| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百六十話 何時か星の海へ

               第百六十話 何時か星の海へ
遂に原種を完全に倒したロンド=ベルは地球に向かっていた。その途中でアステロイドベルトにあるイカロス基地で休息を取っていた。
命はふと目を覚ました。そこは。
「ここは?」
「気がついたか、命」
目を開けるとそこには凱がいた。優しい顔で彼女の顔を覗き込んでいた。
「ここはイカロス基地の医療施設だよ」
「イカロスの?」
「ああ」
凱はにこりと笑って頷く。
「そうさ、イカロスさ」
「私はあの作戦の後で?」
「ああ」
凱はその優しい笑みで頷いてきた。
「気を失ってな。だいぶ疲れがたまっていたようだな」
「そうだったの。御免なさい」
「いいさ、あれだけの戦いがあったから」
やはり包み込むような声だった。命はその声にほだかされて言ってきた。
「ねえ、凱」
「何だ?」
「あれから・・・・・・EI-01が地球へ来てからもう三年も経つんだね」
「そうだな」
凱はその言葉に頷く。
「長かったな」
「そうね」
「だけどゾンダーの悪夢は終わったんだ」
凱はそこまで語ったうえでまた言う。
「今度こそ本当に」
「うん」
命もそれに頷く。気付けば彼女も優しい顔になっていた。
「地球へ帰るとギャレオリア彗星が見られるよ。八年振りの大接近だそうだ」
「そうね。私思い出したわ」
「何をだい?」
凱は命に問う。
「宇宙飛行士になるっていう凱の夢。あの彗星を見ながら聞いたんだよ」
「そう言えば選抜試験の時にもらったんだよな、このロケット」
胸にあるロケットを取り出して命に見せる。
「俺がここまで無事でいられたのもこのお守りのおかげだ」
「ううん」
しかし命はここで首を横に振ってきた。
「私の方こそ凱が帰ってきてくれたから生きる勇気を取り戻せた」
「有り難う、命」
「それでね、凱」
命はまた言う。
「これから先もずっと傍にいていいかな」
「えっ!?」
「私、もう帰る場所はないから」
凱の方を見て言う。彼女はゾンダーにより家族を全て失っているのだ。
「だから」
「命、いいんだな」
「ええ、一緒にね。ねえ」
ここで凱に握られている自分の左手に気付く。
「凱の手、あったかい」
「えっ、でも俺の手は」
「ううん、伝わったくるよ」
優しい顔で凱に対して言う。
「宇宙で一番の温もりが」
二人きりの時間を過ごす。長い戦いを経て結ばれた絆を確かめながら。大河はこの時基地の司令室でモニター越しにミスマル司令と話をしていた。
「御苦労様でした、大河長官」
まずはミスマル司令がこう言う。
「ロンド=ベルの活躍と獅子王博士という尊い犠牲により」
大河もそれに応えて述べる。
「木星の原種殲滅に成功しました」
「ザルク、ネオ=ジオン、ティターンズ、そして原種」
司令は今までの敵の名を出して今までの戦いを振り返る。
「これで太陽系内に脅威はとりあえず払拭されたことになりますか」
「はい、そしてこれまでの勝利により地球の内部での脅威はなくなりました。後は」
「バルマー帝国と宇宙怪獣ですな」
「はい」
また司令の言葉に頷いてきた。
「今のところは双方共目立った動きは見せていませんが」
「油断はできません」
司令の厳しい顔は全てをわかっている顔であった。彼も愚かではない。また彼等との戦いがあることを見越していたのである。その目は確かだった。
「いずれ必ず来ます」
「はい。ところで長官」
司令は大河に問うてきた。
「何でしょうか」
「また異世界からの来訪者を迎え入れられたそうですな」
「はい。セフィーロの方々です」
「お話はおおよそ窺っております」
司令はこう述べてきた。
「何かバイストンウェルの時と似ていますが」
「実際にはかなり違う部分もあります」
そう説明した。
「木星での戦いでは彼等も活躍してくれました」
「信頼できると」
「はい」
返事に迷いはない。
「ですから御安心を」
「わかりました。それで」
「ええ」
話は続く。
「今後はバルマー及び宇宙怪獣に備えるべきであると考えます。とりわけ宇宙怪獣に対しては」
「何か計画が!?」
「そうです」
はっきりと答えてきた。
「考えがないわけではありません。宜しければその発動まで」
「わかりました。地球圏を守り抜いてみせます」
「御願いします。それでは」
「ええ、これで」
「いや、待って頂きたい」
急に大河を呼び止めてきた。
「何か?」
「ユリカは元気なようですな」
「え、ええ」
大河は来たなと思いながらも冷静に言葉を返した。
「お元気ですが」
「左様ですか。あの、それで」
急に態度がよそよそしいものになっていく。
「こちらにいますかな。できれば顔を」
「今はパーティーの準備ですので」
「むっ、そうですか」
それを聞いて顔を顰めさせる。
「それは残念。いや、一度話をしたいと思っていましたので」
「左様ですか」
「いないとなれば仕方ありませんな。ですが」
それでもまだ言う。
「娘にはあれです。無理をせずに身体には気をつけてアキト君とも仲良く・・・・・・いや、失敬。今の言葉は忘れて頂きたい。私はただ娘の幸せを祈っているだけでして」
「そうなのですか」
「そうです。ではこれで」
何か大いに落胆しつつモニターから姿を消した。スワンはそんな彼を見て言う。
「残念そうデスね」
「親とはそうしたものだ」
大河はそれを見ても動じてはいない。
「よい父上だ」
「ハイ」
それはスワンにもわかる。少しばかり親馬鹿なだけで。
「では我々もパーティーに向かおう。皆待っている」
「わかりマシた」
こうして大河もパーティーに向かう。既に準備は完全に整おうとしていた。
「よし、いい感じだ」
ディアッカは自慢の料理を作りながら会心の笑みを浮かべていた。
「味付けもばっちりだぜ」
「今度は何を作ったんだい?」
「ああ、シャリアピンステーキだ」
フライパンをひっくり返しながらジュドーに答える。
「リィナちゃんのアイディアでな」
「リィナのかよ」
「ステーキだっていつも同じのだと駄目じゃない」
リィナはそう兄に返す。
「だからディアッカさんに提案してみたの。そうしたら乗り気で作ってくれて」
「へえ」
「玉葱も切ってくれたんだ」
ディアッカはまた言う。
「おかげで手順がはかどって大助かりだぜ」
「全く。御前には過ぎた妹だな」
イザークがここでジュドーに言ってきた。
「大事にすることだな」
「わかってるさ。そういや御前一人っ子か」
「そうだ」
イザークは彼に答える。
「それがどうかしたのか?」
「いや、そうじゃねえかなって思ってな」
イザークに返す。
「やっぱりな」
「イザークって結構我儘なところあるしね」
「そうよね、よく見たら子供っぽいし」
エルとルーがここで言う。
「つまりガキだってことだよな」
「案外そうだよね」
「背伸びはしてるけれど」
「御前等、そこまで言うか」
