ヴァレンタインから一週間
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第11話 蒼い少女
前書き
第11話を更新します。
肌寒い風が吹き付ける長門のマンション。其処はこの季節、この時間帯に相応しい佇まいを示し、
そして、高き近代的な建築物の直ぐ傍に有る冬に相応しい様相の木々と街灯。それに、少しの遊具が存在する場所。
そう、それは都市の真ん中に存在する僅かに自然の残された公園。其処を、煌々と光を降り注ぐ真円に近い蒼の女神と、そこから遥か西の空に傾く地点に存在する月齢にして三程度の紅の女神が、彼方より真冬の澄んだ大気に沈んだ世界を照らし出していた。
………………。
…………。
「なぁ、長門さん」
公園にやって来て夜空を見上げて以来、一言も言葉を発しなかった俺が、ようやく傍らに立つ少女に対して声を掛けた。
青白い人工の光に切り取られた夜の世界に佇む少女。その均整の取れた眉と双眸の配置。すっと通った鼻梁からくちびるに続く造形には、標準以上の美を感じさせる。
そんな俺を真っ直ぐに見つめる長門。
正直に言うと、彼女に真っ直ぐに見つめられると、あっさりと気圧されて、視線を逸らしそうになるのですが……。
しかし、今はそんな些細な事を気にしている余裕は有りませんか。
「この世界の地球の衛星は月と、もうひとつ、何か別の衛星が存在するのかな?」
視線を彼女の元から、上空の蒼き女神の方に逸らした後、そっと洩らしたため息にも似た吐息が、俺の口元を白くけぶらせた。
しかし……。
俺の問い掛けに対して、静かに首を横に二度振る長門。これは、否定。だとすると、彼女にはあの空に存在するふたつの月の内のどちらかひとつが見えていない、もしくは、ふたつとも見えていない事となるのでしょう。
もっとも、あのふたつの月の内のどちらか片方が、俺にしか見えていない月で有る可能性もゼロではないのですが。
そう。他の誰にも見えない、狂った……この世界では異分子に当たる俺にしか見えない幻の月で有る可能性が。
「地球の衛星はひとつしか存在していない」
冬の夜気に相応しい表情を浮かべたままで、抑揚の少ない平坦な口調でそう告げる彼女の口元を、白く吐息がけぶらせ、そして、その白き余韻も、高層ビルの間を吹き付けるに相応しい風により、直ぐに消えて仕舞う。
現実感の乏しい。いま其処に居ながらにして、何処か遠い世界の住人の装い。
そして同時に、俺は軽いため息と共に、自らの迂闊さと無能さを改めて思い知る事と成ったのは言うまでも有りません。
「そうか。なら、今、俺が見ている夜空の映像を【送る】から、見て貰えるかな」
俺が少し……。ほんの半歩分、彼女に近付きながら、そう話し掛けた。
その瞬間、彼女の形の良い眉に、少しの動きが発生した。但し、これは俺の見ている映像を送る前の事なので、ふたつの月の【映像】に関して驚いた訳では有りません。
まして、俺が近付いた事に対する拒否感の現れと言う訳でもないでしょう。
何故ならば、
「ありがとう」
俺をその澄んだ瞳に映しながら、そう答えて来る長門。そして今回は、彼女の口元を、彼女の吐息が白く凍らせる事もなければ、風がセーラー服姿の彼女を凍えさせる事も有りませんでした。
少し笑って、その言葉に答える俺。先ほど長門に一歩近づいた理由は、彼女を起動させた炎の精霊の影響下に入れたと言う事。そして、周囲の変化に気付いた彼女が、その理由に思い至って、感謝の言葉を伝えて来たと言う事でも有ります。
もっとも、ここに至るまでにそんな事に気付きもせずに、ただマヌケ面を晒しながら上空をぼぉっと見上げていた俺がアホなだけで有って、彼女に礼を言われるほどの事を為した訳ではないのですが。
俺の煮えた頭に、二月の冷たい風と大気はちょうど良かったとしても、彼女に取って心地よい気温とは限りませんでしたから。
