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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第二次篇最終部 第一部 孫光龍

               第二次篇最終部 第一部 孫光龍
暗い玄室の中で。何かが起ころうとしていた。
「封印せよ」
何者か語り掛けていた。
「最後の楽園を・・・・・・封印せよ」
誰かに対して言っていた。
「この星は災厄より逃れし者達の楽園。決して失われてはならぬ」
「わかっております」
あの白いスーツの男が声の前にいた。そこで片膝をついて控えている。
「それでは今より」
「そうだ」
声はまた答えた。
「動くのだ、孫光龍よ。剣達の前に」
「御意」
白い服の男は一礼して姿を消した。そのまま何処かへと向かう。
遠くから龍の咆哮が聞こえた。まるでギャラルホルンの響きのように。世界に響き渡った。
護は遂に宇宙に旅立つ時になった。ケン太もまた。
「お父さん、お母さん」
護が両親に対して言っていた。彼等は今宇宙ステーションにいる。
「宇宙のあちこちで新種のゾンダーが生まれているかも知れないんだ。僕にはそれを倒す力はないけど、困っている人達の手助けは出来ると思う」
そう両親に語る。
「地球を守ったのと同じように」
「護・・・・・・」
「行って来なさい」
二人は優しい顔で我が子に語る。
「護ちゃんにしか出来ないことなら」
「そうだ」
父は母の言葉にその笑顔で頷いて我が子に言う。
「迷わず進んだ、いいな」
「有り難う。お父さん、お母さん」
「護ちゃん・・・・・・」
「僕、行ってきます」
護もまた両親に対して言った。
「いつでも帰って来いよ」
父はまた護に告げる。
「地球は護の家なんだからな」
「うん!」
「護」
ここで凱が出て来た。彼はもう人間になっていた。
「俺も一緒に行けないのが残念だ」
「凱兄ちゃんまで連れていったら命姉ちゃんに怒られるよ」
「やだぁ!」
命はその言葉に笑う。凱も苦笑いを浮かべる。
「こりゃ参ったな」
凱のGストーンが輝く。護に何かを教えるかのように。
「護、この力を有効に使うよ」
「氷竜や炎竜の超AIも甦ったし、護君は安心して旅立って」
命も言う。彼等は何とか蘇ることができたのだ。
「はい。地球の平和を頼みます」
「おう、任せとけって」
甲児が応える。
「心配することはない。ロンド=ベルは永遠に不滅だ
「護君、君の席は何時でも空けておく」
鉄也と大介も護に言う。
「御前はずっとロンド=ベルの一員だ」
「はい、それじゃあ」
宙の言葉もあった。彼も今は優しい顔になっていた。
「護君」
大河もそこにいた。強い声で護に語り掛ける。
「何処にいようと君は我々の仲間だからな」
「はい。皆さんもどうかお元気で」
去ろうとする。しかしここで彼等が来た。
「護!」
「待ってよ!」
末男と数納だた。レイコと華もいた。
「挨拶に来たのよ」
「皆・・・・・・」
「護君・・・・・・」
「華ちゃん・・・・・・」
華が前に出る。護と見詰め合う。
「待ってる。私、待ってるから」
「うん!」
護は笑顔で彼女に頷く。二人の心は今通い合っていた。
「行こう、ギャレオン」
護は遂にギャレオンに声をかけた。
「あのギャレオリア彗星と共に僕達の生まれた星を目指して」
「ガオオオッ!」
「護、勇気を忘れるなよ」
護「うん!」
最後に凱の言葉に頷き。遂に護は飛び立った。果てしない戦いへ向かって。
「行ってしまったわね」
「ああ」
皆上を見上げていた。護はそこにいた。凱は命の言葉に頷いていた。
そこに宙が来る。そうして彼に声をかけてきた。
「凱、おめでとうと言わせてもらうぜ」
「えっ?」
「御前が生身の身体になった以上、地上最強のサイボーグの称号は俺のもんだな」
「そうか・・・・・・」
凱はここで項垂れる。しかし宙は笑って言ってきた。
「つまらねえことを考えるなよ。確かに俺と御前は似たような境遇で機械の肉体になっちまったが」
