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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第十話 四つ巴の中で  

                 第十話 四つ巴の中で
三つの勢力に囲まれ攻められようとしているロンド=ベル。その彼等にだ。
「くっ!」
「またか!」
「衛星軌道上からの砲撃です!」
メイリンが叫んで報告する。
「ここでまた」
「ここで」
「まずいわね」
タリアがここで顔を曇らせる。
「これでは遺跡は」
「となると」
ここで言ったのはユウナだった。
「プロトデビルンの狙いはあの遺跡なんだろうね」
「となりますと」
アズラエルも言う。
「彼等はそれ程までに自分達の情報を渡したくない。そうなりますかね」
「この星に集いしサンプル達よ」
ここでまた声がした。
「!?この声は」
「あのプロトデビルンの司令の」
「間違いない」
そしてダラムにエツィーラもであった。
「我等がこの星に降りるのを拒んだあの艦隊の司令か」
「いいねえ」
それぞれ言うのであった。
「ここで出て来たのか」
「役者が揃ってきたね」
「我が名はゲペルニッチ」
語ってきたのだった。
「この約束された星で自由と幸福を得たサンプル達よ」
「まさか」
「私達も!?」
ダラムとエツィーラはこうも考えた。
「入っているのか」
「心外だね、それは」
「見果てぬ夢に酔いしれ暮らすがいい」
こう言うゲペルニッチだった。
「引き換えにだ」
「引き換えに!?」
「何だっていうの!?」
「我々はスピリチアを吸収する」
そうするというのだ。
「永遠の生命の果てるまで」
「させるものか!」
タケルが彼のその言葉に返す。
「俺達もそう簡単にはだ!」
「永遠の命の果てるまで」
「くっ、まさかこの連中だ」
「そうだな、マーズ」
マーグが彼に対して頷いた。
「ここまで積極的に仕掛けて来なかったのは」
「俺達を飼い殺しにする為かよ!」
エイジが忌々しげに言った。
「ふざけやがって!」
「スピリチア」
またこの言葉を出すエキセドルだった。
「それによって」
「これこそ究極の夢」
ゲペルニッチの言葉は恍惚となってさえいた。
「スピリチアファーム」
「スピリチアファーム」
「何、それは」
サリーと美穂がそれを聞いて言った。
「ファームっていうと」
「牧場」
「そういうことね」
ミヅキがここでわかったのだった。
「私達は家畜ってことなのね」
「ダ、ダラム様」
「この者達は」
「うろたえるな」
ダラムは浮き足立つ彼等に対して告げた。
「イデの力を手に入れればだ」
「そ、そうですね」
「あれを手に入れれば」
「あの様な化け物恐れるに足りん」
「いいかい?」
エツィーラもであった。
「撤退は死刑にするからね」
「は、はい」
「わかっております」
十二支族に言われれば逆らうことはできなかった。
「それでは」
「我等は」
「このままロンド=ベルを倒すよ」
あくまでそうするというのだ。
「いいね」
「ではプロトデビルンは」
「無視をするのですか?」
「前に来たら倒すんだよ」
そうしろというのだ。
「それでいいね」
「は、はい」
「それでは」
(連中の計画通りにことが進むものか)
エツィーラはまた一人笑っていた。
(今ここには無限力の欠片達が集まっている)
戦場を見ての呟きである。
(アカシック=レコードがこの状況を静観するとお思いかい?)
