| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十九話 シャピロの見えないもの

           第十九話 シャピロの見えないもの
     イデの謎をそのままにして。ロンド=ベルはさらに進む。その中でだ。
「ええと、何これ」
「また変なものが出て来たっていうか」
「そうよね」
 皆でゲームをしている。その中でのやり取りだった。
「この敵強過ぎるし」
「それも滅茶苦茶」
「だからこの会社のラスボスはおかしいだろ」
 見ればRPGをしている。そのうえでのやり取りだった。
「駄目だ駄目だ」
「このレベルじゃ勝てないわよ」
「全く」
 そして遂にコントローラーを投げ出す。プレイしているのはトールだった。
 そのうえでだ。周りを見回して皆に問う。
「こいつどうやって倒せばいいんだよ」
「トール、見ていたが」
 サイがその彼に怪訝な顔で言ってきた。
「光の玉は使わなかったのか?」
「何だよ、それ」
「だから光の玉だ」
 彼が言うのはそれだった。
「光の玉は使わなかったのか」
「それ何?」 
 トールはサイに言われても目をしばたかせるだけだった。
「はじめて聞くけれど」
「えっ、それ嘘でしょ」
 樹里はトールの今の言葉にすぐに目を顰めさせた。
「光の玉ってこのシリーズの定番じゃない」
「そうなの?俺このシナリオからはじめたし」
「いや、ぜんぜん知らないっていうのは」
「有り得ないんじゃ?」
「ねえ」
 皆トールの話を聞いてそれぞれ言い合う。
「そんなのすぐにねえ」
「わかるっていうか」
「このシリーズ凄い有名だし」
「いや、俺さ」
 そのトールの反論である。一応全滅からやりなおしはしている。
「最後の幻想シリーズばっかりやってきたから」
「じゃあこういうのはしたことない?」
「そうなの」
「そうなんだよ」
 こう皆に話すのである。
「実はさ。この竜を求めてのシリーズははじめてなんだよ」
「それも珍しいな」
 カナードはトールの今の言葉を受けてこう言った。
「今はじめてするのもな」
「そうか?」
「いや、確かに珍しいよ」
 カズイもそうだと言う。
「俺一応シリーズは全部したけれどさ」
「そんなに珍しいのか」
「ううん、確かにそうですね」
 トビアにもそれは否定できなかった。
「僕もそう思います」
「そうなんだ。結構珍しいだ」
「それでだ、トール」
 サイが真面目な顔でまたトールに言ってきた。
「光の玉は地上に行ってだ」
「ああ」
「それで竜の女王の城で手に入る」
 そうだというのだ。
「そこにあるからな」
「へえ、そうなんだ」
「それをラスボスに対して使う」
「そうしたら倒せるんだ」
「そうだ、さもないとだ」
 サイの細かい説明は続く。
「倒せるという噂もあるがまず倒せない」
「そうだったのかよ」
「わかったらまずは地上に行くことだ」
 サイはこのことを強く説明する。
「これでわかったな」
「そうか。地上か」
 トールはそれを聞いてまずは頷いた。
「わかった。じゃあまずはそこに行くな」
「それにしてもこのシリーズもね」
「そうよね」 
 皆あらためて話をする。
「面白いよな」
「伝統だけはあるわよね」
「そうそう」
 皆でさらに話す。
「やればやる程面白いし」
「いいシリーズよね」
「全く」
 そんな話をしながらゲームを見ている。そうしてだ。
 ケーキも食べている。そのケーキは。 
 ザッハトルテである。皆それを食べてさらに言うのであった。
「レオナってさ。普通に作ったらさ」
「料理上手いよな」
「お菓子もね」
「それだけれど」
 レオナはその皆の言葉を受けながら応える。困った顔になっている。
「私の好きな味付けだったら皆まずいって言うのよね」
「けれどな、レオナがまずいって言う味だったらな」
「そうなのよね」
 その困った顔でタスクにも応える。
「美味しいっていうし」
「そこが謎だよな」
「全く」
 こう言うのであった。
「どうしてなのかしら」
「けれど今のレオナのザッハトルテは美味いぜ」
 タスクはそれは太鼓判を押した。そのうえで食べている。
「もうな。幾らでも食べられる位にな」
「そこまでなの」
「ああ、美味いぜ」
