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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第四十七話 二人の決断

               第四十七話 二人の決断
 ロンド=ベルはボアザンまであと僅かの場所にまで迫っていた。
「もうすぐ降下か」
「そうだな」
「本当にいよいよ」
「これでまた戦争が一つ終わるね」
「そうね」
 このことはいいとした。しかしであった。
「それでもなあ」
「ボルテスチームと一矢さん」
「どうなの?」
「今は」
「まずいな」
 神宮寺が一同に答えた。
「今の状況はな」
「やっぱりお兄さんのことが」
「それにリヒテルさんのことが」
 皆そうなっている原因はもうわかっていた。
「二人共どうして」
「確かに俺達は過去剣を交えた」
「けれどそれでも」
「過去は過去なんじゃ」
「そうよね」
「二人にとっては違うんだろうな」
 今言ったのはシローだった。
「二人共誇り高いからな。過去の自分の過ちを許せないんだ」
「そうね、それは間違いないわ」
 アイナがシローのその言葉に頷いた。
「それによって犯した罪のことを」
「けれど過去は過去なんじゃ」
「そうよね」
 今言ったのはミゲルとカレンである。
「割り切れないのかな」
「その辺りは」
「それができないからだな」
 サンダースはこれまでの人生経験から語っていた。
「ああして。生きるしかないんだ」
「突っ張ってる?」
「つまりは」
 皆ここまで聞いてこう考えた。
「だから今も」
「そうやって?」
「ああしてるのかしら」
「間違いありませんな」
 ノリスは危惧した言葉を出した。
「そしてこのままですと」
「死に場所を求めているな」
 シローはこのことを見抜いた。
「そしてそれはボアザンだ」
「ちょっと、冗談じゃないわよ」
 アスカがそれを聞いて言った。
「何であの人達が死なないといけないのよ」
「ほんまや。過去は過去やで」
 トウジもそれを言う。
「今を生きるのに必要あるかい」
「その通りよ。死ぬなんて言うんならね」
 アスカはかなり感情的になっていた。
「あたしが殺してやるわよ」
「殺したら駄目じゃない」
 シンジはわかっていて合わせて突っ込みを入れた。
「死なせたくないのに」
「その意気で止めるのよ」
 アスカもわかっていて返す。
「あの人達、死なせないわよ」
「じゃあどうやって?」
 そのアスカに突っ込みを入れたのはフェイだった。
「どうやって二人を止めるのよ」
「決まってるわよ、考えを変えてもらうのよ」
 アスカはフェイにも言葉を返した。
「二人にね。それしかないじゃない」
「正解ね。けれど」
 今度はレイが言った。
「それは難しいわ」
「可能性がゼロでも気合入れてゼロコンマで可能性を作ってよ」
 アスカは熱くなって力説する。
「それを百にまでするのがあたし達じゃない」
「そうだ、その通りだ!」
 ハッターはアスカのその言葉に大いに頷いた。
「なら今もだ!」
「その通りだ。可能性は作るものだ」
 テムジンもその通りだと言う。
「この戦いもまただ」
「そういうことよ。やってやるわよ」
 アスカは力瘤を入れて語る。
「あの二人、今度会ったら見てなさいよ」
「何か倒すみたいな口調ね」
「そうだね」
 ヒカリとケンジがそんなアスカを見て話す。
「けれどそれでも」
「そうしないとね、本当に」
「そういうことよ。理屈じゃないわよ」
 アスカは熱いままだ。
「やってやるわよ」
「そういうことだね」
 万丈がアスカのその言葉に頷いた。
「それじゃあボアザンに来たら」
「よし、それなら二人に」
「話そう」
「来たらですけれど」
「いや、来るよ」
 万丈はこのことは確信していた。
「あの二人は来るよ」
「死に場所を求めて」
「その為に」
「うん、絶対に来るよ」
 万丈はまた言った。
「そしてね。僕達はその二人を」
「説得する」
「そうするんですね」
「いや、心をぶつけるんだ」
 だが万丈は違う言葉を出した。
「そうするんだ」
「心?」
「心をですか」
「うん、そうだよ」
 にこりと笑って一同にまた話した。
「それをね」
「心を」
「それを」
「どう思ってるんだい?」
 万丈はまた彼等に問うた。
「それで君達は一体」
「死んで欲しくない」
「例え何があろうとも」
 健一と一矢が答えた。
「兄さんは兄さんだ」
「リヒテルは。死んではいけない」
「そう、それだよ」
 また話す万丈だった。
「その考えを。心をね」
「兄さんにぶつける」
「そうするべきか」
「そういうことだよ。飾る言葉は余計だよ」
 万丈は微笑んでそれはいいとした。
「必要なのは心なんだよ」
「そしてその心をぶつけて」
「あの二人を」
「わかったね。それじゃあ」 