「無理よ・・・・・・」6
さしものミレーヌも弱気になっていた。
「こんなの・・・・・・」
「ミレーヌさん!」
「周りが皆敵でしかもスピリチアファームだなんて」
さしもの彼女も弱気にならざるを得なかった。
「そんな状況でどうしたら」
「それでもなんだ!」
だがガムリンがその彼女に言う。
「それでもやるんだ!」
「でも・・・・・・」
「歌うんだ!」
彼は言った。
「ここは何としても歌うんだ!」
「歌う・・・・・・」
「さっき言ったじゃないですか!」
そのことも言うのだった。
「あいつの分まで歌うって!」
「それなら」
「そうです、歌を!」
彼はあくまで言う。
「貴女の歌を!」
「キィィーーーーッ!!」
グババも叫ぶ。これで決まりだった。
「よし、ここは!」
「全軍守り抜くわよ!」
ジェフリーとボビーが言う。
「あたしも今回最高に本気よ!」
「げっ、ボビーさんが本気になった!」
「これは確実に何かが起こる」
「っていうか起きてるし!」
「マクロスクウォーターの力見せてあげるわよ!」
まさに本気のボビーであった。動きが違う。
「あたしの操艦見なさい!」
「す、凄いなこれは」
オリファーも唖然となっている。
「あれだけの動きをする戦艦なんてはじめてだ」
「そうね」
マーベットも唖然であった。
「あれだけの動きができるなんて」
「そらそらそら!」
今も動くボビーであった。
「そいじょそこいらの艦には負けないわよ!」
「ソロシップはエンジンをやられて航行不能だ」
こちらは正反対だった。
「防戦に徹するしかない」
「よし、それならだ!」
コスモのイデオンも動く。
「俺達はここでだ!」
「守るのか?」
「家がなくなったら困るからな」
それを理由にするのだった。
「だからだ。ここで戦う!」
「そうか。頼んだぞ」
「ああ!」
「ところでコスモ」
カーシャがまた言ってきた。
「踏ん張るのね」
「いつもの根性論だが」
コスモはまた言った。
「ここはそうするしかないな」
「ええ、もうね」
「じゃあやってやる!」
選択肢はなかった。
「戦ってやる!敵が誰だろうと生きることを諦めてたまるか!」
「今のうちにだ」
サコンもサコンで動いていた。
「脱出ルートを出しておく」
「ああ、頼んだぞ」
「それはね」
皆彼にも言う。戦いは熾烈なものだった。
敵はまさに尽きずに次々に来る。その数は。
「ガルラ帝国の時みたいだな」
「ああ」
「そうね」
「百倍ってとこか?」
「三百倍はいるけれど」
三つの勢力はどれもそれだけの力を注ぎ込んできたのだ。
「よくもまあこんなに」
「特にバッフ=クラン」
一番数が多いのは彼等だった。
「何処にこれだけの戦力があるのか」
「信じられないわね」
「まさか」
ここでベスは言った。
「連中もまた銀河単位の勢力なのか?」
「有り得るな」
頷いたのはモエラだった。
「それもな」
「そうだな。確かにな」
「今は耐えるしかないにしてもな」
「それだけの戦力があるのはわかっておくべきだな」
「ああ」
「これからの為にな」
こう話してであった。今はその数に耐えていた。しかしその中で。
ライディーンがグラビルを撃墜した時だった。
「!?」
「こいつ」
「ゴガアアアアアッ!」
絶叫してだ。そのうえでライディーンに襲い掛かって来たのだ。
そしてそのやけっぱちの攻撃を受けてだ。ライディーンは海に落ちてしまった。
「洸!」
「まずい!」
「ライディーンが!」
その彼を助けようとブルーガーが向かう。その中で。
「うう・・・・・・」
洸は闇の中にいた。彼はその中で思った。
「俺は・・・・・・死んだのか」
「いいえ」
だがそれは。誰かの声によって否定されたのだった。
「貴方は意識を失っているだけです」
「その声は!?」
彼にはすぐわかることだった。
「まさか」
「はい、そうです」
その通りだという返答だった。
