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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第十六話 総力戦

               第十六話 総力戦

「うわ、多国籍料理」
「豪勢~~~~」
「ここまでなんて」
皆目の前にある御馳走の山に目を奪われている。
「ギガンティックの人達って皆料理上手なんですね」
「これは嬉しい誤算」
「確かに」
「そうか?」
雲儀がその彼等に対して返す。
「我々も戦うばかりではないからな」
「こうしたことも好きですよ」
レイも言う。
「時間があればこうして料理をしたり」
「それでか」
「あれ、そういえばこれって」
「ミリタリーなのもあるけれど」
「それ私です」
神代が言うのだった。
「私、そういう料理が好きでして」
「何か野戦食って」
「こんなのまで」
「ずっと。特殊部隊の訓練を受けていまして」
だからだというのだ。
「こうした料理ばかり得意になって」
「ううん、何か凄い状況だけれど」
「けれどこれもかなり」
「美味しいよね」
「独特の味で」
「そうですよね」
慎悟もそれを食べている。
「神代さんも料理上手よね」
「だったらいいけれど」
神代は彼の言葉に頬を少し赤くさせる。
「私こういうのは得意じゃないから」
「そうかな。結構」
「上手よね」
「確かに」
皆それは言う。舌は素直だ。
「まあ今はこうしてリラックスして」
「何時何が来てもいいようにね」
「しておかないといけないし」
「そうそう」
こんな話をしながら食事を楽しんでいる。艦内にいてもリラックスはできていた。
そしてそうしたものを食べてからだ。慎悟はゲームに興じた。相手はニコルである。
「むっ、これは」
「どうなんだ、ニコル」
「慎悟の腕は」
「はい、かなりです」
レースのゲームで競争しながらの言葉である。
「慎悟君、やります」
「そうですか?」
「はい、見事ですよ」
慎悟を賞賛さえする。
「ディアッカもイザークもどうですか?」
「いや、俺達はな」
「ゲームはそれ程上手くはないからな」
こう言ってしないのだった。
「やっぱりニコルがな」
「俺達の中では一番だからな」
「アムロ中佐はもっと凄いですよ」
ニコルはここで彼の名前を出した。
「もう超絶的な反応ですから」
「あの人はまた別だろ?」
「俺達なぞ比較にならない」
とにかくアムロは別格だった。
「最強のニュータイプだからな」
「ロンド=ベルでも随一だ」
「アムロ中佐ってゲームも凄いんですか」
「凄いというものではない」
「だよな、あの人はな」
イザークとディアッカが言うのだった。
「反応が尋常ではない」
「記憶力や判断力も桁外れだしな」
「そうなんだよ。もう全てが凄いんだ」
ニコルもここで話す。
「信じられないだけの速さだから」
「そうなんですか。そんなに」
慎悟も話を聞いて驚いていた。
「けれどそれだと。一度見てみたいですね」
「うん、見てみたらいいよ」
ニコルもそれを勧める。
「本当にびっくりするから」
「そんなにですか。じゃあ機会があったら」
「どんなゲームでもすぐにクリアしてしまうからな」
「ニュータイプとかいう話じゃないからな」
そこまで言われるアムロだった。やはり彼は尋常な人物ではないのだ。
そしてだ。彼等は今は酒も飲んでいる。マクロスの中で酒盛りに興じている。
あるのは日本酒にするめ、それと柿の種にピーナツだ。ビールもある。そうした乾物をメインとして酒とつまみを楽しんでいるのである。
「おいよ」
「どうしたの?」
キラがシンの言葉に応える。
「いきなりだけれど」
「いや、この柿の種だけれどな」
「美味しくないとか?」
「いや、美味いんだよ」
逆だというのだ。
「これ何処のなんだ?随分美味いな」
「ああ、それな」
アルトがそのシンに応える。
「フロンティアのだよ」
「あそこのか」
「ああ、そこで採れた米から作ったものだ」
そうだというのだ。
「だから天然ものだ。美味いのはだからだ」
「だからですか」
「そう、だからなんだよ」
キラに対しても答える。
「しかしな。艦内待機でも何かかんだで楽しめるよな」
「そうだな」
クランもいてビールを飲んでいる。