宙はそんな凱に対して言う。
「今じゃこの身体に誇りを持ってる」
「そうか」
「そうさ。それに」
宙はさらに言う。
「御前はサイボーグじゃなくなったが俺と御前の心の底にあるものは同じだろ?」
「ああ」
それは事実だった。凱もその言葉に頷く。
「だったら何も変わりはしないさ。これからもよろしく頼むぜ、勇者」
「俺もだ、宙」
彼等は手を握り合う。続いてケン太が旅立つ番になった。
「ケン太」
サバラスが彼に声をかける。
「そろそろ旅立ちのときが近付いてきている。準備はいいか」
「はい、サバラス隊長」
ケン太は笑顔でその言葉に頷く。OVAがそんな彼に心配そうに声をかけてきた。
「ケン太君・・・・・・」
「北斗七星の向こう、何も無い宇宙の果てで誰かが僕を呼んでいるんだ」
ケン太はそのOVAに対して言う。
「OVA、僕行くよ。広い世界をこの目で見たいんだ」
「行きなさい、ケン太君」
OVAの声は優しい笑みであった。その笑みで彼を送り出す。
「貴方はもう何処へでも貴方一人で行けます」
「ケン太、頑張れよ」
真吾も彼に言う。
「誰も御前を止めたりはしない。だからな」
「また会おうぜ」
キリーも彼を送り出してきた。
「向こうで可愛い子に会ったらよろしく言ってくれよ」
「本当に楽しい時間だったわ」
レミーも笑顔で。彼等は決して永遠の別れだとは思ってはいない。
「ではな、少年よ」
「また会おうぞ」
カットナルとケルナグールが出て来て述べる。
「心強き少年の旅立ち。そのはじまりは何よりも」
ブンドルが薔薇を掲げると。皆が言った。
「美しい・・・・・・」
「そうだ。諸君、感謝する」
一同に対して礼を述べる。最高の演出であった。
「元気でね、ケン太」
「うん。有り難うユキオ」
「お腹出して寝ちゃ駄目よ。ケン太はすぐにお腹壊すんだから」
「駄目だも」
「アカリとクマゾーも比瑪さんとあんまり困らせないようにね」
ユキオとアカリとクザゾーにも挨拶をする。そうしてトッポにも。
「また会おうな」
「うん、きっとね」
「さあ、ケン太」
サバラスが最後に温かい声で言う。
「そろそろ旅立ちの時だ。君と・・・・・・そして人類の」
「皆元気で。でも」
ケン太は笑顔だった。笑顔での言葉だった。
「僕、さよならは言わないよ。皆とは何時かまた会えるだろうから」
「そうだな」
「だからこそ」
「シーユーアゲイン」
最後にグッドサンダーの面々が言った。ケン太もまた果てしない旅に向かったのであった。
「行ってしまったね」
「はい」
ギャリソンが万丈の言葉に頷く。
「ケン太は自分の道を歩く。僕達もな」
「そうです。だからこそ」
「皆、行こう。次の戦いへ」
「ああ!」
皆万丈の言葉に頷く。そうしてまた一つに集まるのであった。
護とケン太を見送った戦士達。彼等は次の動きを待っていた。
「次はおそらくバルマーです」
ルリが皆に対して言っていた。
「地球圏の脅威は全てなくなりましたが彼等は健在です」
「そうだな」
フォッカーがそれに頷く。
「それと宇宙怪獣だ。かなり厄介だぞ」
「はい」
輝がそれに同意して応える。
「彼等に勝利を収めない限り。人類に未来はありませんね」
「何か凄く厄介なことに巻き込まれちゃったなあ」
ユウナは彼等の話を聞いて眉を顰めさせたうえで困った顔を見せていた。
「どうしたものだろう、これって」
「ですがユウナ様」
キサカとトダカがここでユウナに対して言う。
「ユウナ様がおられなくて」
「どうしてカガリ様を」
「ああ、わかってるよ」
溜息と共に答える。
「僕の仕事はカガリの補佐だからね。それはどうしても」
「そういうことです」
「ユウナ様がいないとカガリ様はおそらくは」
「やれやれ。参ったものだ」
彼はあらためて溜息をつく。
「我儘お姫様の御守りというのも」
「さもないとまたシン君と喧嘩をはじめますし」
「大変なことに」
三人はそう言いながらカガリを見ていた。彼女はとりあえず何でもない顔でフレイと話をしていた。
「これからはいよいよバルマーと全面戦争だな」
