魔法少女リリカルなのは【喜ぶべき死】
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二話目
前書き
どうも。お久しぶりです
あしゅきです
約六ヵ月ぶりの更新です
そして喋ることがありません
なので本編をどうぞ
※後書きを修正しました
浦康→浦保
人殺しの少年がいる
最近有名な通り魔だ。風と共に現れ血の臭いとともに消え去る。残った死体はどれも不可思議な死に方をしていて『首がない』『心臓がない』『脳がない』いずれも事件の現場付近にはなく、また被害者の体には取り出した後の傷もついていなかった
全くの無傷
通り魔の少年の身長は九歳ぐらいで、髪は黒。だが、その名だけは判明していない。もはや幽霊かなにかじゃないかと世間で騒がれている。が、目撃者は口を揃えて言う
「20秒後ぐらいに、見えなくなる」
わけのわからない供述に、警察は手を焼いてるとか。その供述に、オカルト集団は狂喜乱舞してるとか
「…つまらないな」
「えー!なんで?恐くないの?」
時刻は太陽が丁度真上を通る午後『12:46』春ののどかな日光と、生ぬるく心地よい風を直で受ける屋上で、一人の少年と三人の少女が平和に昼飯を食べていた
「恐くなんてない。恐怖を感じる必要がない」
「私は恐いけどなぁ…幽霊の呪いとかかもしれないし…!」
「それこそありえない。子供の怨霊が出てくるような事件は起こってないし」
自らの想像で恐怖に震える高町に対し、子供の幽霊だという可能性を坦々と切り捨てる曹条。高町は、少しムッとなる。大抵の相手ならこれだけ言えば会話の輪が広がるってもの。しかし、曹条は坦々と切り捨て、会話の続きを断ち切っている。彼は子供だとは思えないほど大人びていたのだ
「ば、バカ言わないでよ。ゆ、幽霊なんてそそそ存在するはずなんて―」
「アリサちゃん…」
分かりやすく反応を示してくれたのは"アリサ・バニングス"という金髪の少女で、高町から見れば頭も良くて優しいとてもいい子だ。高町の一年生からの友達でもある。バニングスといえば、外国で有名な会社の社長の名字だ。彼女は令嬢であり、帰国子女でもある。彼女は高町の視線に耐えられなかったのか、テンパりながらもご飯を口の中に詰め込み始める
「アリサちゃん…そんな反応だと肯定しているようなものだよ?」
「んぐっ!?」
そう言ってバニングスの息の根を止めたのは"月村すずか"紫の長髪に少しおっとりしてそうな雰囲気を纏っている。少女バニングスと同じく、高町とは一年生からの付き合いだ。月村家と言えば、町内で一番の大きさを誇る家を持つ。簡単に言えばセレブの生まれだ。どうやら高町家の住人は金持ちと引かれる運命にあるらしい
「すずかちゃんは恐くないの?」
「え?うーん…ちょっと恐いかな」
「バカバカしい。恐がる必要なんてないだろうに」
「ゲホッ!ゲホッ!あ、あんたはなんで怖がってないのよ!?」
「だから恐がる必要がないから、って言ってるじゃないか。幽霊なんて昔いたお間抜け野郎が何かと見間違え、勘違いから広まった存在であって、実在なんかするはずない。いると思うから見えるように感じるのさ、いないと思えばいないし感じない。霊感が強い人なんてたまに出てくるけど見えるとか感じるとかそんなのウソっぱちに決まってる。幽霊が見える証拠を出せなんて言われても出せないし、言葉でしか言えないしね。非常にバレにくい。世の中は物事が科学で実証される。幽霊なんて非科学的だ」
「は、はうー…」
「な、なのはちゃんの頭から煙が!?」
「話が難しすぎたのよ…!」
「…要するに。恐がる必要なんてないんだよ。特に、なのはは安心していいよ。だって――
――僕が、守るからね」
キラキラとしたオーラを纏いながら高町の手を握る曹条。その姿勢はまるで姫に忠誠を誓う騎士のよう
前回言った通り、曹条の顔は悪くない。今のようにキリッとした表情なら大抵の女子は落ちてしまうかもしれない
その証拠に、月村とバニングスの顔は少し赤く染まっているように見える
しかし―
「浦康君―
―――キモい」
「ぐはっ!?」
なのはの 素直な一言 !
こうかは ばつぐんだ !