「皆それぞれリラックスしていて何よりだ」
「あのさ」
その彼女にムウが言ってきた。
「あんたその姿で酒か」
「おかしいか?」
「年齢的にはいいが外見じゃアウトだろ」
その幼い姿を見て言うのである。
「ちょっとな」
「私は前からこの格好で飲んでるが」
「じゃあいいのか」
「いい」
いいというのだ。
「特に気にしないでくれ」
「それができないんだがな」
「だから気にするな。それよりも少佐」
「何だ?」
「貴官もあれだな。色々と似ている相手が多いな」
こう言ってきたのである。
「私もミリアリアと似ているがな」
「私もね」
ユングもいる。
「レッシィとは前に会ったかしら」
「いや、はじめてだ」
すぐに言い返すレッシィだった。
「それは間違いない」
「そうよね、それは」
「しかし。何故だ?」
だがここで言うレッシィだった。彼女もなのだった。
「何故だ?前に一度会っていないか?」
「そうよね。そういえばチャムちゃんとも」
「私も。バルマー戦役の時にも思ったわよね」
「うん、何処かで会ったわよね」
「どうしてかしら。本当に初対面だった筈なのに」
ユングにはそれがどうしてもわからなかった。
「おかしなこともあるものだわ」
「おかしいどころじゃないんじゃないかしら」
ノリコが話を聞きながら述べた。
「けれど私もだし」
「そうね。コスモ君達とも」
カズミもいて言う。
「はじめて会った筈なのに前に何処かで戦ったみたいな」
「それに」
話はさらに続く。
「イデオンのことを何処かで見たみたいな」
「その記憶があるのかしら」
「有り得ない筈ですよね」
ノリコはいぶかしむ顔でカズミに述べた。
「こんなことは」
「そうだよね。有り得ない」
タケルはビールを飲んでいた。そのうえで言うのだった。
「それに俺もロジャーさんとは何処かで」
「そうだな。パラダイムシティの外で出会っている」
ロジャーもタケルに対して応える。
「有り得ない筈なのにだ」
「他の皆とも何処かで会った記憶がある」
タケルはさらに言う。
「この世界とは別の何処かで」
「世界が複数ある!?」
「ひょっとして」
「それは有り得るな」
ロジャーはまた言った。
「私達もこの世界とは別の世界に来ている」
「あっ、確かに」
「それを考えたら」
「パラレルワールドだ」
ロジャーが話に出すのはこの話だった。
「複数の世界がありその中には私がいる世界があればない世界もある」
「修羅の世界もだな」
フォルカがその目を鋭くさせた。
「その中の一つか」
「俺達の世界もまた」
「その中にあった」
そしてアクセルとエリスも。
「それなら話はわかるな」
「確かに」
「デュミナスもそこから?」
「そうだね」
「そして私達も」
ティスにラリアー、デスピニスもお互いに話し合う。
「何かあたし達も他の世界じゃいなかったりするのね」
「そしてこうして皆と一緒にいたり死んでいたりするのかもね」
「それがパラレルワールド」
「私達の幾割かがいる世界もあれば誰もいない世界もある」
ロジャーはまた言った。
「そうした世界が無数に存在しているのだ」
「じゃああれですか」
ノリコはロジャーの話をそこまで聞いて述べた。
「私達は別の世界でコスモ君達と会ってるんですね」
「そのことを無意識に感じ取っているのだ」
そうだというのだ。
「そういうことだ。だが」
「だが?」
「何かがおかしい」
眉を曇らせての言葉になっていた。
「何かがだ。おかしい」
「っていいますと」
「どういうことですか?それは」
「私達はこれまで幾つかの世界を巡り知ってきた」
「はい、それは」
「確かに」
「しかしその世界全てが崩壊に瀕している」
言うのはこのことだった。
「シャドウミラーの世界も修羅の世界もだな」
「そうだ」
「その通りだ」
エリスとアルティスがそれぞれ話す。
「私達の世界だけではない」
「全ての世界がそうだとは思わなかった」
「全ての世界がそうだということが有り得るのだろうか」
ロジャーは自然に腕を組んでいる。そのうえでの言葉だった。
「偶然そうなるものだろうか」
「特異点はもうないぜ」
マサキがそれは言った。
「それはもう皆見たよな」
「忘れる筈がないニャ」
「その通りだニャ」
それにクロとシロが応える。
「シュウがそれをしたニャ」
「だから偶然はもう起こらないニャ」
