スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第十二話 この手で守りたくて
第十二話 この手で守りたくて
ロンド=ベルの面々からレオン=三島に話があった。それは。
「えっ、いいんですか!?」
「その様なことを」
「本当に」
「はい、こちらこそ御願いします」
彼はこうロンド=ベルの面々に言うのだった。
「彼等を貴方達に加えさせて下さい」
「ですがそれは」
ユウナが彼の言葉を受けて怪訝な顔で返した。
「貴方達にとっては」
「そうですね。あまりにも無謀です」
ユウナに続いてアズラエルも言ってきた。
「ギガンティックは貴方達の守りの要ではないのですか?」
「はい」
それはレオンも素直に認めることだった。
「それはその通りです」
「ではどうして」
「その彼等を」
「我々は今貴方達と共にいます」
レオンは彼等に対してこのことを話してきた。
「それはおわかりですね」
「ええ、それは」
「わかっているつもりです」
またユウナとアズラエルが答えた。
「我々はフロンティアに駐留しその整備と補給を受ける」
「そのうえで貴方達を守る」
「そして人類に悪意を持つ勢力も倒していく」
ここでまた言うレオンであった。
「そうなっていますね」
「その通りです」
「それは仰るままです」
「しかしです」
「それでも」
二人はさらに言う。
「貴方達の守りの要を預けて下さるのは」
「幾ら何でも」
「今の我々の守りの要は貴方達です」
レオンの言葉は大胆ですらあった。
「そう、貴方達なのです」
「私達だと」
「そう仰るのですか」
「はい」
そのことを肯定さえしてみせた。
「その通りです。今我々は一蓮托生ではありませんか」
「そうですな」
それに頷いたのは大河だった。
「仰る通りです」
「長官」
「それではまさか」
「受けましょう」
大河がここで言った。
「喜んで」
「ですがそれは」
「フロンティアには」
「しかし」
大河はまた言ってきた。
「我々は誓いましょう」
「何をでしょうか」
「フロンティアを守り抜きます」
そうするというのだ。
「何があろうともです」
「そうして頂けますか」
「はい、貴方達の為に」
大河の言葉は続く。
「彼等を迎えます」
「有り難うございます。それでは」
これで話は終わりだった。こうして十二体のギガンティックがロンド=ベルに加わることになった。早速そのパイロット達が挨拶に来た。
「うわ、国籍単位だったのか」
「これはまた」
皆まずはこのことに驚いた。
「アメリカに中国にロシアにインドね」
「そして欧州の国まで」
「南米やエジプトも」
「多国籍だったのね」
「一応それぞれのルーツの文化はあるさ」
ここで言ったのは眼鏡の男だった。
「俺はムハンマド=デュカキス」
「俺はハサン=パパスだ」
もう一人も名乗ってきた。
「宜しくな」
「共に戦わせてもらう」
「他にも大勢いるけれど」
「何か色々な顔触れがいて」
「まあそのうち名前と顔が頭に入るかな」
「お互いにね」
「ええ、そうね」
大海も頷く。
「一緒に戦っているうちにね」
「そうですよね」
小さな女の子もいた。
「これから宜しく御願いします」
「あっ、子供までいるんだ」
「パイロットかな」
「あはは、それは違います」
その少女は十歳程度だった。ロンド=ベルの面々の言葉に顔を崩して笑って応えたのである。
「私はパイロットじゃありません。スタッフです」
「スタッフなんだ」
「科学?それとも技術?」
「両方になりますね。私の名前ですけれど」
その名前についても話す彼女だった。
「天野卯兎美です」
「天野さんっていうのか」
「成程」
「卯兎美って呼んで下さい」
また笑っての言葉だった。
「これからはそれで」
「ああ、じゃあ」
「宜しく」
「御願いします」
ここで慎悟も挨拶をしてきた。
「それで僕達のマシンですが」
「それですが」
真名も言ってきたのだった。
「十二体が互いに影響してきています」
「それはです」
「十二体がそれぞれですか」
「影響し合ってるんですか」
「はい」
「そうです」
慎悟も真名もそうだというのだ。