 言いながら次々に食べている。
「しかし。それにな」
「それに?」
「コーヒー淹れるのも美味いしさ」
 タスクも皆もコーヒーも一緒に飲んでいる。ザッハトルテと一緒にだ。
「やっぱりいいよな」
「そう。コーヒーもやっぱり」
「だからあれなんだね」
 ここで言ったのはギリである。
「レオナの舌は普通の人と逆なんだよ」
「逆なの」
「そう、他の人が美味しいと思うものはまずくて」
 まずはこう話す。
「そしてまずいと思うものがね」
「そういうことなの」
「けれどこれはこれでわかりやすいよ」
 にこりと笑ってそのレオナに話す。
「だってはっきりしてるしね」
「そうなの。だから」
「そうだな」
「確かにその通りね」
 それにバーンズとローズマリーも頷く。
「料理をするとすればだ」
「ただ。本人はどうかしら」
「私にしてみたら」
 レオナは腕を組んで述べた。
「やっぱり。美味しいものを食べたいけれど」
「そうだよね。それは」
「誰でも」
 皆も彼女のその言葉に頷く。
「美味しいものを食べたいのは当然で」
「それは」
「それに」
 さらに話されていく。
「美味しいものを作りたいのもやっぱり」
「当然だし」
 それもであった。
「しかも自分にとってだから」
「レオナさんにとっては辛いよね」
「そうだよな」
「ああ、俺は別に気にならないから」
 だがここでタスクが笑顔で言ってきた。
「そういうのはさ」
「気にならない?」
「別に?」
「ああ、そうさ」
 笑顔はそのままだった。
「全然さ。だってさ」
「だって?」
「それはどうしてなの?」
「レオナが作ってくれるものだからさ」
 こう言うのだった。
「それは何でも美味いさ」
「おっ、言うな」
「そうよね」
「まさに愛の告白」
 皆そんなタスクの言葉を聞いて述べた。
「ここまでストレートな告白っていうのも」
「滅多にないし」
「タスクも案外隅に置けないっていうか」
「本当に」
「いや、それはさ」
 タスクも言ってから気付いてだ。顔を真っ赤にさせてそのうえで反論する。
「まああれだよ。俺だってさ」
「それだったらいいけれど」
 レオナにしてもその顔は真っ赤になっている。
「ただ。そういうことは」
「そういうことは?」
「できれば。誰もいない場所で」
 こう言うのだ。
「言って欲しいけれど」
「悪い、つい」
「ええ。けれどね」
 それでもだというのだ。
「嬉しいわ」
「おっ、レオナにしても」
「まんざらじゃないわね」
「そうね」
 周りはレオナの真っ赤な顔を見てまた話す。
「いやいや、お熱いことで」
「遂に言葉で出て来たし」
「全く」
「おい、茶化すなよ」
 すぐにタスクが言い返す。
「俺達は別にな」
「もう言っても無駄だから」
「言い逃れはできないわよ」
 しかし周りは笑いながらまた言う。
「どうやってもね。わかったから」
「そうそう」
「いや、よくわかったから」
「うう、しまった」
「迂闊だったわ」
 タスクもレオナも今更になって言うがもう後の祭りだった。
 そうしてだ。苦い顔でそっと消えるだけだった。二人の完敗だった。
 その彼等は順調に連合の勢力圏から去っていた。しかしであった。
「レーダーに反応」
「まさかと思うが帝国軍か?」
 ジェオがザズに対して問う。彼等は今NSXの艦橋にいる。
「そこか?」
「ううん、バルマーじゃないみたいだね」
「そうか。しかし連合軍でもないな」
「あの連中も流石にここまでは進出していないみたいだよ」 
 ザズはそれも否定した。
「となると」
「あれか?プロトデビルンか?」
「ああ、この反応は連中でもないね」
「ではあれですか」
 ここでイーグルも言ってきた。
「ムゲ帝国か。若しくは宇宙怪獣か」
「それかあれだな」
 ジェオもまた言う。
「バッフ=クランだな」
「もう飽きたぞよ」
 童夢からアスカが言ってきた。
「あの者達の相手は暫くよいぞ」
「ですがアスカ様」
「そうですぞ」
 その彼女のサンユンとシャンアンが言ってきた。
「敵にも敵の都合がありますから」
「バッフ=クランにもバッフ=クランの」
「それはわかっておるがもううんざりなのじゃ」