「そうだ。それに全次元単位での偶然なんてあるのか?」
マサキもそれを言う。
「そうそうよ。しかもそれが全部世界崩壊なんてとんでもねえことになるのか?」
「まず有り得ないな」
「そう言うのね」
ドロシーがそのロジャーに対して返す。
「ロジャーは」
「そうだ。こんなことはまず有り得ない」
実際にそれを断言するのだった。
「それにだ」
「それに?」
「私達の世界は一万二千年ごとに崩壊していたな」
「ああ、そうだよな」
「それはな」
皆それに頷く。
「そしてパラダイムシティは四十年に一度」
「破壊され創り直されていた」
「アル=イー=クイスは神だった」
ロジャーは今度は彼等について話した。
「しかしだ。それは一つの次元の話だ」
「全ての次元には影響を及ぼせない」
「他のパラレルワールドには」
「そうだ、それはない」
また言うのだった。
「どう考えてもだ」
「全ての次元が崩壊している」
「それを誰かがしてるって」
「神!?」
ユングが首を傾げさせながら述べた。
「神がいるのかしら」
「この世界にはイルイ=ガンエデンという神がいたな」
「ああ、そうさ」
「イルイちゃんのことですよね」
今度はアラドとゼオラが応える。
「あの娘なら今は平和に過ごしてるぜ」
「普通の人間の女の子として」
「そうだな。だが神はそれだけか」
ロジャーの考えはさらに進んでいく。
「それはどうなのかだな」
「ううん、何か凄い話になってきたけれど」
「本当にどうなのかしら」
「何かあるのかな、やっぱり」
こんな話をしていた。そしてそのフロンティアの中では。
「ねえルリア」
「はい、アルマナ様」
二人の少女が何か話をしていた。
「ここに忍び込めてよかったわね」
「はい、まさかこれだけ上手くいくとは思いませんでした」
「あのシェリルについていってね」
それで入ったというのである。
「それで入ったけれどね」
「ここもいい場所ですね」
「そうね。ギャラクシーはスラムもあって」
それについても知っているらしい。
「暗い部分も多かったけれど」
「ここは暗い場所はありません」
「そういうことはしっかりと計画しているみたいね」
「そうですね。ではアルマナ様」
「ええ」
「お部屋を用意してありますので」
こう言うのだった。
「そちらに」
「わかったわ。じゃあ今からね」
「はい、参りましょう」
こうした話をして姿を消す。フロンティアの中でも何かが起こっていた。
そしてだ。ロジャーが話をした次の日だった。レーダーに反応があった。
「出たか」
「今度はどの勢力だ?」
「ムゲ帝国です」
そこだというのだ。
「その勢力です」
「げっ、またあそこか」
「っていうとまた」
「あの精神攻撃!?」
「いや、それは違うな」
だがここでアランが言う。
「ムゲ帝国との地球での戦いを思い出すとだ」
「あの戦い?」
「その時?」
「そう、その時のことだ」
アランはそこから検証して話していた。
「ギルドローム、ヘルマット、それにデスガイヤーの三人の将軍がいたな」
「シャピロの野郎もな」
忍は彼の名前を出して忌々しげな顔を作る。
「あいつもいやがったな」
「何か今は見ないけれどね」
沙羅も言う。
「とりあえずはね」
「それでその三人の将軍だったね」
雅人は話を将軍達に戻してきた。
「そして最初に出たのはギルドロームで」
「では次は後の二人か」
亮も見ている。
「ヘルマットかデスガイヤーか」
「どちらかが出て来る」
また言うアランだった。
「デスガイヤーは正攻法でヘルマットは物量戦だったな」
「どっちが来る?」
「それなら」
「数は?」
ミサトはマヤに対して問うていた。
「どれだけ?」
「かなりですね」
これがほぼ答えだった。
「十万を超えています」
「十万!?」
「それ以上ってことは」
「ヘルマットだな」
アランがまた言う。
「奴か」
「数で来るならやり方がある」
それを聞いて静かに言うベスだった。
「総員出撃だな」
「よし、それなら」
「これから」
こうしてだった。まずは総員出撃した。するともうムゲ帝国軍は来ていた。
「さて、それではだ」
「はい、閣下」
「このままですね」
「そうだ。攻める」
まさにそうするというのだ。
「いいな、それではだ」
「はい、それでは」
「攻めましょう」
こうして彼等はその圧倒的な数で攻めにかかった。ロンド=ベルは既に戦闘態勢に入っている。防御陣形を組んでいるのだった。