「それで強くなっていきます」
「それぞれ影響し合い力を取り込み合って」
「それでなんです」
「かなり特別なマシンです」
「そうだよな」
話をここまで聞いたアポロが頷いた。
「それはな。うちにも変わったマシンが多いけれどな」
「そう言うアクエリオンもね」
「かなりだと思うけれど」
「そうか?普通じゃないのか?」
彼には自覚のないことだった。
「特におかしなところはないよな」
「僕達に意見を求められてもだ」
「客観的には言えないけれど」
シリウスもシルヴィアも首を傾げさせ困った顔で返してきた。
「だが。アクエリオンはそれでもだ」
「かなり変わったマシンだと思うわ」
「それを言ったら」
インド風の美女が言ってきた。
「私達のイシュタル12なんかは」
「そうよね」
その美女リリィ=ルーナに対してラヴィ=カーンが頷く。彼女もまた美女だ。
「それはね。否定しないわ」
「変わってるっていうのならね」
「そうね」
レイはシンジの言葉に頷いていた。
「僕達のエヴァだって」
「独特だから」
「まあ世の中中の人自体が凄い場合もあるし」
今言ったのはアスカである。
「もうね。壮絶な人だって」
「アスカだってあまり人のこと言えないんじゃ」
「何言ってるのよ、今回はいい意味よ」
こうシンジに返す。
「一矢さんとかタケルさんね」
「あの人達のことだったんだ」
「そうよ。誰のことだって思ったのよ」
「いや、いつもの」
シンジはこう前置きしてから話した。
「マスターアジアさんかと思ったんだけれど」
「流石にあの変態爺さんもこんな場所までは来ないわよ」
流石にそれはないと確信していた。
「幾ら何でもね」
「それはどうかしら」
しかしここで言ったのはレインだった。
「あの人だったらわからないわよ」
「うっ、確かに」
そしてアスカもそれを否定できなかった。
「それはその通りね」
「否定できないでしょ」
「ええ、かなり」
とにかくそれは無理だというのだった。そしてだ。
「それでだけれど」
「はい」
「何ですか?」
皆大海の言葉に問うた。
「皆で親睦を深めましょう」
「ってことは」
「これから」
「そうよ。飲みましょう」
まさにそれであった、
「飲みましょう。いいわね」
「お酒ですか」
「いいですね、それじゃあ」
こうしてだった。全員で飲む。その頃アルトは一人フロンティアの中を歩いていた。そしてその時にふと彼女と会ったのだった。
「あっ・・・・・・」
「御前は確か」
「はい、ランカです」
にこりと笑って答えたのだった。
「暫く振りです」
「そうだな。それにしても」
「はい?」
「まさかこんなところで会うとはな」
それを言うのだった。
「想像しなかったな」
「そうですよね。それで」
「それで?」
「これからどうされるんですか?」
顔を見上げてアルトに問うてきたのだった。
「何処か行かれるんですか?」
「そう言われてもな」
アルトはランカの問いに首を傾げながら応えた。
「今のところはな」
「そうなんですか」
「ああ、何処に行こうかと思っていたところなんだけれどな」
「じゃあ私のバイト先のお店はどうですか?」
「バイト先っていうと」
「はい、娘々です」
明るい声で言ってきたランカだった。
「そこです」
「そこにか」
「どうですか?美味しいですよ」
ランカはにこにことしながら話してきた。
「うちのお店のお料理は何でも」
「そうか。それなら」
「それにかなりの人が入られますし」
さらに言うランカだった。
「如何ですか?」
「そうだな。それだったら」
「じゃあそれで御願いします」
また笑って話すランカであった。
「今から」
「そうか。今からか」
「お酒もありますよ」
「いや、酒は今はいい」
「いいんですか?」
「とにかくそこに行かせてもらう」
こう返すアルトだった。
「それじゃあな」
「はい、行きましょう」
「ああ」
こうしてアルトはランカに連れられてその店に入った。そこは中華そのもの店でありテーブルも丸い。アルトとランカはそこに二人で座った。するとやけに胸の大きい眼鏡をかけた少女がやって来た。
「あっ、ランカさん」
「ナナセちゃん」
二人は笑顔でやり取りをしていた。