「私は貴方の母ひびき玲子」
「やっぱり、母さん!」
「ですが今はムー帝国皇女レムリアとして」
「レムリアとして」
「勇者ひびき洸に会いに来ました」
そうだというのである。
「だから今ここに」
「でも」
しかしここで洸は言った。
「母さんは妖魔帝国の支配者大魔妖帝バラオとの戦いで」
「あの戦い、そうね」
「ラ=ムーの星を発動させて」
「確かに私は」
そのことへの返答も来た。
「バラオとの戦いで肉体から魂を失いました」
「それなのに」
「しかしです」
だが、だというのだ。
「その魂は勇者と共にあるべきライディーンに宿ったのです。
「じゃあ」
「はい」
「この遺跡の場所を俺に教えてくれたのも」
「貴方に最後の危機を教える為です」
「それはあのバルマーの祭司長が言っていた」
それが何かもわかるのだった。
「アポカリュプシスなのか」
「そうです」
「じゃあ教えてくれ、母さん」
その母に対する言葉だ。
「最後の危機」
「その危機・・・・・・」
「そのアポカリュプシスとは一体何なんだ!?」
「それを私の口から語ることには何の意味も持ちません」
だが彼女はこう答えるだけだった。
「私に言えることは一つだけ」
「一つだけ・・・・・・」
「そう、戦うのです」
こう言うのだった。
「戦うのです、洸」
「母さん・・・・・・!」
「強い意志、生きようとする意志」
彼女も言うのだった。
「人として生きる意志」
「それこそが」
「それだけがアポカリュプシスに打ち勝つ術です」
「待ってくれ、母さん!」
洸はその母に対して叫んだ。
「それだけじゃ何もわからないよ!」
「戦うのです」
だが母はこう言うのだけだった。
「ラ=ムーの星はライディーンと共にあります」
「ライディーンと」
「母さん、じゃあ俺は」
「戦うのです、洸」
またこの言葉を出したのだった。
「人類と銀河の為に」
「その為に」
「それがムーの民の願いであり母の願いです」
「願い・・・・・・」
「今ライディーンの最後の封印を解きます」
そうするというのだ。
「洸、負けないで・・・・・・」
「母さーーーーん!」
「おい、洸!」
「洸!」
神宮寺とマリが必死に呼び掛ける。
「生きてるのか、おい!」
「返事して!これ位じゃ死なないわよね!」
「ゴガアアアアッ!」
「あの化け物は全然平気かよ!」
ジョナサンが舌打ちの様に言う。
「あの化け物はよ!」
「まずい」
シラーも言う。
「洸も復帰していない。ここは」
「戦うしかない」
クインシィは既に剣を抜いている。
「それだけだ」
「これ位で人間死ぬかよ!」
「そうです!」
トールとニコルが言う。
「俺なんか機体が真っ二つになっても生きてたんだぞ!」
「僕だって!あれだけのダメージを受けても!」
「死ぬ訳がねえんだよ!」
トッドも叫ぶ。
「バーンの旦那!あんたなんかハイパー化から生き返ってきたよな!」
「確かにな。あの程度ではな」
「そうだよ、死ぬかよ!」
彼も力説する。
「絶対にな!」
「!?」
しかしこの時だった。
「な、何だ!?」
「この地鳴りは!?」
「地震!?」
「ち、違う!」
そうなのだった。違っていた。
「海が・・・・・・」
「割れてきた・・・・・・」
そしてだった。その割れた海から出て来てだった。
「ラァァァイディィィィィィン!!」
「ラ、ライディーン!」
「洸、生きてたのか!」
「やっぱり!」
「けれどあの光は一体」
「何だ!?」
「まさか」
「ラァァァァァイ!!」
その声を聞いてだった。マリは確信した。
「無事だったのね!」
「心配かけたなマリ!」
その彼からの言葉だ。
「もう大丈夫だぜ!」
「けれどあの」
「爆発的なエネルギーは」
「一体」
「そうだ」
神宮寺にはある程度わかることだった。
「バラオを倒したあの時の」
「ああ、ミスター!」
彼にも応える洸だった。
