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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第十八話 発動する力、無限

                   第十八話 発動する力、無限
「しかしなあ」
「どうしたんですか?」
 ニコルがディアッカに対して問うた。
「いきなり」
「いやな、プロフェッサーさんだけれどな」
「あの人ですか」
「マリュー艦長と見分けつかないんだよな」
 こう言うのであった。
「雰囲気とかそっくりだからな」
「マリューさんとですよね」
「あとミサトさんとな」 
 この二人の名前を出すのだった。
「何もかもそっくり過ぎるんだよな」
「それはそうですね」
 これはニコルも頷くことだった。
「けれどそういうディアッカもですね」
「ダコスタさんとか」
「はい、そっくりですよ」
 これを言うのだった。
「それに国としては」
「その話もかよ」
「あれですね。オーストリアのイメージがします」
 彼は国としてはそれであるというのだ。
「オズマさんはアメリカのイメージでミハイル君は中国のイメージですか」
「そういえばな。カナンさんはな」
「私はスイスなのね」
 カナンは自分から言ってきた。
「そう言いたいのね」
「はい、それです」
「それで後は」
 ディアッカはさらに言ってきた。
「あれなんだよな。アーサーさんとか金竜大尉とかヒューゴさんがな」
「日本ですよね」
「そうだよな」
 こう話すのである。
「何かどっかの世界とも一緒になってるよな」
「ええ、確かに」
 それを二人で言い合う。
「それにシルヴィアさんですか」
「似ているというレベルではないな」
 アスランが言ってきた。
「あの世界の三兄弟のな」
「声がもう」
「国としてはリヒテンシュタインだな」
 ディアッカは国に当てはめた。
「で、俺がオーストリアならな」
「私なのね」
 レイヴンではなくアヤカだった。
「私はハンガリーなのね」
「そうなんだよな。それでプロイセンが嫌いでな」
「プロイセンはいませんよ」
 ニコルが言ってきた。
「ディアッカの名前はドイツ系ですけれどね」
「主役がいないのがミソだな」
 イザークがこっそりと言う。
「俺はまだいないしな」
「御前その代わり女の子だらけの中国にいただろうが」
「そうですよ」
 ディアッカとニコルはそれを言う。
「悪役だったか?」
「それでもいましたよね」
「いいだろうが。そうした世界にいても」
 イザークは開き直ってきた。
「どうも俺にはそうした話が少なくてだな」
「そうなのか?」
 イザークに対して雲儀が突っ込みを入れてきた。
「私はそうは思わないが」
「うわ、一緒の声にしか聞こえないし」
 ハルカがその二人を見て言う。
「そうですよね、エマ大尉」
「そうね。本当にね」
「全くですよ」
 リィナもいた。
「そう思わない?レイちゃん」
「確かに」
 レイはリィナの言葉に頷いた。
「けれど何か私達って」
「誰が誰だ」
 ザイオンがそれを問う。
「全くわからないが」
「そうよね。複雑ね」
 走影は一人だった。
「もう誰が誰なのか」
「私はだ」
 そのザイオンの言葉である。
「大次郎君と似ているか」
「そっくり?」
「同一人物にしか」
「しかも」
 その大次郎の言葉だ。
「おいどん達はでごわす」
「魔法、それは勇気の証」
 ザイオンは言いだした。
「他にはカタツムリになっていたか」
「今度は何の世界だ」
 ここで言ったのはヒイロだった。
「俺はその世界では犬に噛まれていたか」
「というか誰が誰だかわからなくなってきていません?」
 今言ったのはレフィーナである。
「私もサリーちゃんとやたら間違えられますし」
「うふふ、そうよね」
 エクセレンは彼女のその言葉を聞きながら述べた。
「私もサラちゃんと間違えられたりするし」
「不思議ですよね」
 サラもいる。
「そういえば私忍者の世界では学校の理事長だったり」
「そうそう。それで相手は」
「私なのね」