「よし、来やがったな」
「そうですね、リョーコさん」
「来た」
リョーコに対してヒカルとイズミが言う。
「それじゃあ早速」
「迎撃する」
「よし、突撃だ!」
だがここでダイゴウジが叫ぶ。
「一気に行くぞ!」
「おい旦那」
その彼にすかさずサブロウタが突っ込みを入れる。
「それはないだろ」
「何でだ?」
「俺達は守りを固めてるんだぜ」
それを言うのだった。
「とにかくな。今はな」
「突撃は駄目か?」
「守るのにそれはないだろ」
サブロウタは正論を話していた。
「突撃してもな」
「そういえばそうか」
「そうだよ。まあ落ち着けよ」
「それに僕達は」
ジュンもここで言う。
「あれじゃないですか。ナデシコの近くでないと」
「その通りだ」
ナガレもいる。
「ブラックサレナならともかくな」
「いや、それでも」
今度言ったのはアキトだった。そのブラックサレナに乗る彼だ。
「離れたら危険だから」
「ヤマダさん、突撃は厳禁ですから」
ルリも参戦してきた。
「それは御願いします」
「くっ、そうなのか」
「死んだら許しません」
そしてこんなことも言う。
「わかりましたね」
「糞っ、性に合わないな」
こうは言ってもだった。
「このダイゴウジ=ガイ、突撃こそが」
「いや、待ってくれ」
雲儀も彼に突っ込みを入れる。
「貴方のそうした性格はどうも見ておけない」
「そうだな」
レイも彼の言葉に頷く。
「私もまた大次郎君にはだ」
「全くでごわすな。おいどんもレイさんに対しては」
「だからだ。くれぐれも軽挙妄動は謹んでくれ」
「あんたに言われるとな」
ダイゴウジもそれに返す。
「どうもな」
「では頼むな」
「ああ」
「アキト君」
ビリーが声をかけるのは彼だった。
「くれぐれもな」
「ええ、わかっています」
「そういうことだ」
「では私も」
ユリカはそんな彼等のやり取りに何故か影響されて言う。
「ステラちゃん、フレイちゃん」
「はい」
「やっぱり私達なのね」
フレイは思わず苦笑いになった。
「そう来ると思ったわ」
「そういうことで御願いします」
「ステラもう死なないから」
「私もね。生きていたらそれだけ楽しいことがあるし」
「そういうことです。ですから」
「全軍迎撃です」
ルリがここで指示を出す。
「守りを固めたまま御願いします」
「敵の第一陣来ました」
サリーが言う。
「それでは」
「はい、戦闘開始です」
こうしてだった。今は全軍で迎撃にあたる。しかしだった。
「また来るな」
「そうね」
「絶対にね」
それはもう予想できることだった。
「ヘルマットの戦術だと」
「しかも別の勢力が出て来るかも」
「ボアザンかキャンベルか」
「それか」
若しくはだった。
「プロトデビルンか宇宙怪獣か」
「何が」
「それが出る!?」
「今度は」
「とにかく何が出るかわかりませんね」
それをまた言うエキセドルだった。
「それは用心しておきましょう」
「わかりました」
美穂が彼の言葉に頷く。
「それでは」
「ミサイル発射です」
エキセドルの指示はこれだった。
「攻撃は敵前方に」
「了解です」
「それでは」
美穂とサリーが応えてだった。前方に展開する敵の部隊に複数のミサイルがそれぞれ生き物の如く動いてだ。彼等を撃墜した。
それを合図にして応酬がはじまった。両軍の戦いがはじまったのだ。
ロンド=ベルは見事な防御陣形を組み彼等を防ぐ。そのまま十万の敵を防ぐ。そうして一時間程戦ったその時だった。
「よし、それではだ」
ここでヘルマットが言った。
「第二陣はもういけるな」
「はい」
「間も無く到着します」
「では第二陣も向かわせる」
そうするというのだった。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「すぐに」
こうしてその第二陣が来てまたロンド=ベルに攻撃を浴びせる。戦いはそのまま続く。だがロンド=ベルの守りは固く崩れはしない。
だがそれでもだった。その彼等の顔は晴れない。優勢であってもだ。
「来るだろうな」
「そうですね。プレッシャーを感じます」
カミーユがアムロに対して返す。
「彼等がまた」
「来るな」
「レーダーに反応よ!」
「糞っ、やっぱり来たか!」
コスモがカーチャの言葉に反応して言う。