ビーチャ、イーノ、モンドの三連続を受けてたまらずに言った。
「全く。口の減らない奴等だ」
「口はいいですけれどイザークさん」
ここでエルフィが参戦してきた。
「何だ?」
「手は休めないで下さいよ」
「サンドイッチ、進んでますよね」
「ああ、大丈夫だ」
フィリスにも答える。
「一応はな。しかし」
ここで上を飛ぶミグカリパー達に気付く。
「こいつ等まで来るとはな」
「別にいいんじゃないかな」
ジャックがその言葉に応える。
「戦争ばかりじゃ参ってしまうし」
「そうだな」
その言葉にミゲルが同意する。
「たまには息抜きも必要だ」
「だからそういうのには料理がいいんだよ」
ディアッカは次々にステーキを焼きながらまた言う。
「ニコル、お菓子はいいか?」
「はい。アスランが美味くやってくれています」
「これでいいのか」
「いいですよ、それで」
アスランが盛り付けするケーキを見てニコルは穏やかに微笑んだ。
「いい感じじゃないですか」
「だといいけれどな。俺はあまりこういうのは」
「いえ、いいですよ」
シホがアスランに対して言う。
「それで。凄く奇麗です」
「そうか。ならいいんだが」
「そういえばよ」
シンはマカロニを茹でながら皆に聞いてきた。
「あの歌姫様は何処なんだ?あとクスハも見えねえけれどよ」
「探さない方がいいぞ」
横でフェットチーネを見ているハイネが言葉を入れてきた。
「探せば大変なことになる」
「その通りだ」
その言葉にレイも頷く。
「ここは無事に行こう」
「けれどこいつはいるんだな」
シンは言わなくてもいいのにカガリに対して言ってきた。
「このガサツ姫はよ」
「何ィ!?」
「だからカガリ様」
「包丁を持って暴れたら」
ジュリとアサギが彼女を止める。
「シン、あんたも言わなくていいのよ」
マユラがシンを注意する。
「本当にいつもいつも」
「大体そいつ料理下手だろう?いいのかよ、そんなの入れて」
「料理は経験だよ、君」
ライトが気取って言ってきた。
「作っていれば上手くなるものさ」
「ラクスの姫さんでもか?」
ケーンがここで突っ込みを入れる。
「それはどうなんだよ」
「まあ例外は何でもあるものさ」
それはライトといえどフォローできるものではなかった。
「置いておいて」
「随分また投げ槍だな、おい」
タップがそれを聞いて言う。
「どうしたものだよ」
「まああの人の料理はね。本当にあれだし」
ルナマリアが話に加わる。クリスの横で魚を捌いている。
「置いておきましょうよ」
「ルナマリアも包丁の扱いよくなってきたわね」
その横でクリスが言う。
「いい感じよ」
「どうも。けれどこうして皆で色々するのもまた」
「楽しいよな」
バーニィが朗らかに言う。
「やっぱり」
「はい。会場の方も順調にいってますかね」
「それはどうかな」
スティングはサラダドレッシングを作りながら深刻な顔を見せてきた。
「期待しない方がいいかもな」
「何かあるの?」
彼にアムが問う。
「あそこにはあの三人がいるんだよな」
アウルはサラダを盛り付けしていた。箸を動かしながらそのアムに述べる。
「あの三人がさ」
「あいつ等がか」
レッシィはそれを聞いて誰なのかすぐにわかった。
「それはまずいな」
「ステラ、料理下手じゃない」
「いや、ちょっと話が違うから」
キャオはそうステラに突っ込む。
「しかし。あの三人の他にも誰かいる筈だし」
ダバはこう言ってきた。
「特に悲観することもないんじゃないかな」
「そうかしら」
リンダはその言葉に首を横に振る。
「あまり上手くいきそうにないけれど」
「今から私が現場に行きましょう」
ベン軍曹が言ってきた。
「それで宜しいですな」
「というか軍曹あっちに絶対必要なんじゃ?」
勇が彼に言う。
「どうして今ここいるんです、また」
「あっ、いや」
その勇に応えて述べる。
「実は料理が好きでして」
「へえ、そうなんですか」
ヒメはそれを聞いて意外といった顔を見せてきた。
「軍曹さんも手料理好きなんだ」
「はい」
軍曹の方もそれを認めてきた。
「嫌いではありません。男の手料理ですが」
「いや、それがいいんだよ」
当然のようにいるアルフレッドが答えてきた。横にムウとキース、ボーマンを従えている。
「男の料理ってやつはな、豪快で繊細で」6
「そうです。ですから今は私も」
軍曹は言う。
「ここでやらせて頂きましたがどうもあちらは不安なようで」
「そうですね。どうやら」
ナタルが口を開く。ここで皆彼女に気付く。
「ナタルさんって」
「何時の間にここで」
「私だって料理はする」
いつもの面々に囲まれてもここで平静を取り繕っていた。
「レディーとしての嗜みだ」
「嗜みですか」
「そうだ」
カントに答える。
「君も少年とはいえだ。身に着けておいて悪いことはない」
ジャガイモの皮を奇麗に剥いている。
「いいな」
「はあ」
「しかし少佐の包丁捌き上手いな」
ナッキィもそれを言う。
「何処でこんなの身に着けたんだろうな」
「こんなことは一人暮らしをしていればな」
何か話が所帯じみてきた。
「誰だって」
「そうかしら」
カナンはその言葉に首を傾げさせる。
「ミサトさんやマリュー艦長はちょっと」
「ちょっとどころではないぞ」
ヒギンズがそれに突っ込みを入れる。
「あれは」
二人は人参とピーマンの相手をそれぞれしている。その間にもナタルはどんどんジャガイモの皮を剥いていく。やはり手馴れたものである。
「まあ誰にも得手不得手はある」
ナタルはそうミサト達のことを述べる。
「誰にでもな」
「誰にでもですか」
「そうだ。私はまあ」
ここで複雑な顔を見せる。
「料理は得意なつもりだがな」
「そのかわりあれですよね」
ここで話が変に変わってきた。言いだしっぺはミリアリアだった。
「結構恋愛に関しては」
「うっ、それは」
この話になるとまた顔を赤らめさせてきた。
「それはだ。その、つまり」
「何なんですか、それで」
「隠しごとはよくないですよ」
トールとカズイがすかさず突っ込みを入れる。
「そうです。ですからここは」
サイがそっと皆に合図をする。皆ニヤリと笑ってそれに頷く。
「それっ」
「な、何をする」
丁度ジャガイモを剥き終わったところで後ろから女組に掴まれた。
「止めろ、一体何を」
「まあまあ少佐」
「悪いようにはしませんから」
そう言いながらナタルを何処かへ連れて行こうとする。
「ちょっと待て、私はその」
「おい、どうするつもりなんだ」
「大尉はこちらへ」
「さあさあ」
男達はキースを何処かへ連れて行く。彼は特に羽交い絞めにされるわけでもなく穏やかな案内であった。
「落ち着いて」
「痛くはしませんから」
「痛くはないって更衣室だよな」
何故か彼はそこに案内されていた。
「御前等何をするつもりだ」
「こんな服着れるものか!」
女子更衣室からナタルの声が聞こえてきた。
「何だこの服は!これは」
「まあまあ少佐」
「いいですから。折角のパーティーですし」
