魔法少女リリカルなのは【喜ぶべき死】
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一話目
ジリリリリリッ!!騒がしい目覚ましのベルが鳴る
普通ならベルを止めるために時計へと伸びる手があるはずだが、いつまでたってもベルを止める手が来る気配がなかった
けたたましいベルが朝のマンションに響き渡る。その音をBGMに、窓から曙を眺める少年がいた
少年の名は"曹条浦保"あるマンションの一部屋に住む『私立聖祥大学付属小学校』の三年生だ
身長は130~40あたりだろう。髪は黒に近い青、群青色に染め上げられている
その容姿は、決して悪くはない。黙っていればいい男だ
そんな彼は、海から昇ってくる太陽を見ながら日課を始める
「ハァ…高町なのは……ああ。なぜそんなに美しいのか…見た目はもちろん、なびく茶髪煌めく瞳声の高さ笑
い声泣き声すねた声掛け声歩く姿走る姿フォーム歩調スキップその度にはねあがるツインテール白のリボン制服私服ウェイトレス服運動着パジャマ照れ隠しの笑顔純粋な笑顔困った笑顔無理した笑顔傷ついた顔泣きそうな顔泣いた顔そしてそのあとの笑顔怒った顔良いことがあったときの笑顔ショックを受けた顔腕の長さ指の数長さ爪の長さ艶かしい脚ふとした時の仕草そして走れば転けるどんくささ…ああ、美しい…願わくは僕の隣でその美しい生涯を散らして…」
ドンドンッ!扉が叩かれる音が日課を勤めている少年の耳に入る。思わず、言葉が止まる
「うるさいぞ!!今何時だと思ってやがる!さっさと目覚ましのベルを止めやがれクソが!!」
昨日寝るのが遅かったのだろうか、それとも酒が入っているのか。男は非常にイラついた声で目覚まし時計の持ち主を怒鳴っている
目覚ましのベルは、既に起きている持ち主をまだ起こそうとジリリジリリと鳴っていた
「……僕の日課の『愛のポエム』を邪魔するとは、とんだ命知らずだな…」
ドアに向かい、そう呟いた曹条だったが。特にその場を動くとなく、ただドアを眺めてじっとしている
ドアの向こうの男は、まだ寝ているのかと勘違いしてさらにドアを叩き声量を上げる
「おいッ!いい加減にしろよ!さっさと出てk」
そこで、男の声は止まった。まるでテレビの電源を消したかのように唐突に
曹条はそれに満足したのか、再び朝日を眺め始めた
その数分後のことだ
マンションの下にはけたたましいサイレンを鳴らしている車両が三台止まっていた
車の至るところには"警視庁"と描かれていた
「しっかし、朝から出勤たぁ。やってられねぇなぁ…」
「全くです…しかし、酷い状態ですね」
二人の刑事はダルそうに愚痴をもらし、被せられて盛り上がったブルーシートを見た
その下を確認するように、一人の刑事がブルーシートを捲る
思わず「うぇ」と言ってしまう。そこには血だらけになった男の死体があった
高い所から落ちたのだろう。内側から破裂したような状態になって動かない
「この感じじゃこのマンションから落ちたんでしょうね…」
「ああ。被害者はマンションの五階に住んでいる。近所に聞けば、よく酒を飲む危なっかしい人だったらしい。こりゃ酔った勢いで落ちたんだろうな…」
「ですね…今朝も酔ったようにうるさかったらしいですし…」
後輩である米本はそう言っているが、先輩である浜島はそうは思わなかった
おかしい点が何個かある。まずは、マンションの塀の高さ。塀は160センチと決して低くはない
むしろ高いぐらいだ
被害者の身長は169センチ。落ちれないことはないが、酔った勢いで落ちるような低さじゃあない
次に、死亡直前被害者はドアを叩いてわめき散らしていた
叩いていてそのまま落ちるなんてことはありえない
もしかすると、これは―
「―他殺、か…」
「…浜島さん?どうかしましたか?」
米本に声をかけられて、浜島はハッとした
そうだ。これはただの俺の推測に過ぎない…もしかすると本当に事故の可能性もある
決めつけるには、まだ早すぎる。刑事の勘ばっかりを当てにしてばかりではダメだ
「―いや。なんでもない。それより、聞き込みを再開するぞ」
「わかりました」
新米刑事とベテラン刑事のコンビ。二人の行く末は、神のみぞ知る――
ジリリリリリッ!目覚ましはまだしつこくそのベルを鳴らしていた
既に一時間はたっているが、特殊なタイプなのだろうか未だに鳴り続けていた
「…ん?なんだ、まだ鳴ってたのか…」
曹条はようやく目覚ましの存在に気づき、カチリとベルを止める
長い仕事を終えた時計はそれと同時に針の動きを止めた
「…チッ。電池切れか……帰りに電池を買わないと…」
それだけ言って、時計をベッドへと投げ捨てた
それと同時に曹条は着替えを始める
曹条の住んでいるこの一室は独り暮らし用だ。もちろん、曹条以外だれも住んでいない
彼は孤児だ。親の存在を知らず、苗字だけ同じ親族に煙たがれ、いつの間にかここに一人で住んでいた
