八条学園騒動記
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第七十七話 はじめてのサーフィンその五
「とりあえず明日の朝は安心していていいのね」
「ええ、絶対にね」
また言う七海であった。
「それじゃあ。明日の朝ね」
「わかったわ。じゃあね」
こうして電話は切られた。だがコゼットはその電話を服のポケットに収めながら不安な顔になっていた。実際のところ七海の言ったことに安心できていなかったからだ。
「本当に大丈夫なのかしら」
そう思っていた。だがここではあえて七海の言ったことを信じるしかなかった。何しろ彼女が今回の言いだしっぺであったからだ。その彼女の言葉を受けるしかなかったのであった。
その次の日の朝。朝早く学校に来たコゼットとパレアナ。コゼットは昨日の七海との話をパレアナにも話しているのであった。
「それで。私不安なんだけれどね」
「飲んでるの、昨日」
「多分かなりよ」
こうも話す。
「七海も飲む時は相当飲むしね」
「そうね。彼女それでいて酔い残るタイプだし」
実はそうなのであった。だからパレアナも不安な顔になっていたのだ。
「本当に大丈夫かしら」
「一応本人の言葉では大丈夫らしいわ」
「何、その全然あてにならない言葉は」
どう見てもそうであった。パレアナは呆れた顔になった。
「今日プールに行って鍵空いていなかったら私怒るわよ」
「それは私もよ」
二人の考えはここでは同じであった。
「あんなタンカ切ったんだし」
「タンカを切るのはただなのよ」
パレアナの言葉は実に素っ気無いものであった。
「それで切っても切ったで何もしなくていいのよ」
「そうなの」
「そうよ。だから幾らでも切れるものなのよ」
実際のところそうであった。それで平気な顔で何度も切ってその度にそれとは全く異なる行動を取り続ける破廉恥な輩もいるのである。
「だからよ。それはあてにしないわ」
「そういうことなのね」
「そういうこと。さて」
そのプールが見えてきた。学校の森の中に。
「果たして空いているかどうか」
「それが問題ね」
「ここで聞くけど」
パレアナはプールの建物をを見ながらコゼットに尋ねてきた。ダークブラウンのその建物を。
「何?」
「空いていなかったらどうするの?」
「部活に行くわ」
まずはそれであった。
「それで教室に帰ってからね」
「ええ」
「七海に嫌味言ってお好み焼きでもおごってもらうわ」
「いいわね、それって」
パレアナもそれに乗ってきた。
「あのお好みさっちゃんでね。座布団ミックスをね」
「二枚ね」
かなり食べるコゼットであった。
「それとビール飲み放題プラスしてね」
「いいわね、やっぱりお好み焼きにはビールよね」
「そういうこと」
話は弾んできていた。やはり食べ物のことになると話は別なのであった。二人の上機嫌はさらに続き話を進めていくのであった。
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