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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第十五話 悪夢への招待状

            第十五話 悪夢への招待状
  
「大統領、今からです」
「そうか、入るのだな」
「はい、これより我がフロンティアは」
レオンはこうグラスに話す。
「キャンベル星人及びボワザン星人の勢力に入りました」
「これは避けられなかったか」
「残念ですが」
レオンは目を閉じて彼に対して答えた。
「検討しましたがそれでも」
「わかった」
「それでは」
「止むを得ないか」
「そうです。どちらにしろいずれ人類はですl
「彼等と戦う運命だった」
グラスは苦い顔で述べた。
「いや、決着をつけなくてはいけなかったか」
「その通りです。地球の頃からでしたから」
「あの頃からの因縁がか」
「それを終わらせる為だ」
まさにその通りだった。
「行くか」
「それでは」
こうして方針は決まった。そうしてである。
フロンティアはロンド=ベルと共にその勢力圏に入った。するとすぐにであった。
「レーダーに反応です」
「本当にすぐだな」
サンシローはミドリの言葉を聞いてすぐに言った。
「もう来たのかよ」
「向こうも愚かではないな。それではだ」
「行くんだな」
「それしかない」
こうサンシローに言ったのはリーだった。ピートも言う。
「戦闘態勢だな」
「そうですね」
ブンタが彼の言葉に応える。
「すぐにな」
「わかりました」
「しかし。本当にあちこちに敵がいるよな」
ヤマガタケは出撃に向かいながらぼやいている。
「今度はキャンベル星人にボアザンかよ」
「それだけで済めばいいがな」
今言ったのはサコンだった。
「ムゲ=ゾルバトス帝国もいるからな」
「あっ、そういえば」
「あの連中もいたか」
それに気付いたのはロックオンとパトリックだった。
「俺達は見ていないがな」
「それでも奴等がいたか」
「彼等との決着もつけなくてはいけない」
サコンが言うのはこのことだった。
「絶対にだ」
「じゃあ奴等が出て来る可能性も」
「あるんだな」
「向こうも間違いなくそれを望んでいる」
サコンはこうも認識していた。
「それならばだ」
「ヘッ、それならそれで好都合だぜ」
忍はそれを聞いてかえって威勢のいい言葉を出した。
「シャピロの野郎共決着をつけるか」
「そうだね」
沙羅も忍のその言葉に頷く。
「あいつともいい加減ね」
「あいつ、まだ諦めていないだろうね」
「諦める筈がない」
亮はこう雅人に返した。
「あいつは宇宙の支配者になるのが望みだからな」
「その為に今も俺達の前に」
「出て来るのならそれまでだ」
アランはその言葉も考えも簡潔だった。
「それだけだ」
「その通りだ」
葉月博士はアランの言葉に頷く。
「出て来れば倒す。それだけだ」
「よし、それならだ!」
忍がここで叫ぶ。
「行くぜ!」
「あれっ!?やってやるぜじゃないって」
「どういうこと!?」
皆そのことに少し驚いた。
「いつも通りじゃないっていうか」
「本当に忍さん!?」
「まさかと思うけれど」
ここでアスカが言う。
「忍さんのふりをした何か別の存在とか?」
「それはるかも」
「そうよね」
皆でそれに頷く。
「まさか誰かが乗り移ってる!?」
「そういえば忍さんも結構」
「そうそう、色々な世界知ってるみたいだし」
「まさかそのうちの一つじゃ」
「違うから安心しろ」
それはしっかりと言う忍だった。
「ただ気分で言ってるだけだからよ」
「そうなんですか」
「何かほっとしたのと一緒でがっかり」
「まさかと思ったのに」
「それを言えば私はどうなる」
ここで葉月がまた出て来た。
「私はある世界ではウラキ少尉の部下になっているかも知れないのだ」
「っていうか博士の声って聞いていたら」
「そうよね」
「もう何ていうか」
心当たりがあることなのだった。誰にとっても。
「甲児にそっくりだし」
「声がもう」
そんな話をしながら出撃する。出て来たのはキャンベラ星人にボアザン星人の連合軍だった。その彼等が出て来たのだ。
「さて、出て来たな」
「それじゃあやるか」
「そうよね」
こう言ってであった。全軍で両軍に向かう。その敵の動きを見てちずるが気付いた。
「両方共同盟を組んでるみたいね」
「はい、間違いありません」
それに小介も頷く。
