スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第六十五話 奇妙な動き
第六十五話 奇妙な動き
「それでイルイちゃんは?」
「ああ」
「何とかね」
アラドとゼオラがラトゥーニの問いに答えていた。
「回復はしてきたさ」
「まだ起きられはしないけれど」
「そう、よかった」
「相当なエネルギー使ったからな」
「それは仕方ないわ」
こう話す二人だった。
「ただな、やっぱりな」
「シティ7にだけれど」
「いるのね」
ラトゥーニは二人の言葉からすぐに察して述べた。
「誰かが」
「ああ、それが誰かわからないけれどな」
「二人いるわ」
アラドとゼオラはまた話した。
「シティの住民票にも載ってない人が二人もな」
「イルイちゃん以外に」
「それは誰ですの?」
シャインはこのことを問題にした。
「一体」
「普通はシティにいるのなら誰かわかるのに」
「そうですわ。それで誰かわからないというのは」
「矛盾している」
こう話すラトゥーニだった。
「幾ら何でも」
「それも一回真剣に調べてみないとな」
「そうよね」
アラドとゼオラも言う。
「正直バルマーのスパイとかだったらな」
「問題だし」
「それは有り得るな」
ここでスレイが出て来た。
「今すぐには無理だが時を見て何人かで探すか」
「そうだね。それがいいね」
アイビスもスレイのその提案に賛成した。
「とりあえず次の先頭が終わった辺りかな」
「そうね。その時にイルイちゃんが目覚めていれば」
ツグミはイルイのことも念頭に置いている。
「協力してもらえるかしら」
「そうですね。それに私達も出て」
「それで探すか」
クスハとブリットも話す。
「誰がいるかわかりませんけれど」
「怪しい奴ならその時は」
「ああ、やってやろうぜ」
トウマの言葉だ。
「スパイだったら大変だしな」
「そうね。ただ」
ここでミナキが首を捻る。
「スパイにしては動きがないような」
「そういえばそうだな」
クォヴレーはミナキのその言葉でそのことに気付いた。
「少なくとも誰も何かを調べられた形跡はない」
「これだけ勘の鋭い面々がいるのにね」
セレーナもこのことを指摘する。
「おかしいって言えばおかしいわね」
「ではスパイではないのか」
ゼンガーもその可能性を考える。
「そうなるのか」
「スパイじゃないとしたら」
「一体何かしら」
「まさかイルイちゃんと同じ?」
「そういう相手かしら」
こうも考えるがだった。誰も答えは出せなかった。そうしてであった。
ふとだ。リーが周りに言われていた。
「艦長って何か」
「最近声変わったよな」
「そうそう」
「急にね」
「それは気のせいだ」
リーは何故かバツの悪い顔で述べた。
「おそらくな」
「おそらくって」
「何でそこではっきりしないんですか?」
「それ自体がちょっと」
「そうだよな」
「私は私だ」
こう主張する彼であった。
「別に声はだ」
「何か龍が中に八匹いる人みたいな声になってるし」
「あっ、そういえば」
今言ったのは小鳥である。
「私もその声に心当たりあるわ」
「俺もだ」
マサキも声をあげた。
「何でだろうな」
「まあそれは言わないようにしないか」
ナガレは何処かバツの悪い顔になっている。何故か彼もである。
「どうもな。そちらの世界もな」
「そういえばナガレさんってそこじゃあ」
「仮面被ってません?」
「そうそう」
「だから言わないようにしよう」
あくまでこう言うナガレだった。
「そういうことはだ」
「脛に傷持ってるからね」
アムもであった。
「私もそっちの世界じゃね」
「そうよね。私も」
未久もであった。
「ちょっと以上に」
「困るから」
「あの頃からだったわね」
ミサトもであった。
「私がお母さんになりだしたの」
「ええ、確かに」
マリューも出て来た。
「最初はヒロインだったのに」
「今じゃね。すっかりね」
「皆そうなるのよね」
今言ったのはレインであった。
「私だってお母さんの時多いから」
「声のせいでそうなるのかしら」
「だとしたら困ったことだけれど」
「というか言ったら駄目なことじゃないですか?」