「ライディーンは再びムートロンを開放した!」
「ムートロン開放!?」
「しかも巨大化もせずに!?」
「まさかと思うが」
大文字がここで言った。
「ライディーンはあのエネルギーを制御しているのか」
「あの光は」
「まさに」
「神の力」
デボラ達三姉妹が言う。
「それね」
「今のライディーンは」
「最早」
「エモーショナル!」
フェイも歓声じみた声を出す。
「ちょびっとデンジャラスな感じね!」
「あれがライディーンの真の力か」
「まさしく」
「行くぞプロトデビルン!」
洸は言う。
「俺は戦う!人類と銀河の為に!」
「ゴガアアアッ!!」
「行くぞ!」
そしてグラビルに向かい。一撃で退けたのだった。
「ゴガアアアアッ!」
「い、今まで以上に」
「強くなってる」
「ライディーンも」
それは見てもわかることだった。
「何て強さ・・・・・・」
「本当に」
「行くぞライディーン!」
洸は今まさにライディーンと一心同体であった。
「最後まで戦うぞ!」
「あれは」
「シェリルさん」
カララは彼女がライディーンを見ていることに気付いて声をかけた。
「あのライディーンの力」
「ライディーンの力」
「あれもイデやザ=パワーと同じく」
力は多くあった。
「無限力の一端だとしたら」
「そうだとしたら」
「そんな力が幾つも存在するなんて何かがおかしいわ」
「そういえば」
カララもそれに思い立ったのだ。
「それは」
「ええ、それは」
「おかしいわね」
こう言ってであった。戦いを見続けるのであった。
その中でだ。クスハ、ブリットはエツィーラと戦いながらだ。話をしていた。
「おやおや」
「!?一体」
「何が言いたいんだ?」
「二人共よくないねえ」
エツィーラは笑いながら言ってきたのだった。
「念が乱れてるよ」
「えっ!?」
「気付いている!?」
「私を誰だと思ってるんだい?」
その倣岸不遜な物言いから話すのだった。
「バルマーの祭司長だよ」
「そうさ。だからわかるんだよ」
こう言うのであった。
「だからなのさ」
「この人、一体」
「何の目的で俺達と」
「確かに私はあんた達の敵さ」
それは彼女自身も認めることだった。
「けれどね」
「けれど!?」
「何だというんだ!?」
「ハザル坊や達とは目的が違うんだよ」
そうだというのだ。
「底が違うんだよ」
「御前の目的はわからない」
ここで洸が話に加わってきた。
「だが」
「だが。何だい?」
「一つだけはっきりとしていることがある!」
こう言うのだった。
「それはだ!」
「じゃあ聞かせてもらおうじゃないの?」
エツィーラはその彼の言葉を受けても平然としていた。
「太陽の勇者さん」
「御前が邪悪な目的で俺達に接したということだ?」
「おやおや」
エツィーラは今の彼の言葉を受けて肩をすくめてみせたのだった。
「何かって思えば」
「何だというつもりだ!違うのか!」
「ありきたりな答えだねえ、坊や」
「そう言うのか」
「言うさ、何度でも言ってやろうかい?」
冷笑と共の言葉だった。
「そっちの気の済むまでね」
「くっ、この女・・・・・・」
洸はその彼女に対して歯噛みした。
「そんなことを言うのか」
「言うさ。とにかくね」
さらにであった。
「あんた達もじっくりも見せてもらうよ」
「洸君、この相手は」
「はい、わかってます」
洸はクスハのその言葉に頷く。
「この女は」
「そうだな。気をつけるべきだ」
ブリットも同じものを感じていた。彼等の戦いはかなり熾烈だった。
そしてだ。ギジェはイデオンに向かっていた。そうしてだった。
「ユウキ=コスモか!」
「俺の名前を知っている!?」
「何度かやり取りを聞かせてもらった」
だから知っているというのだ。
「だからだ。そしてだ」
「そして?」
「ここで終わらせる」
こう言ってイデオンに向かう。
「この戦いでだ!」
「くっ、こいつ」