「歩調を合わせて僕達の方に来ています」
「そうよね、間違いないわ」
「何かやっかいやな、それは」
十三もそれを見て言う。顔を顰めさせている。
「一緒に来るっちゅうのは」
「その通りですたい」
大作は彼のその言葉に頷いた。
「片方だけでもかなりの数ですたい」
「へっ、そんなのはもう経験してるじゃねえかよ」
だが豹馬は強気だった。
「そんなのとっくにな。違うか?」
「ええ、そうね」
それに頷いたのはちずるだった。
「言われてみせばね」
「バルマー戦役じゃそうだったからな」
だからだというのだ。
「こんなのは全然平気だぜ」
「その通りだ。では行こう」
健一も豹馬と同じ考えだった。
「まずは敵軍の間に入るべきだ」
「間にか」
一平は両軍を見た。敵は確かに共同歩調を取っている。しかしその間にははっきりとした溝があった。健一はそれを見て言ったのである。
「そうだな。そこに入ればな」
「両軍を分断できるでごわすな」
「一緒に攻められるよりいいよね」
大次郎と日吉も頷く。
「それならでごわす」
「今はあの間に」
「わかったわ」
めぐみが最後に応えた。
「それなら皆今すぐ」
「よし、全軍両軍の間に入る」
実際に大文字がこう指揮を出した。
「いいな、諸君」
「はい、それじゃあ」
「今から」
こうしてロンド=ベルは両軍の間に向かう。それを見たキャンベル軍の将達が言う。
「おのれ、そう来たか」
「小癪な奴等だ!」
率いているのは白い顔の男と黒い顔の男である。
「そう来るならばだ!」
「ボアザン軍の指揮官に連絡を取れ!」
「どうした、騒々しい」
人相の悪い二本角の男が出て来た。
「ワルキメデス将軍もダンゲル将軍も」
「おお、ググル将軍」
「出て来たか」
ワルキメデスとダンゲルはそのググルの顔を見て述べた。
「早速だが、だ」
「どうするのだ?」
「そんなことは決まっているではないか」
こう返すググルだった。
「間に入れば挟み撃ちにすればいいだけだ」
「そうか、そうするのか」
「ここは」
「それでどうか」
あらためて二人に言うググルだった。
「それでだ」
「よし、それで行くとしよう」
「では早速だ」
「うむ、では早速そうするとしよう」
こうして両軍は動きはじめた。そのうえでロンド=ベルをサンドイッチにしようとする。しかしである。ここでロンド=ベルは早速動くのだった。
「さて、来たな」
「はい」
未沙がグローバルの言葉に頷く。
「予想通りですね」
「それならばだ。まずは一方に突撃を仕掛け」
「そのうえで反転して一気に決着をつける」
「その通りだ」
これが彼等の作戦だった。
「いいな、それではだ」
「はい、仕掛けます」
彼等はボアザン軍に攻撃を仕掛けた。忽ちその円盤達が撃破されていく。
「よし、撃て!」
「どけ!」
早速攻撃を浴びせる。ビームライフルやミサイルで次々と倒す。
そうしてだ。そのままボアザン軍を突破し反転する。合流せざるを得ない両軍をさらに攻めるのだった。
「よし、今ね!」
ロザリーが照準を合わせる。そのうえでリニアレールガンを連射する。
それで何機も倒してだ。それから剣を抜く。
突進し左右の敵を次々に倒す。戦いはロンド=ベルに傾いていた。
「このままいけるか?」
「そうですね」
プレセアがジノの言葉に応える。
「今はかなりいい感じですけれど」
「しかし油断はできぬか」
「はい、そう思います」
慎重な彼女の性格がそのまま出ていた。
「援軍は出て来ないみたいですけれど」
「だが。何が出て来るかわからない」
ここでまた言うジノだった。
「だからだな」
「はい、それじゃあ今は」
「警戒を怠らずに攻める」
これがジノの考えだった。
「周囲から出て来る可能性がなきにしもあらずだ」
「バルマーか宇宙怪獣か」
ファングも言う。
「若しくはだな」
「そうだ。そのムゲ=ゾルバトス帝国だ」
ジノが出したのは彼等だった。
「長い間姿を現していなかったがな」
「それが出て来る」
「遂に」
「油断はできない。今は敵を倒そう」
こう話してだ。両軍をさらに退けていく。やがて彼等の損害はかなりのものになった。
それを見たググルがだ。また言うのだった。
「頃合いか」
「くっ、忌々しいが」
「そうなのか」
ワルキメデスとダンゲルがここで言う。
「損害が七割を超えた」
「これ以上の戦闘はというのだな」
「そうだ。撤退する」
また言うググルだった。
「御二方はそれでいいか」
「致し方あるまい」
「こうなってはだ」
二人も今は諦めるしかなかった。それで終わりだった。
