スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第九十話 巫女の秘密
第九十話 巫女の秘密
ハザルはだ。彼等に告げるのだった。
「では今からだ」
「戦いかよ」
「まさかな」
「ここでまた戦うなんてな」
「予想外だったぜ」
「戦いではないな」
ハザルは既に勝ち誇っていた。
「貴様等は処刑されるのだ」
「手前にっていうのかよ」
「そう言うのね」
「如何にも」
こう彼等に返してであった。
「貴様等には六段の陣を用意しておいた」
「六段!?」
「そんなにかよ」
「我が外銀河方面軍の全力だ」
ハザルはまた言ってきた。
「その全ての戦力で貴様等を倒してやろう」
「ちっ、こっちだってな」
「意地があるんだよ!」
「だから貴様等は!」
「絶対に!」
こうしてだった。ハザル達との戦いがはじまろうとしていた。その時にだ。
セレーナはアルマナ達に闘いのことを告げていた。それを聞いたあまる名は驚きを隠せなかった。
「そんな」
「ここにハザル様が」
ルリアも驚いている。
「来られるなどとは」
「一体どうして」
「そういうことよ」
セレーナは二人に話していた。
「私達は閉鎖空間の中に取り残されてね」
「この暗闇の世界に」
「この中にですね」
「このまま終わっちゃうって思ったんだけれどね」
しかしなのだった。
「あのハザルってのが来てね」
「理由がわからない」
ルリアは真顔で言った。
「私達はここにいればもう」
「そうよね。それでよ」
セレーナの口調が変わった。そうしてだった。
ルリアにだ。こう言ってきたのだった。
「ちょっといいかしら」
「我々を尋問する気か?」
「っていうかね」
それは違うと言ってからだった。
「あのハザル=ゴッツォだけれど」
「あの方か」
「何か裏ありそうなんだけれど」
こう言うのだった。
「何かね」
「裏が」
「それが」
「あいつ何かね」
今だった。ハザルの声がしてきた。
「預かりものを返してもらおう」
「ああ、これこれ」
聞こえてきたその言葉を指し示してさらに話す。
「これよ。これってあんた達でしょ
「それ以外に考えられないのです」
ヴィレッタもいた。
「違うでしょうか」
「連中が私達に攻撃を仕掛けてくるのは」
セレーナはここでまた言った。
「あんた達を救出する為よね」
「バルマーの姫君を」
「果たして」
だが、だった。アルマナは暗い顔で言うのだった。
「救出ならいいのですが」
「姫、それは」
「言ってはならないと」
「冗談でもです」
厳しい声で告げるルリアだった。
「そうしたことは」
「確かに。迂闊でした」
「御気をつけ下さい」
「ええ、わかったわ」
「そういえばね」
セレーナが再び声をかけてきた。
「あんた達ってどうしてロンド=ベルに密航したのかしらね」
「あっ、そういえば」
「そこがな」
「気になってたけれど」
「そうそう」
皆もここで言う。
「どうしてなんですか?それは」
「一体何故俺達のとこに」
「何でなんだろうな」
「敵地にわざわざ」
「それは」
アルマナは周囲の言葉に圧されだった。そうしてだった。
言おうとする。しかし。
「・・・・・・・・・」
「言えないかしら」
そう思っても。セレーナの今の態度は穏やかだった。
「だったら別にいいけれど」
「自由が」
だが、だった。ここでアルマナは意を決した顔で答えてきた。
「それが」
「自由が?」
「自由が欲しかったんです」
こう話すのだった。
「それが」
「自由って」
「ええ、だから」
「姫様」
またルリアが止めようとする。
「それ以上は」
「いえ、ルリア」
しかしだった。アルマナは今はもう既に覚悟を決めていた。それならばだった。
「もうここは」