「パーティーでも何でもだ」
ナタルは必死に言う。
「私はそもそも」
「わあ、少佐って胸大きいんですね」
ここでアムの声が聞こえる。
「スタイルいいんだ。羨ましい」
「下着はいつも白なんだな」
レッシィのこ絵も聞こえる。
「何でだ?他の下着は着けないのか」
「や、やはり下着はだな」
ナタルの必死な声がまたする。
「清潔にだ。それにその、白というのは」
「何かよくわからないけれど似合うからいいわね」
「そうだな」
カナンとヒギンズの声もする。
「さあ早く」
「黒ストッキングも脱いで」
「し、しかし」
ナタルの戸惑う声がまた聞こえる。
「何故私がこんな」
「何か向こう凄いことになってるみたいだね」
キースに服を手渡すキラが女子更衣室の方を向いて呟く。
「ナタルさんどうなってるんだろう」
「さあな。けれどまあ悪いようにはなってるだろうな」
シンは今までナタルが言われていることと逆のことを言ってきた。
「けれどまあ」
「ナタルさんって下着は白だったのか」
「何かそれはそれで強烈だな」
「ああ」
男達はそれについて話し合いいささか興奮していた。まだ十代の彼等にとってはかなり刺激的なやり取りが聞こえていた。
「胸でかいしな、ナタルさんって」
「確かに」
マリュー程ではないがナタルも確かにモデル並のプロポーションなのだ。
「それで大尉」
トールがキースに問うてきた。
「少佐とは何処まで」
「いや、俺はまあ」
キースはその質問に戸惑いながら答える。
「あれだ。キスまでだが」
「そうだったんですか。それじゃあ」
カズイはそれを聞いてふと気付く。キースはその間に服を着替えている。
「少佐にとってファーストキスか」
「二十五歳でか!?」
勇がそれを聞いて首を傾げる。
「奥手過ぎるだろう、それは」
「そうだな、それもかなりな」
ジョナサンがそれに頷く。
「あの人らしいか」
「あんた達はまた早いよ」
シンはその二人に突っ込みを入れる。
「ちょっとな」
「それはそうとシン」
キラは怪訝な顔でシンを見て問うてきた。
「こんなことして大丈夫かな」
「大丈夫だろ、お祭りなんだからな」
「大尉はそれでもいいみたいだけれど少佐は」
「だからよ、キラ」
シンはまた言う。
「御前は心配性なんだよ。折角のイベントだぜ、イベント」
「ううん」
「楽しくやらないとな。少佐だって最後は笑ってくれるさ」
「だといいけれど」
キラはかなり不安だった。不安げな顔で事の成り行きを見守るのだった。
「さてと」
サイはキースの着替えが終わったところでふと言った。
「会場の方は大丈夫かな」
「さあな」
ムウはサイのその言葉に首を傾げさせる。
「あの三人だからな」
それはかなり不安要素であった。その三人とは一体誰なのか。
その三人とはオルガ、クロト、シャニであった。三人はいつもの破天荒さで滅茶苦茶な事態を引き起こしていた。
「ちっ、まずったぜ!」
オルガが派手にテーブルを逆さまにひっくり返していた。
「てやーーーーっ、粉砕!」
クロトは何故か皿を拳で割っている。
「面白い」
シャニはシャニで得体の知れない隠し芸の練習をしている。とにかく何もかもが滅茶苦茶だった。
「ううむ」
ヘンケンは三人を見て首を傾げていた。
「どうしたものかな、この三人は」
「どうにもならないんじゃないんですか?」
アストナージがそう突っ込みを入れる。
「これは」
「とりあえず料理はできそうにないしな」
そもそも包丁を持たせていい連中ではない。何故か刃物を持ったりすると暴れる習性があるのだ。
「ここに回したんだ」
「ここでもですか」
「そうだ。本当に困った奴等だな」
目の前で相変わらず会場を破壊し続ける三人を見て言う。
「どうしようか」
「とりあえず今は休んでもらいましょう」
アストナージはそう提案してきた。
「いてもらったら迷惑千万ですし会場設定が進みませんし」
「そうだな」
ヘンケンもそれに頷いた。
「それでは」
「そうですね。それでは」
「しかしだ」
ヘンケンはここで言う。
「あいつ等は必要だぞ」
「わかっています」
アストナージはニヤリと笑って頷いてきた。
「あいつ等だけですからね。何食べても何もならないのは」
「そうだ。ラクス嬢やマリュー艦長の料理を食べられるのはあの三人だけですから。しかも美味しく」
「そうだ。今回も頑張ってもらわなくては」
三人にしかできない仕事もある。そうした意味では重宝されている三人であった。とりあえず会場設定は凱やボルフォッグ達がした。こうして会場設定も終わった。
「では諸君」
程なくしてパーティーがはじまった。大河はここで集まった一同に対して言う。
「獅子王麗雄博士等我々の勝利への尊い犠牲となった者達へ黙祷を…」
「・・・・・・・・・」
皆沈黙している。その中で雷牙博士は呟く。
(全く、僕ちゃんより先に逝くとは気に早い奴だ)
弟のことを思っていた。
(絆君と仲良くな)
(父さん、母さん)
凱もまた心の中で呟いていた。両親に対して。
(また木星へ会いに行くよ)
「黙祷、終わり」
大河は目を開く。そうしてここで雷牙長官は普段の顔に戻った。
「さあて、諸君!」
元気よく皆に声をかける。
「気持ちを改めてパーッと行こうではないか。麗雄も湿っぽいことは苦手な奴だったからな」
「OK!」
マイクが笑顔でそれに応える。
「マイクも麗雄博士のために思いっきり盛り上げちゃうもんね!」
「諸君、グラスを取ってくれ」
大河がここでまた言う。
「ここからは祝勝会だ」
「じゃあ皆」
ミサトも声をかける。
「ここは笑顔でね」
「おう!」
火麻がそれに応える。
「食い物も用意してある。これで英気を養ってくれ!」
「では大河長官」
大文字はグラスを片手に大河に声をかける。
「乾杯の挨拶を」
「うむ」
大河もそれに応えてグラスを持って言う。6
「我々と地球圏の前途を祝し、乾杯!!」
「乾杯------っ!!」
皆歓声と共に飲みだす。その中でクインシィが言った。
「あの長官にしては短い挨拶だったな」
「そうだな」
それにジョナサンが頷く。
「クソ真面目な挨拶が十五分は続くと思ったがな」
「ま、たまにはいいじゃねえか」
火麻が二人に対して言う。
「短いのもな」
「そうだな」
それにシラーが笑顔で頷く。彼女もグラスを右手に持っている。
「挨拶が長いとビールの気が抜けるしな」
「やっぱりこういうのは飲まないとね」
ミサトはもうビールを飲んだくれていた。
「ねえマリュー」
「そうそう」
マリューも笑顔でそれに同意する。
「飲んでこそだしね」
「ほらほら、エリスも飲むんや」
「遠慮は要らないわよ」
「は、はあ」
エリスはタータとプルシラに囲まれて困惑した顔を見せていた。
「飲んでますけれど」
「火星みたいに赤くなるまで飲まんとな」
「火星、ですか」
「そう、貴女は火星」
プリシラがエリスに言う。
「そうなってるのよ」
「あらあら、三人揃って」
そこにサフィーネもやって来た。