「撤退だ」
「すぐにな」
こうして彼等は徹底した。この戦いは終わった。しかしである。
「やっぱりな」
「そうね」
ジャックとエルフィが少し忌々しげに話す。
「レーダーに反応か」
「出て来たわね」
「はい、八時の方向にですね」
フィリスも言う。
「出て来ましたね」
「ムゲ帝国か」
ミゲルはその彼等を見て言った。
「予想通りだな」
「ここまで予想通りだとある意味関心だ」
アルフレッドには余裕すら見える。
「全く。ここぞというタイミングだな」
「しかしそれだと」
「どうなるんだ?」
「全く」
そんな話をしながら彼等に対して向かう。それはやはりムゲ帝国軍だった。その指揮官が誰かというのであった。
「久し振りだな」
「誰だ?あんた」
エイジはその彼にきょとんとした顔で返した。
「俺ははじめて見たぜ」
「そうだよね。誰だったかな」
斗牙もわからなかった。
「ムゲ帝国については全然知らないけれど」
「我が名はギルドローム」
彼は自分から名乗った。
「見たところはじめて見る顔も多いな」
「うわ、また怪しいのが出て来たわね」
小鳥がその彼を見て言う。
「何かあからさまに企んでそうな奴ね」
「その通りだ、皆気をつけるんだ」
万丈がその通りだというのだった。
「絶対に仕掛けて来るからね」
「仕掛けるタイプか」
「やはりな」
刹那と宗介がそれを聞いて言う。
「では問題は何をしてくるかだ」
「それだな」
「そうだ、皆気をつけるんだ」
宙もそれは強く警戒していた。
「こいつは絶対に何かしてくるからな」
「じゃあ問題は何?」
「一体何を」
「してくるか」
「皆まずは迎撃だ」
ブライトはそれを命じるのだった。
「いいな、まずはだ」
「わかりました」
「それじゃあ」
こうして全員で迎撃に向かう。そしてだ。
今まさに戦端を開こうという時にだ。彼は言った。
「よし、今だな」
「はい、閣下」
「それでは」
部下達も応える。そうしてだ。
「いいか、数は少なくともよい」
「それでもいいのですね」
「まずは」
「奴等の中にそれをさせることが重要なのだ」
そうだというのだ。
「わかったな、それではだ」
「了解です」
こうしてその作戦が発動される。それは。
「!?」
「なっ、何だ!?」
突如としてボルテスとコンバトラーに異変が起こった。そうしてだ。
急に無差別で攻撃しだした。皆必死にそれをかわす。
「お、おい!」
「どうしたんだ!」
「豹馬!」
「おい健一!」
「そこか!」
「そこにいたのか!」
だが彼等にはわかっていない。無差別に攻撃を繰り出しはじめたのだ。
「これは一体」
「どういうことなんだ」
「そうか、やっぱりね」
万丈がここで気付いたのだった。
「仕掛けてきたね」
「っていうと」
「やっぱりムゲ帝国がですか」
「仕掛けてきたんですね」
「うん、間違いない」
万丈はこう断言した。
「さて、とりあえずコンバトラー、ボルテスからは離れて」
「はい、それじゃあ」
「とりあえずは」
「俺が引きつける」
ショウはこう買って出た。
「あの二人の攻撃は俺が全てかわす。皆は安心してくれ」
「すいません、それじゃあ」
「今は」
「ショウ、やろうね」
「ああ、チャム」
ショウはチャムの言葉に頷いて二機の前に出る。そのうえで攻撃をかわしてだ。彼等の攻撃が仲間に及ばないようにしたのであった。
そしてだ。トッドが万丈に対して言ってきた。
「あいつの戦艦を沈めればいいんだな」
「うん、二人は精神攻撃を受けている」
万丈はこう断言した。
「だからね。まずはあの戦艦をね」
「わかった。じゃあそうするな」
「頼んだよ。ではまずは彼等を」
「ああ」
こうしてだった。全軍で向かう。だがその戦いは辛いものだった。
「まずいな、また誰かが操られたら」
「その場合はどうする?」
「一体」
「心配しても何にもならないよ」
だがここで万丈が言った。
「そんなことをしてもね」
「じゃあどうするの?」
「ここは」
「ああ、このままでいいよ」
万丈はかなり楽観的な言葉を出してみせた。
「このままでね」
「このままでいいっていうと」
「攻撃かよ」
「それでいいんですか」
「そう、攻撃は最大の防御」
万丈はあえてシンプルに話してみせた。
「だからね。それで行こう」
「その通りだね」
彼の言葉に頷いたのはロジャーだった。
「ここはね。そのまま正面から行こう」
「よし、それなら」
「今は」
こうしてだった。彼等は一気に攻める。そしてそのままムゲ帝国軍を押し切りギルドロームの旗艦にまで迫った。一矢がそれに迫る。