 どうやらアスカはバッフ=クランが好きではないらしい。顔も如何にも嫌そうである。その顔で二人に対しても言うのである。
「とはいっても宇宙怪獣も好きではないが」
「あんなの好きな奴おるんかい」
「ちょっと。いないと思うけれど」
 今度はタータとタトラが言ってきた。
「会話もできんしただ破壊するだけやろが」
「ああいうのはかなり」
「そうですね。勘弁して欲しいものです」
 イーグルもそのことに同意して頷く。
「出会えば戦うだけですが」
「会話できねえからな。奴等は」
「そうだね。バッフ=クランはまだ話し合いはできそうだよ」
「確かにのう」
 アスカはジェオとザズの言葉に今度は考える顔になった。
「少なくともマスターアジアなどとは違って人間ではあるな」
「何でそこでその人の名前が出るの?」
 レインがこのことに突っ込みを入れる。
「確かに人間離れはしているけれど」
「そうだな、アルシオーネよ」
 クリフがそのレインに突っ込みを入れる。
「あの能力は常人の域を遥かに超えているのは間違いない」
「あの、私は」
「むっ?どうした?」
「レイン=ミカムラですけれど」 
 こうクリフに返すのだった。
「何度か間違えられますけれど」
「そうだった、済まぬ」
「私はここです」
 アルシオーネはクリフの真後ろにいた。
「レインとは本当に近いものを感じていますが」
「そうよね。私もね」
 そしてそれはレインも同じであった。
「例えば。勝てるわね」
「新条君」
 二人の息は完璧だった。見事に合っている。
「この会話もできるし」
「ええ。合うわね」
「あんた等ホンマは同一人物ちゃうんか?」
 カルディナがその二人に横から突っ込みを入れた。
「傍から見たらそうとしか思えんし」
「俺もな。そういう奴がいるからな」
 何故か今度はアレックスが出て来た。
「スティングだけれどよ。これは嬉しいことなのか?」
「そう思うが」
 フェイが彼に言ってきた。
「私はいないぞ」
「おっと、そうでしたね」
「いないよりいる方がいい」 
 フェイの今の言葉は実に切実なものだった。
「そういうものだ」
「俺は他の世界に今呆れる程多くなっているが」
 アスランも出て来て言う。
「だが蝿は何だ?俺は何時まで蝿に取り憑かれるんだ」
「案ずるな、私なぞは冥神だぞ」
 またクリフが出て来た。
「あれはいい役だったのか」
「そうだろ?俺も結構出て来たしな」
 ジュドーも言ってきた。
「そういうのはいいんじゃね?」
「いいのか、それは」
「そっちの世界は気にしていたら」
「きりがないか」
「ああ、そういうものだと思うぜ」
「わしものう」
 兵左衛門も出て来た。
「暮らしの中に修業ありじゃな」
「だからまんまじゃないか」
「本当にそうよね」
 皆兵左衛門の声にそれぞれ突っ込みを入れた。
「だから声の話になるとどうしてこんなに皆熱くなるんだ?」
「きりがないけれど」
「話戻るなり」
 ジェオの言葉だ。
「そうだな、ユウキ」
「その通りぞよ」
 ユウキも彼に合わせて言う。
「何か結構さまになってるな」
「本当ね」
 それにカナンが突っ込みを入れる。
「完全にあっちの世界になってるわね」
「ほんまですなあ」
 コウは何故か奇怪な関西弁になっている。
「我も中々気に入ってますさかい」
「何かきりがなくなってきたからこれで止めるか」
 ヘンケンが遂に止めに入った。
「俺ものりたくなってきたしな」
「止めて下さい。もうきりがありません」
 ナタルも止めてきた。
「とにかく。敵です」
「そうだ、それだな」
「すぐに迎撃に向かいましょう」
 彼女は何故か焦った調子で言う。
「それで敵の軍勢は」
「ああ、ムゲ帝国だよ」
 ザズがここでやっと言った。
「ムゲ=ゾルバトス帝国の軍だよ」
「ということは」
「そうだね」
 ラファーガとアスコットがここで話す。
「三将軍は今のところ全て出た」
「ということは」
「あいつかよ」
 忍が怒った顔になった。瞬時にだ。
「あいつが出て来やがったな」
「生きてたんだ」
 キースは少し緊張感のない声で言った。
「ずっと姿見なかったけれど」
「死んでいても別によかったんだがな」
 ムウも素っ気無い調子で述べる。
「どうせまた私は神だとか言うんだからな」
「気にすることはない」