 タリアが名乗り出て来た。
「そうね。一緒にいた記憶があるわ」
「物凄く丈の長いセーラー服着て鞭も持ってね」
 エクセレンは笑いながらタリアに話す。
「それでサンドマンさんが物凄く長い木刀持っていて」
「そうだったな。記憶の中にある」
 サンドマン自身こう言う。
「世界はそれぞれ複雑に絡み合っているものだ」
「俺はそれを言ったらどうなるんだ?」
 宙である。
「あるチームのピッチャーだったりその忍者の世界に近いギリシアで戦っていたりしたぞ。他には確かその魔法の戦隊の次の冒険の話の特別篇で」
「俺も」
 洸もいた。
「それこそ超人だったり女好きのスナイパーだったり拳法の伝承者だったり」
「最後は凄過ぎない?」
「そうよね」
 皆洸の最後の言葉にひそひそと言う。
「何かもう無茶苦茶」
「やっぱり」
「僕もですけれど」
 ルカは斗牙を見ている。
「斗牙君と何か」
「そうだよね、似ているよね」
 斗牙の方も言ってきた。
「雰囲気も何もかもね」
「はい、本当に」
「やっぱりカオスだよなあ」
「こういう話になると」
 言う殆どの面々にも心当たりがあるから余計に複雑である。
「それで今は」
「ああ、戦局な」
「それよね」
 その話に移った。
「今ボアザンとかキャンベルの勢力圏を出たし」
「今の敵は?」
「何が出て来るかな」
「宇宙怪獣かしら」
 こう言ったのはノリコである。
「何時出て来てもおかしくないし」
「それかバルマーかバッフ=クラン」
「何が出て来てもおかしくないか」
「ムゲ帝国にしてもプロトデビルンにして」
「何時何が出て来てもであるのね」
 とにかくそうした状況だった。
「それじゃあ今は」
「何が出て来てもいいようにね」
「備えておくか」
 彼等の中で結論が出た。そうしてであった。
 彼等はそのまま宇宙を進んでいた。そこにだ。
「レーダーに反応です」
「来ました」
 トーレスとサエグサが言ってきた。
「右にです」
「かなりの数ですね」
「そうか、来たか」
 ブライトはそれを聞いてすぐに頷いた。
「よし、それならだ」
「迎撃ですね」
「では今すぐに」
「総員迎撃用意」
 実際にこう命じる。
「そして敵は」
「キャンベル及びバルマーです」
「連合軍ですね」
「追って来たか」
 ブライトはそれを聞いてまずはこう考えた。
「ここまで」
「若しくは進出してきたところにです」
「我々がいたかですね」
 二人はそのケースも想定してきた。
「どちらかですね」
「ですがどちらにしても」
「そうだ、戦わなければならない」
 ブライトはそう見ていた。
「それではだ。総員出撃だ」
「はい」
 こうして全員出る。連合軍は数は多かった。しかしである。
「あれ?指揮官がいないな」
「あの兄弟も角生えたのも」
 すぐにそれに気付いたのである。
「ってことは」
「ただ進出してきた部隊かしら」
「そうよね」
「それじゃあ敵としては」
「大したことがない?」
「いや、油断は禁物だ」
 だがここで大文字が慎重案をあえて述べた。
「敵の数は覆い。それに油断が最も恐ろしい」
「確かに、それは」
「その通りですね」
「だからこそだ。油断は禁物だ」
 大文字の言葉は冷静であった。
「そしてだ」
「そして?」
「敵を侮らないことだ」
 こうも言うのである。
「わかったな。それは」
「はい、それじゃあ」
「油断禁物ってことで」
「そうだ、いいな」
 こう話してであった。その連合軍に向かう。彼等との戦いも激しいものだった。
 しかしだ。敵には統率された動きがなかった。これが大きかった。
「よし、このままだ!」
「いけるぞ!」
「右翼突撃だ!」
 まずはそこからだった。
「そして左翼だ!」
「右翼から押される敵を撃て!」
「総攻撃だ!」
 こう命じられてであった。連合軍は瞬く間に倒されていく。その壊走も早かった。
「よし、追撃だな」
 モエラがその壊走を見て言った。
「行くか、コスモ」
「そうだな。二度と来れないようにしてやる」
 それをコスモも言う。
「それじゃあな」
「ええ、行きましょう」
 カーシャも続こうとする。しかしであった。
「いや、待て」
