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仮面ライダー エターナルインフィニティ

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第五十一話 Wの同盟その十一

 そして人間だからだった。アルセーヌ達もまただった。
「それならばな」
「ではこれからも宜しくお願いしますね」
「こちらこそな」
「じゃあお近づきの印にね」
 トゥエンティーは服を脱いできた。そのうえで。
 異様に長い。別の生き物にすら見えるその乳首を誇示してリンボーダンスの様にして動きながらだ。こんなことを言うのだった。
「さあ、美しい僕を見るんだ!」
「何やこの兄ちゃん変態かいな」
 亜樹子はそのトゥエンティーを見て至極冷静にストーンリバーとラットに問うた。その彼を指差しながらそうしたのだ。
「何か最初見た時からそれ臭いって思ってたけどな」
「ああ、やっぱりわかるな」
「そんな気がしたんや」
 亜樹子はラットに答える。
「それで実際そやねんな」
「見ての通りだよ。これで授業もやるんだぜ」
「授業ってほんまに先生かいな」
「そういうことで潜伏してるんだよ。ああ、俺生徒な」
「そうなんか。怪盗っていうよりもな」
 どうかとだ。亜樹子は容赦のない突込みを述べた。
「ほんま変態さんやな」
「否定できないところが辛いな」
「そやねんな」
「こういう奴他にいるか?」
「変わった人多いけどな」
 戦士といっても色々だった。奇人変人の宝庫なのは否定できない。
「めっちゃ方向音痴の騎士とかおるで。おっぱいマウンテンで料理の下手な優等生とかな」
「ああ、後ろの方の人わかるぜ」 
 ラットは直感でわかった。
「他にはあれだろ。胸のないブロンドのドラゴンの女の子とかだろ」
「流石やな。わかるんやな」
「おおよそだけれどな」
「話がわかるな。まあとにかくや」
「ああ、ミルキィホームズとG4の方は頼んだぜ」
「任せとき」 
 亜樹子は右手を拳にして己の胸をどんと叩いて応えた。
「この美少女探偵に全部な」
「いや、美少女はいらねえだろ」
 ラットは脊髄反射的にそこに突っ込みを入れた。
「まあ探偵なのは確かだから探偵には探偵でな」
「警察には警察だな」
 照井が言うとだ。ストーンリバーはその彼を見て言うのだった。
「しかし。二十代前半で警視正か」
「そのことがどうした」
「あの明智心衣以上だな」
「その噂の娘以上か」
「そうだ。かなりのものだな」 
 ストーンリバーは照井を見続けている。その脅威の昇進を果たしている彼を。
「試験に合格してではないな」
「全て手柄によってだ」
「高校を卒業してすぐにか」
「そうだ。警察に入って昇進した」
 それが照井だ。高校を卒業して警察に入り二十歳で警視になり仮面ライダーになったのである。それは彼の能力と努力によるものだ。
「全て実力でなった。しかしだ」
「それは大したことではないか」
「俺は仮面ライダーだ」 
 仮面ライダーアクセル、それこそがだというのだ。
「そんなことはどうでもいいことだ」
「では大事なのは何だ」
「悪人を捕まえること。そして」
「スサノオか」
「そうだ。あいつと戦い勝つことだ」 
 警察の地位なぞどうでもよかった。それよりもだったのだ。
「それが俺の為すべきことだ」
「わかった。私の思った通り貴殿は大器だ」 
 ストーンリバーは腕を組んだ姿勢で照井を見ていた。
 そのうえでだ。こう彼に告げたのである。
「その貴殿と共闘できることを誇りに思う」
「人間としてだな」
「そうだ。それによってだ」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 ライダー達はそれぞれの相手の場所に向かった。アルセーヌはその彼等を見送ってから席に戻り微笑んで言うのだった。
「これもまた面白いですね」
「スサノオとの戦いですか?」
 トゥエンティーは裸になったまま怪しいポーズをしきりに取りながら述べる。
「それですか」
「神との戦い。人と競うのもまたよいものですが」
 アルセーヌは己の楽しみも口にした。
「しかし神と戦うこともまた」
「それもですね」
「非常に楽しみです」
「それでは僕達も」
「共に楽しんでくれますか?」
 アルセーヌがミステリアスな微笑みと共に尋ねるとだ。瞬時にだった。三人は淀みのない声で同時に答えたのだった。
「無論」
 この言葉に続いてだった。
「我等はアルセーヌ様の忠実な騎士」
「それならばアルセーヌ様と共に参ります」
「例え火の中水の中」
「そうですか。では共に参りましょう」
 アルセーヌは忠臣達の心をあらためて知り頷き。それから。
 立ち上がると黒いボンテージと覆面、そしてマントという派手な出で立ちになりそのうえで彼等に告げた。
「では今宵は」
「はい、これからの長い宴の前夜祭として」
「盛大に盗みに行きますか」
「豪華な美術品を」
「小さいものには興味はありません」
 あくまで狙うのは美、それがアルセーヌだった。
「全く」
「だからですね」
「今宵も」
「怪盗と探偵はこの世に必要なもの」 
 その怪盗としての言葉だった。
「その競い合いは世を飾るものです」
「けれどの前に人間なんですね」
 ラットはそこを言う。
「俺達は」
「人が何故競う合うか」
 アルセーヌもさらに言う。
「これまでは私も特に考えたことはありませんが」
「今はですか」
「はい、そうです」
 こうラットに述べる。
「人間が競い合う理由がわかった様に思えます」
「じゃあこれはそのトレーニングなんですか?」
「そうも考えられます」
「これまでは怪盗として盗むことが仕事って思ってましたけれど」
「それは違っていたかも知れませんね」
 神との戦い、そして彼女達とライダーとの共闘に想いを馳せながら獲物を手に入れに向かう。アルセーヌはこれからのことに胸を震わせていた。実際にも。


第五十一話   完


                         2012・7・19
 
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