 アルフレッドがそんなことは気にしていなかった。
「出て来たら倒す。それだけだ」
「それだけですか」
「そうだ、それだけだ」
 こうボーマンにも返す。
「わかったな。出て来たら潰すぞ」
「わかりました。それじゃあ」
「やっぱりあいつですね」
 エメラルドグリーンに塗装されたメビウスからキーエンスが報告してきた。
「一際派手な感じの戦艦がいますよ」
「おいシャピロ!」
 忍がその闘争心を露わにさせた声で言ってきた。
「手前はまだ諦めてねえのか!」
「諦める?何をだ」
 やはりシャピロだった。彼は相変わらず高みに立った様な顔でいた。そうしてそのうえでロンド=ベルの面々に大軍と共にいるのだった。
「何を諦めるというのだ、この私が」
「神になろうってのか」
「そうだ」
 まさにそうだと。悠然として返す。
「私は神だ。それがどうかしたのか」
「相変わらず何もわかってねえな、手前はな」  
 忍はその彼の戦艦を睨み据えて言った。
「何一つとしてな」
「それは貴様だ、藤原」
「何っ!?」
「貴様は人であり続けるのだな」
「それがどうしたってんだ?」
「愚かなことだ。それだけの力を持ちながらだ」
 こう言うのである。
「人に留まるとはな」
「やっぱりあんたは何もわかってないね」
 沙羅も言ってきた。
「相変わらずね。見えてもいないね」
「結城、御前も言うのか」
「ああ、言うさ」
 彼女もシャピロに対して何の容赦も見せない。
「あんたは何もわかっていないさ、本当にね」
「愚かな」
 やはりシャピロは傲慢な笑みと共にこう返すだけだった。
「所詮は私の崇高な考えなぞわからないのだな」
「ああ、一つ言っておくけれどさ」
「何だ、式部よ」
「御前自分が格好いいと思ってるかも知れないけれど」
 彼の言葉は冷めていた。
「そういうのは全然ないから」
「何っ!?」
「っていうか格好悪いから」
 そのクールな口調で言い放ったのだった。
「もう全然ね」
「言ってくれるものだな」
「まあ人の話を聞かないのはわかってるさ」
「そうなのか」
「そうさ、だからもういいけれどね」
 こう言ってであった。彼はその言葉を止めた。次は亮だった。
「俺は言うことはない」
「どういうことだ、司馬」
「既に他の三人が言った」
 だからだというのだ。
「言うことはない。貴様は所詮小さな器でしかない」
「神という偉大な私に言う言葉ではないな」
「それならそう思っておくといい」
 彼もかなり突き放している。
「それが一番幸せだ」
「私の偉大さは御前達の死の瞬間にわかる」
「やっぱり何もわかってねえな」
「そうね」
 獣戦機隊以外の面々もここでわかった。
「何かこういう奴がいるっていうのも」
「喜劇ではあるわね」
「俗物にはわからん」
 シャピロはあくまでも轟然としている。
「所詮はだ」
「言いたいなら勝手に言いやがれ」
 忍もこれ以上言わなかった。
「手前はここで倒す、絶対にな」
「いいだろう、藤原よ」
 シャピロはその彼の言葉に返した。
「死ぬのは御前達だ。この私の手によってな」
「おい、いいよな」
「うむ」
 葉月博士が彼の言葉にすぐに頷く。
「それでは全軍でだ」
「やあああああああってやるぜ!」
 忍はいつもの絶叫を出した。
「どいつもこいつもな。一掃してやる!」
「全軍攻撃開始!」
 博士が指示を出す。
「ムゲ帝国軍を退けるぞ!」
「了解!」
「わかりました!」 
 こうして両軍は戦闘に入った。ムゲ帝国軍は正面から来た。しかしである。
「何かパターン通りだね」
「そうだな」
 亮は雅人のその言葉に頷いた。
「それならだ。このまま」
「迎撃だね」
「来た奴を残らず斬ればいいんだよね」
「ああ、そうしてやるぜ!」
 忍は沙羅の問いにすぐに返した。
「来やがれ!来ないからこっちから行くぜ!」
「全軍左右に展開!」
 また博士が指示を出す。
「そのうえで次の行動に移るぞ」
「包囲ですか?」
 アランがその博士に問うた。
「ここは」
「いや、違う」 
 だが博士はそれは違うと答える。
「今は包囲はしない」
「では何を」
「一旦敵の後ろに回り込む」
 そうするというのだ。
「今はだ。そうする」
「包囲せずにですか」
「そうだ、まずは敵の鋭鋒をかわし」