 こうしてだった。そのボアザンに向かおうとする。しかしであった。
「!?レーダーに反応」
「宇宙怪獣です」 
 マヤとトウジが言った。
「数は一千万」
「ボアザンに向かっています」
「まずいな」
 タシロがそれを聞いて述べた。
「ここでそれか」
「艦長、どうしますか」
 副長がタシロに対して問うた。
「ここは一体」
「仕方ないな」
 タシロはまずはこう返した。
「ここはだ」
「はい、ここは」
「宇宙怪獣に向かおう」
 これが彼の判断だった。
「いいな、宇宙怪獣にだ」
「宇宙怪獣にですか」
「最早ボアザンは解放されたも同じだ」
 彼もまたこのことを確信していたl。
「しかし宇宙怪獣はそうはいかん」
「そうです、その通りです!」
「宇宙怪獣は!」
 ノリコとカズミも言ってきた。
「宇宙怪獣を放っておいたらボアザンの人達が」
「ですからここは」
「その通りだ。それではだ」
 タシロは二人の言葉を受けてまた言った。
「諸君、いいな」
「はい、ここは」
「まずは宇宙怪獣を」
「全軍宇宙怪獣を迎撃する!」
 今ここに実際に命令を出した。
「よいな、それではだ!」
「了解です!」
「全軍攻撃開始!」
「宇宙怪獣だ!」
 こうしてだった。彼等はボアザン星に降下せずにまずは宇宙怪獣の大軍に向かった。宇宙怪獣は既に布陣し展開していた。
「いるな」
「うわ、相変わらずの数」
「何時見ても多いな」
 皆その大軍を見て言う。
「これだけの数があるなら」
「遠慮はいらないな」
「よし、行くぜ!」
 そしてだ。洸も言うのだった。
「ライディーンが怒っている」
「やっぱり。宇宙怪獣を見て」
「そうだな。やっぱりライディーンは宇宙怪獣を警戒している」
 こうマリにも述べる。
「それは間違いない」
「そしてその宇宙怪獣をだな」
「今ここでまた」
「ああ、倒す」
 今度は神宮寺と麗に答えたのだった。そうしてだ。
 まずは弓をつがえだ。それを放った。
「ゴオオオオオオオオッドゴオオオオオオオガン!!」
 それで数機倒した。これが合図になった。
 綾人もだ。ラーゼフォンの中から言う。
「僕だってここで」
「おい綾人」
 彼には豹馬が声をかけた。
「ラーゼフォンも感じているってのか?」
「うん、何かね」
 こうその豹馬に答える。
「感じているよ、強いものを」
「そうか、前からラーゼフォンとライディーンって似てると思ったけれどな」
「似てるね」
「そうだな、似てるよな」
 また言う豹馬だった。
「だから感じるんだな」
「宇宙怪獣、危険な存在だね」
 綾人はこちらの世界の人間になったかのように話す。
「放っておいたらいけないよ」
「大体何でこの連中は出て来たんだ?」
 宙はそれを問題にしていた。
「何でなんだ?」
「そういえばどうやって誕生したんだ?」
「それがわからないのよね」
「そうそう」
 皆宇宙怪獣の起源は知らなかった。
「生物だし絶対にルーツがあると思うけれど」
「それもはっきりしない」
「何なのかしら」
「どういった存在?」
 それが不明なのだった。全くである。
 しかしだ。今はそれよりもだった。その宇宙怪獣の相手であった。
 彼等も向かって来る。やはり数を頼りに来る。
 だがロンド=ベルはその彼等にも向かい。次々と倒していた。
 その戦場にだ。二人も来た。
「ボアザンに向かわずにか」
「まずはそこに来た」
「そうするのか」
「それがそなた等の選択か」
「リヒテル、それにハイネルか」
 京四郎が二人のマシンを見て言った。
「来たか」
「聞こう、何故だ」
 ハイネルの言葉だ。
「何故そなた達はまずボアザンに向かわなかった」
「何故宇宙怪獣と戦っている」
 リヒテルもそのことを問う。
「ボアザンは目の前だというのにだ」
「先に宇宙怪獣を倒すというのか」
「決まっている!それは!」
 最初に答えたのは健一だった。
「そのボアザンの為だ!」
「そのボアザンの?」
「ボアザンの為だというのか」
「ああ、そうだ」
 今度は一平が答えた。ボルテスもまた宇宙海獣達を次々と倒している。
「その為だ、ボアザンの為だ!」
「そうよ、この宇宙海獣達を放っておいたら」
 めぐみも言う。
「ボアザンは大変なことになるわ!」
「既にボアザンに兵はいない」
「既にな。もういはしない」
 ハイネルとリヒテルがこのことを指摘した。
「キャンベル星と同じく次々と兵達も目覚めた」
「残る兵は僅かだ。解放は間違いないというのにか」
「間違いないからでごわす」
「そういうことだよ」
 大次郎と日吉の言葉だ。
「それよりも宇宙怪獣でごわす!」
「この連中をボアザンに行かせるか!」
「ズ=ザンバジルと宇宙怪獣を戦わせることもできた」
 ハイネルはこうも話した。
「それは考えなかったのか」
「そんなこと考えるものか!」
 一矢の返答である。
「ボアザンの人達をこんな連中の前に晒せるか!」