「今日はお客様ですか」
「うん、そうなの」
まさにその通りだというのだった。
「鮪饅頭御願いできるかしら」
「はい、わかりました」
「バイト仲間だな」
「貴方は確か」
そのナナセという少女もアルトに言ってきた。
「ロンド=ベルの」
「ああ」
「松浦ナナセです」
一礼してから彼に言ってきたのだった。
「宜しく御願いします」
「ああ、こちらこそな」
「それで何を御注文ですか?」
早速アルトに尋ねてきたのだった。
「何にされますか?」
「まずはその鮪饅頭を貰おうか」
アルトはまずは勧めに従った。
「後は」
「後は」
「麺類だな。海鮮麺だ」
「それですか」
「それと五目炒飯にそれと」
アルトの注文は続く。
「海老餃子に蟹焼売。それと豚バラだな」
「それですね」
「後は青梗菜もくれ」
「デザートは」
「杏仁豆腐。どれも二人分だ」
「わかりました」
こうして注文して二人で心おきなく食べた。それからだった。
店を出てそれから二人で歩く。ランカは明るく笑っている。
そうして歩きながらだ。アルトはそのランカに対して言ってきた。
「おい」
「どうしたんですか?」
「御前今は学生だな」
こう問うてきたのだ。
「そうだよな」
「はい、そうですけれど」
「そうか。確かシェリル=ノームもだったな」
「今私の学校にいますよ」
彼もそうだというのだった。
「ギャラクシーから留学みたいな形で」
「そうなのか」
「確かロンド=ベルの皆さんもそうなるんじゃ」
「そうなのか?」
「そうですよ。確か」
こう話すのであった。
「皆さん」
「何か話が急に決まったな」
「確かロンド=ベルの皆さんって」
さらに話す彼だった。
「今はマクロス7のシティにあるスクールに通っておられますよね」
「そうだけれどな」
「それでフロンティアに来られましたから」
こう話すのであった。
「フロンティアの学校に編入されるんですよ」
「話はわかった」
それでいいというのであった。
「ただ」
「ただ?」
「本格的にフロンティアに入るんだな」
アルトが思うのはこのことだった。
「それはまたな」
「だからアルトさんとは学校でも一緒ですよ」
「ああ」
「それにシェリルさんとも」
「あいつともか」
「あっ、見つけたわよ」
そしてここで三人目が出て来た。何とシェリルであった。
「早乙女アルト、いたわね」
「なっ、シェリル=ノーム」
「シェリルさん!?」
「遂に見つけたわよ」
こう言うのであった。
「今まで何処にいたのよ」
「俺を探していたのか」
「そうよ。いいわね」
「いい!?何がだ」
「貴方のことを知りたくてね」
不敵に笑って返すシェリルだった。
「それでね」
「それでか」
「そうよ。いい!?」
「何だ!?」
「これから付き合ってもらうわよ」
こう言ってきたのだ。
「いいわね、それは」
「一体何なんだそれは」
アルトにとってはわからない話だった。
「話が急にわからなくなってきたんだがな」
「どうしてシェリルさんがアルト君を!?」
「貴女は!?」
シェリルはここでランカを見た。そうしてそのうえで言うのだった。
「一体」
「はい、ランカ=リーといいます」
笑顔でシェリルに挨拶をするのだった。
「宜しく御願いします」
「わかったわ」
シェリルは彼女の挨拶を受けて微笑んだ。そのうえで言うのであった。
「それじゃあ」
「どうするっていうんだ?」
「今日はこれでいいわ」
踵を返しての言葉だった。
「また会いましょう」
「帰るというのか」
「そうよ」
こう言うのであった。
「またね」
「またか」
「そうよ。またね」
こうしてシェリルは今は帰るのだった。後に残ったのは二人だけになった。ここでアルトはランカに対して言ってきたのだった。
「なあ」
「はい?」
「これからどうするんだ?」
こうランカに問うのだった。
「何処に行くんだ?」
「ええと、後は」
「路面電車にでも乗るか?」
丁度目の前にそれが通っていた。見ながらの言葉だった。
「とりあえずは」
「はい、じゃあ」
「行くか」
また言うアルトだった。
「この街を見て回るか」
「そうですね」
こうやり取りをして今は二人でいた。そしてその翌日だった。