 そうしてそれからは。
「敵を後ろから攻める。そうする」
「えっ、その作戦って何か」
「随分と変わってるけれど」
「いいんですか?」
「ただ普通に攻めるだけでは駄目だ」
 その博士の言葉だ。
「こうして後ろまで回り込んでだ」
「そのうえで、ですか」
「敵を攻撃して」
「そうだ、そうする」
 博士はまた言った。
「いいな、そうしてだ」
「わかりました、それなら」
「左右に分かれてそれで」
「今から」
 こうしてだった。両軍はまずは左右に分かれる。そのうえで敵の攻撃をかわした。それはまるで敵から逃げるようであった。
「どうやら上手くいったな」
「そうね」
「まずは」
 皆それを見てまた話す。
「いいか」
「はい」
 皆博士の話を聞く。
「このまま後ろに回り込んでだ」
「そうしてですね」
「本格的に攻めるんですね」
「その通りだ」
 またこの話になった。
「いいな、このままだ」
「はい、じゃあ」
「そうして」
 そのまま動く。そうしてである。
 ロンド=ベルは帝国軍の後ろに来た。そこから派手に攻める、
「よし、やってやらあ!」
「正念場ってな!」
「このまま!」
 こうして後方から攻め入る。ムゲ帝国はいきなり後ろを攻められる形になった。
「シャピロ閣下!」
「敵が我等の後ろに回り込み!」
「攻撃して来ます!」
「小癪な真似を」
 シャピロもそれはわかっていた。顔を顰めさせている。
「そうして攻めるとはな」
「反転しますか、今は
「どうしますか?」
「それしかない」
 シャピロは苦い顔で述べた。
「今はな」
「そうですね、それでは」
「今は」
「全軍反転せよ!」 
 すぐに命じるシャピロだった。
「いいな、反撃だ!」
「はい!」
「ではすぐに!」
 こうしてムゲ帝国軍は反転にかかる。しかしだった。
「今だ!」
「隙だらけだぜ!」
 ウーヒェイとデュオがそこに攻める。反転する隙を狙いそうしてだ。敵に突っ込みその武器をそれぞれ縦横に振るうのだった。
「行け、ナタク!」
「おらおらあっ!」
 アルトロンカスタムが頭の上でそのツインビームトライデントを振り回してから周囲の敵をまとめて斬っていく。デスサイズヘルカスタムは前にいる敵をまとめて斬る。そして二人だけではなかった。
「反転はこの場合はだ」
「隙を作るだけです!」
 トロワとカトルもだった。すぐに動いた。
 ヘビアームズカスタムは両手をクロスさせ回転しながら飛び着地して総攻撃を放つ。サンドロックカスタムの周りにマグアナック隊が来た。
「カトル様!」
「今ですね!」
「はい、そうです!」
 カトルもすぐに彼等に返す。
「御願いします!」
「わかりました!」
「それならすぐに!」
「総攻撃です!」
 こうして全員で敵軍を攻める。そうしてだった。
 前の敵をまとめて薙ぎ倒す。敵はそれで陣形を乱した。
「うむ、いい流れだ」
「確かに」
 ノインの言葉にヒルデが頷く。
「この流れはな」
「このままいくか」
「いくべきだ」
 勢いを殺すなということだった。
「いいな、このままだ」
「わかった、それでは我々もだ」
 二人も攻撃を出す。そしてゼクスもまた。
「二人共、いいな」
「はい、ミリアルド様」
「それでは」
「勢いは殺すべきではない」
 彼もビームライフルにエネルギーを込める。そうしてだ。
 それを放ちだ。敵をまとめて叩き潰すのだった。
 また穴が開いた。そしてヒイロも。
「神か」
「何だというのだ?」
「愚かなことだ」
 こうシャピロに言うのだった。
「実にな」
「何度も言うが御前達にはわからないことだ」
「わかっていないのは御前だ」
 ヒイロはこうそのシャピロに返す。
「神というものはだ」
「何だというのだ?」
「人を見下ろすものではない」
「見下ろすというのか」
「人を思いのままにする存在ではない」
 これが彼の言う神だった。
「そうではない」
「では何だというのだ?貴様は」
「人は神だ」
 これがヒイロの言う神だった。
「人でもある。それが神だ」
「戯言を。人は神ではない」
「人は神であり神は人である」
 だがヒイロはシャピロの言葉を受けても尚も言う。
「それがわからない貴様は所詮その程度だ」
