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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百四十七話 グレミーの反乱

                   第百四十七話 グレミーの反乱
「そうか、遂にか」
「はい」
ハマーンはイリアからの報告を受けていた。イリアもそれに応えている。
「グレミーめ、やはりな」
「それではすぐにでも」
「うむ、アクシズに向かうぞ」
ハマーンはそう彼女に告げた。
「すぐにだ。よいな」
「はっ」
「ロンド=ベルにも連邦にも介入されないうちにな。いいな」
「わかりました。では短期決戦ですね」
「私も出る」
ハマーンはさらにこう述べた。
「さもなければ傷が深くなる。そうなれば」
只でさえ連邦やティターンズに数で劣るネオ=ジオンは反乱軍との内部での消耗戦で戦力を大きく失う。それを避ける為であったのだ。
「いいな」
「わかりました。それでは」
「うむ」
ハマーンは席を立った。彼女も戦場に向かう。アクシズは今風雲急を告げていた。
ハマーンが自らの軍の殆どを率いてアクシズに向かうとグレミーもまた軍を率いて戦場にいた。見ればかなりのモビルスーツと戦艦が展開していた。
「多いな」
ハマーンはそれを見て述べる。
「グレミーめ、まだ若いと思っていたが」
「数はこちらが上ですが」
イリアが横で述べる。
「敵にはかなりのニュータイプ部隊に強力なモビルスーツがあります」
「戦力的には互角か」
「そうなるかと」
「しかしハマーン様」
同じく横に控えるマシュマーが言う。
「そうであっても我々には大義があります」
「ミネバ様はここにおられる」
ハマーンは述べた。
「それだけだ。いいな」
「はい」
「それでは」
彼等も出撃する。そのまま彼等の戦いがはじまろうとしていた。しかしそこに突然謎の部隊が姿を現わしたのであった。
「何っ!?」
「まさか」
ハマーンとグレミーは同時に彼等の姿を認めて声をあげる。それはロンド=ベルであったのだ。
「馬鹿な、彼等がどうして」
グレミーはエンドラの艦橋で驚きの声をあげた。
「ここに現われるのだ。まさかもう」
「おそらくは」
横にいたラカンが応える。
「火星の後継者との戦いを」
「あれだけの数をか」
「はい。既に火星とは通信が取れなくなっています」
彼は述べる。
「それを考えますと」
「そうか。しかし」
だからといって引き下がるわけにもいかない。既に敵は目の前にいるのだ。
「最早我等は立った。ならば」
「戦われるのですね」
「ネオ=ジオンとロンド=ベル双方を相手にする」
グレミーは断を下した。
「だが守りに徹する。よいな」
「はっ」
グレミーの軍はアクシズの守りを頼りに専守方針を採った。それに対してハマーンの軍はアクシズに向かう。
「ロンド=ベルが攻撃範囲に入ったならば容赦するな」
ハマーンはそう部下達に伝える。既にキュベレイの中にいる。
「だが第一の目標はアクシズの奪回とする。いいな」
「了解」
皆それに頷く。彼等はハマーンを先頭にアクシズへ向かうのであった。
ロンド=ベルは両軍の戦闘を利用することにした。互いに戦力を集中させていることをいいことに即座に攻撃を浴びせてきたのだ。
「来たか。ラカン!」
「はっ」
ラカンはグレミーの言葉に応える。
「地球をやる約束だ。その為には」
「わかっております。いいか!」
配下のドーベンウルフの部隊に声をかける。ジャムルフィンのスリーディーも一緒だ。
「我等はロンド=ベルに向かう。いいな」
「了解!」
「わかりました!」
部下達はラカンの言葉に応える。そしてラカンに続いてロンド=ベルに向かう。
彼等の相手はジュドー達だった。既にイーノがスリーディーと戦っていた。
「僕だってこの程度は!」
ニュータイプならではの直感で三方から襲い来るハイメガ粒子砲をかわす。そして上に上がりそこからライフルを放つ。
「これで!」
エンジンを貫き戦闘不能にする。ジャムルフィンノ三人は慌てて逃げ出し三機のジャムルフィンがまず消えた。
ドモンはオウギュスト、エルは複数のキュベレイと戦う。まずはドモンが何なくオウギュストを退ける。