「そうね。けれどね」
ここでフレイはタケルの方をちらりと見た。
「タケルさんは。複雑な気持ちでしょうね」
「仕方ない」
カガリもそれに対して頷く。
「あの人はまた特別だ。それでも前を見ているんだしな」
「強いわね」
「ああ、私達よりもな」
そんな話をしていた。ここでルリはまた言う。
「私達はこれから全軍で月を拠点として」
しかし異変が起こった。最初はそれは些細なものだった。
「あれっ!?」
最初に気付いたのはアイビスだった。ふと辺りを見回す。
「イルイがいない。どうしたんだ」
「そういえば」
「何処に!?」
それにスレイとツグミも気付く。これがはじまりになった。
一旦話を中断してイルイを捜しはじめる。ここで彼等の目の前にあの三匹の獣が姿を現わしたのだった。
「あれは」
万丈は彼等を見て言う。
「クストースです」
シュウは告げる。
「やはり来ましたか」
「やはり!?」
「どういうことだ、シュウ」
「御覧なさい」
ロンド=ベルの面々に対して告げる。
「神が降臨します」
「神!?」
「そう、そしてその僕が」
そして今度は僕と言った。
「来ます、今遂に」
「おやおや、もう僕のことは知っていたみたいだね」
「あれは!!」
「龍!!」
巨大な龍が姿を現わした。その頭の上に白いスーツの男が立っていた。
「何だありゃ!?」
「龍の頭の上に誰かいるぞ!」
「誰なんですか、貴方は」
「おや」
ここで男はクスハのことに気付いて声をあげる。
「君は確か」
「私が・・・・・・何か」
「そしてそこの君だね」
今度はブリットに顔を向けて言う。
「君達が四神の龍王機と虎王機に選ばれた者か。成程ね」
「何者だ、あんたは」
「僕の名前は孫光龍」
男はそう名乗ってきた。
「覚えておいてくれ」
「孫光龍だと」
レーツェルはその名を聞いて心の中で呟く。
(その名、我が家系にとっては)
「ついでだ。君達が最も知りたいであろうことも答えてあげよう」
孫はロンド=ベルの面々に対してさらに言う。
「こいつは龍王機。超機人の一体だ」
「龍王機!?それは私達の」
「そうだ、二機もある筈がない」
「教えてあげるよ。それも」
孫はクスハとブリットに対して述べてきた。
「君の龍王機は青龍の超機人。そして僕の龍王機は応龍の超機人。僕の超機人は言わば真の龍王機なんだ」
「真の!?」
「そう。超機人には幾つかのランクがあってね、君達の龍王機と虎王機、そして、過去に失われた雀王機、武王機で四神の超機人となる」
孫は今失われたものを語る。それは今ようやく明かされた真実であった。
「他にも四凶や四罪なんてのもある。中でも最上位に君臨するのがこの応龍を始めとする四霊の超機人なのさ」
「最上位の超機人」
「そうだ。僕の龍王機こそが真の龍神、つまり真=龍王機というわけだ」
ブリットに答える。それもまた消え去っていた真実であった。
「超機人に選ばれし者」
「そう」
またクスハに答える。
「そういう意味では君達と同じだね」
「では貴方も私達の仲間なのですね」
「さて、それはどうかな」
しかし孫は笑ってそれははぐらかしてきた。
「それがはっきりするのはこれからだね」
「これから!?」
「それは一体」
「それは今我が主が言ってくれるよ」
「主!?」
「そこにいる彼は知っている筈だよ」
孫は今度はシュウを見て言ってきた。
「そうだろう?シュウ=シラカワ博士」
「そうです。その神とは」
「一体誰なんだ!?」
「!?」
「まさか」
ここでクスハとブリットは同時に何かを感じた。
「この感じ、この念は」
「ああ、間違いない」
気付いたのは彼等だけではなかった。他の者達もそうだった。
「このオーラは」
「まさか。神とは」
シーラとエレも気付いていた。光達もまた。
「そんな、こんなことが」
「嘘でしょ!?」
「けれど。これは」
感じられるものは皆感じていた。同じものを。彼等は今姿を現わそうとしている神が何者なのか、嫌が応でも感じていたのであった。
「幾多の剣達よ」
その声が彼等に声をかける。