「お話されますか」
「ええ、そうします」
こう言ってだった。ロンド=ベルの面々と向かい合った。そのうえでだった。
「セレーナ」
「ええ」
「私はです」
ここから話すのだった。
「私は本星にいる時には」
「お姫様だったのよね」
「帝都の一室から外へ出ることは許されませんでした」
「けれどそれは」
セレーナはすぐに返した。
「あんたが身分の高い人間であるからでしょ」
「いいえ」
だが。アルマナはここで首を横に振るのだった。そのうえで話すのだった。
「確かに私はゼ=バルマリィ帝国十二支族に通ずる出自ですが」
「そうよね」
「私が姫と呼ばれるのは」
「十二支族だけじゃなくて?」
「神体ズフィルードに捧げられる身であるからです」
「ズフィルード」
それを聞いたヴィレッタの眉がぴくりと動いた。そのうえでアルマナを見ながら呟く。
「この少女が創世神ズフィルードの巫女」
「捧げられるって」
「それじゃあ」
「生贄!?」
「つまりは」
「十七歳の誕生日を迎えた日」
アルマナの話は続く。
「私の身体は」
「生贄だからこの場合は」
「だよなあ」
「そのズフィルードに?」
「そうなるよな」
「その通りです」
アルマナはロンド=ベルの面々の言葉にこくりと頷く。
「そしてその精神は」
「どうなるの?」
「それで」
「その精神は」
「永遠の生命を得ます」
そうなるというのだ。
「私は」
「けれど生贄だよなあ」
「どう見てもな」
「今だにそんな話があったなんて」
「何か」
「口を慎んでもらいたい」
ルリアは動揺する彼等に強い言葉をかけた。
「ズフィルードの巫女に選ばれることはだ」
「意味があるんだな」
「つまりは」
「そういうことだよな」
「ねえ」
「そうだ」
まさにその通りだというのだった。
「どれだけの意味を持つか」
「巫女誕生の神託が下るのは」
アルマナの話が続く。
「帝国の歴史の中でも百数十年ぶりのことでした」
「そんなにかよ」
「百数十年って」
「そこまで」
「そんなに間隔が」
「それはつまり」
また話すアルマナだった。
「創世神ズフィルードの加護が」
「それがか」
「どうなるんだ?」
「一体」
「帝国全土にあまねく降りることと同義なのです」
こう話すのだった。
「そういうことなのです」
「けれど生贄だから」
「自分の生命は」
「だよなあ」
「絶対にな」
「捧げるってなあるよな」
「巫女はです」
だがアルマナは彼等に話した。
「臣民の希望を集める存在であり」
「よくある話だよな」
「だよな」
「古代なんかにはな」
「付きものの」
「そんな話だよ」
「創世神の寵愛を受けて永遠を生きる神の子なのです」
アルマナは話していく。
「貴方達がその力で地球の人達を守るようにです」
「それと同じ?」
「つまりは」
「そういうことなんだ」
「私もその身によって」
アルマナは話していく。
「バルマー帝国に繁栄をもたらすことができるのです」
「話はわかったわ」
ここまで聞いて言うセレーナだった。
「けれどね」
「けれど?」
「科学的には私達よりずっと進んでるバルマー帝国がね」
こう言うのであった。
「そんな風習が残ってたなんてね」
「そのことだが」
またルリアが出て来た。
「話させてもらおう」
「ええ、じゃあ」
「御願いします」
「地球人から見ればだ」
ルリアはその話をはじめた。
「風習などという言葉で片付けられるようだな」
「ええ、それは」
「その通りです」
「俺達の中じゃ」
実際に彼等もこう話す。そしてだ。
ダバ達もこう言うのだった。
「ペンタゴナにはそんな風習はな」
「ええ、もうないわ」
「聞いたこともない」
ダバにアムとレッシィが答える。
「今そんなのが残ってるなんて」