「ちっ、ここまでか!」
慌てて脱出して彼は難を逃れた。既にアリアスは脱出ポッドの中だ。彼はエルにやられた。そのエルが今キュベレイ達を相手にしているのだ。
「この感覚」
エルは戦いながら嫌なものを感じていた。
「何!?まさか」
「あたし達と同じ」
「そうだな」
プルとプルツーが言った。
「わかるわ、これ」
「まさかと思ったけれどね」
「ちょっと、それって」
エルはキュベレイ達の相手をしながら二人に問う。
「あそこにいるのあんた達の姉妹ってこと!?」
「いや、それは少し違うな」
カミーユがそれに答えてきた。彼はガンダムチームと共同してスペースウルフ隊と戦っていた。
「おそらくクローンだ」
「クローン・・・・・・そういうことね」
「気味が悪いのだったら殺すことはない」
カミーユはそうエルに言う。
「動けなくするだけでいいんだ」
「わかったよ。それじゃあ」
「しかしネオ=ジオン」
カミーユはエルに話した後で忌々しげに呟く。
「人の命を何だと思っている」
「ある意味仕方ないわ」
ロザミアがここで彼に言った。
「だって。これ戦争だから」
「そうか」
「そうよ。私もフォウさんもそうだったし」
「ロザミィ・・・・・・」
彼はまたニュータイプ、強化人間というものに考えさせられた。それはどうしようもないものであった。今の彼にとっては。
ビーチャはラカンと戦っている。しかし流石に彼は強い。
「腕は上がっているな!」
「おいおい、何であんなに動けるんだよ!」
ビーチャはラカンのドーベンウルフの攻撃を必死に追いながら言う。
「おかしいだろうが」
「これが年季というものだ」
ラカンはそうビーチャに返す。
「子供にはわからんことさ」
「子供子供って言うけれどな!」
ビーチャはラカンの今の言葉に言い返す。
「俺だって前の戦いから今まで洒落にならない位戦ってきたんだ!場数なら負けちゃいねえぜ!」
「なら見せてみろ」
ラカンは彼に言う。
「その場数をな」
「おうよ!」
彼等はそのまま一騎打ちに入った。ジュドーはハマーンと戦っていた。
「ハマーン、またあんたか」
「ジュドー、御前とは縁があるようだな」
ハマーンはジュドーを見ながら述べてきた。
「元気そうで何よりだ」
「俺はまだ若いんでね。元気が有り余ってるのさ」
「いいことだ。若いということはそれだけで力になる」
ハマーンはその言葉に無意識のうちに笑みになっていた。
「私も。いや」
だがそこからは言わなかった。
「私は所詮は」
「!?ハマーン」
ジュドーはここでハマーンから違和感を感じた。
「あんた、ひょっとして本当は」
「本当だったらどうする?」
ハマーンは彼に言ってきた。
「私を止められるとでもいうのか?」
「わからない。けれどな」
ジュドーはまた言う。
「今あんたを確かに感じた。本当のあんたをな」
「ふっ、戯言を」
だがハマーンはその言葉に冷笑で応えた。
「私をわかるなどと。子供だというのに」
「子供とかそういうのは関係ないんだ」
しかしジュドーはそう反論する。
「俺は今確かにあんたを感じた。本当のあんたは」
「言うな!」
ハマーンは鋭い声を出してきた。
「私はハマーン=カーンだ。それ以外の何者でもない!」
「いや、あんたは隠している!」
それでもジュドーは言う。
「本当の自分を!俺にはわかる!」
「わかったらどうだという!」
キュベレイからファンネルを飛ばしてきた。
「人の心に踏み込むな!俗物が!」
「俺もあんたの心を見ている筈だ!」
ジュドーはまたハマーンに言い返す。
「だからお互い様なんだよ!」
「くっ、何故だ」
ファンネルを放ちながらもハマーンは怯んでいた。
「何故御前の言う言葉が心に残るのだ」
「ハマーン」
プルが彼女に声をかけてきた。
「ムッ!?」
「素直になろう。自分に」
「そうだ、あんたはもうわかっている筈だ」
プルツーも言う。
「自分のことが。だから」
「ええい、黙れ!」
しかし彼女は聞き入れようとはしない。
「御前達に何が!」
「わかるよ!」
プルがハマーンの言葉を遮る。
「だってあたし達同じだから」
「わかるんだ!キュベレイや他のことを通じてな!」
「馬鹿な、何故御前達の言葉も」
