふざけるな!私を甘く見るな!」
 今の言葉にだ。スペクトラは激昂を見せた。
 そしてだ。再び剣を振るう。
「これで。貴様を」
「倒そうっていうのね」
「死ね!本気で止めを刺してやる!」
「セレーナ!」
「来るぞ!」
 スレイとアイビスがセレーナにまた叫んだ。
「気をつけろ!」
「ここは!」
「わかってるわよ。何度でも言うわ」
 セレーナはだ。鋭い目になった。
 そのうえで口元に微笑みを浮かべて。そしてだった。
「アルマ、このマシンだけれど」
「うん、どうしたの?」
「とっておきの技があるわね」
 こう彼に言うのであった。
「そうね」
「それは」
「プリズムファントム、モードLで!」
 左右にだ。無線のオプションを出してだ。
 両手からそれぞれの剣を出してであった。
「これで!」
 まずはそのオプションを飛ばす。そのうえでヴァルク=イシャーに突っ込み。同時攻撃を繰り出したのであった。
「どうかしら!」
「セレーナ、まさか今のが」
「そうよ、それよ」
 にこりと笑ってアルマに返すセレーナだった。
「切り札よ」
「乗ってすぐに出せるなんて」
「つまりそれだけ私がこの機体に合ってるってことね」
「このアレグリアスとだね」
「ええ、そしてこれでね」
 あらためてスペクトラのヴァルク=イシャーを見る。するとだ。
「あいつはここではね」
「もうけりはついたね」
「どう?まだやる?」
 セレーナはあらためてスペクトラに問うた。
「私はいいけれどね」
「おのれ、生意気な」
「生意気じゃないわよ。あんたの機体じゃもう無理でしょ」 
 それを見越しての言葉に他ならない。
「そうでしょ、それは」
「くっ、ならばだ」
「逃げるのならどうぞ」
 あえて挑発的に言うセレーナだった。
「今は追わないっていうか追えないしね、こっちも」
「ふん、どちらにしろ貴様はだ」
「ここで死ぬっていうのね」
「そうだ、死ぬ」
 こうセレーナに告げるのを忘れない。
「間違いなくだ」
「一つ言っておくわ」
 セレーナは不敵な笑みと共にまた彼女に言った。
「あんた達は通常空間からこっちに来ているわね」
「それがどうした」
「それは帰れるから来ているのね」
 そのことを指摘したのだった。
「そうよね。だから私達を倒しに来たのよね」
「それがどうした」
「あんた達が行き来できるってことは」
「まさかと思うがな」
「そのまさかよ」
 今度は余裕の笑みであった。
「私達もそれができるのよ」
「地球人共にできるものか」
「その偏見が全ての元凶ってのも言っておくわね」
「何処までも口の減らない女だ」
「伊達に特殊部隊にはいなかったわ」
 ここではだ。スペクトラに対して憎しみもかいまだが見せた。
「言葉も戦いに使うのよ」
「それを言うか」
「言うわ。それじゃあさっさと逃げるのね」
「覚えておくことだ」
 スペクトラは今はこう言うしかできなかった。そうしてだ。
 彼女は自身が率いる軍にだ。こう告げるのだった。
「ではだ」
「撤退ですか」
「ここは」
「戦力はどれだけ残っている」
 スペクトラは部下達にこのことも尋ねた。
「一体どれだけだ」
「三割程度です」
「そこまで倒されました」
 こう答える彼等だった。
「ですからもうです」
「これ以上の戦闘は」
「潮時だな」
 スペクトラはこう結論を出した。これで全てが決まった。
 彼女は軍と共に撤退した。これで第二陣との戦闘は終わった。
 しかしこれでだ。戦いは終わりではないのだった。
「六段だったよな」
「ああ、あいつ言ってたよな」
「確かにね」
 ロンド=ベルの面々は休憩中にこう話すのだった。
「じゃああと四段か」
「四回も戦わないといけないんだな」
「大丈夫かな」
「とりあえずエネルギーと弾薬はあります」
 八雲がそれは大丈夫だと話した。
「ですから戦うことはできます」
「何とかですね」
「それは」
「そうです。ただし」
 それでもなのだった。問題はそこではなかった。
「ここから脱出しなければです」
「また来るよな」
「絶対に」
「あいつ等幾らでも」
「そしてここにいる限りは」
 八雲はさらに話す。
「やがては」
「食べ物がなくなって」
「遂には」
「餓死、ですね」
 最悪の末路が言葉となって出た。
「それしかありませんね」
「えっ、それってないよ」
「そうだぜ、ちょっとそれはよ」
 アラドと甲児が思わず声をあげた。
「俺飯食わないと死ぬんだぜ」
「俺だってよ。五人分食わないとちょっとな」
「これは」
 八雲は彼等の話を聞いてだ。真剣な顔になって言った。
「最後は近いかも知れませんね」
「あの、八雲さん」
 キムが思わず突っ込みを入れた。
「そこで真剣に言ったら」
「駄目だったかな」
「本当になってしまいますから」
 だから駄目だというのである。
「食べ物はまだありますけれど」
「けれど。皆よく食べるから」
「ですから本当のことでも言わないで下さい」
「おい、君も今言ったじゃないか」
 レイヴンがそのキムに言う。突込みが突っ込みを呼ぶ。
「只でさえ我々の部隊には大食漢が多いというのに」
「レイヴンさんも言っていますけれど」
 エマが彼に言うのだった。
「ですから。ここから脱出することですね」