「貴方達のおかげでこの星は救われました。そう、地球は多くの人々の想いに支えられたロンド=ベルによって救われ新たな時代を迎えたのです」
「新たな時代!?」
ダバがその言葉に目を顰めさせる。
「何なんだ、それは」
「それ以前に君は何者なんだ?」
マサトが問う。彼は感じてはいなかった。
「クストースを従えた君は」
「大変よ」
ヒメがここでそのマサトに言う。
「大変!?何が」
「感じてる筈だよ、もう皆」
「あ、ああ」
ギュネイがその言葉に頷いてきた。
「この感じ、知ってるような気がする」
「お、俺もだ」
「俺にもわかるぞ」
甲児と凱も言ってきた。
「この感じは」
「あ、ああ。間違いない」
そして一矢も。もう皆わかっていた。
「あれは・・・・・・」
「イルイちゃん」
シーブックとセシリーが言った。他には有り得ない感触であった。
「そうです、私はイルイ」
神々しい美女が姿を現わしてきた。
「貴方達と束の間の時を共にした者です」
「どうしてそんなところに」
「一体どういうことなの!?」
アラドとゼオラが彼女に問う。
「それにその姿・・・・・・」
「どうして」
「これが私の本当の姿」
イルイはそう彼等に語る。
「イルイ=ガンエデン」
「ガンエデン!?」
「そう、私は地球の守護者イルイ=ガンエデン」
今度はタケルに答えた。
「それが私の名であり役目です」
「地球の守護者!?君が」
「まさか」
「いえ、そうなのです」
コウとチャックに答える。
「私はパラルの主でありマシアフ。貴方達と同じくこの星を護ることを使命とする者」
「俺達と同じだと」
「そうです。ゼンガー=ゾンバルトよ」
今はゼンガーを見ていた。その心で。
「私は貴方達の存在を知り幼子の姿で接触したのです」
「ど、どうして!?何のために!?」
「私達と」
最初に出会ったアイビスとツグミは驚きを隠せない。スレイもまた。
「どういうことなのだ、これは」
「貴女達が正しい心を。この星を護るに相応しい力を持っているかどうかそれを知る為に」
「その為に」
「私達と」
「そして私は貴方達から教えられました。人の心の絆を、愛を」
ガンエデンとして語る。心に直接。
「私は知りました。貴方達が数々の試練を乗り越え幾多の外敵と戦ってきたことを。私は見ていました貴方達が数々の苦難を乗り越え多くの人々を護ってきたことを」
「イルイは私達のことを見守ってくれていたのね」
フォウには今それがわかった。カミーユがそれに頷く。
「ああ。だから今まで一緒にいたのか」
「それでクストースで俺達を助けてくれた」
「誇り高き勇者よ」
凱に送る言葉であった。
「私は貴方達と出会えて嬉しく思っています。貴方達の優しい心に触れられて幸せに思っています」
「イルイ・・・・・・」
「貴方達こそ、この星を護る為の剣。力なき人々の盾。私の代わりに地球を護ってくれて本当に有り難う。地球の守護者ガンエデンとして心の底から感謝します」
「何言ってんだ、当然のことをしただけだ」
ビアル星人である勝平の言葉である。
「それだけさ」
「貴方達の戦いは終わったのです」
ガンエデンとしてまた告げてきた。
「!?これは」
ショウはすぐに気付いた。
「イルイちゃんの念が強まっていく。これは」
「これからは私が貴方達の代わりに地球を護ります」
「地球を護るって君がか!?」
「はい」
万丈に答える。
「これからは」
「若しかしてクストースが」
「ええ。私の僕達とガンエデンが。この星を永久に封印します」
「!!」
「どういうことだ!?」
クスハは驚きを隠せない。ブリットが問う。
「バラルの園を中心としガンエデンが作り出す結界によってこの地球を外界から完全に遮断するのです」
また語る。
「そうして地球を」
「遮断・・・・・・外界から!?」
「ええ。ガンエデンの結界によりあらゆる外敵から地球を護ります。誰も寄せつけず外界に行かせず。ガンエデンの加護によってこの星は最後の楽園となるのです」
「イルイちゃん、私達を地球に閉じ込めるつもりなの!?」
ゼオラが問う。