「それでどの相手だ!」
「あいつ等よ!」
まずはこう返す彼女だった。
「この反応は」
「あいつ等って?」
だがデクはそれが誰かわからない。
「誰なの?それで」
「バッフ=クランよ」
彼等だというのだ。
「彼等が来たわ」
「あいつ等が!?」
コスモはバッフ=クランと聞いて意外な顔になった。
「ここで出て来たのか」
「そうなのよ、バッフ=クランが」
「そうか」
コスモはまだ意外な顔のままだった。
「そうなのか」
「しかしそれでもだ」
ここでまた言うベスだった。
「敵にはかわりない。それならだ」
「そうだな。戦うか」
コスモもすぐに返す。
「ここは」
「よし、それなら」
「そうだ。彼等の攻撃にも応える」
そうするというのだった。
「それでいいな」
「わかった。じゃあな」
「また会ったか、巨神」
率いているのはギジェだった。
「それならだ」
「はい、隊長」
「すぐにですね」
「あれはムゲ帝国軍だ」
ギジェは彼等の話もする。
「名前だけは聞いている」
「そうですか、ムゲ帝国ですか」
「この銀河にはバルマー以外の帝国もあるのですね」
「そうだ。本拠地はまだわからない」
バッフ=クラン自体がそこまで彼等を把握していない。
「まだな」
「ですがここは、ですね」
「彼等も」
「情報も集めたい」
その意図もあった。
「是非共な」
「そうですね。それでは」
「ここは」
「その通りだ」
ここでもう一人の声がした。そして巨大な戦艦が出て来た。
「ドロワ=ザン!?」
「あの艦がここに」
「ということは」
「そうだ、私だ」
こう言って出て来たのはである。明らかにバッフ=クランの巨大戦艦だ。そしてその艦橋にいるのは赤い髪の気の強そうな女だ。
そしてその巨大戦艦を見てだ。カララが言った。
「あれはドロワ=ザン、まさか」
「えっ、カララさん」
「どうしたんですか?」
ケイスケとヒカリが彼女に問うた。
「何が出て来たんですか?」
「あの巨大戦艦に何が」
「私の予想が正しければ」
彼は鋭い顔で話す。
「あの戦艦に乗っているのは」
「カララさんのお知り合いですか?」
「それじゃあ」
「姉です」
ここでカララが言った言葉はこれだった。
「私の姉です。ハルルです」
「ハルル!?」
「それがカララさんのお姉さんの名前なんですね」
「そう、そして」
カララの言葉は続く。
「姉は生粋の軍人です。父から男に生まれていればと言わしめた程の」
「それだけの人物なんですか」
「そのハルルという人は」
「そうです。ですから気をつけて下さい」
そうだというのだ。
「姉は手強いです。それにギジェもいますから」
「あのいつもの奴か」
「あいつまで」
「来てますね」
ギジェの姿も確認された。バッフ=クラン軍はそのままロンド=ベルとムゲ帝国軍の戦いの間に入ろうとしている。三巴の戦いになった。
三つの勢力がそれぞれの敵と戦う。混戦になろうとしている。ヘルマットはその中で部下達に対して話すのだった。
「陣形を整えよ」
「混戦を避けてですね」
「それで、ですか」
「そうだ。陣形を整え今は抑える」
そうするというのだ。
「そして頃合いを見て動け」
「はい、それでは」
「今は」
彼等は陣形を整え積極的な攻撃を止めた。バッフ=クランは双方に攻撃を仕掛けている。ロンド=ベルはそれを見て一つの判断を下した。
「よし、ここはだ」
「どうするんですか?」
「ここは」
皆ベスの言葉に問う。
「どっちを攻めますか?」
「それとも防ぎますか?」
「防ぐ」
そうするというのだった。
「バッフ=クランはだ」
「ではムゲ帝国軍は」
「どうしますか?」
「攻める」
そうするというのだ。
「守りを固めているのなら突き崩す」
「ではあれだな」
それを聞いたオズマが言う。
「バッフ=クラン軍は一部の兵で止めて主力はムゲ帝国軍に向かう」
「よし、それなら」
「今はそれで」
こうしてだった。皆それに頷いてだった。
彼等はそのまま向かう。バッフ=クラン軍に対してはソロシップとイデオンだけが残った。その他の軍はまずはムゲ帝国軍にであった。
「幾ら何でも無茶ちゃうか?」
「無茶って?」
「いや、ソロシップとイデオンだけで防ぐのはや」
タータはこうタトラに話す。二人もムゲ帝国軍に向かっている。
「幾ら何でも」
「そうかしら。私は大丈夫だと思うわ」
「何でや?姉様」