「飲んでるわね、上機嫌で」
「貴女もね」
プリシラはそのサフィーネにも顔を向けて楽しそうに笑う。
「折角ミサトもいるんだし一緒にね」
「そうね、何か私達相性がいいし」
サフィーネもまんざらではない。何故か彼女達は相性がいいのだ。
「今日は楽しく」
「飲むで!」
「あの五人馬合うわね」
「マリューさんも入れてね」
シンジがアスカに答える。
「何か悪くない雰囲気だよ」
「そうね。そういえばあんたも最近イーグルさんと中いいわね」
「うん、それはね」
自分でもそれを認める。
「話していて気が合うんだ、自分でもよくわからないけれど」
「雰囲気似てるわよ」
アスカはこう述べてきた。
「何かね」
「ううん、よく言われるね」
「そうよ。正直羨ましいわ」
アスカは真顔で言ってきた。
「そういうのって」
「あとプレセアちゃんとサンユン君とか。何か相性がいいみたい」
「いいわね、そういうのって。何かあたしそういう相手いないから」
腕を組んで不満な顔を見せる。
「正直いいと思うわよ」
「どうも」
「そうね」
レイもそこにいた。落ち着いた顔で野菜や果物、ジュースを食べながら言う。
「私はクリスさんと合うわ」
「そう。けれどあんた男の人はあれ?やっぱり」
「ええ」
アスカの言葉にまた頬を赤らめさせる。
「また何時か会えるといいけれど。あまりにも素敵だから」
「一応白馬に跨ってはいるな」
トウジが複雑に考える顔で述べてきた。
「あの馬も大概やが」
「大概っていうか馬まで常識外れじゃない」
アスカは嫌悪感を露わにさせていた。
「全く。あの変態爺さんは」
「あれは変態ってレベルか?」
サンシローがそれに突っ込んできた。
「その限界超えてると思うぞ」
「超人ですね」
ブンタはそのマスターアジアをこう評する。
「あれは」
「若い時から素手で戦車を破壊していたしな」
「それ位は平気でしょうね」
アスカはリーの言葉にも忌々しげに返す。
「素手で使徒倒していたし」
「何か御前あのおっさんかなり嫌いなんだな」
「嫌いって言うか常識ないじゃない」
非常識で知られるヤマガタケにも言う言葉は同じだった。
「大体死んでもいないし」
「まだ運命ではないということだな」
「見るからに頑丈じゃねえか」
リーとヤマガタケはそうアスカに突っ込みを入れる。
「それでもよ。あんなのと戦っても生きてるし」
「あれはドモンのおかげだな」
ピートが話に入ってきた。
「全てな」
「そうよね。彼がいなかったらどうなっていたかわからないわよ」
「それはそうだけれど」
ミドリに言われると少し弱い顔になる。
「もうドイツ忍者といい。変態はお断りにしたいわ」
「ああ、シュバルツさん」
「そこ、名前出さない」
シンジに言い返す。
「ハッピーエンドはよかったけれどね」
「ハッピーエンドって言えばや」
トウジがここで言ってきた。
「何?」
「あの二人やな。そろそろやろ」
「ああ、そうね」
アスカはその言葉を聞いてふと思い出したように言った。
「出て来るわよね、そろそろ」
「そや。ほら」
ここで会場にドレスの令嬢が姿を現わした。
「来たで、ヒロインが」
「そうね。何だ、似合ってるじゃない」
アスカはその令嬢の姿を見て嬉しそうに笑う。
「嫌がっていたけれど」
「うわあ、奇麗」
シンジは令嬢が来たのを見て声をあげる。
「何か凄いね、本当に」
「メイクとかそんなにしていないのよ」
アスカはそんなシンジに言う。
「それでもあれよ。やっぱり奇麗なのよ」
「うん」
「し、しかし」
その白衣のドレスの令嬢は顔を真っ赤にしてかなり恥ずかしげな顔をしていた。
「私が。こんな服を」
「まあまあナタルさん」
エスコートするユリカはナタルに対して笑顔で述べてきた。
「そんなに恥ずかしがることないですよ。本当に奇麗ですし」
「けれど」
それでもナタルは難しい顔を見せる。
「どうにも。こうした服は」
「恥ずかしいですか?」
「え、ええ」
少し俯いて答える。
「似合っていればいいですが」
ナタルはプリンセスが着るような絹の白いドレスを着ていたのだ。かなり似合っている。しkし当の本人はあまりにも恥ずかしいのか顔を真っ赤にしたままだった。
「どうにも」
「それでですね」
ユリカはまた楽しそうに言ってきた。
「もう一人ゲストがいるんですよ」
「ゲスト!?」
「はい、ほら」
前を指差す。するとそこには執事姿のキースがいた。
「キース・・・・・・いえ大尉」
慌てて呼びかえる。キースはすっと前に出てナタルに対して一礼してきた。
「はじめまして、フロイライン」
「フロイライン、私が」
「そうです。お待ちしておりました」
「ささ、二人仲良く」
ユリカはすっとナタルをキースの前にやる。
「折角のパーティーですし」
「は、はあ」
ナタルはまだ顔を赤くさせていた。その赤い顔で応える。
「わかりました。では大尉」
「はい」
ナタルがそっと手を出す。キースはそれを受ける。
「御願いします」
「わかりました」
「何ていうかねえ」
海はそんな彼等を見て困ったような笑みになっていた。
「ロンド=ベルって明るいっていうか何ていうか」
「けれど悪い雰囲気ではありませんな」
「そうだな」
風の言葉に光が頷く。
「私ここの雰囲気好きだ、落ち着いてきた」
「そうね、それはね」
「はい。では私達も」
「騒ごう、海ちゃん風ちゃん」
彼女達もロンド=ベルの中にいた。なお出されているのは美酒や御馳走ばかりではない。何か得体の知れないものもかなりテーブルの上にある。
「なあ、これって」
「食べ物・・・・・・だよなあ」
ビルギットがチャックに問うていた。チャックも難しい顔をしている。
「多分そうだと思うけれど」
ラクスの作った料理を前に難しい顔をしている。皆それにとくに手をつけようとしない。
「食えるか?」
「まさか」
チャックは首を横に振って答える。
「とてもそんなのは」
「だな。死にねえぜ、食ったら」
「ああ」
ところが平気な面々もいる。あの三人だ。
「美味いな、これ」
「ああ、凄いや」
彼等は平気な顔で楽すの料理を食べている。クスハの料理も同じだ。
「美味しい」
「あら、そうですの」
ラクスは自分の料理をムシャムシャと動物的に食べるオルガ達を見て満足そうに笑っていた。
「それでしたらもっとありますので」
「よっしゃあ!」
「今日はどんどん食べるよ!」
「持って来てくれ」
彼等は何でも食べている。とにかく頑丈さだけはこの三人は極めつけであった。
皆それぞれ楽しんでいる中で隼人は一矢に声をかけていた。見れば彼等もかなり楽しんでいる。
「そう言えば健一達の親父さんとエリカさんが地球へ戻っているらしいな」
「ああ」
一矢は隼人の問いに頷いてきた。
「俺達より一足先にな。何でも安全評議会に話があるらしい」
「相変わらず忙しいみたいだな、親父も」
一平はそれを聞いて言う。
「これは一矢との結婚はまだ先かな?」
「それは全てが終わってからだ」
一矢は真面目な顔で言う。