その次の瞬間。長門の雰囲気自体が変わった。その理由は……。
「今、送った夜空の映像が、俺に見えている現在の夜空。俺の目か頭がおかしいのか、それとも……」
この世界自体が狂っているのか。
俺は、敢えて実際の言葉にする事もなく、余韻を持たせるようにして、長門に対してそう告げる。
それに、どちらにしても、今の俺には、幻の月が顕われるように成るまで発展した異常事態をどうこうするだけの――――。
刹那。天空で輝く蒼き女神が一際、蒼く輝いたような気がした。
この感覚は……。
そう。そして、視線を移した先。公園の入り口から闇よりも黒い影を纏いし巨躯が顕われた事を確認したその瞬間、世界が変わったのだ。
それまでは、この公園内にこそ、俺と長門以外の人影は存在して居ませんでしたが、それでも、直ぐ傍には確かに人が暮らす通常の世界が存在していました。
そう。公園の傍らを走る道路には自動車が走り、寒い冬の夜とは言え、ちらほらと存在していた家路を急ぐ通行人が存在していた通常の冬の夜が……。
今では、異世界の夜へと変貌していた。
「……来たか」
ゆっくりと接近して来る黒き影を瞳に映し、俺がそう口にした。
蒼く玲瓏なる容貌を地上に見せる女神の下、ぼぅと立ち尽くす黒い影。
真冬の冷気を纏いし巨躯は黒い……、武侠小説に登場するような衣装に身を包んだ男であった。
ヤツが発するは鬼気。人が放つ雰囲気には非ず。まして、長門は未だしも、俺がこの場に居た理由は、自らを囮として、人外のモノを誘き寄せようとしたから。
故に、気を隠す事もなく、また、罠と取られかねない陣を敷く事もなく、この場にただ存在していただけですから。
それに、この異常事態が発生したのは昨夜。俺が、この世界に島流しに成った瞬間から始まったと考えるのなら、未だ土地神を完全に封じ切っていない可能性も有るはずです。
その時に、……残りの土地神を封じている最中に、大きな正体不明の気を発して居る存在の元に、何モノかがやって来る可能性も有る、と思っていたのですから。
もっとも、ラゴウ星などと言う、神話級の邪神が顕現するような異常事態ですから、その邪気に当てられた悪鬼や妖魔の類が活性化して、姿を顕わせた可能性も低くはないのですが。
「口上を述べる……心算はないようやな」
俺の正面。大体十メートル程の距離までゆっくりと接近して来た黒い男に対して、そう問い掛ける俺。
ニヤリっと、男が嗤った。
異世界の夜に相応しい、鬼気を発する嗤い。少なくとも、好意を得られる類の笑みでない事だけは確かでしょう。
ならば……。
「長門さんは、手を出さずに見て居てくれるかな」
俺は、傍らに立つ少女に対して、そう告げる。それに、彼女の実力は判らない以上、この場は俺のみで対処して、彼女には俺の戦いを見て置いて貰うのも悪くはないとも思いましたから。
何故ならば、俺の傷は回復可能ですが、彼女に俺の行使可能な治癒魔法が、効果が有るかは判りませんからね。
俺のその言葉に、少し微妙な気を発した長門でしたが、しかし、言葉にしては何も告げる事もなく、数歩、後方へと下がり、街灯の明かりの下に身を置いてくれました。
突如現れた刃渡り六十センチメートルほどの、眉と瞳が文様として刃に刻まれた二振りの柳葉刀を構え、俺との距離を詰める黒き男。その無造作な動き。しかし、全身の余分な力を抜いたようなその構えは、それだけで鉄壁の城塞を想像させる。
瞬間、男が爆ぜた。いや、違う。爆発的な勢いで跳び上がり、その闇よりも暗い腕の先に煌めく銀の光が、俺の肩口より――――。
しかし、その瞬間、俺の姿がぶれる。そう。長門と、おそらくは相対する黒き男からは、間違いなくそう見えたはず。
肩口より侵入した右の柳葉刀の一撃が、俺を完全に両断し振り抜かれた瞬間!