コスモはギジェのその執念を感じ取って呟いた。
「何故ここまでイデオンに執着する!?」
「イデもあるしね」
エツィーラは彼等も見ていた。
「この戦い、本当に面白いねえ」
「しかし」
ベスはこの戦いの中で呟いた。
「何だというのだ?」
「そうだな、これは」
「ああ、正規軍の戦い方じゃない」
軍人でもあるベスにはわかることだった。ハタリにもわかった。
「これはむしろ」
「ゲリラ的だ。だとすると」
ベスは考えを巡らせ続ける。
「バッフ=クラン軍の組織はどうなっているんだ!?」
「グワアアアアアアッ!」
「歌わなきゃ!」
ミレーヌもグラビルを前に歌っている。
「あたしだってサウンドフォース、ファイアーボンバーなんだから!」
「くっ!」
ここでギジェの乗機がイデオンの攻撃を受けてしまった。
「しまった!」
「やったわねコスモ!」
「いや、まだ生きている」
こうカーシャに返す。見ればその通りだった。
「まだ奴は」
「この力は何だ!?」
ギジェは今は周りを見ていた。
「ロゴ=ダウの異星人は巨神以外にも無限力を持っているのか!?」
こう感じ取ったのだ。
「だが、私は死ぬ訳にはいかない。あの力の発現を見るまでは!」
「これ以上の戦闘は無意味だ」
バラムも言う。既に自軍は殆ど残ってはいない。
「撤退する」
「はい、それでは」
「バッフ=クランは退いたな」
「はい」
ベスの言葉にカララが応える。
「ですが彼等は」
「そうだな」
「イデを手に入れることを諦めたわけではないでしょう」
「間違いなくな」
やがてガビルもグラビルもバルゴも撤退していた。そしてバルマー軍も。
「減ったね」
「九割を失いました」
「うふふ、やるじゃないか」
エツィーラは余裕の笑みを浮かべていた。
「このジュモーラを怯ませるなんてね」
「ジュモーラ!?」
「あのマシンはジュモーラっていうのか」
ここでロンド=ベルの面々もエツィーラのマシンの名前も知るのだった。
「そういうのね」
「そうか」
「お陰で陛下にいい土産話が出来たよ。それじゃあね」
「撤退した」
「バルマーも」
「しかしあの女」
「何を考えているの!?」
それが今のロンド=ベルの面々にはわからないことだった。
そしてだ。今は誰もいなくなった。しかしであった。
「サコン」
「どうなんだ!?」
ピートとリーがすぐにサコンに問うた。
「脱出ルートはまだか!?」
「見つからないのか!?」
「駄目だ・・・・・・」
サコンの言葉は彼にしては珍しく弱音だった。
「敵の包囲網を破らない限りは」
「脱出は無理なんですね」
「それでなのかよ」
ブンタとヤマガタケも言う。
「だとすれば」
「俺達はこのままなのかよ」
「いや、待て!」
しかしだった。ここでサンシローが言う。
「何か来るぞ!」
「何か!?」
「何かって!?」
「艦長!」
サリーがエキセドルに叫ぶ。
「この空域に高速で接近する物体をキャッチしました!」
「物体!?」
「間違いありません!」
美穂も言う。
「これってまさか・・・・・・」
「来たぜ!」
そしてだった。赤いバルキリーが来たのであった。
「待たせたな!」
「バ、バサラ!」
「今まで何処に行っていたんだ!?」
すぐにミレーヌとガムリンが彼に問うた。
「一体今まで」
「本当に」
「へへ、ちょっと銀河にね」
バサラは笑ってこう答えた。
「言ってたんだよ」
「銀河!?」
「さあ、皆行くぜ!」
バサラはまた笑って言った。叫んだと言ってもいい。
「さあ、皆行くぜ!」
「!?」
「ギターを」
「俺の歌を聴けーーーーーーーーーーーーっ!!」
そして奏でた歌は。
「!!」
マクロス7の中の花束の少女も反応した。
そしてロンド=ベルの面々もだ。思わず言った。
「一体」
「けれど」
「何ていい曲・・・・・・」
「パワー=トゥ=ザ=ドリーム!」
バサラはその技の名前を叫んだ。