この日は平穏という訳にはいかなかった。朝からバジュラが来たのだ。
「敵襲だ!」
「はい!」
「来ました!」
すぐに全軍に連絡が入る。そして集結し出撃になった。
その中にギガンティックとそのパイロット達もいた。彼等も出撃するというのだ。
「それじゃあ今から」
「行きましょう、慎悟君」
真名が慎悟に告げる。
「今からね」
「はい、今から」
こう言い合い彼等も出撃に向かう。その中で。
「慎悟さん、真名さん」
「うん、卯兎美ちゃん」
「どうしたの?」
「ロンド=ベルとしての初陣ですね」
このことを言うのである。
「いよいよ」
「ああ、そうだね」
「今が」
「頑張って下さいね」
また二人に言うのだった。
「そして皆さんも」
「わかっている」
「それは」
二人だけでなく他のギガンティックも言ってきた。そうしてだった。
「よし!」
「全機迎撃!」
「行くぞ!」
こうして彼等とバジュラの戦いが再びはじまった。その中でだ。
「いいか!」
「はい!」
「隊長!」
ミシェルとルカがオズマの言葉に応える。
「バジュラのデータは既に読んでいるな」
「ええ、見たところ」
「生物なんですね」
それはもうわかっているのだった。
「けれど。何か」
「どうも今一つわからないところもありますね」
「そうだな。どうやら脳がない」
オズマもこのことを聞いていた。
「おかしな存在だ」
「確かにそうですね」
「どうやって動いてるんでしょうか」
「それはまだわからない」
オズマはまた言った。
「それにだ」
「ええ、数も多いですし」
「脳はないのに機能的な動きもします」
「妙な奴等だな」
アルトも言う。
「これはまたかなりな」
「しかし行かなければならない」
今言ったのはクランである。
「いいな、行くぞ」
「ああ、わかっている」
「第二スカル小隊発進!」
オズマが声をかけた。
「行くぞ!」
「了解!」
アルトが応える。そのうえで迎撃に向かうのだった。
バジュラの大軍はフロンティアに向かう。その大軍に攻撃する。
「撃て!」
「叩き落せ!」
まずはこう命令が出される。
「一機もフロンティアに近付けるな!」
「いいな!」
「そう、ここはね」
大海はラー=カイラムの艦橋にいた。そこからギガンティックの指揮にあたっている。
「防がないとまた」
「司令、ところで」
ブライトがその彼女に声をかけてきた。
「このバジュラですが」
「どうしたのでしょうか」
「これまでにも何度か戦ってますね」
「はい」
まさにその通りだと返す彼女だった。
「数もありその強さはです」
「そうですね。かなりです」
「その通りです」
まずはこのことを話すのであった。
「ですから注意して下さい。それに」
「それに?」
「これはまだはっきりとはわかりませんが」
こう前置きしてからの言葉だった。
「バジュラは進化するようです」
「進化ですか」
「そうです。進化です」
それがあるというのである。
「まだはっきりとわかりませんが」
「進化する」
「こちらの攻撃が効かなくなってきているようなのです」
こう話すのである。
「どうやら」
「艦長、それは」
「かなり厄介ですね」
ここでトーレスとサエグサもブライトに言ってきた。
「そんな敵だとすると」
「戦う度に強くなるのでは」
「その母星もわかりません」
バジュラについてさらに話される。
「ですから。そういう相手ですので」
「わかりました。まだ様子見が必要ですね」
考える顔で言うブライトだった。
「ここは」
「はい、それで御願いします」
「わかりました」
こんな話をしていた。その間にも戦闘が行われている。そうしてそのうえで戦いだ。今ユーノワ8が孔雀の目の様なものを背中に出すのだった。
「セルゲイ、いいわね」
「うん、タチヤナ」
セルゲイ=クラコフスキーはタチアナ=グリゴリエフの言葉に頷く。
「今度は数が多いから」
「一気に数を選らしていきましょう」
「うん」
「よし、シルヴィア」
「ええ、お兄様」
オリヴィエ=ミラボーは妹であるシルヴィア=ミラボーに声をかけていた。
「今回のバジュラは」
「前より強くなっているね」
「はい」
