仮面ライダー エターナルインフィニティ
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第四十四話 デンライナーでの騒動その五
「馬鹿だけれどいい奴でした」
「そうだな。確かに馬鹿だったが」
「悪い奴ではなかった」
シンゲンとケンシンも容赦なく言う。
「生きてはいないだろう」
「あの様なものに入れられてはな」
「ああ、それは安心してくれ」
だがここでだ。雄二が一同に言ってきた。実に落ち着いた顔と声で。
「明久はこんなことじゃ死なない。というか皆もこの程度じゃ死なないだろう」
「確かに。では吉井さんもこの蓋を開ければ」
「無傷じゃないが生きている」
そうだとだ。雄二はチェルシーにもはっきりと答える。
「では開けるか」
「まあ。お灸は据えましたし」
「これ位でいいわね」
瑞希と美波もこれ位でいいとしてだ。鉄の処女の蓋を開ける。するとあちこち穴が開き血を流しながらもぴんぴんとしている明久が出て来た。
その彼がだ。こう言うのだった。
「いや、本当に死ぬかと思ったよ」
「普通死ぬぜ、あんた」
杏子も流石に唖然となった顔で明久に突っ込みを入れる。
「けれど確かに急所は外れてたんだな」
「うん、何とかね」
「じゃあ大丈夫か。戦いにも参加できるか」
「その時には傷も回復してるよ」
「じゃあ何も心配もいらないな」
「とりあえずお肉くれるかな」
杏子が食っているその肉を所望したのだった。
「それ牛肉かな」
「そうだよ。美味いぜ」
言いながらだ。杏子は別の皿を出してきてだ。
そこに自分の皿の肉のうち半分位をフォークで分けてだ。そのうえで言うのだった。
「ほらよ、食いな」
「悪いね。じゃあ頂くよ」
「まあな。戦士だけに身体は頑丈だけれどな」
それでもだった。明久の頑丈さはかなりのものだった。
「よく生きてるさ」
「ええと。佐倉さんだと」
「あたしでも死ぬと思うぜ」
自分で分析して言う杏子だった。
「というか普通は死ぬからな」
「僕は普通じゃないのかな」
戦士の間でもだという意味である。
「ひょっとして」
「かもな。しかし本当にこれ怖いな」
今度は鉄の処女を見て言うのだった。それは杏子が見てもだった。
「人間こんなのも造っちまうんだな」
「これはある貴族が造ったものだよ」
利光がその鉄の処女の詳しい説明をしてきた。
「エリザベート=バートリーというね」
「えっ、その名前聞いたことありますよ」
その名前を聞いてだ。ヒデヨシが顔を曇らせて応えた。
「物凄く悪い人だったんじゃないですか?」
「そう。何百人という人を殺してきたんだ」
あっさりとだ。利光は怖い事実を話した。
「己の若狭を保つ為にね。乙女の血を絞り取ってその血の風呂に入ったんだよ」
「うわ、もうそれって何か」
「完全に頭おかしいでしょ」
さやかもだ。その女の話には顔を顰めさせる。
そして自分が飲んでいる木の杯の中の赤ワインを見てだ。こう言ったのだった。
「ワイン飲むならともかく」
「そうよね。それはね」
「どんな頭の構造してたのよ」
「狂ってたと言われているよ」
そのさやかとヒデヨシにだ。利光はさらに話す。
「そうして何百人もだからね」
「そんな怪物が使っていたものなのね、これって」
ルイズもだ。流石に引いている。その顔で鉄の処女を見ていた。
「全く。恐ろしい話だわ」
「普通は拷問に使うのだ」
アニエスは使用方法を説明する。ワインを飲みながら。
「だが。この世界にもそうした話がない訳でもない」
「わしもそこまではとてもできんぞ」
ノブナガもだ。何とか表情を消すのがやっとの話だった。
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