「貴様等にはわからぬことだと何度も言っているが」
「わからないからこそだ」
 ヒイロは負けてはいない。
「貴様はそれまでなのだ」
「そう言うのか」
「確かに言った。そしてだ」
「今度は何だ?」
「貴様の軍は倒す」
 ウィングゼロカスタムをさらに進ませての言葉だった。
 そしてその中に入りだ。両手にバスターライフルを出した。
 そこから光を放ちそのうえで回転する。周りの敵が忽ちのうちに炎と化して消えていく。ウィングゼロカスタムの圧倒的な攻撃だった。
 勢いは完全にロンド=ベルのものだった。ムゲ帝国軍はそのまま数を減らしていくだけだった。
「シャ、シャピロ様!」
「このままでは」
 すぐに部下達が彼に言ってきた。
「無駄に損害を増やすだけです」
「このままでは」
「くっ、しかしだ」
 だがシャピロは歯噛みして言う。
「今退いてもだ」
「ですが三将軍の方々は休養中です」
「閣下の失敗は問われません」
「皇帝陛下にだな」
 シャピロは部下達に皇帝の名前を出して問うた。
「そうだな」
「はい、そうです」
「ですから」
「私も休養になることはないか」
 シャピロは自分でもこのことを考えて呟いた。
「そうか」
「はい、またロンド=ベルとすぐにでも戦えます」
「ですからここは」
「わかった」
 ここで遂に決断を下したのだった。
「では撤退だ」
「わかりました」
「それでは」
 こうしてムゲ軍は撤退にかかる。しかしだった。
 シャピロはここで見た。フロンティアを。
「むっ!?」
「どうされました?」
「敵の街に何が」
「ふむ、そうか」
 ここで彼は言うのだった。
「地球にいない筈だ」
「!?地球にとは」
「何かあったのですか?あの星に」
「では今度は地球に」
「いや、地球には行くことはない」
 それは否定するのだった。
「しかしだ。またすぐに攻撃を仕掛けるぞ」
「はい、それは」
「わかっています」
 部下達もそれに頷く。戦いは終わりそのうえでムゲ帝国軍は姿を消した。ロンド=ベルのユニークな戦術がそのまま勝利につながった。
 そしてそのロンド=ベルはだ。戦闘の後で話をしていた。
「勝ったしな」
「まずはよしとするか」
「戦術がよかったわね」
 勝利を喜ぶ言葉からだった。
「しかし。どうなのかな」
「何か撤退の時な」
「おかしくなかった?」
 そしてこうした話にもなった。
「しかもさ」
「どうしたの?アラド」
 ゼオラがアラドの言葉に問うた。
「何かあったの?」
「いやさ、何か前からなんだけれどさ」
 こう言ってからだった。
「フロンティアに知ってる人がいるような気がするんだよな」
「フロンティアに?」
「そうなんだよ」
 こう言うアラドだった。
「どういう訳かな」
「そんな訳ないじゃない」
 ゼオラはそのことはすぐに否定した。
「私達フロンティアに来たのははじめてだし」
「そうだけれどな」
「それで覚えている筈ないじゃない」
「いえ、若しかしたら」
 だがここでクスハも言ってきた。
「それはあるかも」
「あるって?」
「その気配は私も少し感じたことがあるから」
 彼女も言うのだった。
「少しだけれど」
「感じたことがあるって」
「そんな筈は」
「あの気配は」
 皆が否定しようとするがクスハはそれでも言った。
「イルイ・・・・・・ちゃん?」
「そうそう、それそれ」
 アラドもそれだというのだった。
「イルイちゃんだよ、あの気配はさ」
「それ余計に有り得ないから」
 ゼオラはまたアラドの言葉に突っ込みを入れた。
「何でイルイちゃんがフロンティアにいるのよ」
「やっぱりないか」
「だから有り得ないわよ」
 全否定だった。
「どうしてイルイちゃんがここにいるのよ」
「普通に考えればそうだよな」
「そうよ、絶対に有り得ないわよ」
 ゼオラは常識の範疇で話した。
「何があってもね」
「だよな。じゃあ俺の気のせいか?」
「私はそうは思わないわ」
 クスハはまだ言うのだった。
「それに」
「それに?」
「一つ変わったお屋敷も見たし」
 こうしたことも言うのである。
「何かね。他のとは全く違うお屋敷で」
「ああ、フロンティアの高級住宅街にあったな」 
 ブリットもそれに合わせて頷く。
「そうしたお屋敷が。しかもゼントラーディの地区に」