「有り得ない話だ」
「グラドスでもです」
エイジも話す。
「そんなことはもう」
「私は知ってはいた」
バルマーの中枢にいたマーグはだった。
「だが。巫女の存在は中々公にはされない」
「つまり秘密だったんですね」
「それだけ」
「そうだ。アルマナ殿とは実際に会ったことがなかった」
「そうですね」
それはアルマナも認めることだった。
「私も。マーグさんとは」
「会ったことがなかったな」
「はい、そうです」
「生贄だとは聞いていたがな」
そこまで秘密の存在だったというのだ。そしてだ。ルリアがまた話してきた。
「だが、ゼ=バルマリィ帝国はだ」
「ええ、帝国は」
「どうなんですか?」
「既に霊力の存在を解明しているのだ」
「これもその通りだ」
マーグがまた話を捕捉する。
「十二支族で司る家とそうでない家があるが」
「それを活かす術を知っている」
「そうだったんですか」
「バルマー帝国はそんなことまで」
「けれど」
しかしだとだ。ここでセレーナは言う。
「それでも生きている人間が犠牲になるなんてね」
「あの、どうしてですか?」
「どうしてって?」
「何故私に対してそこまで同情的なのですか?」
怪訝な顔になって彼等に尋ねるのだった。
「それがわからないのですが」
「貴方達の優しさ故だな」
ルリアが察して言ってきた。
「それはわかるが」
「創世神に捧げられることは光栄に思います」
また話すアルマナだった。
「ですが」
「ですが?」
「ですがって」
「私はあまりにもこの世界のことを知らなさ過ぎました」
アルマナはここでこのことも話した。
「だから私は陛下に一年の期限付きで外の世界に触れることをお願いしたのです」
「陛下!?」
「陛下っていったら」
「あの」
「はい、そうです」
その通りだと返してからまた話すアルマナだった。
「ゼ=バルマリィ帝国の統治者、霊帝ルアフ様です」」
「あの、か」
「霊帝ルアフ」
「あの」
「待て!」
ロンド=ベルの面々が霊帝の名前を口にするとだ。ルリアは不意に怒りだした。
それでだ。こう言ってきたのだった。
「みだりにその名を口にするな!」
「お、おいおい」
「そんなに急に怒らなくても」
「また急に」
「そんなに神聖な存在なんだ、バルマーじゃ」
「そうだ」
それを言うルリアだった。
「それはわかってもらおう」
「え、ええ」
「じゃあまあ」
「それは」
彼等もルリアのその剣幕に押され頷く。それしかなかった。
そしてだ。ヴィレッタはやり取りの中で考えていくのだった。
(宇宙怪獣やバジュラの活性化)
まずはそれだった。
(巨人族とプロトデビルンの侵攻さらには別銀河、別次元からの敵)
敵は実に多かった。バルマーもだ。
(霊帝がそれを見越し銀河の力を集めようとしたのは全てズフィルードの神託があったゆえか)
「それでね」84
また話すセレーナだった。
「気になることは」
「何でしょうか」
「どうやってここに来てるのよ」
こうアルマナ達に尋ねるのだった。
「あんた達の国の軍隊。どうしてなのよ」
「この程度の次元錯綜なぞ」
ルリアが話すのだった。
「我が帝国の科学力なら問題にならない」
「ああ、それでか」
「それでなのね」
「それでここまで」
「そうだ」
こう話すアルマナだった。
「あの刻印もだ」
「グラドスの刻印か」
「あれも」
「その通りだ。任意の地点に座標は設定できない」
それはまだだというのだ。
「しかし二点を結ぶ術は確立しているのだ」
「何ていうか」
「そうね」
「バルマーの力がまた」
「ここでわかったっていうか」
「まあここはとりあえず」
「奴等とな」
ハザル達のことについても話をするのだった。
「戦わないといけないしな」
「どうしてもか」