「それが理由か」
 リヒテルは一矢のその言葉をしかと聞いた。
「それがだというのだな」
「そうだ、その通りだ!」
「俺達はボアザンの人達の為にも戦う!」
 健一と一矢は同時に言い切った。
「それが俺達だ!」
「ロンド=ベルだ!」
「ボアザンの為にもか」
「戦うというのだな」
「そして生きる!」
 健一はさらに続けた。
「ボアザン星の人達を守り戦う為にだ。生きる!」
「そういうことだ。俺も同じだ!」
 一矢は叫びながらだ。目の前にいる宇宙怪獣の合体型にだ。あの技を出した。
「ダブルブリザアアアアアアアアアドッ!!」
「むっ!」
「あの技かか!」
「そうだ、あの技だ!」
 一矢は二人にも応えた。そうしてだった。
 その技を出した。
「ファイアアアアアアアアストオオオオオオオオオム!!」
 炎も出した。そして。
「必殺!烈風!!正拳突きイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!」
 それで宇宙怪獣を一気に突き破った。それで決まりだった。
「強い・・・・・・」
「また腕をあげたな」
 二人は一矢のその技を見てあらためて言った。
「それがか」
「今の御前の心か」
「ああ、そうだ」
 まさにその通りだと答える一矢だった。
「これでわかってくれたか」
「兄さん、俺もだ!」
 一矢もだった。今その剣でだ。
「天!空!剣!」
 その剣を高々と振りかざして宇宙怪獣に襲い掛かる。
 そして切り抜き。言った。
「ブイの字斬りーーーーーーーーっ!!」
「健一、御前もまた」
「余達に見せるか」
「兄さん、リヒテル!」
 健一もまた二人に対して告げた。
「俺の、俺達の言いたいことはわかる筈だ!」
「そうでごわす、兄さんは!」
「死んじゃいけないんだ!」
 大次郎と日吉も続く。
「ここは生きるでごわす!」
「ボアザンの為にも!」
「・・・・・・そうか」
 ここでだ。遂にハイネルは言った。
「そこまで言うか」
「何度でも言う!そして見せてやる!」
 これもまた健一の言葉だ。
「俺の、俺達のこの心を!」
「だから兄さん、どうか!」
「死ぬなんて思わないでくれよ!」
「・・・・・・わかった」
 ここでだ。ハイネルは遂に頷いた。
「弟達よ。それではだ」
「兄さん、やっと」
「わかってくれたでごわすか」
「そうなんだね」
「その通りだ。御前達の心、確かに余に届いた」
 その言葉に曇りはなかった。
「そしてだ。余も決めた」
「よし、それなら!」
「今から一緒でごわす!」
「ボアザンに!」
「行く、そして生きよう」
 彼はまた言ってみせた。
「そしてそこで余の決意を見せよう」
「余もだ」
 今度はリヒテルが言った。
「余もだ。その心を見せよう」
「リヒテル、御前もなんだな」
「ハイネルと同じだ、そなた等の心がわかった」
 だからだというのである。
「共にボアザンに向かい。そこで余の決意を見せよう」
「生きてなんだな」
「死なぬ」
 リヒテルもまた断言だった。
「やはり余もまた」
「そういうことだ、リヒテル」
 他ならぬ一矢の言葉だ。
「過去を悔いているな」
「その通りだ」
「なら余計にだ」
「生きるのか」
「そうだ、生きろ」
 一矢の言葉は変わらない。
「わかったな。生きろ」
「わかった。それではだ」
「そしてバームの民を導いてくれ」
「地球人との架け橋はか」
「俺とエリカがやらせてもらう」
 それはだというのだ。
「それに御前は一人じゃない」
「バームに戻ってもか」
「ハレックもいる。バームの人達がいる」
 彼等がだというのだ。
「その人達が御前を待っているんだ」
「余を。同胞達がか」
「そういうことだ。死ぬな」
「そうだな。それではだ」
 これで完全に考えが決まったのだった。
 ハイネルもだった。あらためて弟達に話していた。
「健一、大次郎、日吉」
「ああ、兄さん」
「そうでごわすな」
「これからだね」
「ボアザンの夜明けがはじまる」
 彼は既にそれを見ていた。
「そしてそれをか」
「兄さんが導くんだ」
「新しいボアザンをでごわす」
「その為にも」
「見せよう、世のあらたな決意を」
 彼もまた言い切った。
「それではな。ボアザンに参ろうぞ」
「よし、じゃあ皆」
「ああ、わかっている」
「行きましょう」
 一平とめぐみが頷く。健一のその言葉に。
「いよいよボアザンだ」
「戦いも終わったし」
 既にだった。宇宙海獣達は殲滅していた。憂いはもうなかった。
 それならばだった。彼等は安心してボアザンに向かうのだった。最早憂いはなかった。あるのは夜明け、二つの民の夜明けだけだった。


第四十七話   完


                       2010・8・11    
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