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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第百二十二話 死別、そして思わぬ再会

             第百二十二話 死別、そして思わぬ再会
ロンド=ベルはウスミ達の要請を受けてオーブからの撤退準備を進めていた。既にオーブ軍の主力は撤退を開始していた。
「急げよ」
司令部ではキサカが檄を飛ばしていた。
「一秒たりとも遅れてはならないからな」
「さて、残り時間だけれど」
その横でユウナが述べた。
「あまりないだろうね。本当に急がないと」
「はい。ただ困ったことに」
「カガリかい?」
「そのままストライクルージュに乗られたまま前線におられます」
「参ったね。本当に危ない戦いなのに」
「皆が前線にいるのに一人だけ安全な場所にいられるかと」
「指揮官はそうじゃないんだけれどね」
「言っても聞かれませんから」
「やっぱり」
「困ったことです」
「まああのお姫様はそれでよいのではないのですか?」
アズラエルはぼやいて心配な顔をする二人に対して言った。
「確かに何かあっては元も子もないですが」
「だから問題なのですよ」
キサカは述べる。
「何かあってからでは」
「子供の頃から向こう見ずだったからね」
ユウナは困り果てた顔になっていた。
「正義感は強いんだけれど。全く」
「僕達もそろそろここから移らないといけませんし」
「そうですな」
「じゃあ一体何処に」
「アークエンジェルはどうでしょうか」
「アークエンジェルに」
「はい、そこをお借りしてオーブの指揮を」
「そうですな」
「じゃあマリュー艦長に話してみるよ」
すぐにユウナが動いた。
「そっちの方がカガリに目を光らせることができるしね」
「そうですな。それでは」
キサカもそれに賛同することにした。
「すぐにでも」
「うん。司令部の皆も移動準備にかかってくれ」
ユウナはスタッフにも指示を出した。
「遅れないようにね。いいね」
「了解です」
マリューとの話はすんなりと決まった。こうしてオーブの首脳部とアズラエルもアークエンジェルに移ることになったのであった。
「じゃあ皆暫く宜しく」
ユウナが代表してアークエンジェルのクルーに挨拶をする。
「忙しいところ申し訳ないけれど」
「いえ」
「後俺やっぱり戻って来ました」
カズイもそこにいた。
「その・・・・・・やっぱり」
「カズイ、お帰り」
サイが彼を笑顔で迎えた。
「早速忙しいけれど頼むよ」
「あ、ああ」
「今のところ副長とフレイがいないけれど」
「しかもいきなり激戦だけれどね。復帰してすぐこれなんてなあ」
ミリアリアとトールもそこにちゃんといた。そしてカズイの場所もあったのである。彼はそんなアークエンジェルの空気にすぐに受け入れられたのであった。
「それでね。オーブ軍との連絡は」
「はい」
ユウナがマリューに言った時であった。通信が入って来た。
「はい、アークエンジェルです」
「そこにユウナ様達はおられるかな」
出たカズイにすぐに問いがかけられた。
「はい、おられますが」
「悪いが変わってくれ。オーブのトダカ一佐だ」
「あっ、トダカからか」
ユウナは彼からの通信に顔を向けた。
「何かな」
「まずは出て欲しいってことですけれど」
「わかったよ。じゃあ」
カズイに応えて通信に出る。そして話をはじめた。
「どうしたんだい?」
「オーブとしても彼等に全面協力しておりますね」
「うん」
まずはそれに頷いた。
「それでクサナギを出航させることにしました」
「クサナギをかい」
「はい、すぐにこちらに来られて下さい。宜しいでしょうか」
「しかしあれは」
「今はそんなことを言っていられる場合ではないかと」
「それはそうだけれど。ウズミ様は何と言っておられるんだい?」
「許可して下さいました」
「それなら僕に異存はないよ」
オーブ軍の最高司令官は首長であるウズミである。それならばユウナとしても異存はなかった。
「キサカ、すぐにクサナギに移ろう」
「わかりました。では」
「艦長、そういうわけで悪いけれど」
「はい、それでは」
乗ってすぐに艦を出ることになった。ユウナ達はクサナギに移った。そしてグリーンの艦がロンド=ベルに合流したのであった。アズラエルも彼等と一緒であった。
その頃アスランはもう出撃していた。そして夜の帳が深くなる中でアークエンジェルからの通信を受けていた。
「ジャスティス、いいですか」
「ああ」
ミリアリアに応える。
「そちらにはバスターとブリッツが向かいますので宜しくお願いします」
「わかった。じゃあ彼等と小隊を組む」
「あとストライクも向かいます」
「キラも?」
「キラはフリーダムですよ」
「ああ、そうだった」
ミリアリアに応えて訂正する。
「フリーダムだったな」
「はい」
「それでフリーダムは?」
「アークエンジェルの護衛です、今のところは」
「そうか」
「リンクス少佐達と一緒だよ」
今度はカズイが応えた。
「あの人達とか」
「多分そっちは大変だろうけれど宜しくね」
「わかっている。もうすぐ来るだろうな」
「絶対にね。まだレーダーに反応はないけれど」