「それだと」
「まさか」
アラドはそれを効いて顔を強張らせる。
「そんなことが」
「そう、永久に」
しかしガンエデンはそれに頷く。
「この地球を」
「それが本当の平和なのさ」
それまで暫く黙っていた孫がまた言ってきた。
「この地球にとってね」
「そんな馬鹿な!!」
「それは・・・・・・」
「私はイルイ=ガンエデン」
言葉を詰まらせる一同に対してまたそれを告げる。
「地球の守護者、そして貴方達の主」
「!!」
「この星に住む者達にガンエデンの加護を」
「イルイ!!」
「イルイちゃん!!」
「パラルの園で貴方達を待っています」
イルイは彼等に告げる。
「そして私の僕達と共に最後の楽園を護りましょう」
イルイは姿を消した。後には三匹の僕と孫が残っていた。
孫は彼等の前にいる。そうして言うのだった。
「吉報を待っているよ。僕としても争うつもりはないし」
そう言い残して姿を消す。僕達も同じだった。
後に残ったロンド=ベルの者達は厳しい現実を突き付けられていた。とりあえず集まったまま話をするのであった。
「本日四時三十四分のことだ」
大河が今入ってきたニュースを一同に告げる。
「アラビア半島北西部の上空に全長約一キロメートルの岩塊が出現した」
「それがガンエデン?」
「いえ」
シュウがブライトに応える。
「彼女の言葉を借りるならバラルの園でしょう」
「バラルの園・・・・・・」
「その形状は例えるなら空中庭園。偵察衛星の映像では中央に巨大な塔や遺跡らしき物が確認されている」
大河はまた告げた。
「おそらくはそれがガンエデンやクストースの本拠地です」
シュウは一同にそう説明する。
「そこに間違いなく彼女達がいます」
「間違いなくそこに
「イルイ達が」
ロンド=ベルの者達はそれを聞いて呟く。
「ガンエデンに動きは?」
ラクスがシュウに問う。
「彼等は今は何を」
「今のところは何も」
シュウは彼女にそう述べる。
「バラルの園も特定ポイントに固定されたままです」
「おそらく結界の展開準備をしているのだろうな」
サコンはそう分析していた。そこから出される結論は。
「地球を封印する為に、ですね」
アズラエルは言った。
「だからこそ」
「ガンエデンは、いえイルイは私達人類にとって味方、それとも敵なのでしょうか?」
「微妙なところです」
シュウはまたラクスに言う。
「敵でもなく味方でもなく?」
「いえ、そこが微妙なのです」
シュウはまた言う。
「ですが少なくともイルイの話でクストースの謎が幾つか解けました」
「謎とは」
「一体」
「まず彼等が殆どと言っていい程貴方達の前にしか姿を現さなかった理由です」
「それは何故」
言われてみればそうだった。これもまた非常に不思議なことだった。
「それは自分達の主であるイルイがロンド=ベルにいたからです」
「成程」
シナプスはそれを聞いて頷く。
「彼女と我々を助ける為にか」
「そうです。そして過去の文献や伝説、神話等に彼らの記録がなかったのは」
そしてまた述べる。
「単純にあのバラルの園でずっと眠っていたか封印されていたかでしょう」
「いや、ちょっと待ってくれ」
「どうしたんだ、イザーク」
ディアッカがイザークに問う。
「何かに似ていないか」
「何か!?」
「そうだ、バルマーにしろそうだが似ている」
「何にですか?」
ニコルもそれに問う。イザークは考古マニアなのでこうしたことには詳しいのだ。
「それは」
「ヘブライか」
ピートが言ってきた。
「ヘブライ!?」
「というと」
言わずと知れたユダヤのことである。彼等は今そこに気付いた。
「まさかとは思うが」
「イルイもバルマーも」
何か関連があるのでは、と誰もが思った。しかし確証はない。彼等はまだ戦いが残っていた。それをまずどうにかしなければならなかった。
「誰も見たことがなければ記録の残りようがないわね」
ミサトはいぶかしむものをとりあえず収めてこう言ってきた。
「クストースはガンエデンの命令を受け地球を守る為に」
リツコが述べる。