「!?」
「何かあったのか、ベス」
 モエラがベスのその言葉に問うた。
「まさかまた敵が」
「ああ、レーダーに反応があった」
 こう言うのであった。
「間違いない、敵が来た」
「そうなのか。ここで」
「全軍迎撃だ」
 ベスの判断はこれであった。
「わかったな」
「それで誰だ?」
 コスモは敵が誰なのかを考えた。
「プロトデビルンか?それとも」
「どうやらバッフ=クランだ」
 ベスは彼等だという。
「彼等が来た」
「そうか、奴等か」
 コスモはその敵を聞いて言うのだった。
「奴等が来たのか」
「またあいつ等なのね」
 カーシャはバッフ=クランと聞いて露骨に嫌な顔になった。
「何度出て来たっていうのよ」
「じゃあやってやる!」
 越すもの戦意があがる。
「潰してやる!一気にだ!」
「コスモ、あいつもいるみたいよ」
「あいつ!?ギジェか」
「そうよ、あいつの機体もいるわ」
 見ればであった。そこに確かにギジェがいた。彼等がなのだった。
「どうするの、それで」
「決まってるだろ!」
 コスモの答えはそれしかなかった。
「あいつを倒す!」
「やっぱりそうするんだな」
「ああ、そうしてやる!」
 モエラにも返す。
「いいな、それで!」
「それはわかった」
 モエラも彼の言葉に頷く。
「だが、コスモ」
「何だ、それで」
「気をつけろ」
 彼が言うのはこのことだった。
「焦るな、頭に血がのぼってもすぐに落ち着きを取り戻せ」
「落ち着けっていうのかよ」
「そうだ」
 まさにその通りだという。
「わかったな、落ち着け」
「ああ、わかった」
 コスモも彼のその言葉に頷いた。
「それならな」
「そうしろ。それでベス」
「ああ」
「敵はさっきの連合よりもずっと強いみたいだな」
「それは間違いないな」
 ベスもそれは見ていた。
「数も多いし指揮官もいるな」
「そうだ。それが問題だ」
 敵の強さを的確に見抜いていたのだった。
「どうするかだな」
「まずは守りを固める」
 グローバルはこう判断した。
「いいな、守りを固めるぞ」
「固めるか」
「それなら」
「今は」
 こう話していってであった。守りを固める。そのうえでバッフ=クラン軍を迎え撃つ。だが指揮官のギジェはそのロンド=ベルの軍勢は見ていなかった。
 彼が見ているのはだ。赤い神であった。
「閣下、ここはどうされますか?」
「それでは」
「待て」
 待てというのだった。
「突撃はしない」
「突撃はですか」
「ではどうされるのですか?」
「我等の敵はロンド=ベルではない」
 こう言うのである。
「敵は巨神だ」
「伝説の巨神ですか」
「あの巨神を」
「そうだ、それだけを狙え」
 こう指示を出すのだった。
「いいな、それではだ」
「巨神をですね」
「今は」
「そうだ、今は攻める」
 また話す彼だった。
「巨神だけを」
「わかりました、それでは」
「巨神に集中攻撃を仕掛けます」
「そうする。いいな」
 こうしてだった。全軍そのままイデオンに向かう。他の敵には見向きもしない。
 それに対してロンド=ベルはだ。バッフ=クラン軍全体に攻撃を浴びせる。 
 ルナマリアはだ。インパルスのライフルを乱射して次々に敵を撃墜する。
「このっ!このっ!」
「あの、ルナマリア」
 そのルナマリアにシホが通信を入れてきた。
「ビームのエネルギーには気をつけてね」
「わかってるわよ、けれどね」
「けれど?」
「敵の数が多いからね」
 それを理由にするのだった。
「もうある程度はね」
「それでも撃ち過ぎよ」
「そうだな。派手にやり過ぎだ」
「そのままではすぐにエネルギーも弾数も尽きるぞ」
 ミゲルとハイネも言ってきた。
「そうなれば元も子もない」
「それも考えろ」
「ちぇっ、皆で言うの」
 ルナマリアはそんな彼等の言葉を聞いて口を尖らせた。
「そういうハイネは何かスマートに戦ってるわね」
「そうか」
「そうよ。セイバー使ってね」
 変形を巧みに使ってだ。そのうえで鮮やかに動いてみせてだ・
 前の敵を次々に撃墜する。その炎の中を飛んでもみせていた。
「かなりやるじゃない」
「これが俺の戦い方だ」