「よくもあの二人を!」
こう叫んでギルドロームの戦艦に迫る。
「その落とし前はつけさせてもらう!」
「し、司令!来ました!」
「敵が!」
「案ずるな」
だがギルドロームはダイモスが向かって来ても冷静だった。
「このままでいい」
「ですがこのままですと」
「我々は」
「だから案ずることはない」
こう言ってであった。そのまま精神攻撃を浴びせる。しかしだった。
「だ、駄目です!」
「聞きません!」
「ダイモスが!」
ダイモスはそのまま突き進む。そしてだ。
その蹴りを放つ。ギルドロームの乗艦が大きく揺れた。
「う、うわああっ!」
「こ、このままだと!」
「この艦が!」
「駄目なのか」
ギルドロームは何とか立ち止まっていた。そのうえで言ったのだ。
「この艦は」
「は、はい」
「あと一撃を受ければ」
「わかった」
ギルドロームはそれを聞いて頷いた。そうしてだった。
「今は撤退する」
「仕方ありませんか」
「それでは」
「撤退だ」
こうしてムゲ帝国軍は撤退した。そしてそれと共に豹馬達も元に戻った。彼等は呆けたようにして言うのだった。
「あれっ、どうしたんだ!?」
「俺達は一体」
「よし、これでいいな」
ショウはその彼等を見て安心した声を出した。
「全部何事もなく終わった」
「そうね。ショウやったじゃない」
チャムがそのショウに対して言う。
「全部かわすなんて」
「やろうと思えば何だってできるさ」
ショウは笑ってチャムのその言葉に応えた。
「こうしたことだってな」
「そうなのね」
「しかしな」
そして京四郎が一矢を見ながら言う。
「一矢には全く効かなかったな、あの精神攻撃も」
「そうよね」
ナナもそれを言う。
「本当に全然ね」
「一矢さんだからですね」
ユリカが明るくその理由について述べた。
「一矢さんはそうそう生半可な精神攻撃を受けたりしませんよ」
「それだけ心が強いってことか」
「そういうことなのね」
「一矢さんの心は誰よりも強いです」
ルリも言う。
「ですから」
「一矢さんの強さなら大丈夫です、何があっても」
「おいおい、買い被り過ぎじゃないのか?」
一矢本人はそんな彼女達の言葉を笑って返した。
「俺はそこまで強くないさ」
「いえ、強いですよ」
「本当に」
だがその彼にプレアとカナードが言う。
「僕達見ていますから」
「だから言えます」
「そうだといいんだがな」
一矢は彼等のその話を聞いて述べた。
「俺の心が強ければな」
「迂闊だったな、しかし」
「全くだ」
だが豹馬達はこう言ってぼやくのだった。
「いきなり仕掛けられたといってもな」
「それでもな」
こう言ってであった。ぼやくばかりだ。
「皆には迷惑かけたな」
「申し訳ない」
「ああ、それは気にしたら駄目だよ」
万丈はその彼等に優しく声をかける。
「ああいうことを狙って来る奴等だしね」
「だからだって言ってくれるか」
「悪いな」
「だから謝らなくていいよ。ああした攻撃は防ぐのが非常に難しい」
そのことはよくわかっていた。
「そういうことでね。この話は終わりにしよう」
これで話は終わった。そしてである。
戦いを終えたロンド=ベルはフロンティアに帰還した。そこで整備と補給を受けながらこれからのことを話すのだった。
「さて、これからだが」
「彼等はさらに来るだとうな」
クワトロとアムロがそれぞれ言う。
「それをどうするかだが」
「また迎撃に来るな」
「じゃあ臨戦態勢のままですね」
「そうだ、暫くはだ」
「皆出来るだけ艦内にいてくれ」
こう言うのである。
「今はな」
「わかりました。それじゃあ」
「暫くは」
「そしてだ」
アムロはさらに言う。
「皆ここで気をつけてくれ」
「っていいますと」
「どうしたんですか?」
「うん、ムゲ帝国だけじゃない」
その彼等のことを言ったのである。
「それにボアザンにキャンベルもだ」
「ここでの敵は三つですよね」
「そうですよね」
「そして彼等だけではない」
そうだというのだ。
「宇宙怪獣やプロトデビルンもだ」
「あの連中もですか」
「出て来るんですか」
「可能性はゼロじゃない」
だからだというアムロだった。
「バルマーはいないようだがな」
「ここでも宇宙怪獣が出て来たり」
「プロトデビルンもですか」
「出て来ますか」
「不意打ちもある。気をつけてくれ」
アムロが言うことの重点はそこだった。
「いいな、それではな」
「はい、わかりました」
「それでは」