「今のところミノフスキー粒子もニュートロンジャマーも反応なし」
サイが伝えた。
「平和だね、まだ」
「あっ、君は」
ここでトールの声に気付いた。
「あの時のスカイグラスパーの」
「話は聞いてるよ」
トールから声が返って来た。
「君がキラの友達だったんだね」
「ああ」
アスランはその言葉に頷いた。
「それで敵味方に別れてずっと」
「あの時は済まなかった」
アスランはあらためて謝罪した。
「危うく君を殺すところだった」
「いいよ、俺今こうして生きているしさ」
トールは飄々として述べた。
「それに戦争だろ。仕方ないさ」
「・・・・・・そうか」
「それに今は仲間だしさ。一緒にやろうよ」
「仲間か」
「そういうことになるな」
ムウのストライクがやって来た。
「アスランだったな」
「はい」
「トールも生きているしいいって言ってるんだ。それでいいじゃないか」
「それでいいんですか」
「戦争だからな。色々あるんだよ」
ムウは言う。
「仕方ないこともある。だから気にするな」
「わかりました」
「といっても何も考えていないのは困りものだけれどな」
「それは一体」
「そのうちわかるさ。ここは色んな人間がいるからな」
「色々な人が」
「凄いのもいるからな、用心しとけよ」
「用心って」
「あの赤い髪の女には注意しとけ」
ディアッカがやって来ていきなり言った。
「どうしたんだ?」
「あの赤いエヴァに乗っている女だよ」
「アスカだったっけ」
「そう、あいつだよ。あいつがイザークとあの時喧嘩した奴だよ」
「あの娘だったのか」
「そうさ、さっき俺もいきなりぎゃんすか言われたからな」
「何があったんだ?」
「ディアッカがちらっとアスカさんの胸を見たんですよ。するとアスカさんいきなり怒っちゃって」
ニコルがやって来た。
「それでそっから大喧嘩だったんですよ。今まで」
「そうだったのか」
そこまで聞いてやっとわかった。
「それでどうなったんだ?」
「何もねえよ」
ディアッカは忌々しげに述べた。
「ったくよお、あまりない癖に」
「貧乳なのか」
「まあ中学生ですからね、アスカさんは」
ニコルが言う。
「けれどあれは」
「どうなんだ?」
「まあその話は止めておきましょう。エヴァがこっちに銃口を向けていますし」
「・・・・・・そうだな」
モニターを見れば本当だった。何かアスカの怒りまで感じる。
「止めておくか。ところで」
「何ですか?」
「フィリス達は何処なんだ?」
「今ミネルバの近くだぜ」
「ミネルバのか」
「ああ、あそこにも来るだろうな」
「オーブ全体に襲い掛かって来るぜ」
ムウがディアッカに応えた。
「ティターンズとバルマーがな」
「市民の人達が皆避難したのがせめてもの救いですね」
「しかしあのティターンズが市民を狙わないとは」
「サイ、ティターンズに詳しいのか?」
「いや、今のは僕じゃないけれど」
サイは少し戸惑ってアスランにそう返した。
「あれっ、けれど声が」
「ああ、俺だ」
声の主は勇だった。
「貴方が」
「よく声が似てるって言われるんだ、サイとはな」
「そうだったんですか」
「似てるか、やっぱり」
「ええ、まあ」
「本当に同じ声に聞こえます」
「俺実はレイとあのデュオって奴の声が同じに聞こえるんだよな」
ディアッカがぼやく。
「何でかな」
「まあ声が似ている人っていますからね」
「そういやミサトさんだったっけ。あのエヴァの美人で胸の大きい隊長さん」
「呼んだかしら、ディアッカ君」
「あっ、こりゃどうも」
モニターにその当人が出て来た。
「私がどうかしらの?」
「いや、何か隊長さんの声がアークエンジェルの艦長さんの声と似てるなって思って」
「他人とは思えないのは確かね」
「やっぱり」
「あとね」
「はい」
「私のことはミサトさんでいいから。宜しくね」
「了解」
「わかりました」
三人はそれに応える。
「そういうこと。それじゃあ」
ミサトはモニターから消えた。そして話が再開した。
「さっきのティターンズの話ですけれど」
アスランが勇に話を振ってきた。
「うん」
「俺もティターンズのやり方は知っているつもりです。あいつ等は平気で一般市民を巻き添えにする」
「あいつ等は自分達以外を認めてはいない」
シラーが述べた。
「それはわかります。俺達もやられましたから」
「ユニウス=セブンか」
「はい」
勇に答える。
「俺の母さんもそれで死にましたから」
「けれど今回は狙わなかった」
勇はまた述べた。
「あれは何故」
「彼等から悪しきオーラを感じるのは事実です」
シーラがここで言う。
「しかしそれは微妙に違っていました」
「微妙に」
「様々な悪しきオーラを感じるのです」
エレも言う。
「ですがそこにあるのは破壊への衝動や野望だけで」
「殺戮はありませんでした」
「何かわからなくなってきたな」
ディアッカはつい首を傾げてしまった。
「じゃあ何だっていうんだ?」
「ジブリール君ですからね」
今度はクサナギからアズラエルが出て来た。
「ジブリールとうと」
「はい、ブルーコスモスの副理事で今はティターンズにいる彼です。彼が来ているからですよ」
「だから一般市民を巻き添えにしない!?」
「そうなのです。彼はあれで正義感が強い理想家でね」
アズラエルは述べる。