「巨神の力があるから」
だからだというのだ。
「イデ、だったわね」
「ああ、あれか」
「あの力があるのなら」
大丈夫だというのである。
「そんなに心配しなくていいわ」
「そうなのか」
それに光が頷いた。
「今はそれで」
「そう思います。今は安心していいです」
タトラは光に対しても話した。
「イデオンは」
「わかった。ではまずはムゲ帝国軍だけを倒す」
そうすると言う光だった。
「そしてすぐにバッフ=クラン軍を」
「そうしましょう、今は」
「そうね。行きましょう」
「優先順位はそれで」
海と風も話す。
「まずはムゲ帝国の奴等を倒してね」
「それからです」
「ムゲ帝国軍は一気に倒す」
クリフもこう作戦を言う。
「そしてそれからだ」
「バッフ=クランですね」
「彼等を」
「そうだ、それがいい」
アルシオーネとラファーガにもこう返す。
「いいな、それではだ」
「わかりました、ではその様に」
「今から」
こうしてだった。彼等の作戦は決まった。まずはムゲ帝国軍に向かう。そうして彼等の防衛ラインを側面から攻撃を仕掛けてだ。そのうえで言う。
「よし、このまま!」
「行くぞ!」
こうしてだった。全員で攻める。
ヘルマットはそれを見てまずは防ごうとする。しかしだった。
「駄目です、敵の勢いが凄いです」
「それにです」
「バッフ=クランもいるからだな」
ヘルマットは彼等の名前も出した。
「だからだな」
「はい、敵が二つもあっては」
「そう容易では」
こう話している間にも自軍は次々と倒されていく。ヘルマットはそれを見ながらまた問う。
「残っているのは」
「一割程度です」
「今は」
「止むを得ん、それではだ」
それを聞いてだった。
「撤退する」
「わかりました」
「では」
ムゲ帝国軍は撤退した。彼等はすぐに戦場から姿を消す。しかしそれで終わりではなくまたバッフ=クラン軍がいた。彼等もだった。
彼等はイデオンを集中的に攻めていた。しかしである。
「くっ、巨神はまだか」
「まだ落ちぬか?」
「まだか」
「いや、臆することはない」
だがここでギジェが言うのだった。
「このまま攻めるのだ」
「そうすればいいのですか」
「今は」
「そうだ、押している」
だからだというのだ。
「押している、このまま攻める」
「しかし損害は増えています」
「それでもなのですね」
「それでもだ。臆してはならない」
今度はこう言った。
「いいな」
「その通りだ」
ハルルも言う。
「このまま巨神を倒せ。よいな」
「ハルル様、あの巨神をですか」
「敵の主力ではなく」
「確かに敵の主力も問題だ」
ハルルもそれは忘れてはいない。
「だがそれでもだ」
「それでもですか」
「今は」
「そうだ、兵を二手に分け」
具体的な戦術の話にもなる。
「一方は地球人達の主力に向かい」
「そしてもう一方は」
「巨神になのですね」
「そうだ、巨神には私も行く」
ハルル自身もだというのだ。
「それでいいな」
「ハルル様、巨神には私も」
ギジェは既に彼等に向かっている。
「向かわせてもらいます」
「そなたもか」
「なりませんか」
向かいながらも問うのだった。
「それは」
「いや、よい」
ハルルはそれを許した。
「行くがいい、そなたもな」
「有り難き御言葉」
「だがそなた」
そのギジェを見ての言葉である。
「変わったな」
「変わったといいますと」
「以前のそなたは純粋な武人だった」
そうだったというのだ。
「だが。今のそなたは」
「今の私は」
「何か別のものを見ているな」
こう彼に言うのである。
「それは巨神か」
「いえ、それは決して」
「ならよいのだがな」
ギジェのその言葉を聞きながら述べた言葉だ。
「では。向かうがいい」
「はい、それでは」
こうしてだった。ギジェとハルルは大軍で向かう。しかしだった。
「くっ、巨神はまだか」
「これだけの攻撃を受けても」
「まだ何ともないというのか」
「巨神の力」
ギジェはその彼を見ながら呟く。
「一体どういったものだ?果たして」
だがそのイデオンでは。コスモ達は狼狽の中にあった。
「ファトム、ゲージは!?」
「駄目だ!」
ファトムはこうコスモに答える。
「とてもだ。あがらない」
「くっ、どうなってるんだ」
「今が大変な時なのに」
カーシャも言う。
「それでも何もならないなんて」