エリスが難しい顔になっていた。
「ええと、私もですね。劇団じゃ」
「それ言ったら洒落にならないよ」
フィジカがそのエリスを止める。
「俺だってそっちには色々とあるから」
「というか本当に皆色々あるな」
コスモが言った。
「俺だってな。海の王子やら何やらで」
「原作じゃあんた死んでるわよ」
カーシャの突っ込みである。
「アニメじゃ生きてるけれど複雑な結末だったわね」
「あれは」
「よく知ってるな、そんなこと」
「知ってるわよ」
カーシャはこうコスモに返した。
「だってあんたってそもそもあれが」
「何か古い話になってるな」
「そうだな」
アムロと宙が出て来た。
「そんな古い時代の話だとな」
「わからない人も多いだろ」
「そういうあんた達は」
カーシャはこの二人にも言った。
「あれよね、野球の時は」
「うっ、それか」
「それを言うか」
「言うわよ。私の弟で」
「そ、そうだったな」
「思えば懐かしい話だ」
「アニメじゃ最後アメリカに行ってるわよね」
カーシャの突っ込みは二人にも容赦がなかった。
「覚えてるわよね、このこと」
「忘れられるものじゃないからな」
「全くだ」
何故か二人の言葉はここでは一致していた。
「俺はあの時から燃えていたからな」
「後で聖闘士やった時もだったな」
「っていうかアムロ中佐と宙さんって」
「その時から健在だったんですね」
「何ていうかあの目が燃える漫画で」
「かなり名前が知れてますよね」
このことは皆知っていた。最早言うまでもないまでだった。
そしてだ。ミサトが言う。
「あとタキシード好きですし」
「仮面もですね」
マリューも言った。
「中佐も宙君も」
「それも好きだから」
「あの、二人共」
「ちょっとそれは言えんやろ」
その二人に遥とタータが言葉を入れた。
「二人だって。まあ」
「うち等もやけれど」
「そうよね。月に水に」
プレセアも話す。
「私は木で」
「それで私が火で」
「私が金ね」
エリスとサフィーネが続いた。
「ダイアナさんが海でひかるさんが冥で」
「シンジ君が天だったわよね」
「僕だけ男なんですけれど」
そのシンジがこう言いはした。しかし彼自身がこう言ってしまった。
「けれど違いますよね」
「そうよね。それはね」
「違わないというわけではないような気もしないわけではありません」
セニアとモニカも出て来た。
「私達だってそっちの世界はね」
「縁があるようなないような」
「いや、あるよ皆」
カツだった。
「僕もみたいだし」
「というかそっちの世界もな」
今言ったのはアスランである。
「皆色々と関わりあるからな」
「そういうあんたもな」
カイがそのアスランに突っ込みを入れた。
「俺が鷹であんたが魚でな」
「うっ、その通りです」
「まさかその後で別の世界で蝿になるなんてな」
またこの話が出て来た。
「あれはよかったのか?あんた的に」
「ええ、まあ」
いいというのだった。
「タケルさんや甲児さんもいましたし」
「わしもいたぞ」
兵左衛門だった。
「あの猫はよかったのう」
「ううむ、私は蝙蝠だったが」
クワトロもいた。
「鮫にもなったな。忍者の時は」
「何か色々皆出てるんだな」
「確かに」
「結構以上に」
誰もが感心することだった。お互いだったからだ。
そしてだ。ここでユリカが皆に告げてきた。
「それで皆さん」
「ああ、ステラちゃん」
「ナタルさん、何かあったんですか?」
「どちらでもありませんよ」
ユリカはまずはこう一同に返した。
「お約束ですけれどね」
「うっ、素で間違えたし」
「本当にそっくりだから」
「艦長に似てる人多いから」
これもよく言われることだった。
「ついつい」
「すいません」
「いえいえ、ロンド=ベルではそれは勲章ですから」
にこりと笑ってそれはいいというユリカだった。そのうえでまた皆に言うのだった。
「そろそろポセイダルの勢力圏に入って一日ですよ」
「一日かあ」
「早いよな」
「そうだよな」
皆このことを再確認して言い合った。
「今のところ平和だけれど」
「何時出て来るかわからないよな」
「そうそう、ポセイダル軍だけじゃなくて」