その一瞬前まで男の正面に居たはずの俺が、黒き男の左側に現れる。
そう。ソロモン七十二の魔将の一柱。魔将アガレスの職能により、加速状態となっている俺を捉えるには、人ならざる存在の黒い男でも僅かばかり足りない。
そして、その瞬転。俺の残像を両断した右腕の方ではなく、回転力を利用して二の太刀を放とうとした男の左腕が、周囲に男自体を構成する呪力を撒き散らせながら夜空に舞った。
男の口より、夜気を鋭く斬り裂く絶叫が放たれた。その獣にも似た叫びが、しかし、彼が夢幻の存在などではなく、現実に其処に存在しているモノで有る証。
しかし!
突如、俺の背後に響く金属同士が激しくぶつかる音。
俺の後ろに舞う白い影。
蒼の髪の毛が月の光を受けて輝き、その両の手に握られしは、闇よりも昏い死に神の鎌。
俺の方を無表情に一瞥した後、直ぐに興味なさげに在らぬ方を向ける少女。
そう。血の輝きを湛えしその双眸を……。
そして、再び、自らの身長よりも大きな死に神の鎌を振り上げ――――
無造作に振り降ろした。
宙を走る柳葉刀が、少女の振るう死に神の鎌に阻まれ、地上へと撃墜される。
宙を走る、眉と瞳の文様を刻まれし柳葉刀。つまり、これは宝貝の一種。眉目飛刀と言う事か。
俺を護ってくれた少女に気を取られた刹那の間、
黒き男の手の平に、無数の彼に相応しい彩に燃える炎が生み出され――――
次の瞬間、男の手を離れた無数の黒き炎は、拡大と分裂を繰り返しながら、俺を包み込もうと迫る。
そう。四方八方より襲い来る黒き炎を回避する事は事実上不可能。このままでは、黒き炎に焼かれ……。
しかし!
そう、しかし。俺を包み込もうとした黒き炎が、突如、俺の周囲に現れた防御用の陣が輝くと同時に、逆に自ら放った黒き炎に包まれる男。
それまで、憎悪の籠りし瞳で俺を見つめていた男の顔が、驚きに彩られる。
そして、次の瞬間。
炎に包まれた男の上半身と、そして、下半身が僅かにずれたのだった。
☆★☆★☆
「貴方は誰」
黒き男が燃え尽き、灰と成って風に散じた瞬間。血の色に輝く瞳で真っ直ぐに俺を見つめた少女が、そう問い掛けて来た。
夜の属性を帯びた、より彼女に相応しい声で。
そして、その際に感じた、微かな既視感。
髪型は長門と同じ。つまり、かなり短い目のショートボブ。但し、長門の方がややクセ毛だと思います。色は……蒼き月光を受けて、蒼銀の色に輝いて居ます。肌は……明らかに、新たに現れた少女の方が白い。瞳は、俺の左目と同じ紅。おそらく、彼女は先天性色素欠乏症の少女と言う事なのでしょうが……。
服装は……。これも長門と同じセーラー服姿。しかし、どう考えても、真冬の外を出歩く服装では有りません。そして、彼女の右腕を飾る複雑な意匠の銀の煌めき。
彼女から受けるイメージからの推測に過ぎないのですが、流石にミニスカートで、死に神の鎌を振り回して異形の者と戦闘する少女ですから、普通の少女と言う訳では無いとは思いますね。
身長に関しては……。ほぼ、長門と同じぐらいですか。
俺は、紅い瞳と蒼銀の髪の毛を持つ少女と、少し離れた街灯の下に立つ、紫色の髪の毛を持つ長門有希を交互に見つめた。
そして、海よりも深いため息。
「俺は、異世界よりの来訪者。水晶宮の端に名前を連ねる者、武神忍」
一応、新たに現れた蒼い少女の問いに対して、そう答える俺。……なのですが、あの異界化した空間に侵入出来る存在が、早々、存在しているとは思えませんね。
まして、俺は彼女から、長門と同じような雰囲気を感じているのですが。おそらくその部分が、彼女から感じた奇妙な感覚の正体なのでしょう。