「イデオンのゲージはどうなってるんだ!?」
コスモは攻撃を何とか受けながら舌打ちしていた。
「何時あがったり変わったりするんだ」
「わからん。だが」
しかしだというのはベスだった。
「このまま戦うしかない」
「そうだ」
ジョリバも言う。
「もうすぐ友軍が来てくれる。それまでだ」
「そうだ」
ベスもジョリバのその言葉に応える。
「このまま防ぐ。いいな」
「よし、それなら」
「今は」
ナブールとギャバリーも言ってだ。戦いを続けるのだった。
だがここでゲージが動いた。するとだった。
「ミサイルだ、コスモ!」
「ああ、わかった!」
コスモはファトムの言葉に頷いた。
「今なんだな!」
「そうだ、撃て!」
こうして全方位にミサイルが放たれた。その時だった。
バッフ=クラン軍はイデオンを取り囲んでいた。それが仇になった。
「し、しまった!」
「ミサイルが!」
「総員回避!」
すぐに避けようとする。しかしだった。
間に合わなかった。かわせたのは僅かでイデオンを攻めていたバッフ=クラン軍の殆どが破壊されてしまった。そのミサイルによってだ。
「くっ、しまった」
ギジェは何とかかわした。だが残っているのは殆どいない。
「やられてしまったか」
「ギジェ」
そしてここでハルルも言う。
「地球人達の主力も我が軍の攻撃にかかってきている」
「左様ですか、それでは」
「そうだ、これ以上の戦闘は不可能だ」
そうだというのだ。
「だからだ」
「わかりました。それでは」
ギジェも撤退に頷く。しかしだった。
イデオンを見てだ。こう呟くのだった。
「巨神、一体何処までの力を出せるのだ」
こう呟いて撤退に移った。何はともあれ戦いは終わった。
戦いの後でだ。ロンド=ベルはまず全員戻ってだ。そのうえでまたしても宴会に入る。
「へえ、スパムサンドに」
「スパムバーガー」
「それとコンビーフ」
「何か加工した肉料理が多いな」
「ちょっと工夫してみたのよ」
クリスがにこりと笑って皆に答える。
「サンドイッチとかハンバーガーもこうしてみたらどうかしらって」
「けれどさ」
ここでバーニィがクリスに対して言う。
「スパムサンドとかって俺結構食べるよ」
「そうなの」
「うん、自分でも作るし」
こう言うのだった。彼は今はホットドッグを食べている。フランクフルトもかなりある。
「だからさ」
「そうだったの。あまりないって思ったけれど」
「いや、結構見るよ」
「そうよね」
「かなりね」
ここで皆言う。
「っていうかクリスアメリカ系でしょ?だったらスパムは」
「知ってるんじゃ」
「けれどスパムサンドやスパムバーガーは」
「知らなかったの?」
「そうだったの」
「ええ、そうなの」
そうだというのである。
「それで作ってみたけれど。チャレンジでね」
「味自体はいいよ」
バーニィは今度はそのスパムサンドを食べている。
「美味しいよ、俺スパム好きだし」
「そう、美味しいのね」
「うん。普通のハンバーガーもあるし」
それも食べていた。
「ソーセージサンドもあるしね」
「そういえばバーニィってドイツ系だったけ」
「そうよね」
「そうだよ、名前でわかるよね」
バーナード=ワイズマンというその名前のことだ。
「俺が何処にルーツがあるか」
「ええ、確かに」
ユンがその言葉に頷く。
「私もよく言われます」
「ユンは中国の北の方じゃなかったの?」
アイビスが笑いながら彼女に言ってきた。
「あれでしょ?そこで影の薄い領主やってたのよね」
「違います」
それを言われるとすぐにむくれるユンだった。
「私はそんなことしていません」
「けれど白い馬は?」
「それは大好きです」
「じゃあやっぱり」
「はい、弟も好きです」
自分から観念したようにして言ってみせた。
「実際に。大好きです」
「だろうね。実は私もね」
アイビスは微笑んでこんなことを言った。
「最近火が好きになったわ。火事がね」
「何でなんですか?それは」
「何となくね。そうなったのよ」
そうだったのである。
「何でかわからないけれど」
「ううむ、おかしな話だな」
それを聞いて頷いたのはスレイだった。
「私もな。色々とあるが最近ではシンシアとだ」
「そうなんですよね」
そのシンシアから言ってきたのだった。
「私スレイさんだけじゃなくて」
「わかるぞ。マヤやイズミとだな」
「はい、そうです」