ハマーンはプルツーの言葉も聞いた。それに心が縛られるのも感じていた。
「残る。どうして」
「ハマーン、素直になるんだ!」
またジュドーが言う。
「あんた自身に!」
「くっ、黙れ!」
しかしハマーンはこの場を振り切った。
「御前との決着は後だ!私はジオンの女だ!」
その業が今彼女を包んでいた。
「それ以外の何者でもない!だから!」
しかしジュドー達は見ていた。その業がかつてよりも彼女から離れてきていることに。気付いていないのはハマーン自身であった。
「散れ!私の前から!」
彼女はファンネルを乱射して三人を引き離す。そのままグレミーの軍との戦いに消えていった。
「ハマーン、あんたはわかっているんだ」
ジュドーは戦場に消えたハマーンの姿をまだ見ていた。
「だからきっと」
「うん、それはもうすぐだ」
プルツーが彼に声をかける。そしてプルも。
「だからね」
「わかってるさ、だから心配するなよ」
「ああ」
「次ね」
ロンド=ベルの攻撃はグレミーの軍勢に集中していた。それを受けてグレミーはクイン=マンサを出していた。それに乗り自らをロンド=ベルへの最後の守りとしていた。
「まだだ、まだいける」
彼はクイン=マンサのコクピットの中で言う。
「このクイン=マンサがある限り」
「いや、もう無理よ」
そこにルーがやって来た。
「君は」
「貴方とはあまり話す機会がなかったわね。けれど」170
彼女は言う。メガランチャーを構えながら。
「終わりよ!」
「くっ、そうはさせない!」
グレミーも対抗してきた。ファンネルとメガ粒子砲をこれでもかと放つ。
「私はザビ家の者!だから!」
「それから逃げられなかったのが悪いのよ!」
メガランチャーはファンネルもメガ粒子砲も退けた。そしてクイン=マンサを貫く。グレミーは一瞬で散った。光に貫かれたクイン=マンサは炎に包まれその中に消え去ったのであった。
「これで・・・・・・終わりね」
ルーは銀河の中に消えたグレミーの墓標を見て言った。
「さよなら、グレミー」
グレミーの死でアクシズでの戦いは終わった。ラカンも撃墜され脱出ポッドはロンド=ベルに回収されていた。残ったグレミーの軍勢はロンド=ベルかネオ=ジオンに投降しハマーンはアクシズを奪還した。こうしてアクシズは再び彼女の手に戻った。しかしネオ=ジオンがこの戦いで受けた傷は致命的と言えるものであった。
「七割か」
「はい、それだけの数がなくなりました」
マシュマーがそうハマーンに報告していた。
「御言葉ですが回復は」
「困難だというのだな」
「はい」
マシュマーは述べる。
「人員もモビルスーツも」
艦艇も設備もだ。ネオ=ジオンの受けた損害はあまりにも大きいものであった。
「わかった」
ハマーンはそれを聞いて頷く。
「ならば」
「ならば?」
「ケリをつける」
自室の窓から銀河の星達を見て言った。
「私自身のな」
「ハマーン様御自身の」
「マシュマー」
マシュマーの方を振り向いて言う。
「はい、何か」
「ミネバ様にお伝えしろ。お健やかにとな」
「は、はあ」
「私が言うのはそれだけだ。よいな」
「はっ」
マシュマーはこの言葉の意味がよくわからなかった。わかっているのはハマーンともう一人の男だけだった。彼女は今その男を見ていた。
「よいな、それで」
彼に声をかける。それはその男にも聴こえていた。
「いよいよかよ」
ジュドーであった。彼は今ハマーンの声を確かに聞いていた。
「あんた、どうしても俺と」
「行くのだな」
クワトロが横に来ていた。そのうえで彼に問う。
「決着をつけに」
「ああ」
ジュドーは彼の言葉に頷く。
「あの人自身のな。決着を」
「そうか。では私も行こう」
彼はそうジュドーに言ってきた。
「私もまた。業を終わらせなければならない」
「あんたもか」
「そうだ。それでいいか」
「ああ。よかったらな」
彼は言う。
「来てくれ。立会人ってわけか」
「そういうことになる。だからだ」
「わかったぜ。じゃあ」
「うむ」
彼等もハマーンとの戦いに赴く。ハマーンの業を消し去る為の戦いに。

第百四十七話完

2007・2・28
 
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