「普通の市民には手は出さないんですよ。ビジネスのこともありまして」
「じゃあユニウス=セブンは何なんだよ」
「あれはコーディネイターだからですね」
「俺達だから!?」
「はい、彼は異星人やコーディネイターといった存在には強い拒否反応がありましてね。それででしょう」
「何だよ、それじゃあ偏見の塊じゃねえか」
「そういう一面もあります。だからティターンズに入ったんですよ」
アズラエルはディアッカにそう説明した。
「僕もブルーコスモスですからね。よくわかります」
「けれどブルーコスモスの人がコーディネイターと一緒にいるなんて」
ミリアリアは不思議な顔をしていた。
「何か。凄い妙なような」
「まあ変なのは事実ですね」
アズラエル自身もそれは認めた。
「けれどいいじゃないですか」
そしてそのうえで言う。
「それはそれ、これはこれです」
「何かご都合主義にも聞こえますが」
「それも時としていいのですよ」
しれっとしてキサカに返す。
「確かに僕はコーディネイターには今でもいい感情を持ってはいません。元々アースノイド至上主義だったのですよ」
「それがまたどうしてロンド=ベルに」
「もっと大変な人達を見てしまったというのもありますが」
「マスク=ザ=レッドかい?」
「ぞっとする名前ですね」
ムウの言葉に本当に顔が強張った。
「僕のところに来てくれたのは暮れなずむ幽鬼でしたが。そこで彼とライオンロボ君の戦いを見まして」
「あの時は大変でした」
ボルフォッグが述べる。
「恐ろしい術を使って我々を散々に悩ませました」
「まあそうだろうな」
ムウはそれを聞いて頷く。
「俺の基地なんか十傑集一人で見事に破壊されちまったからな」
「見事に、ですか」
「あんなの誰も相手にできねえよ」
カナンにそう返す。
「いきなりビッグゴールドと一緒にやって来てよ。変態じみた訳わかんねえ忍術で手当たり次第に破壊されまくったんだよ。言っとくけど通常兵器どころか核兵器の直撃喰らってもピンピンしているような連中だぞ」
「人間なんですか、それ」
「すげえ疑問だな」
カツに答える。
「御前さん達が会ったのは衝撃のアルベルトと素晴らしきヒッツカラルドだったよな」
「ええ、その二人です。幻惑のセルバンテスもいましたけれど」
エマが言う。
「たいそうな連中だな、また」
「よく助かりましたね」
「いや、死ぬかと思った。本当にな」
ファに答える。
「すんでのところで影丸っていうこれまたすげえ忍者が来てな」
「国際エキスパートの」
「そう、それだ。いや、世の中色々いるもんだよ」
ムウの言葉に感慨がこもっていた。
「だからかってのようにコーディネイターには偏見が強くないつもりです」
「もっととんでもねえ奴等を知ったからだったんだな」
ディアッカも唸っていた。
「BF団。噂には聞いていましたけれど」
「まあもうないそうです」
アズラエルはニコルに述べる。
「バベルの塔での戦いが終わって壊滅したそうです」
「けれど不死身なんですよね」
ニナが問う。
「そのものの人もいますが十傑集とかは殆どそれです。僕もあの幽鬼って変人さんにはかなりの攻撃を命じましたしライオンロボ君の攻撃も受けていましたが生きていましたから」
「凱の攻撃をか」
「何てことなの」
シーブックとセシリーも言葉がなかった。
「俺はあいつを宙に蹴り飛ばした」
その凱が語った。
「だがあいつはそれでも立っていた。蟲に変身までしてな」
「ああ、暮れなずむ幽鬼って蟲使いでしたね」
フィリスがそれを聞いて思い出した。
「そうだよ。そのとんでもねえってのがよ」
「ゴルディマーグさんもそこにいたんですね」
「ああ。おっ、お嬢ちゃん俺のこと知ってるのか」
「ロンド=ベルの皆さんのことは頭に。あとそろそろです」
「来ます」
エルフィが言った。
「北東からティターンズ、南東からバルマーです」
「時間は十分だよ」
ユウナが言う。
「それだけあればオーブ軍は脱出できる」
「わかった、十分だけだな」
カガリがそれに応える。
「それなら」
「カガリはクサナギの護衛を頼むよ」
「おう、どうしてだ」
「だからこの艦はオーブの旗艦なんだよ」
「それはわかっているぞ」
「だからだよ。撃沈されるわけにはいかないから」
「だったら自分で守れ。それにエステバリスやエヴァだっているだろうが」
「・・・・・・あのね、カガリ」
ユウナは呆れながらも述べる。
「君さっきのが初陣じゃなかったっけ」
「あの、ユウナ様」
キサカがここで囁く。
「サハラ砂漠でバズーカをぶっ放されたり戦闘機に乗っておられました」
「それは内緒だよ。仮にもオーブの次期当主がゲリラなんてやってたなんて」
「?ゲリラとは?」
「あっ、いや」
アズラエルの言葉に二人は咄嗟に話を隠す。
「何でもありませんぞ」
「そうそう、それでトダカ」
「はい」
話を誤魔化す為にトダカに声をかけてきた。わかっているトダカはそれに応える。
「全周囲に警戒態勢をね」
「わかりました。では」
「う、うん」
「ところでユウナさん初陣ですよね、今回が」
「あっ、さっきのがそうだね」
アズラエルに応える。
「そのわりには落ち着いておられますね」
「そうかな。自分では一杯一杯なんだけれど」
「いえいえ。しっかりしておられますよ。ただ」