ここが彼等の置かれている立場の複雑なところであった。
「何時何が出て来るか」
「宇宙怪獣なりプロトデビルンなり」
「何でもね」
「しかも」
ここでさらに話す。
「こうした話をしたらいつもだしね」
「最高のタイミングで出て来るからね」
「待っていたみたいに」
「今回もひょっとして」
「出る?」
冗談半分の言葉だった。この時は。
しかしここでだ。警報が鳴ったのだった。皆ここで言う。
「うわっ、予想通り!」
「まさにお約束!」
「言ったそばから!」
皆この展開にも慣れていた。
「それで何処の勢力だよ!」
「ポセイダルか!?」
「それとも宇宙怪獣かプロトデビルンか」
「バッフ=クランか!」
「プロトデビルンです」
エキセドルが出て来て言う。
「彼等です」
「奴等がですか」
「出て来たんですか」
「はい、そうです」
エキセドルはまた一同に言った。
「それでは皆さん」
「ええ、総員出撃ですね」
「ここは」
「それしかありませんよね」
「おわかりなら話は早い」
エキセドルの言葉も予定調和だった。
こうしてだった。総員出撃する。するとそこにいたのは。
「久し振りだなロンド=ベル!」
「手前生きてたのかよ」
「俺はそう簡単に死にはしない!」
こうカムジンに返すガビルだった。グラビルもいる。
「そう、これぞ不屈美!」
「また美なんだな」
カムジンはそれを聞いて冷静に述べた。
「こいつも変わらねえな」
「全くだな。まあ元気そうだな」
フォッカーの言葉だ。
「喜んでいいかどうかはわからんがな」
「俺は喜んでいる!」
そのガビルの言葉だ。
「御前達とまた戦える、戦闘美!」
「だからもう美はいい!」
イザークがたまりかねた口調で返す。
「いい加減そこから離れろ!」
「俺から美を取れば何が残る!」
そのガビルの反論である。
「そこには何も残りはしない!」
「なら無理にでも黙らせてやる!」
イザークも言い返す。
「この俺がだ!」
「銀髪の少年か」
「それがどうかしたか!」
「いい、これぞ頭髪美!」
それにも美を言うガビルだった。
「戦いがいがあるというもの!」
「ガオオオオオオオン!」
「見よ、グラビルも喜んでいる!」
ガビルは己の分身も見て話す。
「俺とグラビルは一心同体、まさに同じなのだ」
「同じ、そういうことね」
セニアはガビルの言葉からあることがわかった。
「あの二人実は同じよ」
「同じ!?」
「同じっていうと」
「そうよ、分身ね」
それだというのだ。
「身体は別々だけれど。同じ存在なのよ」
「じゃあ本当に一心同体?」
「そういう関係なのね」」
「そういうこと。私も今わかったわ」
セニア自身そうであった。
「あいつ自身の言葉でね」
「そういう奴等だったんだ」
「成程」
「ということは」
そこから一つの答えが出た。
「あいつ等のうちどっちかを倒せば」
「もうそれで」
「もう一方も終わりってことか」
「そういうことよ。だからね」
「よし、目標を絞るか」
「両方一辺にじゃなくて」
「ここは」
ふたりのうちどちらかを倒すことになったのだった。そうしてであった。
彼等はそのままプロトデビルンの軍勢に向かう。ガビルもそれを見てそのもう一人の自分であるグラビルに対して声をかけた。
「ではグラビルよ」
「ガオオオオン!」
「行くとしよう」
「ガオオオオン!」
「自ら敵の中に飛び込む、突撃美!」
「へっ、美っていうのはな!」
その彼等にだ。バサラが突っ込んだ。
「色々あるぜ!例えばな!」
「例えば。何だ」
「音楽だ!」
バサラはここでもその手にギターを持っている。それをだ。
奏でながらだった。歌うのだった。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーーーっ!!」
「むっ!?」
「遠慮はいらないぜ。思う存分聴きやがれ!」
「地球の男、御前はここでも」
「ああ、歌うぜ!」
バサラはガビルに対して言った。
「だからだ、聴きやがれ!」
「相変わらず面白い男だ」
ガビルはそのバサラを見て笑った。そうしてだった。
「では俺が行こう」
「聴きやがれ!」