 実際にそうだと返すハイネだった。
「このセイバーはいい機体だ」
「それは確かにね」
「だがそのインパルスもそうだ」
「確かに。ただね」
「ただ。何だ?」
「デスティニーとかみたいに無茶ができないのよね」
 それを言うのである。
「どうもね」
「幾ら何でもデスティニーと比べるな」
 ミゲルは少しむっとしたような声でルナマリアに返した。
「それかあれか。あの三人だな」
「ええ、今も暴れてるけれど」
「わははははははははははは!!死ね死ねーーーーーーーーーっ!!」
「抹殺!必殺!滅殺!」
「くたばれ」
 オルガ、クロト、シャニは無尽蔵に暴れていく。彼等の破壊力は健在だった。
「俺達の前に出たら誰でもな!」
「容赦せずに叩き潰すからね!」
「地獄に落ちろ」
「あの無茶区茶な破壊力が欲しいのよ」
 ルナマリアは三人を見ながらまた話す。
「私もね」
「インパルスも戦い方次第でできるぞ」
 今言ったのはそのシンである。
「もうな。インパルスデスティニーみたいにな」
「いや、それは無理だ」
 それにクレームをつけたのはカガリだった。
「絶対にな」
「無理かよ」
「大体御前のインパルスデスティニーはストライクフリーダム以上の破壊力なんだぞ」
 カガリはこのことを指摘するのだった。
「デスティニーの接近戦能力にドラグーンまであるんだからな」
「ドラグーンかよ」
「御前はそれも使っているな」
「使わなくて何なんだよ」
「だからだ。そんなマシンを使っていて言うな」
 カガリは口を尖らせて言う。
「私も欲しいのだからな、ドラグーンは」
「使うと楽しいぜ」
「だからだ」
 カガリの本音が出た。
「私も使いたいのだ」
「じゃあ付ければいいだろうがよ」
 シンはこう彼女に返した。
「御前のストライクルージュにもな」
「それができたら苦労はしない!」
 本音がさらに出た。
「御前は何かというと派手な機体で暴れるな!私も暴れたいのだ!」
「っていうかカガリ様も」
「そうよね」
「いつも前線に出られるし」
 ここでアサギ、マユラ、ジュリが言う。
「ユウナさんが幾ら止めても前に出られて」
「ダメージ受けても下がらないし」
「派手に暴れてるけれど」
「より暴れたいのだ」
 さらに本音を言う。
「私としてはな」
「私達の苦労考えて下さい」
「カガリ様に何かあればですね」
「オーブの国家元首なのに」
「まあこいつはな」
 三人とは正反対にシンの言葉は冷たい。
「幾ら攻撃受けても死なないからな」
「それは何故だ?」
「馬鹿は死なない」
 こう言うのであった。
「死んでもなおらないしな」
「貴様!また言うか!」
 そしていつもの喧嘩がはじまった。
「ここでまず貴様を殺す!」
「やってみやがれ!容赦はしねえからな!」
「ああ、待ちなさい」
 ルナマリアが呆れながらその二人の仲裁に入る。
「いつものことだけれど」
「本当にね」
「カガリ様もシン君も進歩がないんだから」
「毎度毎度のことだけれど」
 アサギにマユラ、ジュリも呆れながら仲裁に入る。
「今戦闘中ですよ」
「言い合いながらも両方攻撃はしてますけれど」
「もっと集中して下さい」
「くっ、命拾いしたな」
「そっちこそな」
 二人の言い合いは続く。
「だがこの戦いの後はだ」
「おう、決着をつけてやるからな」
「いつもその時になったら忘れてるじゃない」
 ルナマリアはきつい突込みをその二人に入れた。
「全く。とにかく今は何とか敵を倒さないとね」
「そうだな。だが」
「だが?」
「俺達には目もくれないか」
 レイはプロヴィデンスレジェンドのドラグーンを放ちながら言った。そのドラグーンはそれぞれ敵機の後ろに回り込んでだ。そのうえで撃っていた。
「あくまでイデオンだけを狙っているな」
「楽といえば楽な展開だけれどね」 
 ジャックはその状況をこう述べた。
「ただ。イデオンもそこまで攻撃を受けたら」
「ええ、そうね」
「限界があります」
 エルフィとフィリスはそれを危惧していた。
「撃墜されることもね」
「有り得ます」
「すぐにイデオンの援護に向かおう」
 ハイネが言った。
「いいな、すぐにだ」