「ただ?」
「どうも貴方は参謀向きのようですね。それかフォロワーか」
「まあカガリといつも一緒だったからね、子供の頃から」
「うわ、そりゃ大変だ」
リュウセイがそれを聞いて思わず言う。
「あんなのと子供の頃からずっと一緒だったのかよ」
「ユウナさんも大変だったんだな」
レビもそれに同意する。
「いやいや、もう慣れているからねえ」
「成程。全ては経験ですか」
「そうだね。一時期冗談抜きで婚約者にされかけたし。あの頃は本当に悩んだものだよ」
「こらっ、私の何処が悪い!」
モニターから怒鳴り込んできた。
「私はそもそもな、御前とは単なる幼馴染みで」
「いや、僕はどっちかというと」
ユウナは語る。
「ロングヘアでおしとやかな女性がいいから。やっぱり一生の相手だからね」
「私じゃ不満なのか」
「だってカガリがさつだから」
「もう一回言ってみろ」
「だからがさつだと」
「御前がいつも優柔不断だからだろ!何だかんだといつも理屈ばかりで!」
「ユウナさんもあまり変わっていないみたいだね」
「確かに」
サイとトールがそれを聞いて囁き合う。
「けれど俺もこんな女は嫌だな」
「何ィ!?」
今度はシンが参戦してきた。
「御前に言われる筋合いはない!」
「女の子はやっぱり守ってあげたいって感じがいいんだよ。御前みたいにすぐに暴れる奴は俺は嫌だな」
「御前に守られるつもりはない!」
「じゃあ勝手にしろ!」
「勝手にしている!御前こそ何だ!」
「何だよ!?」
「いつもいつも妹さんの携帯ばかり見て!御前はシスコンか!」
「なっ、何ィ!?」
今度はシンが激昂した。
「妹を大切に思って何が悪いんだ!」
「御前は度が過ぎてるんだよ!幾ら可愛いからってもうちょっとは慎め!」
「御前に関係ないだろ!大体御前は」
「何だ!」
「ガサツな癖に胸はあるよな!じゃあスポーツブラなんてもう止めろよ!」
「ちょっと待て」
ここでカガリの言葉が止まる。
「御前何で私がスポーツブラだって知ってるんだ?」
「そういやそうだな」
豹馬もそれに気付く。
「何でだ、また」
「私なんかはじめて知ったわよ」
同じ女であるマリですらそうだった。
「どうしてシンが知ってるんだ?」
「御前さっきアークエンジェルの格納庫で着替えていただろ」
「ああ」
「カガリ様。更衣室があるのでは」
「時間がなかったんだ。いいだろ」
キサカに言い返す。
「それでだ。白だったよな」
「・・・・・・よく知ってるな」
「それは止めろよ。はしたないんだよ」
「時間が大事なんだ。それともノーマルスーツで出ろっていうのか!?」
「これはどっちにしろカガリさんが悪いのでは?」
アズラエルがユウナに問う。
「やはり一国のお姫様としては」
「子供の頃から言ってるんだけれどね。まあトランクスでないだけましだよ、下着だって」
「皆私をどう思ってるんだ?」
「だからもうちょっとだね。行動を慎んで」
「えらい言われようだな、それにしても」
「カガリ様が悪いわよねえ、やっぱり」
「うんうん」
後ろのアサギとジュリもユウナやアズラエルと同じ考えであった。
「それでだ、シン」
「何だよ」
「私の下着姿を見て生きていられると思っているのか!」
「御前の下着姿なんかどうでもいいんだよ!」
「何っ!許せん!」
ストライクルージュをシンに向かわせようとする。
「殺す!そこにいろ!」
「やるっているのか!じゃあ容赦しないぞ!」
「何言ってるんですか、カガリ様!」
マユラが後ろから彼女を止める。
「もう敵が来ているんですよ!」
「離せ、離せ!」
「シン、あんたも何やってるのよ!」
シンはシンでルナマリアに止められていた。
「この糞女!」
「このシスコン!」
二人の仲の悪さは最早決定的であった。そうこう言っている間に遂に敵が姿を見せた。
まずはティターンズがやって来た。ジブリールはやはりスードリの艦橋にいた。
「もう一般市民はいないようだな」
「はい」
ジャマイカンがそれに答える。
「では遠慮は無用だ。無差別攻撃だ」
「では」
「ブーステッドマンを出せ」
すぐに命じた。
「あの三人を主軸に攻める。いいな」
「わかりました。そしてバルマーは」
「無論彼等もだ」
迷いはなかった。
「あの三人はロンド=ベルとバルマーの間に入れる」
「それは流石に無理なのでは?」
ティターンズの軍服を着た参謀の一人が異議を呈する。
「双方を相手にするというのは」
「大丈夫だ。あの三人はそもそもが違う」
しかしジブリールはそれを退けた。
「だからだ。投入しろ」
「わかりました。では」
「あの三人もだ」
ステラ達もであった。
「あの三人もそのままバルマー、ロンド=ベル双方に向かわせろ、いいな」
「はっ」
「まずは主力でロンド=ベルを叩く」
ジブリールは戦術を頭の中でもう完成させていた。
「それからバルマーだ。いいな」
「了解」
その作戦に従い部隊が出された。ティターンズ、バルマー共にロンド=ベルに向かって来た。
まずはあの三機のガンダムであった。フォピドゥンが空を飛び変形したレイダーがその上にカラミティを乗せて戦場に向かっていた。
「おいクロトもっと速くしろ!」
「五月蝿いな、これが精一杯なんだよ!」
オルガとクロトは戦場に向かう前から闘争心剥き出しで言い争っていた。