二人の戦いになった。そしてグラビルにはだ。ミレーヌが向かった。
「あんたの相手はあたしよ!」
「ガオオオオオオオン!」
「バサラだけじゃないわよ」
彼への対抗心も出していた。
「それを聴かせてあげるわよ!」
「ううん、ミレーヌもあれで結構」
「そうよね。バサラに似てるよね」
「確かに」
皆その彼女を見て言うのだった。
「何だかんだでね」
「結局のところはね」
「似た者同士なのね」
「聞こえてるわよ」
ミレーヌもその彼等に言い返す。
「あのね、何処が似てるのよ」
「いや、似てるだろ」
「そうよね」
「よく見たら」
「うう、あくまでそう言うのね」
「まあとにかくだ」
レイがここで入って来た。
「ミレーヌ」
「歌えっていうのね」
「そうだ、今は歌え」
実際にこうミレーヌに言う。
「わかったな、そうしろ」
「わかったわよ。それじゃあね」
「この戦いは早いうちに終わらせるべきだ」
レイはこのことも話した。
「だからだ。一気にいきたい」
「そうね、ここは」
「やっぱり」
「何時ポセイダル軍が来てもおかしくないからな」
「連中まで来るとね」
「余計にややこしくなるし」
皆レイの言葉からこう考えていった。
「ならその前に」
「まずはこの連中を倒して」
「何時来てもいいようにして」
「私達がいるってことはもう向こうもわかってるわよね」
アムもこう話した。
「そうよね、やっぱり」
「それは間違いないな」
レッシィも言う。
「特にこの戦いでだ。わからない筈がない」
「それじゃあここは」
「そうだ、戦いはすぐに終わらせる」
言いながら実際にだ。レッシィはバスターランチャーを放ちそれで敵の戦艦を一隻屠った。一条の光が戦艦の腹を撃ち抜いていた。
戦艦はそこから真っ二つになり炎の中に包まれていく。それを見てだった。
「こうしてね」
「そうね。じゃあ私もね」
アムのエルガイムもバスターランチャーを構えた。そうしてだった。
その光を放ってそうしてだった。敵を数機単位で倒した。
戦いは続く。プロトデビルンの軍勢は次々に減っていく。しかしだった。
「くっ、まだこんなにいるのか」
「まだ五十万もいるのか」
「多いね」
こう言ってだった。敵のその多さに辟易していた。だがだった。
「それでもな」
「まだだ」
「諦めるか!」
「やってやるわよ!」
「いいぞ、この戦い」
ガビルもその彼等を見て機嫌をよくさせた。
「最後まで諦めずに戦う、それこそはだ」
「それこそ?」
「何だっていうんだ?」
「闘志美!」
今度の言葉はそれだった。
「いいぞ、燃えてきた!」
「燃えてきたってのか?」
「あんたも!」
「そうだ、燃えてきたのだ!」
まさにそうだというのだった。
「いいぞ、これはいい!」
「こいつ、意外と熱い奴なのか?」
バサラもここでこのことを察した。
「若しかしてな」
「そうかもな」
アルトが彼のその言葉に頷いた。
「これは」
「へっ、これはいいぜ」
バサラはそのことがわかって笑みを浮かべた。そうしてだった。
ギターを持ったままだ。また歌うのだった。
「おい、そこの美野郎!」
「俺のことか」
「もっと聴け!」
これが彼の言葉だった。
「この俺の歌をな!」
「いいだろう、それではだ」
ガビルもバサラのその言葉に対して笑みで返す。
「俺にその音楽美を見せるのだ!」
「歌は見せるもんじゃねえ!」
こう言い返すのがまさにバサラだった。
「聴かせるもんだ!」
「それだというのだな」
「ああ、そうだ!」
こう言ってだった。実際に歌ってだ。
ガビルとぶつかり合う。二人の戦いだった。
その中でだ。両軍との戦いが続いてだった。
カワッセがだ。シーラに言った。
「シーラ様」
「どうしたのですか?」
「やはり来ました」
こうシーラに告げるのだった。
「敵です、この反応は」
「ポセイダル軍ですか」
「はい、その数二十万」
それだけだというのだ。
「来ました」
「方角は」
「我が軍から見て三時です」
そこだというのだった。
「そこにです」
「そこにですか」
「どうされますか、ここは」
「そうですね」
それを聞いてだった。シーラはすぐに述べた。
「ここはです」
「迎撃ですか」
