八条学園騒動記
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第七十七話 はじめてのサーフィンその六
「まあ開いていなかったらだけれど」
「どうかしら」
「七海は真面目だけれどね」
クラスでもかなり真面目な方である。だからまあ開いているだろうとは思っているがそれでも食べ物のことなので話をしていたのである。どうしても食べ物の話になると勢いがついてしまう。これは彼女達も同じであり最早無意識のうちに進んでいるのだった。そしてそれを止めることが困難であるのもまた同じであったがそれも止まってしまい自然と話は本来進むべき方向へと進んでいた。この辺りも実にこのクラスの面々らしいことであった。いいか悪いかは別にしてこれがこのクラスであり彼女達もその中にいる。これは紛れもない事実であった。
「どうかしら」
「ほら、着いたわよ」
ここで二人はプールの玄関に辿り着いた。
「さあ、開いているかどうか」
「開いていなかったら」
「あら、遅かったわね」
ここで七海の声が聞こえてきた。
「もう着替えたわよ」
「ちぇっ、いたのね」
「これは残念」
「いたのねってちょっと」
七海が二人の前に出て来た。見ればもうサーフィン用の水着に着替えていた。こうした格好も実によく似合っていた。しかもやはり。
「どういうことよ」
「うっ、七海って」
「やっぱり」
二人はあらためて七海の胸に足を見ていた。大きい胸に奇麗な足であった。スタイルはかなりいい、しかも健康的である。サーフィン用の水着なのが勿体ないのではと思える位であった。体型が見事なまでにはっきりと出てしまう競泳水着や露出が多いビキニならそれこそ男が集まってきて大変だったであろう、そうしたことさえ思わせてしまうような見事なスタイルなのであった。女である彼女達から見てもそれは変わらなかった。
「スタイルいいわよねえ」
「そうよね。胸が特に」
二人はまじまじと七海の胸を見て言い合う。それは確かにかなりのものであった。
「私も自信はあるけれど」
「私も」
案外スタイルには自信のある二人であった。
「それでも七海の見たら」
「自信なくすわよね」
「何話してるのよ」
だが当人はそれには一切構わないのであった。
「さっきから」
「ああ、別に」
「何でもないわ」
「とにかくね。プールは開いているわよ」
七海はそれをまた二人に言うのであった。
「着替えて準備体操してね。すぐにかかって」
「わかったわよ。ところで」
「何よ」
プールの中に入ろうとするコゼットに応えるのであった。
「昨日飲んだのよね」
「ええ」
コゼットの言葉に応える。話は昨日の続きになっていた。
「まあそれなりにね」
「それなりってどれ位?」
「缶にして一ダースかしら」
少し首を捻って考えながら答えてきた。
「いえ、もうちょっとかしら」
「随分飲んだわね」
「まあそうね」
七海の方でもそれは否定しないのであった。
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