「わかりました」
 最初に頷いたのはシホだった。
「では今から」
「行くぞ」
「よし、どけどけっ!」
 またドラグーンを派手に放つシンだった。それで前の敵を蹴散らす。
「邪魔だ!一機でも多く減らしてやるからな!」
「よし、このまま行くぞ」
「ええ、このままね」
 レイやルナマリアも続く。彼等はそのまま敵を倒しながらイデオンの救援に向かう。
 だがそのイデオンはだ。限界に近付いていた。
「モエラ、どうなんだ!?」
「駄目だ!」
 モエラのコスモの返答は悲鳴めいたものだった。
「ゲージが上がらない」
「駄目なのか、まだ」
「コスモ、それによ」
 カーシャも言ってきた。
「もうイデオンのダメージが」
「限界なのか?」
「ええ、もう」
 そうだというのだ。
「これ以上のダメージは」
「そうか、これ以上の攻撃は・・・・・・くっ!」
 言っているそばからだた。その攻撃を受けた。
「コスモ!」
「大丈夫か!」
 カララとベスが慌てて問うてきた。
「あ、ああ」
「そう、よかった」
「それならいいが」
「今のところは大丈夫だ」
 こう返すコスモだった。
「しかし」
「そうね、本当にこれ以上のダメージは」
「危険だ」
 それは二人もわかることだった。
「ソロシップもイデオンの援護を」
「わかっている」
 ベスはカララのその言葉に頷く。
「安心しろ、そう簡単にやらせはしない」
「済まない」
「そういうことだ、何とか頑張ってくれ」
「ああ」
 こうした話をしているとだった。ここでだ。
「コスモ!」
「どうしたんだモエラ!」
「ゲージが動いた!」
 このことを告げるのである。
「ゲージがだ。動いた!」
「何っ、ゲージが!?」
「そうだ、動いた!」
 また言うモエラだった。
「それもこれは」
「えっ、嘘・・・・・・」
 カーシャもそのゲージを見てだ。思わず声をあげた。
「これは」
「これまでにない動きだな、おい」
 コスモもそのゲージを見て言った。
「一体何が起こるんだ!?」
「コスモ、そんなことを言っている間に!」
「今度は何だ!?」
「イデオンが勝手に!」
 イデオンに異変が起こった。それは。
「動いてる、何これ」
「おいイデオン!」
 コスモもここで叫ぶ。イデオンのコクピットにいながら。
 そしてだ。イデオンは突如動いてだ。何かが変わった。
「な、何!」
「イデオンの両肩から光が!」
「あれは!」
 皆それを見て驚きの声をあげる。
 それはバッフ=クランの面々もだ。彼等もそれを見て驚きを隠せない。
「一体何が起こる!?」
「あの巨神に」
「一体何が」
「あの時のミサイルだけではなかったのか」
 ギジェも言う。
「あれだけではなかったのか」
「閣下、ここは」
「どうされますか?」
 部下達もそれに問う。
「巨神に異変が起こりました」
「ここは」
「いや、待て」
 しかしここでギジェは言った。
「ここは攻める」
「このままですか」
「攻められるのですか」
「巨神の力はまだ全てわかっていない」
 今言うことはこのことだった。
「だからだ。ここはさらに攻める」
「わかりました、それでは」
「ここは」
「全軍攻撃を続けよ!」
 ギジェは実際にこう命じた。
「いいな、このままだ」
「はい、それでは」
「このまま」
 こうしてイデオンに向かう。そしてそのイデオンはだ。
 その両肩の光を増してきた。そしてそれが剣になった。
「何だ、この光は!」
「わからん!」
 ナブールにモエラが返す。
「だがこの光が」
「武器なのか」
 ナブールにもそれがわかった。
「そうなのか、これが」
「そうみたいだな、それにしてもイデオン」
 コスモにはもう為す術もなかった。見ているだけだった。
「一体何をするつもりなんだ、今から」
「コスモ、光が放たれたわ!」
 カーシャがそのコスモに対して叫んだ。
「これは」
「な、何だこれは!」
 コスモはその光が放たれるのを見た。何とそれは二条の光になってバッフ=クランの大軍を襲った。そして彼等を消し去ったのである。
「な、今のは一体」
「光が敵を一掃した!?」
「一撃で」
「敵の損害は」