「御前が上にいるからだろ!」
「何だ!じゃあ降りろっていうのかよ!」
「そうさ!とっとと降りろよ!」
「うっせえ!言われなくてもすぐに降りてやるさ!」
「ああ、そうしろ!」
「・・・・・・殺す」
「相変わらずか」
劾はそんな三人を見て呟く。
「薬のせいか。かなり闘争心が露わになっているな」
「闘争心だけではありません」
モニターに一人の女が出た。エルデ=ミッテであった。
「全ての能力が強化されるのです、γ-グリフェプタンにより」
「あの薬・・・・・・大丈夫なのか」
「どういうことですか?」
「副作用だ。あの三人、特にシャニを見ているとな」
彼は言う。
「尋常じゃない精神崩壊を起こしている。あのままだと壊れるぞ」
「何、あの三人は特別です。そう簡単には崩壊しません」
「部品としてか」
「それも否定しません」
ミッテは冷徹に述べた。
「彼等は元々死刑囚です。それを使っているのですから」
「潰れたら今度は別の死刑囚を調達してくるってことか」
「ティターンズにも軍事法廷で死刑判決を出されている兵士がいますから」
「・・・・・・ふん」
劾はミッテのその言葉がどうしても好きになれなかった。だが今はそれは口には出さなかった。
「それはステラ達も同じなんだな」
「彼女達は開発をあえて変えてみましたが」
「あれがないと生きられないようにか」
「そうです。優れた兵器として」
「ステラもアウルも孤児だったんだな」
「スティングもまた」
「それを使うっていうのか」
「それが何か?」
「いや、いい」
彼女には言っても無駄だと思った。人を兵器と認識するような女には。
「だがな」
「はい」
「人は人ってことは忘れるな。俺が言いたいのはそれだけだ」
「サーペントテールとしてですか」
「いや、俺としてだ」
劾はこう述べた。
「一人の人間としてだ」
「仰る意味がよくわかりませんが」
「・・・・・・そうか。まあいいさ」
これ以上話すつもりはもうなくなっていた。
「じゃああんた達も今回は出撃するんだろ?」
「はい、さらなる実戦経験の為に」
「わかったぜ。じゃあ宜しくやるんだな」
「有り難うございます。では」
モニターから消えた。劾はそれを確認してから呟いた。
「人は兵器っていうのか」
今度は三人を見た。三人はもう派手にバルマーに向けて攻撃を仕掛けていた。
「おらおら!宇宙人共邪魔なんだよ!」
オルガが手当たり次第に派手な攻撃をバルマーのマシンに仕掛ける。両手に持つありったけの砲撃を叩き込み十機単位で潰していく。
「でやーーーーーーーーっ!」
クロトがその上で舞う。
「必殺!」
レイダーの口からビームを放ちその手にある巨大な鉄球を辺りも見ずに振り回す。鉄球が振り回される度にバルマーのマシンが破壊されていき炎へと変わる。
「・・・・・・壊す」
シャニのフォピドゥンが鎌で側の敵を薙ぎ払うと曲がるビームを乱射した。光の周りで無数の爆発が起こっては消えていってしまう。
三機の強さは尋常ではなかった。だがそこへ向かうロンド=ベルのマシンがあった。
「あいつ等・・・・・・好きにやらせるか!」
シンであった。彼はまずティターンズに狙いを定めていたのだ。
「御前等!俺が相手だ!」
「あん!?」
オルガが最初に彼に気付いた。
「何だあいつ」
「僕達とやろうってわけ?」
「馬鹿が」
三人の反応は素っ気無いものだった。相変わらず目の前の敵を倒すだけである。
ロンド=ベルはあえてその三機は避けティターンズ、バルマーの主力に向かっていた。それでかなりの戦果をあげていたがシンはそれでも三機のガンダムに向かっていたのだ。
「御前等を倒せば今後ティターンズとの戦いは楽になる!」
シンはそう判断したのだ。目が赤く光っている。
「ならここで!」
「やろうってんなら容赦しねえぞ!」
「ウフフ、抹殺してやるよ!」
「・・・・・・潰す」
三人はバルマーへの攻撃を止めシンのデスティニーに向かおうとする。だがそこにロンド=ベル、ティターンズ双方からそれぞれガンダム達がやって来た。
「いた、デスティニー」
「あの時のガンダム!?」
ティターンズから来たのはカオス、ガイア、アビスであった。そしてロンド=ベルからはフリーダム、ジャスティス、レジェンドが来たのであった。
「シン、無茶はするな!」
「アスラン」
「あの三人は御前でも無理だ!無謀だ!」
「無謀でも何でもあいつ等を潰しておけば後が楽になる!」
「だが御前も死ぬぞ!」
「死ぬ位ならあいつ等を潰してやる!」
シンは完全に激昂していた。
「ティターンズの奴等を一人でも!」
「シン!」
「シン、今はあの三人の相手はできない」
レイが落ち着いた声でシンに語る。
「何故だ!?レイ」
「前を見ろ。あの三機のガンダムが来た」
「くっ!」
「特にあの獣に変わるガンダムだ」
ガイアであった。今まさにシンに向かおうとしていた。
「あいつは注意しろ。いいな」
「わかった。じゃあまずはあいつをやる」
シンはすぐに判断を下した。
「レイ、御前はあのティターンズまんまの変形をするのを頼む」
カオスのことであった。
「もう一機は」
「僕がやるよ」
「御前が・・・・・・」
名乗り出てきたのはキラであった。
「あの三機はアスランとディアッカ、ニコルが相手してくれるみたいだし」