「同じ目的を持つロンド=ベルを手助けする為に行動を開始したのね」
「けれどよ」
ミサトがそれに反論する。
「イルイは地球を結界で封印して外界から遮断すると言っているわ」
「そうね」
「つまりそれは地球を防衛する為の究極的な手段ということになるわね」
「人類補完計画と同じく」
そこもまたヘブライがルーツだ。あらゆるものがそこにあった。
「簡単に言えばバリアとなります」
シュウは今度はこう説明してきた。
「異星からの侵略者を地球へ寄せ付けない為の」
「侵略者」
「バルマーや宇宙怪獣を」
それを聞いて皆残った敵を見る。彼等はまだ健在なのだ。
「中に入れないことには侵略活動のしようがありません」
シュウはまた告げる。
「異星人の中には空間転移技術を保有する者達もいますがガンエデンの結界とはそれすらも防ぐ強力なものだと思われます」
「ならばその結果の中にいる者は
「当然ガンエデンの許しなく外へ出ることは出来ません。そして」
さらに言葉を続ける。
「クストースが異星人を攻撃したのは彼等の目的が地球の侵略だったからです」
「それでは他の勢力に対しても」
「そうです」
シュウはリツコの言葉に頷く。
「これもまたロンド=ベルを守る為。そしてガンエデンが地球の守護者として相応しいのが地下勢力ではなく」
「私達だと」
「そうです。私達の方だと判断したからでしょう。
「そしてそれを行ったのは」
「少女の姿をしたイルイだったというわけね」
ミサトとリツコもそれに気付く。あらゆるものが結び付いてきていた。
「しかし」
ここでシーラは己の疑念を述べてきた。
「あの娘は何故私達に接触を」
「それは君達に実績があったからだろう」
大河はそうシーラに告げた。
「実績ですか」
「ロンド=ベルの大半のメンバーはかつてのバルマー戦役に参加し地球を守る為に戦って勝利した。だから彼女が地球の守護者として君達を選んだ理由にも納得がいく」
「おそらくはそれです」
シュウは大河のその言葉を補完してきた。
「イルイには地球の情勢を見定める役目もあったのでしょう。かつてのロンド=ベルは地球の各地を転戦していました。情報収集にはある意味最適です」
「情報収集・・・・・・」
エレがそれを聞いて呟く。
「彼女が」
「彼女はガンエデンという巨大なシステムの端末です」
シュウは今度はイルイをそう例えてきた。
「そうした役目は与えられているでしょうね」
「システム・・・・・・端末・・・・・・」
イーグルはそれを聞いてイルイを機械的にイメージしだしていた。
「それが彼女」
「何か嫌な感触じゃな」
アスカはそれを聞いて顔を顰めさせる。
「人ではないようじゃ」
「おそらく子供の姿をしていたり過去の記憶を失っていたりしたのは」
シュウはまた説明をはじめてきた。
「我々へ心理的影響を与える為だったのでしょう。そして」
さらに述べる。
「これは私の推測に過ぎませんがガンエデンは古代文明によって造られた地球防衛システムなのかも知れません」
「古代文明の!?」
「そうです」
彼はそう結論付けようとしていた。
「あるいはオルファンのように外宇宙から飛来し地球を監視、若しくは封印するためのシステムといったところでしょうか。そうではないでしょうか」
「だがオルファンとは性質が違う」
大文字は考える目で呟く。
「あれは銀河へ旅立とうとしていた」
「オルファンが外宇宙へ出ていたならばクストースは攻撃していたかも知れません」
「それでは」
タリアはそれを聞いて言う。
「私達でさえも外宇宙へ出ようとしたら」
「その時はガンエデンが敵となます」
「それだと」
マリューは今のシュウの言葉に顔を顰めさせる。
「今という時代に地球と宇宙との行き来を封じられてしまえば人類の存続の危機に関わります」
「方法は違っても目指す所はティターンズと同じなのか」
ブライトはそう考えだしていた。
「地球至上主義の」
「私達の出方次第ではその結果を導き出すでしょう」
シュウはブライトにそう述べる。
「人類が地球というゆりかごの中で眠ることを否定すればガンエデンは強大な敵となって私達の前に立ち塞がるでしょう」