その一言は、曹条の心(メンタル)に深く突き刺さる。そして頭の中で言葉が何度もリピートされる
「そもそも浦廉君ってあんまり私のタイプじゃないし」
「ナマステェッッッ!!??」
更なる追い討ち。思わず頭を抱えて空を仰ぐ。
この状況には流石の二人も同情気味のよう。当の本人は手を払って少し距離を取っている
「あ。もうこんな時間だ。先に教室に戻ってるね」
高町は食べ終わり空になった弁当箱を持ち、屋上の扉から階段を降りていった。その姿は嫌いな物から解放された子供のように見えた。
残された曹条はひんやりとしたコンクリートに両手をつけ、四つん這いの格好でその場に沈む。それを見てさすがに心配したのか、バニングスと月村は声をかける
「ちょっと、大丈夫?」
「なのはちゃんもキツいなぁ…なんで浦廉君にだけあんなにキツいんだろう…?」
二人の励ましの言葉がかかるが、曹条はフルフルと震え出す
さ、さすがにまずいかな…?
なんてことを思っていたが
「…そんななのはも素敵だァァァァッー!!!」
「「……ハァ」」
高町と曹条の出会いは五歳の頃だ。当時高町家に大事件が起こった。
それは大黒柱である士郎が仕事中に大ケガをするというものだった。
母と姉はそれぞれがそれぞれの思いで引きこもり、兄は鬼のように修行に取り組んだ。幼いなのはには気遣う暇など無く、最低限の食事だけを与えて引きこもっていた。
五歳のなのはだが家族の異変にはもちろん気づいていたし、迷惑をかけてはいけないとも思っていた。
だからなのははそんな扱いを受けていても何一つ文句は言わなかった。
そして、年頃の我が儘を言うこともなかった
迷惑をかけないために公園で遊んでいる時、なのはは嫌でも目にした。
親に手を引かれ、笑顔で帰る子供。
親にしかられつつも、我が儘を言う子供
どれも、自分が押さえていたもの。
自分が、心のそこから欲しているもの。けれど欲してはいけない。それが母に、姉に、兄に迷惑をかけてしまうものであれば決して欲していけない。
そう思い、スコップを片手にザクザクと砂場を掘り進めた。今作っているのは土のトンネルだ。
この前誰かが豪華な城を作っていたが、あんなものを真似して作ることなど不可能であり不器用ななのはには絶対に出来なかった
ザク、ザク
昨日は入り口から出口へ一直線の物だったが、今日は頑張って四つ出入り口のあるトンネルを作ってみよう
ザク、ザク
作ったとしても誰も誉めてはくれないが、そこまでの過程が大事なのであって結果はおまけだ
ザク、ザク
努力したという目に見える過程が必要なんだ
ザク、ザク
ザッ、ザッ
砂を掘り進める音とはまや別の音がする。
足音だ。誰かの足音がする。
複数いる音じゃない。一人、一人だけでこちらに歩いてくる人がいる。
なのはは少し怖くなった。もしかしたら、悪いおじさんかもしれない。
だが問題はない。おかしを貰わなければいいだけの話だ。
ずっと断れば諦めて帰ってくれるに違いない。なのはは掘り進める
ザク、ザク
ザッ、ザッ
足音がどんどん近くなる。少しずつ恐怖心が膨らんでいく。
大丈夫、なのはは強い子だ。だから大丈夫
ザク、ザク
ザッ。
ついに目の前に来た。
大丈夫、目を合わせちゃダメだ。目を合わせなければ大丈夫だ。
そんなことを思っていても、体は少し震えていた。連れていかれたらどうしよう。
もう、おかあさんにもおねえちゃんにもおにいちゃんにも、おとうさんにもあえなくなるかもしれない。
そう思うと、やっぱり怖かった
時間だけが過ぎていく。実際には数秒しかたっていないが、なのはには数十分にも感じた。
相手が息を吸う音がわずかに聞こえた。
大丈夫、言う言葉は決まってる。
「おかしなんていらない」だ。
言い続ければ諦めてくれるはず。
そして、唇が動いた
「…やっと見つけた、君が僕を待っててくれt「わたし!おかしなんていらない!」…?」
それが、高町なのはと曹条浦康の出会いだった
しかし曹条もなのはも気がつかなかった。
自分の後ろに不気味な足のない幽霊が立っていることに
後書き
因みに主人公の名前の読みは曹条(そうじょう)浦保(うらやす)です
曹はじょとも読めるので、一応ジョジョです
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