 ナタルも驚きを隠せない。その唖然とした声でアドレアに問うた。
「どれだけだ?」
「今ので存在していた戦力の九割五分を失いました」
「一撃でか」
「はい、一撃です」
 まさにそれでだというのだ。
「消し飛ばされました」
「ただ撃墜されたのではないのか」
「はい、そうです」
 また答えるアドレアだった。
「今ので」
「何ということだ」
 ナタルはそれを聞いてあらためて唖然としていた。
「イデオンによってか」
「少佐、どうしましょうか」
 アドレアの声もうわずっていた。
「ここは」
「攻撃だ」
 ナタルも軍人だ。ここでどうするべきかはわかっていた。
「いいな、それではだ」
「はい、それではすぐに」
「そうだな。行こう」
 ヘンケンもここで言う。三人は今もラーディッシュの艦橋にいる。
「勝敗を完全に決する」
「それでは」
 こうしてだった。彼等はすぐに攻撃に向かう。しかしだ。
 ギジェは何とか生き残っていた。しかし彼の機体もかなりのダメージを受けている。そして周りに残っている戦力は僅かだった。
「止むを得ないか」
「ではここは」
「撤退ですか」
「そうだ、最早戦えはしない」
 ギジェも戦力を冷静に見ていた。
「ここは撤退だ」
「わかりました、それでは」
「ここは」
 彼等は撤退するしかなかった。こうしてギジェは残った僅かな戦力を撤退させた。彼はその中でイデオンを見ながら呟くのだった。
「巨神。果たして何処までの力を持っている」
 退くその時もイデオンを見ていた。
「それを見たくもなってきたな」
 こうしてだった。彼は部下を率いて撤退する。戦いはこれで終わった。
 だがイデオンのその力はだ。ロンド=ベルの面々をしても驚愕に値するものだった。彼等は戦いが終わってからそれについて話すのだった。
「しかしな」
「そうよね」
「イデオンのあの力」
「いきなり出て来たけれど」
「それに」
 しかもであった。
「あれだけの戦力があるとなると」
「コントロールできないみたいだし」
「じゃあ諸刃の剣?」
「そうよね」
 こうも話される。
「じゃあ私達にとっても脅威」
「それでしかないよな」
「確かに」
「巻き込まれることもあるし」
「どうすれば」
「いや、待ってくれ」
 ここで言ったのはコスモだった。
「そのイデオンの力だけれどな」
「よく考えたら何もわかってないし」
「そうだよな」
「確かにそうだ」
 それはコスモも認めた。
「けれど何か法則があるかも知れない」
「法則?」
「それが」
「若しかしたらだが」
 こう前置きしてからの言葉だ。
「イデオンには意識があって」
「イデオンにも意識が」
「あるっていうの」
「そうだ。他のマシンを見ていたら」
 コスモはさらに話す。
「意識があっても不思議じゃないしな」
「そうですね」
 洸もコスモの今の言葉に頷く。
「ライディーンもそうですし」
「そういえばマジンカイザーもだよな」
 甲児もそれに続く。
「意志はちゃんとあるからな」
「それと同じだ。イデオンもそうだとしたら」
 コスモの仮定の話は続く。
「イデも。それに関係があって」
「イデオンの意識に関係して」
「それでゲージが」
「そうかも知れない。イデには何かがある」
 また言うコスモだった。
「それは間違いないと思う」
「ではコスモ」
 ベスはここでそのコスモに対して話した。
「これからそれについてはじっくりと見ていくことにしよう」
「そうした方がいいか」
「そうね」
 シェリルも言ってきた。
「イデはまだ何もわかっていないわ。それだったらね」
「よく見るべきか」
「そう思うわ」
 シェリルはコスモに対しても話した。
「それでね」
「わかった。これからだな」
 コスモはシェリルのその言葉に頷く。そうしてだった。
 イデへの考えについても考えを巡らせていくのだった。戦いはそれで終わりではなかった。イデについての研究もはじまったのだ。


第十八話   完


                      2010・4・9 
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