「いけるのか?」
「おい、キラ!」
ディアッカが通信を入れてきた。
「あんな化け物相手にするんだからな!後できっちり礼は頼むぞ!」
「ジュースだったっけ」
「中華料理だよ!いい店あったら教えろ!いいな!」
「ホウメイさんのラーメンが凄くいいよ」
「ホウメイさんっつうと」
「ナデシコのコックの」
「そうなのか。じゃあそれな」
「うん」
「僕はイタリアンがいいですね」
今度はニコルであった。
「スパゲティペスカトーレを」
「ホウメイさんそっちも上手だよ」
「そうなんですか」
「うん。それでアスランは」
「俺は食べられるものなら何でもいいさ」
静かにそう述べた。
「ちょっと嫌な思い出があるからな、食べ物には」
「ああ、あれはな」
「ご愁傷様です」
ディアッカとニコルはアスランの言葉に急にしんみりとなった。
「何かあったの?」
「ラクス=クライン嬢だ」
レイがキラに答えた。
「あの娘が」
「いいか、キラ」
レイは戦いの時に匹敵する真面目な声でキラに声をかけてきた。
「彼女の料理は食べるな。それだけだ」
「そうなんだ」
「わかったな」
「よくわからないけれどそうするよ」
「ロンド=ベルにも料理上手はいるよな」
アスランは真剣な顔でキラに問う。
「誰か」
「結構いるよ。けれどミサトさんはレトルトばかりだけれど」
「レトルトか。美味いな、あれは」
「レーションでも?」
「御馳走だ」
「・・・・・・何か相当なことがあったんだね」
「死ぬところだった」
アスランはこうも言った。
「それだけだ」
「そうなんだ」
「ところでキラ」
ニコルがキラに声をかけてきた。
「何だい?」
「確かギャリソン時田さんもおられましたよね」
「そうだけれど」
「僕あの人の料理食べてみたいんで。そっちでいいですか?」
「わかったよ。じゃあギャリソンさんには僕からお願いしてみるよ」
「頼みますよ。じゃあ僕はあの鉄球持ったガンダムをやります」
そう言うとミラージュコロイドですっと姿を消した。
「じゃあ俺はあの砲台みたいなガンダムだな。えげつねえけれどな」
「俺は鎌を持ったのをやる。キラ、そっちは頼むぞ」
「うん、それじゃあ」
三人はそれぞれの敵に向かう。キラもまたアビスに向かった。
「このガンダムもかなり手強い。だけれど」
「御前にできるのか!?」
シンがキラに問う。
「こいつ等の相手が」
「やってみる」
キラはそれに応えて言った。
「話はそれから」
「なら見せてみろ!」
シンはまたこの言葉を叫んだ。
「御前の強さをな!」
「わかったよ。じゃあ」
「レイ」
今度はレイに顔を向けた。
「やるぞ」
「わかった。俺は話通りあのガンダムに向かう」
「ああ」
「御前は」
「あいつを・・・・・・殺す!」
目の前にいる獣のガンダムを見据えて吼える。
「死ね!」
早速ビームライフルを放つ。だがそれは左に跳ねられてかわされた。
「それ位はかわせるっていうのか!」
「・・・・・・来る」
ガイアのガンダムはコクピットの中で呟いた。
「ならこちらも」
ガンダムの形態に戻る。そしてビームブレイドを抜きデスティニーに向かってきた。
「接近戦か!なら!」
シンもビームサーベルを抜いた。それで斬り合おうとする。
「これでっ!」
「!?」
接近戦ならばシンに適う者はそうはいない。それはガイアといえどかわしきれるものではなかった。
右腕を切り落とされる。それで動きを止めた。
「しまった」
「今だ!」
即座に左腕も切り落とし戦闘不能にする。そしてガイアを捉えた。
「シン、下がれ」
レイが言った。
「そいつは捕虜だ、いいな」
「わかった。じゃあすぐに戻るからな」
「いや、その必要はないだろう」
レイはそれは断った。
「どうしてだ?」
「時間だ」
彼はそう答えた。
「時間か」
「元々十分だけの戦いだった。もう残り僅かだ」
「そうか。それでか」
「あの三機の中で最も手強いのはそのガンダムだった」
「ああ」
「それを倒せたら後は楽だ。二機は俺で充分足止めできる」
「頼めるか?」
「任せておけ。その間に」
「その間に」
「捕虜をミネルバまでだ。頼むぞ」
「わかった」
「そこから色々とわかるかも知れないからな」
「尋問するのか?」
「そのマシンもだ」
だから機体も捉えているのである。捕虜から得られるものは一つではないのだ。
「頼むぞ」
「よし!」
シンはガイアを捉えてミネルバへと下がる。レイはそれを行かせる為にまたドラグーンを放つ。それでカオスとアビスを足止めする。一歩も進ませないつもりであった。
「うわあっはははははははははははは!」
オルガは相変わらず滅茶苦茶な攻撃を繰り返していた。敵味方問わず攻撃を放ち辺りに炎を巻き上げていく。
「おらおらあ!どいつもこいつも地獄に落ちやがれ!」
「やいオルガ!」
そこのクロトが文句を言う。
「あん!?」
「もっとよく見ろ!僕まで撃つつもりか!」
「そんなもん知るかよ!」
オルガは勝手な返事を彼に送る。
「自分でよけろ!よけられなかったら死ね!」
「何だと!」
「うっせえ!そもそも手前はよ!」
「何だ!?僕がいつも送り届けてやってるんだろ!」
「そんなこと関係あるかよ!黙って避けろ!」
「この金髪野郎!」
「ああ!?やるってのかあ!?」