「地球とバームの脅威を全て叩き潰してからだ」
「そうか」
「ああ、まずはそれからだ」
そう健一にも答える。
「エリカとのことはな」
「けんどやっぱり凄いでごわす」
「何が?大次郎」
めぐみが彼に問う。
「いんや、一矢どんの覚悟。そうはできもうさん」8
「そうなんだよな、一矢さんやっぱり凄いよ」
「俺は別にそんなつもりはないけれどな」
そう日吉にも言う。
「俺は別に」
「何を言っている、御前程強い男はそうはいない」
京四郎が彼に言ってきた。
「俺も脱帽した、流石にな」
「そんな、俺は」
「いえ本当よ。お兄ちゃん何があってもエリカさん諦めなかったじゃない」
「ナナ」
今度はナナが言う。
「だからきっと最後までね。いいわね」
「ああ、わかった」
一矢もそこまで言われてようやく頷いた。
「じゃあやってやる、きっと地球とバームを」
「ああ」
「頑張ってね」
一矢もまた決意を固めていた。その頃ミネバはハマーン達と共にいた。ハマーンは紫のドレスを纏っている。かなり大人の雰囲気をする服装であった。
「ねえハマーン」
ミネバはハマーンに声をかけてきた。彼女はネオ=ジオンの軍服のままである。
「今日はフルーツなのね」
「はい」
ハマーンは畏まってミネバに応える。
「如何でしょうか。この料理は」
フルーツポンチやケーキが置かれている。ミネバはそれ等のお菓子を楽しそうに食べている。
「いいわ。また腕をあげたわね」
「有り難き御言葉」
また礼を述べる。
「そう言って頂けると何よりです。ただ」
「ただ。何なの?」
「ミネバ様、その御言葉は」
「ええ、変えてみたの」
そうハマーンに答える。
「皆に言われて。どうかしら」
「それは少し」
ハマーンは少し難しい顔をする。
「もうジオンはなくなったのよね」
「え、ええ」
戸惑いながらそれに頷く。
「それはそうですが」
「だからよ。ハマーンももう私に仕える必要はないのよ」
そうハマーンに言ってきた。
「ハマーンはハマーンの道を歩めば」
「いえ、ミネバ様」
しかしハマーンはここでにこりと笑ってみせてきた。そうしてまた言う。
「私はミネバ様の御側にいたいのです」
「私の?」
「そうです。ネオ=ジオンの主であるミネバ=ザビではなくミネバ=ザビ様御本人の御側に」
「いいの?それで」
「私はミネバ様にとって何でしょうか」
ハマーンはこう問うてきた。
「ハマーンは?」
「はい。何でしょうか」
「大切なもの」
ミネバはこう答えてきた。
「ハマーンはずっと私と一緒にいてくれたから。とても大切なものよ」
「そうです、それは私もです」
にこりと笑って述べてきた。ハマーンの顔から険が消えていた。
「ですから。これからも」
「そうなの。それじゃあ私も」
「はい」
二人は絆を確かめ合った。ハマーンもまた今ジオンの束縛から離れて一人の人間としてミネバの前にいた。ようやく彼女も自分の道を見つけたのだった。
ハマーンは暫くはそのままミネバの側にいた。しかしここで聞き捨てならない言葉を聞いた。
「しっかしあれだよな」
シンが酒を飲んでまた言っていた。
「ナタルさんでもあれだろ?可愛い服着てるのに」
ドレスの下からメイド服が出て来ていた。今度はメイドになってキースと共にいた。
「ハマーンさんって相変わらずだよな。おばさん臭いっていうか」
「シン、それはちょっと」
キラはシンに対して怪訝な顔で忠告してきた。
「言うと大変なことになるよ、また」
「ああ、聞こえるわけないさ」
ハマーンの席がずっと遠くにあるので完全に安心していた。
「絶対にな。安心していいさ」
「そうなの」
「そうさ。それでな」
ビールを片手に言葉を続ける。
「あの人二十一だっていうけれどあれ絶対詐称してるぜ」
「嘘だってこと?」
「そうだよ。じゃあ聞くけれどな」
言ってはいけない言葉をなおも続ける。
「あんな二十一っていないだろ。三十の風格はあるぜ」
「それはその」
「じゃあキラよ」
シンはまたキラに言う。
「あの紫のドレスだってそうだろ。あんなの若い女の人が着るもんじゃねえって。何でああおばさんじみているのかね」
「それは好みじゃないかな」
「そう、好みだよ」
シンはそこも指摘する。
「あのおばさんって結局は何もかもが年寄りじみてるんだよ。ありゃ二十一じゃねえって」
「そうか、二十一には見えないか」
「ああ」
後ろからの声にも答える。
「本当は三十はいってるだろ。嘘はいけねえな、嘘は」
「嘘ではないとしたら?」
「どんだけ老けてるんだよ」
また言った。
「あんな老け顔でな。果てはどんな婆さんになってるやら」
「よし、わかった」
後ろの声はそれで聞くのを止めた。
「どうやら死にたいらしいな」
「一体何言ってるんだよ」
シンは後ろを振り返ることなく相変わらず酒を飲み続けている。
「俺が何時死ぬって?」
「あ、あのシン」
横からキラが震える声で言ってきた。
「今すぐここから逃げた方がいいよ」
「何でだよ」
やはり全然わかっていない。
「俺が何で・・・・・・って何だよ皆」
同じテーブルにいたミネルバの面々が自分から離れているのに気付いた。
「何か来たのかよ。急に」
「さて、覚悟はいいか」
また後ろから声がした。
「今までの言葉、捨ててはおけぬ。容赦はしない」
「何だよ、あのおばさんみたいな話し方でって」
「シン、後ろ後ろ」
離れているルナマリアがシンに対して言ってきた。
「もう手遅れだけれど」
「こうなったら」
「!?メイリンまで何だ?」
いい加減妙に思って首を傾げさせる。132
「何かあるのかよ」
「あの、だからさ」
また横からキラが言う。
「今すぐ・・・・・・ってうわああっ!」
「うわああっ!?」
いい加減気になり後ろを振り向く。するとそこには鬼がいた。
真っ暗なシルエットで目だけが光っている。そのシルエットはハマーンのものだった。
「さて、少年」
ハマーンはシンに問う。
「言い残す言葉はあるか?」
かくして席は地獄絵図となった。後には全身ボロ布のようになり果てたシンだけがいた。
「あれ!?」
ここで護はふと気付いた。
「命姉ちゃんは?」
「あれ!?そういえば」
「いないも」
アカリとクマゾーもそれに気付く。
「ああ、命さんなら医務室だよ」
ケン太が言う。
「医務室!?」
「うん、身体が疲れてるらしくて。それが凱さんと一緒に」
「そうだったんだ」
「それがどうかしたの?」
「いや、何でもないよ」
不吉な顔をしたがそれは一瞬のことだった。
「気にしないで」
「うん」
(けれど)
しかし彼は心の中で思った。
(何だろう、嫌な予感がする。気のせいかな)
だがそれは気のせいではなかった。医務室では異変が起こっていた。
「命!」
凱は命に対して叫ぶ。
「どうした、命っ!?」
「・・・・・・・・・」
命は答えない。だが何かが蠢く音がした。
「み、命に何が起こっているんだ!?」
何かが光った。そして命は何かに変わっていた。
それは機界新種だった。人からそれになってしまったのだ。