「あんた達のことも話しておくぜ」
今彼等に話したのはラウルだった。
「せめてあんた達は無事でいられるだろ」
「そうであればいいがな」
しかしルリアの返答は暗い。
「無事な」
「何よ、その言葉」
フィオナはルリアの今の言葉に口を尖らせる。
「大事な巫女なのに巻き添えにしたりする筈ないじゃない」
「それはそうだが」
「じゃあ大丈夫だろ」
「そうよ、あんた達はね」
あくまでこう言うラウルとフィオナだった。
「だから安心しろよ」
「話はしておくからな」
こうしてだった。彼等は全員出撃した。その時にだ。大文字がサコンに尋ねた。
「サコン君」
「はい」
「次元境界線の揺らぎはどうなっている」
「依然として安定しません」
サコンはこう答えた。
「これは外部から何らかの力が加わっているせいかと」
「それでか」
「はい、おそらくそれは」
「奴等だな」
「そうだな」
サンシローとリーは前のバルマー軍を見据えながら言った。
「あいつ等がそうしているな」
「それで俺達をか」
「いよいよですね」
「奴等との戦いかよ」
ブンタとヤマガタケも言う。
「バルマー外銀河方面軍と」
「戦いかよ」
「地球どころか通常空間への帰還も絶望的だが」
ピートは覚悟を決めていた。
「むざむざとやられるか!」
「総員戦闘配置!」
大文字が指示を出した。
「諸君、全力であたるぞ!」
「希望を捨てるな!」
タリアも言う。
「外から敵が来るなら」
「脱出方法がですね」
「ええ、あるわ」
こうアーサーにも答える。
「だからね」
「そうですね。じゃあ希望を捨てないで」
「ちょっとでも希望があれば」
ユウナも言う。
「諦めるなってのがこれまでの戦いでの教訓だね」
「確かに。これまで何度もこうした状況になりましたし」
「我々は」
トダカとキサカも続く。
「なら我々も」
「今は」
「希望は捨てないことだね」
また言うユウナだった。
「じゃあやろうか」
「けれど」
ここでだ。シェリルが難しい顔で述べた。
」三重連太陽系に辿り着けたのがイデの導きなら」
「それならですか」
「今回はなんですね」
「ええ、この閉じられた空間で私達が滅ぼされるのもイデの」
こう言うのであった。
「導きかも知れない」
「だったらどうだってんだよ」
しかしここで闘志也が言った。
「それならな」
「それなら?」
「イデの導きだろうとな」
「そうだな、それでもな」
「それに屈しはしない」
ジュリイと謙作も言う。
「そんなことでも」
「俺達は!」
「確かに今回の一連の事件はね」
「僕達が及びもつかない何かが噛んでるみたいだけれど」
「それでも」
ティス、ラリアー、デスピニスもだった。
「はい、そうですかってね」
「僕達も素直に」
「従う訳にはいかないです」
「そうだっていうのね」
「そうよ、それがロンド=ベルでしょ」
「僕達、デュミナスに助けてもらったこの命を」
「そう簡単に捨てる訳にはいかないから」
「そうだな」
Jもここで頷いた。
「その通りだ」
「J、まさか」
凱がそのJに尋ねた。
「俺達にか」
「言葉は不要だ」
こう返すJだった。
「全銀河の為に戦ったお前達の志、確かに受け取った」
「それをか」
「ならばだ」
そしてまた言うJだった。
「赤の星の戦士としての使命を果たした今、私とジェイアークの力をだ」
「それをか」
「そうだ、御前達に貸そう」
「済まない」
「礼はいい」
彼もこう返すのだった。
「では今よりな」
「随分と長い付き合いだったがな」
宙は既に鋼鉄ジーグとなっていた。そのうえでの言葉だった。
「こうしてまともに話すのはな」
「そうだよな。何か」
「新鮮だよな」
「今までなかったよな」
「確かに」
「まあこんな状況だからな」