「やらないでか!?」
言い争う二人。そこへカラミティへ向けて曲がったビームが放たれる。だがオルガはそれを常人とは思えない身のこなしでかわした。
「うおっ!シャニ、手前!」
「流れ弾だ」
上にいるシャニは素っ気無く述べた。
「それ位平気でよけろ」
「味方の俺もバラすつもりかよ」
「御前だって同じじゃねえか」
クロトがここぞとばかりにオルガに言う。
「それ位とっととよけろよ。ヴァーーーーカ」
「手前!」
戦闘中だというのにかなり仲が悪い。無論連携は全く取れていない。相手をするアスラン達が呆れている位である。
「何だってんだ、こいつ等」
まずはディアッカが呆れた声を出した。
「連携とかバラバラじゃねえか。単に戦ってるだけかよ」
「どうやらそうみたいですね」
ニコルがそれに答える。
「一人一人は相当な戦闘力ですが連携はないです」
「だとすると一人ずつやっていくか?」
「いや、それも無理だな」
アスランがそれに答える。
「無理かよ」
「一人だと俺達でも防戦が手一杯だ」
「ああ」
「残念ですが強過ぎますね」
「三人がかりだと一人をやれるだろう。だがそうなれば」
「後の二人が無茶苦茶に攻撃してきますか」
「へっ、厄介な奴等だぜ」
「レイはあの二人にかかりきりですし」
「キラもな。今は」
劾のブルーフレームと戦闘中だ。ルナマリア、ハイネもロウ、イライジャと戦闘中である。
「無理か」
「あのブルーフレームはかなりの戦闘力ですね」
ニコルがキラと戦うブルーフレームを見て言う。
「キラと互角だなんて」
「ティターンズってのは腕利きが揃ってるって聞いてたけど俺達ともまともにやれるっていうのかよ」
「強化人間もいますしね」
「今のこいつ等もそれかね」
「そうですかね」
「そうね、かなり怪しいわ」
「あれっ、おばさん」
「こらっ、誰がおばさんよ!」
モニターに出て来たアクアはディアッカの言葉に即座に反応してきた。
「私はまだ二十三よ!華も恥らう乙女なのよ!」
「御免御免」
「アクアさんですよね」
「ええ」
ニコルには普通に応える。
「それであの三人ですけれど」
「ええ、動きがね。そんな感じなのよ」
「そうなんですか、やっぱり」
「あのトリッキーな動きはね。強化の悪影響かも」
「強化人間は薬物投与もされているんですよね」
今度はアスランが問うた。
「そうなのよ。それもあってニュータイプ並の力を発揮するけれど」
「副作用が凄そうだな」
「そういうこと。よくわかったわね」
「まあ何となくだけれど」
ディアッカは応えた。
「それでか。あのいかれた動きは」
「けれどあのガンダム。何かあるわね」
アクアはその鋭い勘で何かを感じていた。
「尋常じゃないわ、あれは」
「中にいる奴はとんでもねえ奴だろうな」
「けれどこんな改造をするのは」
「まさか」
アクアはふと感じた。
「そんなことはないと思うけれど」
「アクア、来たぞ!」
「えっ」
ヒューゴから通信が入った。
「メディウス=ロクスだ!そっちに来ている!」
「だとすればまさか」
「アクアね。そこにいるのは」
「先生、やっぱり
アクアのサーベラスの前にメディウス=が姿を現わした。
「久し振りね。トルコ以来かしら」
「先生なんですか」
アクアは挨拶を抜きにしてエルデに問うた。
「あの三機のガンダムのパイロットを強化したのは」
「あら、わかったの」
「わかります。先生はそうした分野でも権威でしたから」
「そうよ。あの三人を強化したのは私よ」
「やっぱり。何故」
「全ては私の研究の為」
エルデはクールに述べた。
「彼等は私の研究の素晴らしい成功体よ。それはわかるでしょう?」
「どうしてこんなことを」
アクアはかっての師に対して問う。
「人を改造したりするなんて。どういうつもりなんですか」
「私にとっては他人なんてどうでもいいのよ」
微かに笑ってそう述べた。
「このメディウスの開発と研究さえよければ。それが私の全てだから」
「くっ!」
「貴女もわかるでしょう?私の研究の素晴らしさが」
「いえ、私は先生の研究を認めません」
「どういうことかしら」
その整った眉がピクリと動いた。
「先生みたいに他人を犠牲にするやり方は。絶対に認めません」
「相変わらず優しいわね。頭はいいのに」
エルデは言う。
「言った筈よ。軍人は時として命を見捨てなくてはいならないって」
「それと他人を踏み躙るのは違います」
アクアはまた反論した。
「私は他の人を踏み躙るのなら・・・・・・軍人でいたくもありません」
「言うわね。じゃあ」
「エルデ、もう一機来たぞ」
「むっ」
見ればそこにヒューゴのガルムレイドも来ていた。二人がかりとなった。
「隊長、また会ったな」
「ヒューゴか。久しいな」
「やっぱりティターンズにいるんだな」
「そうだ」
アルベロは彼の問いに答えた。
「このメディウスと共にな。さあ来い」
彼は言う。
「ここで決着を着けてやる」
「アクア、後ろを頼む」
「ええ」
アクアはヒューゴの言葉に応えた。
「先生、ここでせめて」
「できるのかしら。貴女に」
「やってみせる!」
アクアは言う。強い声で。
「私だってもう士官学校の何も知らない生徒じゃないから。ここで」
「では見せてもらうわ。今の貴女を」
「さあ来いヒューゴ」