「えっ、そうなのか!?」
それを聞いて驚きの声をあげる甲児だった。
「この連中強くなってるのか」
「そうみたいね」
今言ったのはシンシア=ホルバインだった。
「前に比べて」
「これがバジュラです」
今度はダニエル=ピーターソンの言葉だ。
「戦う度に少しずつ強くなっています」
「進化か」
今言ったのは鉄也だった。
「そういうことだな」
「そうだね。生物なら当然のことだ」
大介も落ち着いた顔だった。
「ただ」
「何か凄い数だけれどな」
「それは何とかしないと」
ロンド=ベルの面々は今は派手に攻撃を浴びせていた。まずは数を減らすのだった。
「この数は」
「まずは減らさないとね」
「凄い火力ですね」
慎悟はここで彼等の戦いを見て言う。派手にファンネルやメガ粒子砲といったものでバジュラ達を吹き飛ばし敵を倒していた。
「ロンド=ベルの皆さんの武器は」
「慎悟君、私達も」
ここで真名が言ってきた。
「攻撃は幾らでもあるわよ」
「そうですね。十二のギガンティックの攻撃をそれぞれ使えますから」
「ええ、確かに」
「それと」
さらに言う真名だった。
「ただ。メインの技と比べたら威力は落ちるからね」
「はい」
「ああ、そうなのか」
ケーンは二人の言葉に気付いたのだった。
「全ての武器を普通に使えるってわけじゃないんだな」
「実はな」
「そうなのよ」
雲儀と走影が言ってきた。
「それぞれのギガンティックにも特性があるから」
「全ての武器を普通に使えるわけでもないの」
「まあそこまで都合よくはできてないか」
「そうだな」
タップとライトもここで言う。
「けれど十二のマシンの武器が使えるってな」
「それは確かに凄いな」
「例えばこのジュピター2はだ」
「得意な武器な雷だから」
ザイオンとレイが言う。
「しかし他のギガンティックの武器はだ」
「雷より威力は落ちるわ」
「しかしそれでもいいものだな」
グン=ジェムは素直に賞賛していた。
「わしのこのマシンもな。ギルガザムネとまではいかないまでもな」
「おい待ておっさん」
「あのマシンはないでしょ」
皆一斉に彼の今の言葉に突っ込みを入れる。
「そんなの使ったらそれこそ」
「大変なことになるじゃない」
「おお、そういえばそうだったな」
言われてそのことを思い出したのだった。
「あのマシンはそれで封印されたのだったな」
「だからそれで我慢しておいてくれよ」
「変な気を起こさないで」
「そうだな。しかし」
それでもまだ言う彼だった。
「あれはあれで破壊力があってだな」
「あんたもこっちも破壊されるから」
「それは問題外でしょ」
「まあそうだな。では止めておくか」
こう話してそのうえで今はそれを止める。しかしグン=ジェムはその剣でバジュラ達を次々に斬り倒していき戦いを有利に進めていた。
そしてだ。一時間程の戦闘でだ。バジュラ達はもういなくなっていた。
「もういないですね」
「そうね」
慎悟の言葉に真名が頷いていた。
「これでね」
「じゃあ戦闘は終わりですか」
「そうよ。じゃあ今は」
「そうよ。戦闘終了よ」
大海もここで言ってきた。
「皆帰還して」
「はい、じゃあ」
「これで」
「けれど」
ここでオズマを見てだった。見れば彼のバルキリーは被弾していた。
「少佐は大丈夫なの?」
「ええ、とりあえずは」
「命に別状はありません」
ミシェルとルカが応えた。
「ですが左腕に怪我をしていて」
「それが」
「骨折はないけれどな」
アルトも言ってきた。
「それでもな」
「そうか。それはいいがな」
ジェフリーもここで言う。
「しかし治療は必要だ」
「そうよね。ダーリンの為だから」
ボビーも真剣に気遣う顔だった。
「ここは急いでね」
「病院は手配できているか?」
「はい」
ジェフリーの言葉に応えたのはキャスリンだった。
「もう既に」
「そうか、ならいい」
「他に負傷者は」
「いることはいるが全員かすり傷だ」
こう答えた。
「入院する程のことはない」
「わかりました。それではすぐに」
「頼んだわよ」
ボビーも彼女に言う。こうしてオズマはすぐに病院に入れられた。
そうして病室にいるとだった。ランカが部屋に駆け込んできた。