「俺の新しい曲だ」
「そうか。バサラの奴」
レイは微笑んで言った。
「何があったか知らんが完全に吹っ切れたな」
「大尉!」
ガムリンが金竜に叫ぶ。
「あれを見て下さい!」
「!あれは!!」
「バ・・・・・・サ・・・・・・ラ・・・・・・」
シビルだった。何時の間にか彼女もいた。
「何故あの女が」
「くそっ!」
そしてギギルもいた
「あのアニマスピリチアのおかげでシビルが目覚めたのはいいが」
彼はそれはよしとしていた。
「今度は俺の調子がおかしくなっちまったじゃねえかよ!」
「見つけたぞ!」
そこにガビルも来た。
「発見美!」
「ガビルか!」
「ギギル、シビル、喜ぶがいい!」
その二人への言葉だった。
「貴様達はこのガビルが消滅の美に包んでやる!」
「何だと!?」
「私の美を受けるのだ!」
言いながら攻撃を浴びせてきた。
「ぐわっ!」
「どうだ、この美は!」
「くっ・・・・・・」
ギギルは何とか攻撃に耐えてだ。そのうえでそのガビルに問うのだった。
「ガビル、どうしてだ」
「どうしてだと!?」
「どうしてシビルを狙いやがる!」
彼が問うのはこのことだった。
「それは何故だ!」
「ゲペルニッチ様の御命令だ!」
「何っ!?」
「わかったなら死ぬのだ。抹殺美!」
こう言ってまた攻撃を浴びせる。ギギルはその中でまた言うのだった。
「何故だ、何故・・・・・・」
「させるかよ!」
何とここでだ。バサラがシビルの方に向かう。
「お、おい!」
「また何するってんだ!」
「どんな無茶をする気だ!」
「バサラ、何する気なの!?」
ミレーヌも彼に問う。
「今度は」
「シビルを助けに行く!」
そうするというのである。
「今からな!」
「えっ、シビルって」
またしても唖然となるミレーヌだった。
「あのプロトデビルンの女の子!?」
「シビルはな!」
そしてバサラはまた叫ぶ。
「俺に銀河を見せてくれた!」
「バサラ・・・・・・」
そのシビルがバサラを呼んでいた。
「それならだ!俺もだ!」
「あの野郎・・・・・・」
ギギルも攻撃を受けながらそのバサラを見て呟く。
「本気か」
「ふふふ、消えていけシビル」
だがその間にもガビルの攻撃は続いていた。
「消滅美!」
「シビルーーーーーーーーーッ!!」
だがここで。
「!!」
「何っ!?」
「光が!」
バサラとギギルはシビルが光の球体に包まれたのを見て声をあげた。
「何だこりゃ・・・・・・」
「馬鹿な・・・・・・」
ガビルもまた言う。
「あいつはまだ目覚めてはいない筈だ」
「シビル、御前・・・・・・」
バサラもその彼女を見て動きを止めていた。
「何だってんだ!?」
「おい、バサラ!」
ここでギギルがバサラに声をかけてきた。
「俺はな!」
「何だってんだ!?」
「シビルの為ならどうなってもいいんだ!」
こう言うのだった。
「俺はなだ!」
「その言葉嘘じゃねえな!」
「俺はギギルだ!」
こう叫んで。そして。
「俺の歌を聴けーーーーーーーーっ!」
「何っ!?」
バサラもその曲を聴いた。それは」
「ぱわーとぅーざどりーむ!!」
「何なの、これって」
ミレーヌはギギルが歌うのを見て言葉を失っていた。
「まさか・・・・・・」
「奴等が歌を・・・・・・」
それはレイもだった。
「まさかな」
「いや、しかし」
「これは」
皆その歌を聴いてであった。口々に言う。
「凄いダミ声だけれど」
「それでも」
「凄い迫力・・・・・・」
「心がある」
それは間違いなかった。そしてだ。
ガビルはその歌を聴いて苦しんでいた。そのうえで言うのだった。
「ギギル、貴様!」
「シビル、聴くんだ!」
ギギルは今シビルの為に歌っていたのだ。
「俺の歌をな!」
「へっ、上等じゃねえか!」
そしてバサラはギギルのその歌を聴いて笑っていた。
「俺の歌を俺より先に歌い出すとはな!」
「くっ、グラビル!」