「命!!」
「・・・・・・・・・」
凱の言葉にも答えない。しかし凱は叫ぶのだった。
「命ぉぉぉぉぉっ!!」
パーティーは一転して騒ぎの場となっていた。場所は赤く点滅し皆異変を察し身構えていた。
「状況はどうなっている!?」
大河が猿頭寺に問うていた。
「変容した卯都木隊員は格納庫からGGGディビジョン艦を奪い地球へ降下しました!」
「その間、止めに入った凱や氷竜達は彼女に触れられた途端異常なエネルギー低下に見舞われまシタ!」
「何っ!?」
続いて述べられたスワンの言葉に目を瞠る。
「分析の結果彼女に触れられた物質は無機、有機に関わらず全ての機能を停止する模様!」
今度はスタリオンが報告する。
「要するに死んじまうってことかよ!」
「何ということだ」
火麻も大河も言葉もない。雷牙博士はその中で言う。
「Zマスターが消滅した今、ゾンダーもゾンダリアンも活動できん筈だぞ!それがどうしてだ!」
「なら一体!?」
異変は続く。これだけではなかった。
「メイン及び動力炉の稼働率が二五パーセントを下回りました!」
今度は牛山が言う。
「間も無くオービットベースも機能を停止します!」
「おいおい!」
火麻がたまりかねたようにして叫ぶ。
「これじゃ手も足も出ねえぜ!!」
「目標が大気圏を突破!」
またスワンの報告が入る。
「日本地区、東京を目指していマス!!」
「何っ!?」
皆それを聞いて悟った。
「もしや敵の目的は!?」
「地球の機界昇華か!!」
「いかん、いかんぞ!」
大河はすぐに叫んだ。
「このままでは!」
「しかしどうすれば!」
誰もいない。だがここでシュウが出て来た。
「心配することはありません」
「何っ!?」
ここで皆シュウの言葉に顔を向ける。見れば彼はいつものように落ち着き払っていた。
「こうなることはわかっていました」
「だったら何で何もしねえんだよ」
「そうよ」
マサキとベッキーがそれに抗議する。
「おめえはいつもよ」
「変に動かないわね」
「それは簡単です。私では何もできないからです」
「どういうことだ!?」
「この機界は特別です」
そうマサキに答える。
「私の力でも。何も為し得ないのですよ」
「じゃあ一体誰が」
「まさかどうしようもないっていうんじゃないだろうね」
マサキだけでなくシモーヌも言う。彼等にはどうすればいいのかわからない。
「いえ、方法はあります」
「方法!?」
「それは何なんだい?」
「奇跡を起こすことです」
それがシュウの言葉であった。
「これから」
「奇跡か」
「そうです、今から」
そうしてシュウはまた言う。
「地球に向かうのです」
「オーーーーー!」
ここでスワンの叫び声が聞こえた。
「護君がギャレオンと共に出撃しました!」
「いかん!」
大河はそれを聞いて思わず叫ぶ。
「一機だけでは無理だ!」
「は、はい!」
「それでは!」
ロンド=ベルの面々は大河の危機に対する声を聞いて緊張を走らせる。
「動ける機体を大空魔竜に積み込み発進させろ!」
「了解!」
そのうえで頷く。そうして急いで出撃にかかる。
「行け!」
「誰でもいい!出られる奴が行け!」
「急げ!」
大河はあえて彼等を急かす。
「全てが手遅れになる前に!!」
「これからです」
シュウもまた彼等に参加しながら言う。
「勇者が本当の意味で勇者になるのは」
今機界との最後の戦いがはじまろうとしていた。その場所は。
危機が去った東京において。今何かが降ろうとしていた。
「何だ?」
末男が最初にそれに気付いた。
「空から何か落ちてくるぞ」
「若しかしてギャレオリア彗星かな」
「何言ってんのよ」
レイコが数納に対していつもの知ったかぶりの顔で得意そうに言う。
「彗星は地球の近くを通るだけで落ちてきたりなんかしないわ」
「じゃああれは?」
「あれって?」
「ほら」
皆華の言葉に上を向く。すると何かが降ってきた。
火の玉が落下する。東京に激震が走る。
「うわっ!」
「きゃっ!」
そして二つのマシンが姿を現わした。そのうちの一つはギャレオンであった。
「GGGのメカライオンだ!」
末男が皆に言う。
「どうしてここに」
「それよりもあれよ!」
レイコはもう一つを指差していた。
「何なのよ、あれは!」
「な、何だよあれ!?」
数納もそれを見て言葉がない。それは見たこともないものであった。
「あっちの緑の球は」
「駄目だ華ちゃん!」
ギャレオンから護が言ってきた。
「護君!」
「あいつは、あいつは皆殺される!」
「皆!?」
「うん、下がって!」
そう皆に言う。そのうえでギャレオンにも声をかける。
「ギャレオン!僕は皆を助けに行くから!」
そうギャレオンに告げる。
「ここは頼むよ!」
「ガオオオオオオオン!」
護は一人その緑の禍々しい光に向かう。彼が戦いはじめた時大空魔竜もまた東京に到着した。しかしそれが限界であった。
「博士、大空魔竜もここまでが限界です!」
操縦をしていたピートが大文字に言う。
「残念ですが・・・・・・」
「くっ、何ということだ」
サコンが艦橋で舌打ちしている。
「大空魔竜のエネルギーまでもが奴によって無力化されるとは!」
「動ける機体は直ちに出撃せよ!」
大文字はその中で何とか運び込んできたマシンを出撃させる。といっても持って来れたのは四機の魔装機神とヴァルシオーネにネオ=グランゾン、そしてオルガ達三人のガンダムだけであった。
「チッ、俺達だけかよ!」
オルガは出撃してまずは悪態をついた。
「何か今回は寂しいな、おい!」
「そうか!?僕は楽しくて仕方ないね!」
クロトはまた別の考えであった。
「相手が誰でも抹殺するだけだからね!」
「どうでもいい」
シャニもまた違っていた。
「うざいから倒す」
「大丈夫なの、これで」
テュッティはそんな三人を見て眉を顰めさせる。
「相手は増えるかも知れないし」
「何とかするしかない」
ヤンロンがそれに答える。
「その為に急いで来たのだしな」
「後で援軍が来ないかな」
リューネはそれを考えていた。
「敵のね。まあ来たら来たでこっちにも考えがあるけれど」
「何はともあれ頼む!」
大文字は彼等にまた声をかける。
「何としても止めるのだ!いいな諸君!」
「了解。それじゃあ!」
ミオが出ようとする。しかしそれよりも先に。
「気を着けろ!」
雷牙博士が彼等に言う。
「三年前、球に飛来したEI-01は彼女の身体にゾンダーとは異なる全く新しい種子を埋め込んでいた」
「三年前にかよ」
マサキはそれを聞いて顔を顰めさせる。
「何て奴なんだ」
「擬態」
博士はまた言う。
「その種子は体内の中枢神経に成りすましGストーンのエネルギーにも屈指ない無敵の機界生命体に成長するようじっと待っておったのだ!」
「そのようですね」
シュウは博士のその言葉に頷いていた。
「つまりそれは」
「まさに機界新種!」
博士は叫ぶ。
「言うならばそれだ!」
「三一原種を越えた存在か!!」
「そうだ、果たして勝てるかどうか」