「とにかく暫くは臨戦態勢にいてくれ」
クワトロはこのことを念押しした。
「いいな、くれぐれもだ」
「わかりました。フロンティアにいられないのは残念ですけれど」
「それじゃあ今は」
「まあここでリラックスしていくか」
こう言ったのは神宮寺だった。
「暫くはな」
「まあ宇宙での戦いはそうですしね」
「元々艦内に閉じこもりですし」
「それが元に戻ったと思えば」
考えをそう変えるのだった。
「そういうことで」
「わかりました」
「済まないな。さて、それではだ」
また言うクワトロだった。
「これからの戦いはだ」
「はい、何時来てもいいように」
「しておきます」
こうして彼等は臨戦態勢を取って艦内に止まる。そのうえで敵を待つことにした。そのまま待っていてだ。何だかんだでくつろいでいるのだった。
「そうそう、リリィさんの声も」
「テュッティさんにそっくりだよな」
「フロンティアでもいるんだな、そういう人って」
「それと」
さらに話すのだった。
「ロゼの声って」
「私ですか」
ロゼは話を振られたところでびっくりした顔になる。
「私なんですか」
「ファーラ姫に似てない?」
「そっくりよね」
「本当に」
こう話すのである。
「声も雰囲気も」
「私もそう思います」
そのファーラも話す。
「私と似てるなって。思っていました」
「確かに」
言われてロゼ自身も思うことだった。
「ファーラさんと似ていますよね」
「そうそう」
「それにマーグさんも」
今度は彼だった。
「マーグさんと豹馬さんって似てるっていうか」
「雰囲気は全然違うようでそっくり」
「弟さんよりもずっと」
「確かに似ているな」
マーグもまた認めることだった。
「声も何もかも」
「そうですよね、本当に」
「そっくりですし」
「私はそういう意味でも一人ではないのだな」
マーグは微笑んで言った。
「いや、最初からそうだったな」
「最初から?」
「っていいますと」
「ロゼがいてくれていた」
こう言ってロゼに顔を向けて微笑むのだった。
「ずっとな」
「司令、あっいえ」
話を振られたロゼはふと言葉を変えてきた。
「マーグさん」
「そういう関係か」
「みたいね」
「そうよね」
皆それぞれ言う。はっきりと気付いたのである。
「完全に恋仲っていうか」
「何時の間にっていうか」
「最初から?」
「そんなのではありませんっ」
まずいことにムキになってしまったロゼだった。
「私と司令、いえマーグさんはそんな」
「だから自分で言ってますから」
「今はっきりと」
「嘘はつけないにしても」
「うっ、これは」
最早言い逃れができなかった。ロゼもぎくりとした顔になる。
「何もありませんから」
「ま、まあそれでだけれど」
ここでタケルがたまりかねて言う。
「そういうことはあまり検索しないで」
「いや、検索していませんけれど」
「別に」
「何ていうかロゼさんが勝手に」
「自爆したっていうか」
まさにそれであった。これは自爆であった。
「だからロゼ、あの」
「私は・・・・・・」
ロゼはタケルに対しても言う。
「何でこんなことに」
「ロゼさんって生真面目だから」
「こういうことに奥手だと思ったけれど」
「本当に」
こう話してだった。それで今の話は終わった。しかしである。
「けれどこれだけ純情な人ってそうはいないし」
「マーグさんの為にはやっぱり」
「あれなんですか?」
「私はマーグ様の為なら全てを捧げます」
必死の顔での言葉だ。
「例え何があっても」
「様付けだし、今度は」
「あの、気付いてます?」
「あっ、また」
今も言ってから気付くのだった。
「しまった、これは」
「やれやれ、こりゃ大変だ」
「本当にね」
周りも呆れるしかないことだった。
「けれど可愛いっていうか」
「本当にね」
「可愛いって」
また言うロゼだった。
「私が・・・・・・ですか」
「可愛いよね」
「そうだよな」
これは皆が思うことだった。
「性格がな」
「特に」
「顔は奇麗系だけれど」
「そんなこと言われたことは一度も」
ロゼの顔は真っ赤になっている。
「ないですけれど」
「まあ戦ってばかりじゃそうだけれどね」
「それは」
こんな話をしながら今は臨戦態勢の中にあった。ロンド=ベルの戦いは続く。しかしそれでもそこには緊張と共にこうしたリラックスしたものもあった。

第十五話完

2010・3・27


      
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