「いえ、この気配は」
シーラは独自の気配を察してだ。そうしてであった。
「私達のところには来ません」
「そうなのですか?」
「躊躇っています」
また言うシーラであった。
「本来は私達の方に行きたいようですが」
「それでもですか」
「はい、来ません」
「それは何故でしょうか」
「他の目的があるようです」
シーラは目を閉じていた。そうしながら何かを感じ取っていた。彼女のその力を使ってであった。
「それが何かまではわかりませんが」
「そうなのですか」
「ですから。備えはです」
「いいのですね」
「はい、いいです」
また話すシーラだった。
「プロトデビルンに専念するだけで」
「わかりました」
カワッセはシーラのその言葉に頷いた。そしてだ。
ロンド=ベルの面々もその軍勢を見た。エリスがダバに言った。
「ねえ、敵の旗艦は」
「ああ、そうだな。傍にオージェがいる」
ダバはエリスのその言葉に応えた。
「つまりあれは」
「ギワザの船よね」
「そしてあのオージェはネイだ」
このことも察して話す。
「そして他にもいるな」
「十三人衆のほぼ全てだな」
ギャブレーもここで話す。
「揃っているな」
「そうだな。けれど」
ダバはその彼等を見ながら話していく。
「こっちには来ないな」
「そうね。何かすぐに向こうの方に行くけれど」
「どういうことなんだ?一体」
ダバはいぶかしまざるを得なかった。ギャブレーもだった。
「おかしいな。十三人衆の仕事は我々と戦い倒すことの筈だが」
「シーラ王女の言う通りに何かあるのか」
ダバはいぶかしんで話した。
「これは」
「何かあるな。ただ」
「ただ?」
「今彼等は私達と戦うつもりはない」
ギャブレーはこのことを言うのだった。
「それはだ」
「ないのね」
「それは間違いない。そうだな」
ギャブレーはエリスに応えながらさらに話すのだった。
「これは私達にとっては好都合か」
「さしあたってプロトデビルンに専念できるな」
「だからだ」
こうダバに話す。
「これでいい」
「そうだな。後のことは後で考えるべきだな」
「何か行き当たりばったりじゃないの?それって」
「いや、それでいいだろ」
キャオがいぶかしむエリスにこう話した。
「まずはこの戦いを乗り切らないといけなんだしな」
「だからなのね」
「ああ、だからだよ」
こう話すのだった。
「まずは目の前のことだよ」
「それじゃあ」
「ポセイダル軍のことは後で考えるんだ」
ダバもそのエリスに話した。
「とにかく今は」
「この美とか騒いでる人達をなのね」
「そうしよう、今は」
こうしてだった。彼等は戦っていってであった。遂にだった。
グラビルがだ。叫んだ。
「ガオオオオオオン!」
「グラビル、そうなのか」
ガビルはそのグラビルを見て言った。
「限界美だな」
「ガオオオオン・・・・・・」
「そうか、わかった」
そのグラビルの絶叫を聞いての言葉だった。
「それではだ」
「ちょっと待てよ」
ジュドーはそのガビルに突っ込みを入れた。
「御前今の言葉わかったのかよ」
「わかったがどうしたのだ」
「何でそれでわかるんだよ」
言い返すジュドーだった。
「ただ叫んでるだけだろうが」
「それは当然のことだ」
「当然って何がだよ」
「我等は一心同体。だからだ」
「つまりあれね」
「そうね」
ルーとエルがここでわかった。
「言葉はいらないっていうのね」
「そういう関係なのね」
「そうだ。心が通い合っている。これこそだ」
また言うガビルだった。
「心通美!」
「また美かよ」
「本当に好きだよね」
「そうだよね」
ビーチャにモンド、イーノもいささか呆れていた。
「何でもかんでも美ってな」
「好き過ぎるよね」
「癖なんてものじゃないね」
「何度も言うが美は全てだ」
ガビルはこう言ってはばからない。しかし今はであった。
「ではグラビルよ」
「ガオオオオオン」
「戻るとしよう。では今より」
「言うよ、絶対に」
「そうだな」
プル、プルツーもわかっていた。
「またね」
「美だな」
「撤退美を開始する!」
本当に言った。そうしてであった。
プロトデビルンの軍勢は撤退したのだった。それでだった。
