八条学園騒動記
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第七十七話 はじめてのサーフィンその三
「どうしたものかしら」
「なるようになるっていうけれど」
コゼットはそのお気楽ぶりをここで言う。
「今回はどうかしらねえ」
「なるかしら」
パレアナはそれには懐疑的であった。
「今度は」
「二人共何だかんだでサーフィンは初心者よねえ」
七海はそこをまた問うた。
「それじゃあそれは」
「まずいわよね」
「やっぱり」
「だからよ。ここは私考えてるんだけれど」
少し首を捻りながら二人に言うのであった。
「やっぱり練習するのは朝が一番いいわよね」
「私はね」
「実は私も」
何とコゼットもそれは同じであった。
「あれ、あんたもなの」
「実はテニス部で」
彼女はテニス部であった。
「後輩とコンビ組んでるんだけれど今彼女がえらくやる気で。こっちも付き合ってるのよ」
「そうだったの」
「だからね。私もできれば朝」
そう七海に告げた。
「御願いできるかしら」
「わかったわ。やっぱり朝よね」
七海はコゼットの言葉も受けて頷くのであった。
「プールの管理の先生に頼んでみるわ」
「悪いわね。手間かけて」
「いいのよ」
穏やかに笑って二人に言葉を返す。
「こっちもスカウトした身だしね。だから」
「何はともあれ練習しないとね」
「そうそう」
これは三人共同じ考えであった。
「そうじゃないと恥かくわよ」
「さもないとね」
「だからよ。まずは任せて」
七海はまた真面目な顔を二人に見せるのであった。そうしての言葉であった。
「プールのことは」
「わかったわ。それで何時行けばいいの?」
「また連絡するわ」
そこまではわからない。しかし何としても利用時間を手に入れるつもりであった。
「それでいいわよね」
「うん、まあそれでね」
「じゃあその時によろしくね」
二人はそう七海に応えてその場は別れた。それから二日後であった。
「ねえ」
「ああ、七海」
コゼットはこの時学校の帰りでハンバーガーショップにいた。そこでオオウミガラスのナゲットを食べていたのである。コーラも横にある。
「どうしたの?あのこと?」
「ええ、上手くいったわ」
七海の声は明るく笑っていた。
「明日から使わせてもらうわ」
「へえ、よかったわね」
コゼットはそれを聞いて笑顔になる。彼女もそろそろ練習がしたいと思っていたところだったのだ。だからそれを聴いて笑顔になったのである。
「じゃあ明日の朝から早速ね」
「ええ、御願いね」
「持って行くのは何?」
ここでコゼットはそれを尋ねた。
「水着だけじゃないわよね、やっぱり」
「水着だけでいいわ」
けれど七海はこう言ってきたのであった。
「水着だけでいいの?」
「ええ、それだけでいいのよ」
七海はそれだけでいいというのであった。
「他には何もいらないから」
「ボードはいいの?」
コゼットはそれを聞いたのであった。サーフィンは服だけでできるものではない。だからこれを聞くのであった。やはりこれがないと話にならない。
「それがないとやっぱり駄目よね」
「ええ、それはこっちにあるから」
七海はそうコゼットに答えた。
「だから安心して、そこはね」
「じゃあ。本当に何も持って来ないわよ」
コゼットはあえてここで念を押してきた。
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