子供の自分には理解出来ないが、ここに他意で一人住まされているのは理解している
親もいず、頼れる存在もいない。はたから見れば曹条は不幸の塊だ
しかし、曹条不幸せだとは微塵も思っていなかった
いつも通り、トーストから出たパンをかじり部屋を出る。部屋の千錠をしっかりし、そして急ぎ目で学校へと登校する
気のせいか、その額には汗が滲んでいるように見てた
ベッドの上の時計は既にその動きを止めていたが、最後に止まった時刻を指していた
『9:36』学校の朝礼が始まるのは『8:45』
完全に遅刻だった
"高町なのは"という少女がいる
鮮やかな茶髪に、白いリボンで短いツインテールをしてる少女だ
美少女である。という点を除けば普通の少女だ
得意教科は理数系。苦手教科は文系
もっと苦手なのは体育。血筋のためか、そこまで酷くはないが中の下と言ったところだろう
利き手は左。ちょっと自慢
成績は全体的に見れば良い方。それもちょっと自慢
自称『平凡な小学三年生』それが高町なのはだ
彼女の起床時刻は7:30
眠たそうに目を擦りながらベッドから離れることで、彼女の朝は始まる
まずは部屋を出て、下に降りて洗顔をする。眠気を飛ばさなければその日の授業を生き残れないからだ
次に制服へと着替えるために自分の部屋に戻る、少し足早なのは少しでも急がないと朝食を食べれないからだ
着替え終えれば朝食だ。家族と朝の挨拶を交わしにいく
「おはよう。お父さん、お母さん」
「おはようなのは」
「おはよう。なのは。よく眠れた?」
「うん!」
父は高町士郎。母は高町桃子。彼女の自慢の両親だ
両親は喫茶店を経営しており、この町『海鳴市』でもそこそこ有名な店だ
おすすめメニューは父が入れた絶品コーヒーと、母が作った絶品ケーキ
彼女も母が作ったケーキが大好物だった
「ふぅ…あ。おはようなのは」
「お姉ちゃん。おはよう」
次にリビングに入ってきたのは姉である"高町美由希"だ
艶やかな黒ロングヘヤーに眼鏡をつけている。可愛い物好きで、オコジョのような動物は特に好きらしい
しかし、料理の腕は壊滅的で。なのはもその腕に一度寝込んだことがある
あれはもう、二度と味わいたくないものだ
美由希は運動をしていたのだろうか、流れる汗を可愛らしいタオルで拭っている
少し色気が出ていて、なんとなく羨ましくなった
「ねぇ聞いてよ~…きょうちゃんったら酷いのよ~ちょっと忍さんとの仲を聞いただけなのにお姉ちゃんをいじめてくるのよ~」
「にゃ、にゃはは…」
「兄をからかってくるお前が悪い。なのは、おはよう」
「あ。お兄ちゃん。おはよう」
同じようにタオルで拭いながらリビングに入ってきたのは、兄である"高町恭也"
長男であり、高町家の三人兄弟では一番の年上だ
姉の美由希とは結構仲が良く、時々恋人のように見えるが、兄の恭也には既に恋人がいるのでそれはありえないだろう
恭也にそう言われると、美由希は「うぅ~…私だって女の子なのに~」と愚痴を溢している
なのはにはよく分からないが、家にある道場で何やら修行なるものをしているらしい
幼いなのはにはその内容を誰も教えてくれないが、以前父が少しだけ溢した
曰く『人を守る修行』らしい
幼いなのはは、その響きにスゴく憧れた
「皆揃ったわね…さ、食べましょうか」
母の桃子が、最後に作った料理をキッチンから持ってくる
それを机において、朝の食卓の完成だ
「それじゃあ、いただきます」
「「「いただきます(!)」」」
強く、優しい両親に、頼れる姉と兄。どこからどう見ても、なのははこの上ない幸福(しあわせ)者だった
そんな彼女に、一つの転機が訪れようとしていた
木漏れ日の差すほの暗い森の中。一人の少年が光を放つ不思議な陣の上に立っていた
その服はまるで旅人のようで、髪は外国人のように綺麗な金色だった
ポツリポツリと呟いているが、言語が違うらしく何を言っているのかは分からない
「―――、―――………ジュエルシード、―――!」
呟き終えたと思えば、瞬間陣が光を強め、緑色の光を放つ帯を伸ばした
その帯は、点滅を繰り返している一つの青い宝石に巻きつき、包んだ
瞬間。辺りを光が覆う。視界が真っ白に塗りつぶされるが、目が慣れた頃には先程の宝石は点滅をしていなかった
「ハァ…ハァ……。―――、―――――…」
それだけ言って、少年はその場に倒れた
少年少女が交わろうとしていた
この町『海鳴市』で―
後書き
原作を最近見ていないので、設定が合っているかどうか非常に不安ですがよろしくお願いします
所で、なろうの頃と書き方を変えたのですが、どうでしょうか?
読みにくくなっているなら、変えようと思います
皆様のご意見をお聞かせください
それでは失礼します
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