ロンド=ベルは戦いを終え集結してだ。そのポセイダル軍のことを話した。
「しかしあの動きは」
「明らかにおかしい」
「そうよね」
「私達を見ても何もしないなんて」
「しかも」
おかしいことはそれだけではなかった。
「あの顔触れで」
「ギワザもネイもいたよな」
「マクトミンもな」
「それで?」
「何もしなかったって?」
おかしいと思うのはこうしたことからもだった。
「考えれば考える程」
「何かおかしい」
「そういえば」
ここでだった。ユンがダバに問うた。
「あの、ダバさん」
「はい」
「ここってポセイダルの独裁体制ですよね」
「はい、そうです」
その通りだと答えるダバだった。
「その通りです。ポセイダルによって何もかもが支配されています」
「そうですよね。それならああいう時は間違いなく攻めて来るのに」
「私達は敵ですからね」
レフィーナも言う。
「ポセイダルにとっては紛れもなく」
「それでどうして」
ユンは首を傾げさせた。
「あの時来なかったのでしょうか」
「若しかすると」
ここでショーンがふとした感じて言ってきた。
「そのポセイダルの独裁体制が」
「はい」
「何か」
「異変が起こっているのかも知れませんな」
こう言うのだった。
「若しかすると」
「異変がですか」
「それがですか」
「はい、若しかしたらですが」
これがショーンの説だった。
「その可能性は否定できないかと」
「ううむ、そういえばだ」
ギャブレーが考える顔で述べた。
「ギワザだが」
「その十三人衆のリーダー格の?」
「何かとずる賢そうな」
「あの者は何か含むところがあったな」
「そういえばそうだね」
レッシィも言ってきた。
「あいつは一回私に声をかけてきたしね」
「私にもだ」
ギャブレーにもだというのだ。
「何かあれば自分につくようにな」
「あれはまさか」
「じゃああれなの?」
アムは二人の言葉からすぐにあることを察して言った。
「自分が権力を握ったらその時はって」
「っていうと?」
キャオも己の考えを話す。
「謀反とか反乱とか。それはないか?」
「いや、ひょっとしたら有り得るのかもな」
ダバが考える顔で言った。
「それも」
「じゃあそれで?」
「今は俺達に手を出さなかった?」
「今はとりあえず」
ロンド=ベルの面々はダバの言葉を受けてそれぞれ話した。
「その理由は」
「戦力温存かしら」
「そのせいで?」
「というとここは」
考えはさらに進んでだった。
今度はトカマクが言った。
「俺達がポセイダル本軍と戦うとお互いが潰し合いになるよな」
「若しそのギワザが反乱を起こすのなら敵が潰し合ってくれて好都合」
「そうなるよな」
「やっぱり」
皆こう考えていく。そうしてだった。
「とりあえずどうする?」
「ここは」
「何か手はあるかな」
「一つ派手にしてみませんか?」
ダバの提案だった。
「一度」
「派手っていうと」
「どうするんだよ」
「戦争でも売るの?」
「はい、売ります」
まさにその通りだというのだった。
「それも派手にです」
「それで売る相手は」
「一体誰なんだ?」
「どっちに売るんだ?」
「ポセイダルかそれともギワザか」
「ここはポセイダルです」
その彼等だというのだった。
「おそらく彼等は僕達が侵入してきたことに気付いています」
「それは間違いないよな」
「さっきあれだけ派手に戦ったし」
「若しギワザがそれで差し向けられていた軍を率いていたとしたら」
「もう既に」
「それは間違いないわね」
「だとすればまたすぐに来ます」
ダバはこう皆に話していく。
「それで僕達はそのポセイダル軍と戦います」
「そうなればポセイダル軍がギワザを呼ぶ」
「けれどそれでも来ないか来てもすぐに帰ったら」
「間違いない」
「そういうことか」
「はい、そうです」
これがダバの作戦だった。
「これでどうでしょうか」
「そうね」
「いける?」
「敵の情勢を探るには」
「そうよね」
皆それぞれ顔を見合わせて話す。そうしてだった。
ダバのその提案に頷くことにした。そのうえでだった。
「じゃあここはそれで」
「行こうか」
「まずは見極めないとね」