イサムは笑いながら話すのだった。
「短い付き合いになるかも知れないがな」
「それでもだ」
ガルドはいつもの無愛想な調子だ。だがそれでも言うのだった。
「宜しく頼む」
「こちらこそだ」
Jもその仮面の下で微笑んでいた。
「地球の戦士達よ」
「おい、凱」
「ああ」
ゴルディマーグは凱に言った。
「ゴルディオンクラッシャーは。わかってるよな」
「ああ、勿論だ」
こう返す凱だった。
「一回の出撃でな」
「使えるのは一度だ」
それだけだというのだ。
「使い方間違えんじゃねえぞ!」
「了解だ!」
「それじゃあな!」
「今からな!」
「派手に暴れてやる!」
「いい気合だ」
ハザルが出て来た。そのうえでの言葉だった。
「それは認めてやろう」
「ハザル!」
「来たってのかよ!」
「第一陣は手前かよ!」
「馬鹿を言え」
彼等の今の言葉には嘲笑で返したハザルだった。
「俺が相手をするにはだ」
「まだだってのかよ」
「そう言うのかよ」
「そうだ。俺は最後だ」
そしてこう言うのであった。
「第六陣にいる」
「そこでトリってんだな」
「大物ぶってやがるな」
「ああ、全くだ」
「御前達の最期は見てやる」
傲慢さを見事なまでに変えない。
「安心するのだ」
「この野郎・・・・・・」
「相変わらずむかつく野郎だ」
「こうなったらここで」
「やってやるか」
殆どの面々が向かおうとした。しかしであった。
大文字がだ、ここで彼等を止めた。
「待て、攻撃はだ」
「っと、そうか」
「そうだったな」
「あの姫様がいたよな」
「そうだった」
ここでそのことを思い出した彼等だった。
「それならここは」
「ちょっと舞って」
「それで」
「そうだ。そうしよう」
こうしてだった。大文字がハザルに通信を入れた」
「ゼ=バルマリィ帝国外銀河方面軍司令ハザル=ゴッツォ」
「何だ?」
「応答を問う」
こう通信を入れたのだった。
「こちらはロンド=ベル代表大文字洋三」
「何の用だ」
「貴官との交渉を希望する」
「ふん、言いたいことはわかっている」
こう傲慢に返すハザルだった。
「アルマナ様を人質にして俺達を引き揚げさせるつもりか」
「相変わらずひねた野郎だな」
「全くだぜ」
「この性格、シャピロに匹敵するな」
「嫌な奴だ」
ロンド=ベルの面々は誰もがこう思った。
「こんな奴との交渉なんてな」
「できればしたくないけれど」
「今は仕方ないか」
「あの姫様の為に」
「姑息な連中だな」
「遺憾ながらその通りだ」
大文字も今は耐えていた。
「それで返答は」
「断る」
「何っ!?」
これにはだ。さしもの大文字も唖然となった。
「今何と言った」
「断ると言ったのだ」
不遜な笑みと共の言葉だった。
「俺もできることなら姫様をお救いしたい」
「嘘だな」
ヴィレッタはすぐに見抜いた。
「その言葉は」
「だが奴等は姫を盾に取りだ」
ハザルはあえてひねくれた解釈をしてみせた。
「こちらを背後から討つ気だろう」
「手前ふざけるな!」
「誰がそんなことするかよ!」
「やるんなら正面からだ!」
「倒してやる!」
「その手に乗るわけにはいかん」
ロンド=ベルの面々の抗議をよそに言葉を続けるハザルだった。
「我々は帝国と陛下の為に敗北は許されないのだ」
「ハザル、貴様!」
ロゼも思わず抗議した。
「何を言っている!」
「全軍攻撃開始だ!」
だがハザルはまだ言う。
「我等の希望たるズフィルードの巫女を奪いし卑劣な輩を叩き」
「それも偽りだな」
マーグも見抜いたのだった。それを。
「この銀河が帝国の為にあることを教えてやるのだ!」
「姫様がおられるのを知っていながら」
ルリアも怒りを見せていた。
「攻撃を仕掛けるとは!」
「まあ上手くいく相手じゃないけれどな」