そう。つまり、俺は、彼女の中に、長門有希と言う名前の少女型人工生命体を感じたと言う事だと思います。
俺の答えを聞いた少女は、それだけで満足したのか、そのまま立ち去ろうとする。
いや、おそらくは、これ以上この場に留まる事は、彼女に下されている命令に合致しない行動だったのでしょう。
しかし、
「せめて、名前だけでも教えて貰えないんやろうか?」
立ち去ろうとする蒼い少女の背中に対して、そう問い掛ける俺。
その声に反応して、少し振り返る少女。そして、青白い人工の光に照らし出された紅い瞳が、真っ直ぐに俺を映した。
闇の世界に浮かび上がった少女は……。憂いを湛えたその麗貌は、この年頃の少女に相応しい雰囲気……。うかつに触れるだけでも儚く消えて仕舞いそうな危うさと、繊細さを同居させていた。
長門と彼女。果たして、どちらがより正確な天の御使いの化身で有ろうか。
……いや、長門は邪神の眷属。聖典の中の一節を信用するのなら、すなわち、悪魔が光の御使いの姿を装うは珍しきことにあらず。……と言う事。ならば、彼女こそが本当の天の御使いと言う事と成るので有ろうか。
いや、違う。そう言えば、彼女も死に神の鎌を振るう存在でしたか。
「神代万結」
長門と同じ抑揚に乏しい平板な口調で、自らの名を口にする蒼き少女。
その吐息が纏う白い装い。
そして、その事実が彼女が夢幻の存在などではなく、其処に実在する人物の証。
「そうしたら、万結」
俺に名を告げた後、先ほどと同じように、くるりと踵を返して立ち去ろうとする少女を再び呼び止める俺。
その際、俺に近づいて来ていた長門が、一瞬、その歩みを止めた。何か、よく判らない、複雑な気を発した後に。
いや、長門が発したのは少しの違和感。これは、おそらく……。
三度、振り返った紅い瞳の少女が、俺を真っ直ぐに見つめる。ただ、不思議と苛立ちのような雰囲気を感じる事はない。
そして、同時に、俺に対して、完全に無関心と言う雰囲気ではない事も感じられた。
「さっきは、危ないトコロを助けてくれて、有り難うな」
蒼茫と暮れ行く屋上で、相馬さつきと名乗った少女に対して告げたように、月下の公園で出会った神代万結と名乗った少女に対しても、同じように礼と成る言葉を告げる俺。
その台詞を聞いた万結が、じっと俺を見つめた後、コクリと小さく首肯く。
……この娘も人付き合いが苦手なのか、それとも慣れていないのか。どちらにしても、この世界に来てから出会った少女は、すべて、某かの問題が有る少女ばかりだと言う事ですか。
但し、長門と、この万結の二人は生物的に言うなら人間ではなく、さつきは有名な家系に連なる術師。涼宮ハルヒと言う名の少女は、見た目は未だしも、精神の部分に問題が多そうですから。
しばらく俺を見つめた後に、神代万結と名乗った非常に儚い印象の少女は、踵を返して、公園から立ち去る。
ほんの少しの記憶だけを残して。
さて、そうしたら、今晩はこれからどうしますかね。
そう考えながら振り返る俺。
其処には、月明かりに照らされた少女が、何か微妙な雰囲気を纏って、俺を真っ直ぐに見つめて居た。
………………。
…………。
何故か、真っ直ぐに俺を見つめたまま、視線を逸らそうとしない長門。
まして、この感覚は……。
「何か、俺に言いたい事が有るのなら、言ってくれて構わないんやで」
そして、動こうとせずに、オマケに真っ直ぐに俺を見つめると言う行為を止めてくれたら、それだけで、俺は嬉しいのですが。
俺を自らの瞳の中心に映して居た長門が、少し考えた後、しかし、首を横に振った。
この反応は、長門自身が何に対して違和感を覚えているのか判っていないのか。それとも、理由は判っているけど、俺に対して要求する事が出来ないだけなのか。