「その為にも」
「はい、ではそれでいきましょう」
ダバは皆が賛成してくれたので微笑んだ。そうしてだった。
「それなら」
「それではこのまま進むか」
ベンが言った。
「そして敵との遭遇を待つか」
「そうしましょう。実はです」
ダバは今度はベンに話すのだった。
「レジスタンスの勢力もあるのですが」
「君達の同志か」
「はい、そんなところです」
こうベンに答える。
「その勢力がある惑星はまだ先ですし」
「ではまだただ進むだけでいいな」
「はい、それで御願いします」
それでいいというのだった。
「それじゃあこれから」
「うむ、行こう」
ベンがまた言ってだった。ロンド=ベルはまずは進むのだった。だがただ進むのではなくだ。あえて進む、戦略あっての航行であった。
その中でだ。ふとプルとプルツーが言った。
「じゃあ落ち着いたし」
「そうだな」
二人で息を合わせての言葉だった。
「お風呂入ろう」
「そうするべきだな」
「おいおい、またかよ」
ジュドーは二人のその言葉にいささか呆れた声を出した。
「本当に好きだな」
「だって気持ちいいんだもん」
「奇麗になるぞ」
「けれど入り過ぎだろ」
こう言うジュドーだった。
「一日に何度入ってるんだよ」
「昨日は四回?」
「そうだったな」
出撃とトレーニングと睡眠以外は全部と言ってよかった。あと食事である。
「それ位だよね」
「ああ、確かな」
「そんなに奇麗にしてどうするんだ」
「だって女の子は奇麗にしろって」
「皆言うぞ」
「いや、それはそうだけれどな」
ジュドーもこのこと自体は否定しなかった。
「それでもな。一日一回でいいだろ」
「そんなの汚いよ」
「最低三回だ」
「一回でいいんだよ。それに洗濯はな」
ここからが問題だった。
「一週間に一回でいいんだよ」
「それ最低よ」
「そうだ、不潔だ」
「何だよ、不潔だっていうのかよ」
「何か男ものの下着干すの少ないけれど」
「それでだったのだな」
このことは相変わらずだった。
「ジュドー今トランクス何日目?」
「一体どれ位穿いている」
「三日前に替えたばかりだよ」
こう返すジュドーだった。
「それが悪いのかよ」
「だから毎日洗う」
「そうだ、洗え」
「そうよ、お兄ちゃん達って」
リィナも出て来た。
「洗濯は全然しないから。自動洗濯機一杯あるのに」
「面倒臭いんだよ」
「お風呂は無理に放り込んでるけれど」
その一日一回の理由がこれでわかった。
「全く。こうなったら」
「どうするってんだよ」
「お兄ちゃんごと洗濯機に放り込むわよ」
こんなことを言うのだった。
「こうなったら最終手段よ、覚悟してよね」
「なっ、俺は服じゃねえぞ」
「じゃあ毎日洗濯して。いいわね」
「ちぇっ、そこまでしなくてもよ」
「さもないとトランクス一枚に剥いて」
リィナは過激だった。
「それでお風呂に放り込んでそこに服も洗剤も入れて」
「それで洗うってのかよ」
「そうよ、私本気だからね」
「そんなことで本気になるな」
「とにかく洗濯は毎日にして」
これに尽きるリィナだった。
「わかったわね」
「うう、わかったよ」
「じゃあビーチャさんとモンドさん、イーノさんにも言ってね」
この三人もだった。
「何気にケーンさん達もだし」
「皆不潔」
「最悪だな」
また言うプルとプルツーだった。
「洗濯だって毎日ちゃんとしないと」
「汚いぞ」
「汚い汚いってよ」
まだ言うジュドーだった。
「ったくよ。昔の人は一生に数える程しか入らなかったんだぞ」
「だからそれは問題だから」
妹もまだ返す。
「わかったわね、それで」
「くそっ、厄日だ」
「お兄ちゃんの為よ」
「ああ、そうなのかよ」
「そうよ、だからね」
「洗濯もしろってんだな」
「そういうこと」
まさにその通りだった。
「はい、じゃあ早速」
「う、うわっ!」
妹にトランクス一枚にされるジュドーだった。そうした中でもだ。彼等は次の戦いに向かう。ペンタゴナでの戦いははじまったばかりだった。
第六十五話 完
2010・10・11
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