アルトも目を怒らせている。
「しかし。こう来るとはね」
「あの銀髪はこれで完全に悪党になったわけだ」
ミシェルも今は感情を見せている。
「なら俺達はナイトって訳だ」
「お姫様の為に戦う」
ルカが言った。
「そういうことなんですね」
「ここで全てを出し切る」
ここで言うオズマだった。
「いいな」
「よし!」
「やってやらあ!」
「ここで!」
「ではだ」
ハザルは。ヴァイクランからエイスに告げた。
「エイス、いいな」
「・・・・・・・・・」
「まずは貴様の戦力で奴等を消耗させる」
こうエイスに話すのだった。
「そのうえでだ。後に任せろ」
「了解」
「では俺は本陣に戻る」
そしてこうも告げたのだった。
「後は任せた」
「ミッションスタート」
「あの蝶みたいなのもいるな」
「そうね」
皆エイスのそのマシンを見て言った。
「あれは厄介だな」
「あちこちに攻撃を仕掛けてくるから」
「だよな」
「案ずるな」
しかしだ。ここでゼンガーが言うのであった。
「あの男は私が引き受ける」
「私もいる」
レーツェルもであった。
「我等二人でだ」
「あの男の相手をしよう」
「そうか、それではだ」
ヴィレッタは彼等のその言葉を受けて言った。
「我々は他の敵に向かおう」
「うむ、頼む」
「そうしてくれ」
「全て消去する」
最後にエイスが言った。そうしてであった。
彼等は異空間での戦いをはじめた。すぐに激戦になった。
「弾幕だ!」
「とにかく前を撃て!」
「敵の数を減らせ!」
「まずはそれからだ!」
指示が飛ぶ。そうしてであった。
ロンド=ベルは前から力押しで来るバルマー軍を倒していく。その中にはだ。
セレーナもいた。彼女は。
「何かね」
「どうしたの、セレーナ」
「今乗ってるソレアレスだけれどね」
話は機体についてであった。
「もうそろそろね」
「限界?」
「そうみたいね」
こう言うのであった。
「この戦いでもうね」
「そんな、けれど」
「後は何に乗ろうかしら」
それでもだった。セレーナは諦めていなかった。
「とにかく何でも乗ってね」
「戦うんだね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
「俺もだ」
クォヴレーも言ってきた。
「最早ベルグバゥではだ」
「駄目なのかよ」
「限界なのね」
「戦いの中で傷つき過ぎた」
こうアラドとゼオラに述べる。
「これが駄目になればだ」
「何かマシンあったか?」
「ええと、ヒュッケバインなかったかしら」
二人は少し慌てながら話す。
「最初の型のがね」
「あれかよ」
「丁度二機あったから」
「じゃあセレーナさんとクォヴレーにか?」
「一機ずつね」
「あるのならそれに乗る」
これがクォヴレーの言葉だった。
「俺はそうしてだ」
「そういうことね。諦めるわけにはいかないからね」
微笑んで言うセレーナだった。
「今はね」
「その通りだ」
「ここはまさに意地を見せる場所だ」
ゼンガーとレーツェルはエイスと戦い続けていた。彼を自分達から離させない。
「この敵は我等が引き受ける!」
「だからこそ今のうちにだ」
「ああ、わかったぜ!」
「派手にやってやらあ!」
「どうなるかわからなくても」
それでもだというのだ。
「俺達は戦う!」
「そして勝つ!」
「絶対に!」
それを言い合いだ。戦うのだった。
バルマー軍は攻撃を受けてだ。次第に劣勢になった。それを見てだった。
「エイスよ」
「・・・・・・・・・」
「頃合いだ。退け」
「これで」
「戦いはこれからだ。ゆっくりと楽しむことだ」
ハザルはこうエイスに告げるのだった。
「だからだ。いいな」
「了解」
エイスは彼の言葉に頷いてだった。そうしてだった。