「やはり」
「だとすると」
「私達が選べる道は二つ」
シュウは言う。
「間も無くガンエデンが展開する結界によってこの地球に閉じ込められるか」
そして。
「私達の手でガンエデンを破壊するか、です」」
「ガンエデンを破壊する」
アムロはそこまで聞いて呟く。
「それしかないのか」
「そうだな」
クワトロがそれに頷いてきた。
「我々が未来を切り開く為には」
「ガンエデンを倒すしかない」
「そうです」
シュウは彼等に告げる。
「揺り籠か自由か」
こう言ってきた。
「そのどちらかです。私達は選ばなくてはなりません」
「それじゃあやっぱり」
「そうだな」
グローバルがここで言った。
「ガンエデンを破壊するしかない。未来の為に」
「現在ガンエデンは結界の展開準備中だと思われる」
大河がまた説明する。
「そしてそれが終われば」
「イルイの言葉通り地球が外界から遮断されることになるだろう」
大文字もまた。それは厳然たる事実であった。
「その結界とはそれ程強力なものなんですか?」
「貴方も様々な現象を引き起こしたクストースの力を知っておられると思いますが」
「あ、ああ」
カミーユはシュウの言葉に頷いた。
「ガンエデンは彼等の主です。あの三体以上の力を駆使して地球を封印すると考えておいた方がいいでしょう」
「しかしよ、シュウ」
マサキがここで言ってきた。
「ガンエデンを倒すってことはイルイも」
「そういうことになります」
「助けられないの!?」
ミオがそれに問う。
「それって若しかして」
「彼女を助けるたいですか」
「当たり前だ!」
マサキはそうシュウに叫んだ。
「イルイはあんなことを言うような娘じゃねえ!ガンエデンに取り込まれてるに決まってるだろ!」
「それではマサキ」
シュウはそのマサキに対して告げる。
「イルイがガンエデンというシステムの一部だとしたらどうですか?」
「システムの一部だと!?」
「そうです。子供の姿が私達に心理的影響を及ぼすように計算されているとしたら。どうなのですか」
「うっ・・・・・・」
この言葉にはマサキだけでなく皆が詰まった。シュウはまるで彼等に何かを迫っているかのようであった。
「その場合は」
「それでもだよ!」
ヒメがここで叫んだ。
「私はイルイを信じる!」
そう主張する。
「私達と一緒にいた頃のイルイを!」
「そうだな」
勇が最初にヒメのその言葉に同意を見せた。
「俺もだ。イルイを信じる」
「勇・・・・・・」
「だってそうだろう?一緒にいたんだ、だから」
「そうね」
次に頷いたのはフレイだった。4
「イルイちゃんを信じないと。私達が」
「そうだ、私達が」
カガリも言う。
「私達がイルイを信じないでどうするんだ、他に誰が」
「いいんだね、カガリ」
ユウナがここでカガリに問う。
「それはオーブ国家元首の言葉になるよ」
「構わない!」
カガリは毅然としてユウナに言葉を返す。
「そのつもりだ!私はイルイを助けに行くぞ!」
「わかったよ。それじゃあ僕も」
「ユウナ・・・・・・」
「オーブは世界を救う為に国家元首とクサナギで戦いに向かう。外交戦略としては最高だね」」
「済まない・・・・・・」
「何、これでいいさ。ここでカガリが怯んだらどうしようかって思っていたんだ」
「怯まれると思っていたのですか?」
「まさかとは思いますが」
「いや、全然」
トダカとキサカにも答える。
「これがカガリだからね。カガリはこうじゃないとね」
「そうですな」
「それでこそカガリ様」
「私達もね」
次に名乗り出たのはユリカであった。
「ナデシコもいきます」
「はい」
それにルリが頷く。
「可能性がある限りは。やりましょう」
「そうや!その通りや!」
タータも叫ぶ。
「やったるで!囚われのお姫様助けだしたるさかいな!」
「けれどタータ」
「どないしたん?タトラ姉様」
ここで姉に顔を向ける。
「タータもお姫様じゃない」
「あっ、そういえば」
「そうだったんだ」
「ええい、忘れるなや!」