「うだうだ言ってる暇はねえ!」
しかしここでガンダムの三人が飛び出た。
「相手が何であれ潰すだけだ!」
「必殺!」
「・・・・・・潰す」
三人はそのまま突き進む。そうして一斉攻撃を浴びせた。
「これでまずはダメージを与えてよ!」
「護!その後は」
「任せた」
「えっ、あいつ等ひょっとして」
リューネは三人の一見すると後先考えてはいない攻撃を見てふと気付いた。
「命さんのことわかってるんだ」
「そのようだな」
ヤンロンがそれに頷く。
「あれはあれで」
「意外だな、あいつ等が」
マサキもこれには流石に驚いていた。
「てっきり命さんごと何も考えずにやるつもりかと思ったけれどよ」
「確かに」
「あの三人だからニャア」
シロとクロもそう考えていた。流石と言うべき三人への信頼であった。
「やれるか!?」
次にマサキはこう思った。
「今のあいつ等なら」
「どりゃあああああああああああああっ!」
「滅殺!」
「・・・・・・止まれ」
三人はそれぞれのありったけの攻撃を浴びせる。一機で破壊的な戦力を見せる三機のガンダムだ。その三機の攻撃を受けては要塞ですら持たない。しかしここで異変が起こった。
「!?」
「何が起こったんだ!?」
三機のガンダムは急に機能を停止した。皆それを見て唖然とする。
「な、何が起きたんだ!?」
「と、止まった!?」
カガリとシンが言った。
「モビルスーツが機能を停止したんだ!」
キラが二人にそう説明する。
「間違いない、これは!」
「そんな馬鹿な!」
光がそれを聞いて言う。
「モビルスーツが急に」
「けれど光、これは」
「え、ええ」
海と風もまた驚きを隠せない。その顔で光に述べる。
「これはどう見ても」
「間違いありませんわ」
「奴に精気を吸い取られたようじゃな」
アスカはその切れ長の目を鋭くさせて言ってきた。
「あれは」
「というと吸血鬼ですか?」
タトラがそれに問う。
「そうなると」
「マシンのエネルギーを吸うって。また厄介な奴だな」
ザズはそう言いながらサコンに問う。天才メカニックの彼でもわからなかったからだ。
「サコンさん、これどういうことなんだい!?」
「あのロボットは全ての物質全てのエネルギーを昇華する存在だ」
サコンはザズだけでなく皆に対して言った。
「物質昇華だ!」
そして雷牙博士が叫ぶ。
「あれから逃れる術はない!Gストーンを直接使用しているギャレオン以外の機体では、近寄っただけで無力化させられるぞ!」
「ちょっと待て、それじゃあよ!」
動きを止めてしまったカラミティからオルガが叫ぶ。
「手の出しようがねえじゃねえか!」
「僕達はどうすればいいんだよ!」
「死ぬ」
「シャニ、縁起でもないんだよ!」
クロトは勝手に怒っている。
「けれどこのままじゃそうなる」
「君達はさっさと脱出しなさい」
アズラエルがその三人に告げる。
「戦闘に巻き込まれて破壊されても後で修理すればいいだけですから」
「そういうことだね。君達」
ユウナが三人に指示を出す。
「安全な場所にまで避難していてくれ。マシンは後で回収するから」
「了解だぜ」
「それじゃあ」
「逃げる」
三人はさっさと脱出した。しかし機界新種が受けたダメージは結構なものであった。
「ガオオオッ!」
ここでギャレオンが叫ぶ。
「ギャレオンだけは奴とまともに戦える。しかしパワーが」
「今のあのダメージを受けている相手でも」
「無理だ、やはり」
大文字の言葉にも首を横に振る。どうしようもないかと思われたその時だった。
「長官」
誰かが声をあげた。
「俺達が行く!」
「馬鹿な、動けるのか!」
それは凱だった。大河は後ろから声をかけてきた彼に対して思わず言った。
「その身体で」
「やってやる!」
それでも彼は言う。
「今ここで俺は命を!」
「しかしガオーマシンも既に半ば物質昇華されておる!」
雷牙博士はその彼を止めようとする。
「ファイナルフュージョンは出来んぞ!」
「いや、方法はある!」
しかし彼はそれでも言うのだった。そうして出撃した。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
「凱兄ちゃん!」
「来い、ギャレオォォォォン!!」
護の声の中ギャレオンを呼ぶ。
「ガオオオン!」
「フューージョンッ!!」
凱とギャレオンが合体する。そうしてガイガーになった。
「ガイガァァァァァッ!!」
「凱、戦えるのか!?」
宙がガイガーになった凱に問う。
「その身体で」
「しかしガオガイガーは」
「今の状況は」
アムロとクワトロにもわかっていた。今のガオガイガーの状況が。
「大丈夫だ!」
しかし凱は叫ぶ。
「俺は戦える!いいか!」
そして呼ぶ。
「行くぞ皆!!」
GGGの面々が一斉に凱の前に姿を現わす。
「これが最後の戦いだ!!」
「了解!!」
「最後の見せ場か!」
風龍と雷龍が最初に応える。
「いつでもOKです!」
「こっちもだ!」
続いて氷竜と炎竜が。
「マイクもやるもんね!」
「おうよ!ぬかるんじゃねえぞ!!」
マイクとゴルディマーグも。彼等もそこにいた。
「我々の最後の力でファイナルフュージョン、必ず成功させてみせます!」
「ボルフォッグさんもああ言ってるし」
「私達も」
「ああ、あんた達も行くんだ!」
ルネもいた。彼女は自分の妹達とも言える光竜と闇竜に告げる。
「あたしはあたしで戦うからさ!」
「これは!」
力が都度っていく。カミーユはそれを見て言う。
「勇者ロボの超AIをガオーマシンに移植しているんだ!、間違いない!」
「しかしよ、そんなことをしたら!」
サコンにナオトが言う。
「彼等は機能を完全に停止してしまう!」
「御願い、止めて!」
アキラとミカが叫ぶ。
「そんなことしたら貴方達が!」
「いかん、我々も出る!だから!」
「安心して下さい!」
風龍がアキラに応える。
「我々は今が見せ場なのですから!」
続いて雷龍が言う。
「私達は物質昇華によってもはや機能停止を待つだけの状態でした」
「だったら残ったこの生命。この戦いに捧げることを決めたんだ!」
氷竜も炎竜も覚悟を決めている。だからこそ迷いがない。
「マイク駄目ロボットだけど皆の為、友達の為に最後まで頑張るもんね!」
「そうだ!やってやるぜ!」
ゴルディマーグもまた叫ぶ。
「行くわよ、闇竜!」
「ええ、光竜!」
「行きましょう、隊長!」
ボルフォッグが最後に言葉をかけす。
「地球を・・・・・・卯都木隊員を救いに!」
「サポートはあたしがする!」
ルネはガオガイガーのサポートに回ることを言ってきた。
「だから凱!あんたは!」
「わかった!」
凱もそれに頷く。
「皆の生命、俺が預かる!!行くぞぉぉぉぉぉっ!!」
彼等の力を集める。しかしそこに新種が迫る。
「いかん!機界新種が来る!」
「くっ!」
雷牙博士が叫び凱も呻く。
「このままでは!」
「凱兄ちゃん、危ない!!」
しかしここに護が来た。彼はすぐに凱の前に緑の光となり守りに入った。