「あのお屋敷何なのかしら」
 クスハは首を傾げさせながら話していく。
「二人だけ住んでいるみたいだけれど」
「フロンティアの人ならさ」
 今度言ったのはトウマだった。
「レオンさんに言えば調べてもらえるんじゃないかな」
「ああ、レオンさんね」
「どうかな、あの人」
「難しいんじゃないの?」
 皆でトウマの提案に対していぶかしむ顔で返した。
「忙しい人だし」
「それにさ、何か企んでない?」
「そうそう、そういう感じする人よね」
「確かに」
 皆レオンについてはあまりいい感情を持っていなかった。明らかにだ。
「アズラエルさんに似た空気だけれど」
「アズラエルさんみたいに変態じゃないし」
「もう腹に一物ある感じだしね」
「危険っていうか」
「僕の勘ですが」
 引き合いに出されているアズラエルの言葉だ。
「彼は信用してはいけませんね」
「やっぱりそう思います?」
「類は友を呼ぶでわかるんですね」
「腹に一物ある人同士で」
「あのですね」
 さしものアズラエルも周りの言葉に流石にむっとしてきた。
「幾ら何でも言い過ぎじゃないんですか?寄ってたかって」
「だってそのライトブルーのスーツに紫のトランクスって」
「食べるものもあれですし」
「そういうのを見ていたら」
「ファッションや味の好みは関係ありません」
 そのむっとした顔で返す。
「まあいいでしょう。とにかくですね」
「はい、とにかく」
「レオンさんについてはどう思われますか?」
「信用できませんね」
 鋭い顔で述べたアズラエルだった。
「あの人は」
「そうですか、あの人は」
「信用できませんか」
「頭は切れますがその分野心家です」
 そうだというのである。
「そしてやはり企んでいますね」
「俺達を迎え入れてくれたのは」
「好意じゃないんですか」
「利用しようとしているのでしょうね」
 きっぱりと言い切ったのだった。
「確かにギガンティックの方々の戦力は大きいですが」
「今まで無事に守ってきました」
「それは間違いありません」
 慎悟と神代がここで答えた。
「僕達十二機で」
「はい、ですから」
「そうですね。しかしです」
「しかし?」
「それでもなんですか?」
「戦力は多いに越したことはありません」
 こうも言うのであった。
「まして。銀河には数え切れない敵がいますし」
「そうした相手への用心棒ですか」
「つまりは」
「はい、そうです」
 まさにその通りだと答えたアズラエルであった。
「僕達はまさにそれです。フロンティアの用心棒ですね」
「何だ、そうなんだ」
「だから温かく迎えてくれたんですか」
「成程」
「けれどそれはいいことではないかしら」
 今言ったのはリツコだった。
「それがフロンティアの市民の為になるのなら」
「そうですよね、フロンティアの人達を守れますし」
「それなら」
「ただ」
 しかしだった。アズラエルはここでまた言った。
「それだけだと。いいのですがね」
「待て、ではあいつはまだ何か企んでいるのか」
「企みは一つとは限りませんよ」
 カガリの問いに微笑んで返した。
「特に。野心ある若手の政治家は貪欲なものですから」
「その求めるものを手に入れる為に多くのことを企んでいる」
「そういうことなんですか」
「はい、その通りです」
 まさにそうだと一同に述べた。
「少なくともあの方は信用できないでしょうね」
「そうか。政治の世界は難しいな」
 カガリはそれを聞いて言うのだった。
「そうした相手だとわかって相手をしないといけないのか」
「大事なのは顔に出さないことです」
 これはアズラエルのアドバイスだった。
「自分の感情をです」
「わかった。では気をつける」
「カガリ様には不可能でしょうが」
「確かに」
 ここでキサカとユウナが嘆く言葉を出した。
「すぐに表情に出されますし」
「しかも言葉にまで」
「私は嘘は言わない」
 こうした言葉に対して開き直りで返したカガリだった。
「それに。感情を隠すのは苦手だ」
「ああ、そういう仕事は僕がやっておくから」
 オーブの首相でもあるユウナがそのフォローに回った。
「カガリは余計なことをしなかったらいいから」
「余計なことか」
「うん、もう黙っていてくれたらそれでいいから」