退きはじめる。彼が後詰となった。それを見てロンド=ベルの面々も動こうとする。
「よし、逃げはじめたな!」
「今だ!」
「追うぞ!」
「追撃だ!」
「いや、待て」
「迂闊に動くべきではない」
だが、だった。血気にはやり追撃を仕掛けようとする面々にはだ。ゼンガーとレーツェルが止めた。
「あのマシンは広範囲への攻撃を得意とする」
「下手に仕掛ければ大きな損害を受ける」
「けれどよ。ここは」
「あいつを倒せたら」
「それだけでも大きいし」
「絶対に」
「いや、ここは動くな」
リーも冷静に言ってきた。
「我々の敵はまだいるのだ」
「だからですか」
「ここはなんですね」
「そうだ、動くな」
リーはあらためて告げた。
「敵はまだ五つの陣がある。それを全て倒さなくてはいけないのだ」
「ああ、そうだったな」
カズマがそのことに気付いた。
「じゃあ今はか」
「そうだ。これでわかったな」
「ああ、わかったぜ」
カズマは実際にそうだとリーに返した。
「それじゃあ今はな」
「全軍陣を整えるのだ」
リーはすぐに命じた。
「今はだ」
「了解」
「それじゃあ」
こうしてだった。彼等は今は追わずにだ。軍を集結させた。そうしてそのうえで簡単な整備と補給を受けだ。次の戦いに備えるのだった。
その時だ。一時帰還したツグミがマクロス7の基地であるものを見つけた。
「あれっ、これは」
「あっ、これですか」
「このマシンですね」
「ええ。これは何なの?」
ツグミは美穂とサリーに尋ねた。
「こんなマシンも地球に出る時に積んでいたの」
「そうなんです。実は」
「けれど誰のも乗れそうでなくて」
「それで置いていたのね」
「はい、そうです」
「このまま置いていても仕方ないけれどね」
美穂とサリーはいささか困ったような顔でまたツグミに話した。
「誰か乗れればいいんですけれど」
「セレーナに合いそうだけれどね」
「そうね」
ツグミはその赤と銀の人型のマシンを見て二人に応える。
「この形はね。見たら兵器も」
「あの人向きですよね」
「やっぱり」
「ええ、確かにね」
その通りだというのであった。
「それじゃあ。勧めてみましょう」
「はい、それじゃあ」
「後で」
こうしてであった。セレーナにだ。その機体が紹介されたのだった。
「私に?」
「ええ、そうよ」
ツグミが笑顔で彼女に話す。
「貴女さっきもう今の機体が限界だって言ってたわね」
「ええ、確かにね」
それはその通りだと答えるセレーナだった。
「乗り換えたいって思ってたところだけれど」
「それじゃあ丁度いいんじゃない?」
「ここで、なのね」
「ええ、細かい調整はまだだけれど」
「そうね。それでもね」
「状況が状況だから」
ツグミの言葉も真剣なものだ。
「少しでもいい機体をね」
「そういうことね。とりあえずはだけれど」
「ソレアレスでいくのね」
「あの娘は最後の最後まで乗るわ」
愛機への愛着に他ならなかった。そrを魅せるのであった。
「だからね」
「そう。わかったわ」
「それでいいわよね」
「ええ。そのかわりね」
「そのかわり?」
「死なないでね」
こうセレーナに言うのだった。
「何があってもね」
「大丈夫よ。まだやりたいこと一体あるし」
「だからなのね」
「ええ、こんなところじゃ死なないわ」
笑顔で言うセレーナだった。
「それは安心して」
「安心させてもらうわ。それじゃあね」
「ええ。それじゃあね」
「とりあえずはこの機体は何時でも出られるようにしておいて」
「いざという時にはね」
「それでよ。今は」
「今は?」
セレーナが問うとだった。ツグミはこのことを話してきた。
「名前よ」
「ああ、この娘の名前ね」
「ええ。何がいいかしら」
「そうね。アレグリアスかしら」