まさにその通りだった。
「ここに来て驚きました」
「ここはそうした場所だ」
スレイはこう言い切る。
「他にも様々な記憶も入るがな」
「では私が包丁を好きなのも」
自分で言うユンだった。
「やっぱり」
「それは振り回さないでね」
レフィーナはそれはそっと忠告した。
「危ないから」
「振り回しはしません」
ユンはそれはないという。
「突き刺すのは好きですけれど」
「何か危なくないか?」
それを聞いて言ったのは凱だった。
「まあ俺も実際は」
「ゴォォォォッド米道!?とか」
それではないかというのだ。皆ここで彼に対して言う。
「それ?」
「ひょっとして」
「俺はこの言葉が妙に気に入っている」
「最早何が何だか」
「無茶苦茶っていうか」
「俺は他にも色々叫んでいるような気がするが」
「というかあんたそれだけか?」
マサキが言ってきた。
「俺もちょっと以上に心当たりがあるけれどな」
「俺もだ」
ムウも出て来た。
「ここにはいないがシュウもそうだな」
「私もだ。仙人か何かだったか?」
ガムリンもいる。
「それで出て来たのか?私も」
「確か女の子だけの中国だったな」
凱はその世界の話もしてきた。
「そこにいた記憶がある」
「色々な世界にしても複雑過ぎますね」
アズラエルにとっても他人事ではなかったりする。
「そうですね、凱君」
「あんたはよくわかるみたいだな」
「君とシロー君のことは特に」
こう返すのだった。
「わかりますよ」
「俺もだ」
シローもそうだというのだ。
「よくわかる。とてもな」
「あの世界はかなりいい世界です」
アズラエルの顔は自然と笑みになっている。
「そう思いませんか?ユンさん」
「私はあの世界はあまり」
こう返すユンだった。話を振られてもだ。
「何か。いい思い出がなくて」
「だからですか」
「アズラエルさんや凱君、それにアマノ中尉はいいです」
彼等はだと限定する。
「私なんてとても」
「ではあちらの世界でしょうか」
アズラエルはまた話してきた。
「オーバーとかそういう世界ですよね」
「はい、そちらは」
「あちらはあちらで」
だがユンはその世界についても首を傾げさせるのだった。
「何か色々とありまして」
「そういえばあの世界って確か」
「あれよね。カオスっていうか」
「悪の元凶があの親父でな」
「一体子供何人いるんだ?」
「もうそのレベルじゃないし」
そして店の名前も出て来た。
「サマーラディッシュ?」
「そのお店日本に・・・・・・流石にないか」
「この世界には」
「ないから」
それは否定された。
「というかあの親父がいればそれこそ大変なことになるから」
「そうよね、それは」
「だからないか」
「そうそう」
「世界が違うし」
「世界はどうなっているんだ?」
ここでマサキがまた言った。
「何か複数の世界が全部ごちゃこちゃになってきてるな」
「というか話していたらキリがないんじゃないのか?」
クリフが言った。
「それはな」
「というかあんたもな」
そのクリフにイサムが突っ込みを入れる。
「俺もだけれどな」
「そういえな御主達はだ」
クリフはj二人に突っ込みを入れる。
「そっくりではあるな」
「そういえばラファーガも」
「私もか」
「そや、あんたもや」
カルディナはラファーガに対して言っていた。
「パサロフさんとそっくりやし」
「ううむ、前から自分でも思っていた」
「私も」
アルシオーネはレインを見ている。
「そうよね」
「そうですよね、本当に」
レインにしても心当たりのあることだったりするのだった。
そしてアスコットも。
「僕カティさんとどうも」
「全くだな。ラヴィーナもそうだな」
「自覚している」
この三人もであった。
「まさか私にもそうした相手がいるとは」
「奇遇ではある」
「奇遇も奇遇ですけれど」
慎悟はそんな面々を羨ましそうに見ている。
「何かいいですよね。そういう人がいてくれているっていうのは」
「その通りですね。それでは」
テッサはベーコンレタスバーガーを食べている。
「今はリラックスして楽しみましょう」
「はい、それじゃあ」
「こうして」
実際に皆で楽しむ。戦いの後はいつもの調子であった。

第十六話完

2010・4・1


 
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