 あまり多くのものを望んではいないのだった。
「静かにしてくれたらいいからね」
「私は邪魔者か?」
「だからカガリは国家元首だから」
 珍しくシンではなくキラが言ってきた。
「それらしく振舞っていればいいんじゃないかな」
「そういうものか」
「そうだよ。カガリはオーブの主としてね。振舞って」
「黙っていてか」
「うん、それでもいいと思うよ」
「そうか、わかった」
 キラの言葉には素直に頷くカガリだった。
「ではそうしよう」
「さて、問題はお婿さんだね」
 爺やめいているユウナだった。
「ということでアスラン君、地球に帰ったらだね」
「何で俺なんですか!?」
「いや、君なら大丈夫だ」
 真剣そのものの、戦場での指揮の時より真剣な顔での言葉だった。
「カガリのお婿さんにだ。なれるからね」
「無理にでも決めようとしていません?」
「いやいや、皇室や王室の伴侶を決めるのって大変なんだよ」
「けれどどうして俺なんですか?」
「ああ、あみだくじで決めたんだ」
 さりげなくとんでもないことをばらすユウナだった。
「ロンド=ベル全員を入れてね。女の子も家庭がいる人も含めてね」
「おい、ちょっと待て」
「女の子もって!?」
「しかも所帯持ちまで!?」
 皆今のユウナの言葉に唖然となる。
「何時の間にそんなことを」
「おまけに何てとんでもないことを」
「ユウナさん、貴方という人は」
「ああ、それは冗談だから」
 それはあっさりと返すユウナだった。
「楽しんでもらえたかな」
「心臓が止まりました」
「死ぬかと思いました」
「謝罪と賠償を」
 皆ほっとしながらユウナに返す。
「けれどアスランですか」
「そうなったんですね」
「もう彼しかいないからね」
 ユウナの言葉はしみじみとしたものになった。
「カガリみたいなのを貰ってくれるのは」
「全くです、アスラン君ならです」
「必ず果たせます」
 キサカとトダカもユウナと一緒になって既成事実化を目指している。
「さて、それでは」
「地球から帰ったらすぐに」
「式場はもう決めてあるから」
 何処までも強引に進めるユウナだった。
「いいね、そういうことで」
「あのですね」
 アスランも何時の間にか話が進んでいるのを聞いてだ。冷静ではいられなくなり思わず彼等に対して言い返した。声がうわずっている。
「ですから俺の意志は」
「ああ、そういうのは関係ないから」
「はい、オーブの悲願ですから」
「もうプラントとは話をしていますので」
「何処まで強引なんだ・・・・・」
 ことここに至ってはアスランも唖然とするしかなかった。
「これがオーブだったなんて」
「まあそういうことでね」
「宜しく御願いします」
「オーブの為に」
 三人はさらに強引に話を進める。
「いやあ、オーブの未来は明るいよ」
「アスラン君でなければユウナ様しかいませんからね」
「カガリ様のお相手は」
「僕としてはカガリの夫まで引き受けたらたまらないからね」
 三人は本音を話しはじめた。
「いやあ、よかったよかった」
「何処までも私を厄介者扱いするか」
 カガリもいい加減むくれてきた。
「機嫌がよかったからいいが悪かったら三人共殴っているところだ」
「というか殴ったら?」
 フレイが横から三人を冷たい目で見ながら述べた。
「無茶苦茶言ってるじゃない」
「だから気にしない気にしない」
 ユウナは何処までも笑顔であった。
「オーブにとって婿選びは絶対に避けて通れないし」
「そういう問題じゃないでしょ」
「ああ、言っておくけれどフレイは駄目だからね」
 ユウナはそのフレイに対しても言う。
「女の子同士はね。絶対にね」
「さっきのあみだくじは何だったんですか?じゃあ」
「だから冗談だって」
 ここでも平然としている。
「気にしない気にしない」
「何かわからないが凄く馬鹿にされている気がするな」
「だからそうなんでしょ」
 そんな話をしながら宇宙の旅は続く。果てしない戦いの旅が。


第十九話   完


                                   2010・4・14
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