ここでグラビルも再び出て来た。しかしであった。
「ゴガアアアアアッ!!」
「駄目だというのか、御前もまた!」
そしてであった。ガビルもさらに。
「アニマスピリアアまで加わるとはまさしく危険な存在」
「言うな」
「間違いなくな」
カットナルとケルナグールがここで読んだ。
「ここはだ」
「あの言葉だ」
「戦慄美!」
「ほれ見ろ、言ったぞ」
「予想通りだな」
二人はここで得意になった。
「うちのブンドルと同じだな」
「全くだ」
「失礼な」
それを聞いたブンドルはかなり面白くなさそうであった。
「私はあそこまでやたらと言ってはいない」
「いえ、それは」
「あのですね」
キラとルナマリアが戸惑いながら彼に突っ込みを入れた。
「お世辞にもそうは」
「言えませんけれど」
「私はただ美しいものを賛美しているだけだ」
やはり自覚はない。
「それだけだ」
「はあ」
「だったらいいんですけれど」
彼は相変わらずだった。そしてギギルは。
「ぐはっ・・・・・・」
血を吐いた。しかしだった。
「まだだ!」
「おい、ギギル!」
バサラがその彼に対して言う。
「もう止めろ!」
「許さねえ!」
だがギギルはまだ歌おうとする。
「シビルを殺そうとする奴は誰であろうと許さねえ!」
「もう止めろ!」
だがバサラがその彼を止める。
「死んじまうぞ!」
「バサラ・・・・・・」
「止めろギギル!」
彼も命を張ってギギルを止める。
「いいな!」
「!?」
「これは!」
そしてだった。ここでイデのゲージが一気にあがったのだった。
「いきなりパワーが上がったぞ!」
「地球に飛ばされた時と同じだ!」
ハタリとジョリバがそれぞれ言う。
「じゃあやっぱり」
「そうですね」
シェリルとカララが話す。
「歌の力は」
「イデの発動と関係が」
「!!」
今度は洸だった。
「来る!」
「えっ、洸」
「今度はどうしたんですか!?」
マリと麗が彼に問う。
「また何かあったの!?」
「だとすると」
「奴等が来る・・・・・・!」
洸はさらに言った。
「これがアポカリュプシスなのか!?」
「大変です!」
ここで猿丸が言った。
「惑星の衛星軌道上にフォールドアウトを多数確認です!」
「何っ!?」
神宮寺はそれを聞いて思わず身構えた。
「今度は何だ!?」
「宇宙怪獣です!」
スタリオンが言った。
「宇宙怪獣の大群がプロトデビルンと交戦しています!」
「今度は宇宙怪獣って」
「もう何が何か」
「だが好機だ」
ここでハマーンが決断を下した。
「ミネバ様」
「ハマーン、今なの?」
「そうです、今なら衛星軌道上の敵の包囲網を破れます」
それが可能だというのだ。
「シティ7と共に」
「わかたわ、それなら」
「ソロシップも今ならDSドライブが可能だ」
ベスも言う。
「だから今のうちに」
「よし、総員帰還!」
「すぐにこの惑星を離脱する!」
「そのまま超長距離フォールドに入ります!」
命令が慌しく行われる。
「今のうちに」
「とにかく」
「バサラ!」
その中でミレーヌがバサラに言う。
「早く帰らないと!」
「ギギル・・・・・・」
「安心しろバサラ!」
そのギギルがバサラに叫ぶ。
「俺は絶対に死なない!また会う!」
「その言葉嘘じゃねえな!」
「俺は嘘は言わん!」
その言葉が何よりの証だった。
「だからだ!早く行け!」
「わかった!なら次に会う時はだ!」
「ああ!」
「俺の歌をたっぷりと聴かせてやる!」
こう叫ぶのだった。
「俺の歌をな!」
「じゃあバサラ!」
「ああ!」
ミレーヌに応えて遂に彼も帰った。そしてであった。
「全機収容確認!」
「これで全てです!」
報告が次々とあがる、
「それでは」
「今から」
「全艦大気圏を離脱する」
グローバルが言う。
「その直後にフォールドに入る!」
「はい!」
「今から!」
「じゃあなギギル!」