「そうだ。それだ」
「でしたら落ち着いてですね」
「ちょっと、エマさん俺マジなんですよ」
 アラドは真剣な顔で言う。
「本当に食わないと死んじゃうんですよ」
「これ本当なんです」
 ゼオラがそのアラドのフォローに来た。
「この子食べないと駄目ですから」
「だから大丈夫だからね」
 エマは困った顔で二人に話す。
「二人共落ち着いてね」
「これが落ち着ける状況ですか」
「食べられないなんて」
「何か状況を履き違えていないか?」
 マシュマーが騒ぐ面々を見て首を捻る。
「問題はそこではないだろう」
「つまりあれですよね」
 ゴットンは冷静だった。
「ここから脱出できないと先はないってことですよね」
「そうだ。食べられないという問題ではないだろう」
「おい、だから餓死するんだぞ!」
 甲児はマシュマーにもくってかかる。
「そうなったらあんたもハマーンさんへの忠誠がな」
「何っ、それは大変だ!」
 こう言われると我を失うマシュマーだった。
「ゴットン、何としてもここから脱出するぞ!」
「結局こうなっちゃうんですね」
「私は生きて戦う義務がある!」
 マシュマーも騒ぐ。
「その為にはだ!何としてもここからだ!」
「ですからここは騒いでもですね」
「バルディオスでは何とかできないかな」
 マリンはふとこう思った。
「その転移能力で」
「流石にこれだけの部隊は無理だな」
 大河が彼に述べた。
「それは諦めるぞ」
「そうなんですか。それじゃあ」
「今ある機体や艦艇でできるとすれば」
 こう考えるとであった。それは。
「イデオンだったら」
「あの力だったら」
「若しかしたら」
「駄目だ、それが」
 ギジェが言うのであった。
「ゲージがあがらん」
「いつも思うけれど肝心な時に動かないよな」
「余計な時に動くからなあ」
「いつもいつも」
 イデオンへの評価が決まりだしていた。
「じゃあ今は」
「とりあえず戦う?」
「それしかないかあ」
「ハザル=ゴッツォから聞き出す?」
「あいつを倒してから」
「どっちにしても倒すしかないか」
 これが答えだった。
「とりあえずは勝ち進んで」
「そうするか」
「やっぱり」
 こう話してであった。彼等は今は戦うしかなかった。そんな状況だった。 
 とりあえず今は食べられた。アラドはこのことに少し安心していた。
「よかったよ、今すぐじゃないんだな」
「そうね。それは何よりね」
 ゼオラもそのことにはほっとしていた。
「よかったわね、アラド」
「うん、それじゃあまた後で」
「食べましょう」
 完全に姉になっているゼオラだった。
「それでアラド」
「んっ、飯は後だよな」
「だから御飯じゃなくて」
「じゃあ何なんだよ」
「クォヴレーのことよ」
 彼のことを話すのだった。
「何かこの戦いで様子がおかしくない?」
「様子が?」
「うん、何かそんな気がするけれど」
「気のせいじゃないよな」
「多分ね」
 怪訝な顔でアラドに話す。
「あの様子じゃね」
「わかった。じゃあ俺もな」
「一緒に見てくれる?」
「何かあってからじゃ遅いからな」
 アラドも今は真面目な顔になっている。
「それじゃあな」
「ええ、それで御願いね」
「わかってるさ。それでさ」
「今度は何なの?」
「ラトゥーニやオウカ姉さんにも声かけとくか」
 こう言うのだった。
「あの二人にもな」
「クォヴレーに何かあったらってことね」
「あいつ一人じゃ駄目な時だってあるしな」
「その時に備えてね」
「俺達二人で大抵はどうにかなってもな」
 アラドはここでは慎重であった。
「けれどそうじゃない時はな」
「そうね。それじゃあね」
「ああ、話しておいていいよな、二人に」
「ええ、そうしましょう」
 ゼオラもアラドのその言葉に頷いた。
「若しもの時はね」
「そうして絶対に最悪の事態は避けないとな」
「その通りね」
 こんな話をする二人だった。そうしてだ。
 キャリコがだ。ハザルに話していた。
「では今より」
「うむ、第三陣出陣だ」
「はっ、それでは」
「しかしだ」
 ここでだ。ハザルはこう言うのを忘れなかった。
「無様な真似はするな」
「無様なですか」
「貴様は奴等の戦力を消耗させることが仕事だ」
 彼にしてもそうだというのである。
「そしてそのうえでだ」
「頃合いを見てですね」
「退け。残った軍は俺の率いる第六陣に入れる」
「第一、第二の陣と同じく」
「そうだ、そうする」
「それでは」
「そういえばロンド=ベルにはだ」
 ここでこうも言うハザルだった。
「貴様が狙っている者がいたな」
「あの男のことですか」
「そうだ、あの男は御前の好きにするがいい」
「ではこの手で」
「倒したければ倒せ」
 それはいいというのであった。
「わかったな。そうするのだ」
「はっ、それでは」
「俺はここに残り奴等のあがく姿を見続ける」
 その余裕は変わらない。
「それではだ」
「はっ、では今より」
 こうしてであった。彼が出陣した。戦いはまだ続くのだった。


第九十一話   完


                           2011・1・19 
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