「えっ、ランカ」
「どうしてここに!?」
「お兄ちゃん!」
見舞いのアルト達が驚く間もなく騒ぎ出すランカだった。明らかに普段とは違っていた。
「どうしてなのよ!」
「どうしてって」
「どうなってるんだ?」
「どうしてパイロットやってるのよ!」
その異様な様子で叫ぶのだった。
「もう乗らないって言ったじゃない。どうしてなのよ!」
「ランカ、それはだ」
「その約束で地球に残ったんでしょ!?どうしてなのよ!」
「おい、ランカ」
アルトがランカを抑えながら言ってきた。
「何だってんだ、急に」
「何でよ、何でよ!」
しかしランカは話にならない。
「何でなのよ!」
「これは駄目だ」
その彼女を見てサコンが言った。
「暫く落ち着かせよう」
「そうだな、ここは」
「まずは」
こう言ってであった。ランカに鎮静剤を打ってそのうえで静かにさせた。そうして何とか騒ぎを収まらせた。オズマはそれを見届けてから言った。
「ランカはか」
「一体どうしたんですか?」
「あんなになって」
「地球での戦いで家族を失っている」
そうだったというのだ。
「それも目の前でだ」
「目の前で」
「それで」
「じゃあトラウマですか」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「その通りだ。あれでかなりましになったんだがな」
「それでもですか」
「ああなるんですね」
「そうだ。そうなる」
こう話すのである。
「何かショックがあればだ」
「ああなる」
「洒落になりませんね、それは」
「俺が地球でパイロットをしていた時に派手に撃墜されたことがあった」
このことも話す。
「その時もああなった。それで二度と乗らないって約束したがな」
「それでどうして乗ったんですか?」
「そうしなければならない時だったからだ」
「大変でしたからね」
今言ったのは洸だった。
「もう少しでも人手が欲しい状況で」
「乗りたくはなかった」
こうは言った。
「しかしだ」
「しかしですか」
「そうだ。しかしだ」
乗るしかなかったというのである。
「だから今こうしてここにいる」
「そういうことですよね」
「仕方ないです」
「そう思って乗った。だが」
ランカに会った。それは予想していなかったのだ。
「ああなるとはな」
「正しいか正しくないかは言えない」
フォッカーも即答はできなかった。
「だが。それは一つの判断だ」
「判断か」
「正しいか間違っているかなんて言えないものだ」
まさにそうだというのだ。
「そういうものさ」
「そうか。そういうものか」
「だからだ。あんたの考えはランカを守る為でもある」
その為でもあるというのだ。
「だったらそれは正しい」
「正しいか」
「しかしランカとの約束は破ったな」
「ああ」
相反するものではあった。
「だが。それも仕方のないことだ」
「そう言ってくれるか」
「それでどうするんだ?これから」
「これからか」
「そうだ。どうするんだ?」
フォッカーが問うのはこのことだった。
「あんたはこれから。まだ乗るのか?」
「そのつもりだ」
答えはそれしかなかった。
「俺は戦う。人類の為にだ」
「ならいい。戦うんだな」
「ああ」
強い表情で頷くオズマだった。
「そうする」
「後はランカは」
アルトは彼女のことを考えていた。
「あいつはどうするかだな」
「頼む」
オズマはその彼に言ってきた。
「あいつのことを」
「いいんですか、俺で」
アルトは今の彼の言葉に目を向けた。
「俺で」
「ああ、頼む」
また頼むと告げたのである。
「あいつのことをだ」
「わかりました。それじゃあ」
「戦いはまだ続く」
これもわかっていることだった。
「だからだ」
「わかりました」
こう頷いてであった。戦いに向かうことになった。アルトの戦いは一つではなかった。
ランカは落ち着きを取り戻し自分の部屋に帰った。彼女についても今は落ち着いた。しかしそれは一つの話の終わりでしかなく別の話のはじまりであった。
第十二話完
2010・3・18
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