バサラは宇宙に上がるその瞬間にも彼を呼んだ。
「また会おうぜ!」
「うおおおおおおおおおっ!」
バルゴも来ていた。だがギギルは全ての力を振り絞り。
その光を広げて遂には。
「ギギル、止めろおおおおおおおおおっ!」
「シビル、俺の全て・・・・・・」
彼の姿が消えた。
「また・・・・・・会おうぜ」
「ギギル・・・・・・」
これで戦いは終わった。彼等はその姿を一旦消す。そして。
ゲペルニッチは一旦退いていた。流石に連戦のうえで宇宙怪獣達との戦いはできなかった。それで退いて今は己の旗艦でミンメイ、そしてガビルと共にいた。
「ゲペルニッチ様」
「あの者達だな」
「はい、バルゴめは行方知れずとなりました」
そうなったというのだ。
「ギギル、シビルと共に」
「そうか」
「そして破壊神共もまた」
「あの者達はどうなったか」
「あの惑星から離れました。どうやら興味がないようです」
「そうか。しかしだ」
ここで彼は言った。
「五十万年周期の時を経て再びか」
「それに今回の活動はです」
ガビルの言葉は続く。
「これまでとは比較にならない程の規模を誇っております」
「そうだな」
「その様に美はなくおそましさと恐怖が銀河を塗り潰そうとしております」
「遂にだな」
ゲペルニッチはここまで聞いて述べた。
「アポカリュプシスがはじまるということか」
「!?」
ガビルもまたその言葉を聞いて眉を顰めさせた。そのうえで問うのであった。
「あの、それは」
「してサンプル共は」
だがここでゲペルニッチはさらに問うのであった。
「何処に消えた」
「現在のところそれは不明です」
だがそれはわからないというのであった。
「おそらく四万光年以上の長距離フォールドを敢行した模様です」
「そうか」
「どうされますか?」
「今はよい」
いいというのだった。
「我が手元にはもう一つのサンプルが残されておる」
「だからですか」
「我が夢、いまだ費えぬ」
こう言ってそれはいいとした。しかしここでミンメイが言うのだった。
「人の生命力を吸い取る為の農場なんて、そんなものは」
「黙れ!」
だがガビルはその彼女に怒鳴る。
「ゲペルニッチ様のお情けで側に置かれている情報収集用のサンプルが!」
「サンプルではありません、私は」
「何だと!」
「止めておけ」
ゲペルニッチはそのガビルを止めた。
「このサンプルが持つスピリチア再生種族の譲歩はまだまだ有用だ」
「だからですか」
「いずれアニマスピリチアは再び銀河にやって来る」
彼は確信していた。
「そしてその時こそが新たな夢を成し遂げる時となろう」
「その時こそこのガビル」
ここでガビルは恭しく述べた。
「ゲペルニッチ様の為に銀河に美の華を咲かせましょう」
(輝、急いで)
ミンメイはその中で言うのだった、
(このままでは捕らえられた人達は)
彼女も彼女の戦いの中で危惧していた。そしてその時。
ロンド=ベルは超空間の中を彷徨っていたのだった。
「超空間センサー使用不能」
「艦の制御も」
「このままでは何処に行くか」
「各艦は接近して下さい」
ミサトはすぐに判断を下した。
「何処に飛ばされるにしてもせめて同じ場所に」
「超空間内の流動速度低下!」
「通常空間に出ます!」
「総員対ショック姿勢!」
そうして出た場所は。そこは。
「えっ、まさか」
「ここは」
そこにあったのは巨大なシティだった。シティ7よりもまだ大きい。彼等はその前に出て来たのだった。そしてそのシティは。
「フロンティアか」
オズマが言った。
「まさかな。ここで会うとはな」
「二十五番目の移民船団」
「こんな場所で」
ロンド=ベルはその前に出たのであった。これが新たな出会いのはじまりであった。

第十話完

2010・3・10  
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