ふと思い出した皆に対して言う。
「お姫様がお姫様を助ける。そういうドラマもあってええやろが!」
「そうだな」
「それでは我々も」
ジェオとシャンアンも乗ってきた。これで三隻の戦艦も加わった。
「当然私達も」
「参ります」
次にシーラとエレも加わってきた。
「このままでは地上も彼女も幸福とはならないでしょう」
「だからこそ」
「ピート君」
大文字はピートに顔を向けてきた。
「我々もまた」
「ええ、勿論です」
ピートは迷うことなく彼に言葉を返す。
「大空魔竜も」
「我々はもう決まっているな」
「はい」
マリューはシナプスの言葉に頷いた。
「ガンエデンで」
「そしてイルイを」
「ミネルバも同じよ」
タリアはプラントの面々に顔を向けて言ってきた。
「反対するならするでいいけれど」
「今更そんなこと言うかよ!」
シンが叫ぶ。
「イルイも地球も救い出す!それが俺の!」
「そうね。それじゃあ我々も」
「マクロスもですね」
クローディアがグローバルに問う、
「答えるまでもない。では諸君」
グローバルはあらためて一同に問う。
「残りたい者は残れ。無理強いはしない」
しかし誰も残ろうとはしない。皆同じだった。
「そうか。それでは総員ガンエデンへ」
「はい!」
グローバルの言葉に頷く。
「そうしてイルイを助け出す。いいな!」
「了解!」
「あの言葉が彼女自身のものなのか、あるいはガンエデンのものなのか」
アムロは言う。
「それを確認する必要はあるだろう」
「時間がないのは事実だ」
今度はクワトロが。
「イルイとはまだ話すことが出来る。やってみる価値はある」
「ええ、彼女の真意を確かめましょう」
ミサトがこれまでにない真剣な顔で言った。
「それが出来るのは短い間とは言えあの子と同じ時を過ごした私達だけだから」
「宜しいのですね、それで」
シュウはまた彼等に問う。
「途方もなく可能性は低いですが」
「俺達は最後まで諦めない!」
凱の言葉だ。
「それが勇者、いやロンド=ベルだ!」
「そうですか。迷いはないのですね」
「それはもう消え去った」
一矢が答える。
「彼女は俺達の仲間だ」
「仲間を助けるのに理由はいらねえ」
宙も言う。
「そうだろう、リョウ」
「ああ」
竜馬も彼の言葉に頷く。
「後は俺達次第だ、絶対に」
「ふっ、絶対か」
隼人はまずはニヒルな顔を見せてきた。
「容易くはないが。それを絶対のものにするというのは面白いな」
「隼人、御前もそれでいいんだ」
「ふっ、俺も馬鹿になったものだ」
弁慶の言葉に笑う。
「途方もないことを絶対のものにしたくなったんだからな」
「そうだな。じゃあおいらもだ」
「HAHAHA、楽しいファイトのはじまりデーーーーース!グレイト!」
ジャックも当然参戦する。皆同じものを見ていたからだ。
「やろう、皆」
健一が声をかける。
「俺達の想いがイルイに伝われば無意味な戦いをせずにすむかも知れない」
「そうだね」
万丈がそれに応える。
「僕達と一緒にいた頃の記憶が彼女を変えるきっかけになる」
「その通り!全てはイルイの為に!」
「わしも燃えてきたぞ!」
「一人の少女を解放する為に戦士達が全てを賭ける。
カットナル、ケルナグール、ブンドルの三人が言う。
「それこそが」
ワインを掲げ。
「美しい・・・・・・」
「イルイ、必ず」
「未来は自分の手で掴む」
ダバとショウの言葉だ。
「それでこそ俺達は」
「ああ」
甲児がショウの言葉に応える。
「俺達が作り出した平和は俺達の手で守ってみせるぜ」
「アラド、何があっても」
「ああ、必ず助け出す」
ゼオラとアラドは言い合う。
「イルイをな」
「よし、総員直ちに出撃準備」
シナプスが皆に告げる。
「我々はこれからバラルの園へ向かう!!」
「了解!!」
彼等は迷うことなくバラルへ向かった。イルイを助け出す為に、今出撃したのだった。

第二次篇最終部第一部完

2007・5・5
 
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