「護!」
「はああああっ!!」
「あ、あれは!」
「若しかして!」
護の友人達は今を見ていた。レイコと数納が叫ぶ。
「護君!」
「どどど、どうなっちゃってんだ!?」
「護君は宇宙人なの!」
華は驚く末男だけでなく皆に言った。
「えーっ!?」
「どういうこと!?」
「それって・・・・・・」
三人はそれを聞いて目を丸くさせる。華はそんな彼等にさらに言う。
「護君はゾンダーをやっつけるために別の星からやってきた超能力者。今までずっと私達を守るために生命を懸けて戦ってきたのよ!」
「護君が・・・・・・!」
「そんな!」
「そうなの。だから皆も応援して!」
華はそう彼等に頼む。
「地球人の友達として!」
新種の力が護を押す。護はそれに防戦一方になる。
「う、うう!」
「護君!!」
その護に華が声をかける。
「頑張れ護!」
そして末男も。
「もう少しよ!もう少しだけ我慢しなさい!」
「負けるなーっ!」
レイコと数納も。護もまた彼等の言葉を受ける。
「皆・・・・・・わかったよ!」
その言葉が何よりの力だった。それを受けた彼は。
「はああああっ!!」
ありったけの力を出す。それで新種を防ぐ。
「護!」
「負けんじゃねえぞ護!!」
ロンド=ベルの面々はその護を応援する。今彼等の心が一つになった。
そして凱も。今それが勇気になる。
「護!御前の勇気受け取ったぞ!!」
「凱兄ちゃん!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
叫ぶ。これまでにない叫びを地球に、銀河に轟かせる。
「ファイナルッ!フュゥゥゥジョォォォォォォンッ!!」
ファイナルフュージョンが展開される。仲間達が次々と合身していく。彼はその中今最強最後の勇者になろうとしていた。
「合体完了!」
白い光と共に叫ぶ。
「ガオ!ガイ!ガァァァァッ!!」
「やった・・・・・・凱兄ちゃん!」
「護!」
今まで護ってくれた小さな勇者に対して言う。
「後は俺達に任せろ!」
「うん・・・・・・」
護は引き下がる。そうして今最後の戦いのゴングが鳴った。
「やることはやった」
火麻が言う。
「勝っても負けても思い残すことはねえ!」
「勇者よ!」
大河もまた叫ぶ。
「生命あるもの全ての未来を頼むぞ!」
「わかった!」
「凱!」
雷牙博士もまた凱に言う。
「ガオガイガーでも物質昇華は完全には防ぎきれん!攻撃は六回が限度だと思え!」
「了解!機界新種、命を返してもらうぞ!!」
渾身の攻撃を放つ。まずは。
「ブロオオオオオオオゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン、マグナムッッッッッッ!」
それが新種を貫く。あと五回だった。
「まだ倒れないか!それなら!」
次はドリルニーを放つ。そうして今全てを捨てて攻撃を放っていた。
護はこの時後方で傷ついた身体を休めていた、しかしそこに誰かが来た。
「動かないで」
それは少女の声であった。
「貴方は傷ついています」
「き、君は」
また何かが起ころうとしていた。それは何かまではわかってはいなかった。
既に凱は五回の攻撃を終えていた。仲間達はそこまでで力尽きてしまっていた。
「残るは俺一人」
凱はかろじて立ちながら言う。
「しかし!この一撃!最後の一撃で!」
その中で彼は叫ぶ。
「命!御前を救い出す!うおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーっ!!」
拳を繰り出す。全てを込めたブロウクンマグナムを。
「命ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
新種に拳を撃ち込む。拳は新種の胸を撃ち抜く。そうして遂に新種の動きを止めたのであった。
「やった・・・・・・やったぞ!」
皆動きを止めた新種を見て叫ぶ。
「凱!!これで!」
「いえ、まだです」
しかしシュウがここで言う。
「核が生きている限り物質昇華は進みます」
「えっ、それじゃあ」
「命さんは」
「・・・・・・命」
(凱・・・・・・)
ここでその命の声が聞こえてきた。
(殺して。早く私を殺して・・・・・・)
「いいんだな、それで」
命に対して問う。
(ええ)
凱の言葉にこくりと頷く。
(貴方の手で早く)
「わかった」
その言葉に頷く。
「今行く。待ってろ」
(有り難う)
「死ぬ時は一緒だ」
凱はそのつもりだった。全てを覚悟していた。
「命、御免な。俺は・・・・・・一番大切な人さえも守れなかった・・・・・・」
「凱・・・・・・」
最後に心を通わせる。その心こそが二人の絆だった。
「御前を・・・・・・愛してる」
(貴方を好きになって・・・・・・)
最後に言葉を噛み締める。
(良かった・・・・・・)
「もう離さない」
凱も言う。
「ずっと・・・・・・ずっと一緒だ」
(凱・・・・・・)
緑の球が現われる。護のものだ。
「力を貸してくれ、護」
凱は護と心を合わせる。そのうえで唱えた。
「クーラティオー=テネリタース。セクティオー、サルース=コクトゥーラ」
光が起こった。そしてガオガイガーの手の平に。
「奇跡が起きたよ」
護がいた。そして。
「えっ、私・・・・・・」
命は生きていた。昇華され元に戻っていた。
そして凱も。そこにいた。
「あっ・・・・・・凱」
「おかえり、命」
凱もまたそこにいた。微笑んでそこに立っている。
「その身体・・・・・・」
「神様がとっといてくれたらしい」
にこりと笑って述べる。
「俺達の勝利の御褒美として」
「凱・・・・・・!」
「命・・・・・・」
二人は抱き合う。凱はその中でまた言った。
「もう離さない・・・・・・」
「凱・・・・・・」
奇跡により命は救われた。そして地球も。皆それに沸き立つ。しかしそれを冷静に見ている男達もまたそこにいたのであった。
「さて」
シュウは奇跡に沸き立つロンド=ベルの面々を見て呟く。
「いよいよですね」
「それじゃあ御主人様」
「はい、脅威は全て去りました」
彼は言う。
「そうなれば。彼女は遂に動くでしょう」
「今でも結構動いていますよね」
チカはそう問うてきた。
「それよりもですか」
「神にとっては今までの動きなぞどうということはありません」
シュウはここで神という言葉を出してきた。
「ですから」
「じゃあ今からいよいよ」
「楽園喪失である」
彼はまた言った。
「いいですね」
「ええ」
彼等はまだ何かを見ていた。そうしてもう一人の男も。
「機は熟したり、だね」
白いスーツにボルサリーノの白人の男が遠くから思わせぶりに笑っていた。
「それじゃあ僕もいよいよ」
そう言い残して姿を消す。地球で何かが起ころうとしていた。

第百六十話完

2007・5・2
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