ただ、彼女が望んだとしても出来る事と、難しい事が有るのですが……。
それは、
「さつきや、万結は名前を呼んで、何故、長門さんだけ苗字を呼ぶのか。その部分に引っ掛かりが有る、と言うんやろう?」
俺の問いに、少し間を置いて、彼女は微かに首肯いた。
確かに、出会った少女たちの名前を呼ぶ度に少し微妙な気を発せられたら、直ぐに違和感の正体など気付こうと言うモノなのですが……。
ただ……。
「長門さんの名前を呼ぶのは少し難しい」
他の名前ならば問題は有りません。但し、彼女の名前は問題が有ります。
「理由の説明を要求する」
口調はそれまでの彼女のままで。但し、このタイプの台詞は初めて。
今までは、俺のどんな荒唐無稽な説明も簡単に受け入れて来た彼女にしては、初めて、俺の言葉に対しての拒絶に近い感情を示したと言う事ですから。
まして、これは怒りだけとは違う。何か、哀しさを孕んでいるかのような、彼女が纏う独特のペシミズムと言う雰囲気だと思いますし……。
もっとも、先ほど出会った神代万結には、万結なりの。相馬さつきには、さつきなりの、彼女ら独特の雰囲気と言うモノを感じては居たのですが。
「長門さんの名前は、俺に取っても大切な言葉。その名前を口にするのは、魔術的な問題が生じる恐れが有る」
彼女に理解出来るかどうかは判りませんが、それでも、この説明が限界と言う部分にまで踏み込んだ説明を行う俺。
但し、それも可能性が有ると言うだけ。まして、彼女の固有名詞としてではなく、自然現象としての雪を口にするだけならば、今までも不都合は生じなかったので……。
彼女の名前を呼べない理由を告げた俺と、俺に名前を呼ばれる事のない少女の間に、如月の凍えた夜に相応しい大気がそっと忍び込む。
その瞬間。時計の針が、ひとつの境界線を越えた。
ある一日が過去へと過ぎ去り、そして、新たな一日が歩みを始める時間との境界線を……。
彼女……。長門有希独特の何か。儚いような、哀しいような気を纏った彼女が、その深い湖に等しい瞳に俺を映したまま、時を止めていた。
出会った夜と同じ種類の……。
「……有希」
何の脈絡もなく、まして、何の前振りもないままに、彼女の名前を呼ぶ俺。
これは自らの真名に繋がる名を呼ぶ以上、それなりの覚悟が必要となる行為。但し、彼女の瞳を曇らせてまで、護らなければならない名前でもない。
彼女の表情は……。いや、そんな解説は必要ない。
「そうしたら、今日から、名前の方を呼ばせて貰う事にするな」
魔法と言う世界に身を置くには、余りにも甘い考え。そして、ウカツな行為。まして、彼女の名前は俺の真名に繋がる名前で有る以上、俺がこの名前を呼ぶ度に、霊力が籠められる可能性も有る。
しかし……。
しかし、それでも尚、
長門が、小さく、しかし、確実に首肯いた。
彼女が、今発して居る雰囲気を感じ取る事が出来たのなら、それは、それで、良かった事。
少なくとも、今の俺にはそう思えたのだった。
後書き
にじファンに書いていた前作では、ラゴウ星事件の際に登場する事の無かった二人目の少女。神代万結の登場回でした。
もっとも、次の事件。にじファン閉鎖が行われ無かった場合の次の事件の際には登場予定だったので、その予定を前倒しにしただけなのですが。
それに、相馬さつきの方も既に前倒しと成って登場して居ますから、あまり、問題はないと思いますしね。
それでは、次回タイトルは『水晶宮は何処にある』です。
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