不意にこの名前を出したセレーナだった。
「その名前でどうかしら」
「アレグリアスね」
「そんな感じだから」
それでだというのだ。
「だからこの名前でどうかしら」
「そうね。いい感じね」
ツグミも微笑んでそれでいいというのだった。
「その名前でね」
「そう。じゃあこれで決まりね」
「ええ、それじゃあね」
「さて。名前も決まったし」
「お腹空いてない?ちょっと」
今度はセレーナからだった。
「今だけれど」
「そうね。それはね」
「戦ったし。だから」
「じゃあ何か食べようかしら」
「御握りがいいわね」
それだというのだった。
「手軽くね」
「わかったわ。あれならすぐに作られるしね」
「それでね」
「すぐに皆で作ってそれでね」
「食べましょう」
こんな話をしてであった。二人は今は軽い食事に向かうのだった。
そしてエイスが撤退してだ。バルマー軍はその彼を交えて軍議を開いていた。
ハザルにそのエイス、それとバラン、孫、キャリコ、スペクトラにジュデッカ=ゴッツォ達だった。彼等が円卓に座って話し合っていた。
「さて、予定通りだ」
「では次は」
「そうだ、スペクトラよ」
ハザルは彼女を見て告げた。
「御前が行け」
「わかりました」
「いいか、とにかく敵の数を減らせ」
彼が言うのはこのことだった。
「敵を消耗させるのだ」
「そうして戦力を奪っていき」
「やがて止めを刺す」
ハザルは酷薄な笑みを浮かべて言った。
「そうするのだからな」
「わかりました。それでは」
「第二陣はそれでいい」
スペクトラに任せるというのだった。
そしてだ。次にキャリコを見て告げた。
「第三陣は御前だ」
「はっ」
「作戦はスペクトラと同じだ」
「敵の戦力を次第に」
「消耗させることだ」
言うのはやはりこのことだった。
「そして第四陣は孫光龍」
「楽しませてもらうよ」
「第五陣は」
「わしだな」
バランが自ら名乗り出た。
「あの小童とまた戦うか」
「そして最後は俺だ」
ハザル自身も言うのだった。
「七隻のヘルモーズと共にな。そして」
「・・・・・・・・・」
エイスはだ。彼の隣にいた。そのエイスを見ながらまた言うのだった。
「貴様もだ」
「了解」
「さて、俺のところまで来られるか」
ハザルは今度は不遜な笑みを浮かべていた。
「来たその時はこの俺水から奴等に引導を渡してくれよう」
「そうなれば最高だね」
孫がここでまた言ってきた。
「お父上にとってもいいはなむけになるね」
「そうだ。父上にとってだ」
ハザルは父という言葉にまた笑みを浮かべた。
「最高のお土産になる」
「そういうことだね。君にとってもいいことだよ」
「そしてだ」
さらに言うハザルだった。
「サイコドライバーもだ」
「あの少女だね」
「あの連中と共にいるのは間違いない」
こう言うのだった。
「ならばだ。ここでだ」
「あの少女も一緒にね」
「手に入れるとしよう」
こう言うのだった。
「是非な」
「いいことだよ。それじゃあ僕は」
「孫、わかっているな」
孫に対しても高圧そのものの態度は変えない。
「御前もまた俺の手駒なのだ」
「ははは、それはわかっているよ」
孫も彼の言葉に笑顔で返す。
「だからここにいるんだしね」
「わかっていればいい」
やはり高圧そのものであった。
「それではだ。これからだ」
「あらためてね」
「第二陣出陣だ」
ハザルはスペクトラに対して告げた。
「行け、いいな」
「はい、それでは」
スペクトラも一礼して応える。こうしてであった。
戦いは続く。それはセレーナにとっては。新たな出会いの時でもあった。
第九十話 完
2011・1・14
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