八条学園騒動記
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第七十七話 はじめてのサーフィンその七
「言われてみれば」
「それでお酒は全然残っていないの?」
コゼットは怪訝な顔で七海に問うのであった。
「ええ、全然」
「何やったのよ」
その怪訝な顔でまた七海に問うた。
「それだけ飲んで全然残っていないって」
「コツがあるのよ」
七海は明るく笑ってコゼットに答えてきた。
「コツ?」
「そうよ。飲んだ後でね」
明るく笑いながらまた言う。
「お風呂に入るのよ」
「お風呂に。じゃあ」
「ええ。そこでアルコールを抜くのよ」
秘密はそこであった。かなり危険なやり方であると言えた。コゼットもそれがわかっているから思わず顔を顰めるのであった。
「わかったかしら」
「そんなことして大丈夫なの?」
その顔で七海に問う。
「大変なことになるわよ、そんなことしたら」
「だから。それもコツがあるのよ」
また七海は答えた。
「要はタイミングよ」
「タイミングねえ」
「当然すぐに入ったら駄目よ」
またコゼットに答える。
「朝起きてから入るのよ」
「ああ、それだといいわね」
それにコゼットも頷くのであった。
「それだったら二日酔いのところでね。それが抜けていい感じになるわよね」
「そういうこと。わかったわね」
「ええ。今度私もやってみるわ」
「やってみるってあんたも」
七海はコゼットのその言葉に思わず苦笑いを浮かべた。
「ムスリムなのに」
「アッラーよ赦し給え」
ここで少しおとけて言ってみせる。
「これで飲めるから」
「豚肉も他のもそれでいいのよね」
「ギドニーパイも及第粥も大好きよ」
ギドニーパイは元々はドイツの料理で豚の内臓を使ったパイである。及第粥は豚の内臓を入れた中国の粥だ。何故及第かというとそれはこの粥が科挙の試験に合格する為に栄養をつけるようにと食べていたからである。内臓はかなり栄養があるのは昔から知られていたことなのだ。
「だからね」
「それ考えると意外とイスラムって柔軟なのね」
「少なくとも連合じゃそうよ」
はっきりとこう言う。
「サハラじゃ違うけれどね」
「サハラはまた別よね」
「そういうこと。まあ話はこれ位にして」
三人でプールに入るのであった。
「早速練習しましょう。ボードはあるのよね」
「一式全部揃ってるわよ」
七海はにこりと笑って二人に告げてきた。
「言った通りね」
「そこもしっかりしてるのね」
「当たり前よ。忘れるわけないじゃない」
七海はにこりと笑ってまた二人に告げた。
「わかったら。準備体操してはじめるわよ」
「ええ。サーフィンははじめてだけれど」
それでもだ。二人はやる気充分であった。
「楽しくやりましょう」
「三人でね」
「ええ、楽しくね」
そう言い合ってサーフィンの練習をはじめるのであった。練習は無事進み顔見せの日になるのであった。三人は好調のまま練習を行っていたのであった。
はじめてのサーフィン 完
2008・1・18
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