アルベロはアルベロでヒューゴを挑発する。
「ここで俺を倒せるか」
「あんたがティターンズで俺がロンド=ベルにいるのなら」
ヒューゴは言う。
「あんたを倒す。行くぞ!」
「さあ来い」
「貴女の力、見せてもらうわ」
「先生、これで!」
アクアが照準を合わせる。
「ターゲット、ファイナルロック!」
コクピットでロックオンの音が鳴る。それがアクアに次に示すべき動きを教えていた。
「ケルベレイトバスター、発射!」
三つの砲から攻撃を放つ。ヒューゴはその援護を受けて突っ込む。
「イグニション!」
ガルムレイドの全身に炎を纏う。
「うおおおおおおおおっ!」
彼もまた攻撃を仕掛ける。二人は自分の恩師達に向かって行った。
戦いは膠着状態ながら激しい戦いを繰り広げていた。その中でキサカは冷静に時間を見ていた。
「ユウナ様」
「時間だね」
「はい」
「わかった。じゃあ皆」
ユウナはそれを受けて通信を入れる。
「もう時間だ。全軍撤退に移ろう」
「わかった、じゃあ撤退だ」
「はい」
ディアッカとニコルもそれに応える。
「アスラン、ばっくれるぜ」
「もっといい言い方はないのか?ディアッカ」
「逃げるのには変わりないだろ。それよりうかうかしてるとよ」
「わかってる。今が好機だな」
「そういうことだ。じゃあよ」
最後に一発派手に攻撃を仕掛けた。それでカラミティの動きを惑わす。
「よし!これでおさらばだ!」
「アスランも早く!」
「よし!」
「こら、逃げるっていうのかよ!」
クロトが彼等を追おうとする。しかし彼等もタイムリミットであった。
「ぐ・・・・・・」
「うう・・・・・・」
急に苦しみだした。そして止むを得ないように後方へ下がっていくのであった。
「時間か」
「どうされますか?」
三人が撤退するのを見てジブリールとジャマイカンが話をしていた。
「突入されますか。このまま」
「そうしたいのはやまやまだが」
だが彼は思い止まらざるを得なかった。それはロンド=ベルのせいではなかった。
「バルマーめ。またしても援軍か」
またバルマーが援軍を繰り出してきていたのだ。その数は最早今の彼等で対処しきれるものではなくなってしまっていた。zイブリールは冷静にそれを見極めていた。
「遺憾だが撤退だ」
彼は指示を下した。
「この戦力であの数を相手にすることは不可能だ」
「では」
「止むを得ない。北極まで退く」
「はい」
「そしてそこからまた攻撃を仕掛ける。次は」
「次は?」
「ドイツだ」
ジャマイカンにこう答えた。
「わかったな」
「わかりました。それでは」
「うむ。全軍撤退」
あらためて指示を下す。
「負傷者と捕虜を収容しながら北極へ退け。いいな」
「了解」
こうしてティターンズも撤退にかかっていく。だがロンド=ベルもそれは同じであった。
「全機収容完了!」
「よし!」
各艦が次々に戦場を離脱にかかる。だがそこにバルマーのマシンが襲い掛かる。
「くっ、しつこい!」
「振り切れ!」
だがそれでも追いすがってくる。しかしそこにオーブの陣地からミサイルがやって来て彼等を退けた。
「ミサイル!?」
「馬鹿な、オーブ軍はもう全員」
「案ずるな、ここは私が受け持つ」
「首長!」
「お父様!」
カガリはこの時クサナギの艦橋に入っていた。そこで父の姿を見たのだ。
「どうしてそこに」
「最後まで残って戦うのが首長の務めだ。皆ここは行け」
「馬鹿な、何を仰るんですか」
ユウナが彼に言う。
「今逃げないともう手遅れになります」
「今からそちらにクサナギを向かわせます。ですから」
「ならぬ!」
だがウズミはそれを許さなかった。
「今少しでも遅れたならばそれが死につながる!」
「しかし!」
「私はいい!それより御前達が生き残れ!」
「くっ!」
「お父様・・・・・・!」
「行くのだ、カガリ」
最後に娘の顔を見た。
「そして生きろ、いいな」
「嫌だ!今からそっちへ行く!」
艦橋を飛び出そうとする。だがそれはユウナとキサカによって防がれた。
「駄目だカガリ、今行ったら!」
「そうです。お気持ちはわかりますが!」
「離せ!御前等離せ!」
カガリは泣き叫びながら二人に言う。
「お父様がこのままだと!」
「それでも今は仕方がないんだ!」
ユウナが後ろから彼女の両手を羽交い絞めにして述べる。
「辛いけれど今は!」
「ユウナ!御前だってお父様とはずっと!」
「けれど!今はどうしようもないんだよ!」
ユウナは泣かない。必死にカガリを制止するだけである。
「首長のことを思うなら今は!」
「嫌だ!そんなの嫌だ!」
泣き叫び必死に向かおうとする。
「お父様!お父様ーーーーーーーっ!」
「全速前進!」
その間にトダカが命じる。
「このままオーブを離脱する!」
「了解!」
「そんな!まだ間に合うんだぞ!」
「もう無理なんだよ!」
ユウナがまた言った。
「それはわかるだろ!?だから!」
「そんな・・・・・・何でこんな・・・・・・」
カガリは遂に諦めた。身体から力が抜けてへ垂れ込む。
「お父様が・・・・・・こんなところで」
「カガリ・・・・・・」
「カガリ様・・・・・・」
「カガリさん」
ここでアズラエルが彼女に声をかけた。
「なら。今から起こることを見ておくのです」
「何だって?」
「貴女のお父上ウズミ=ユラ=アスハを」
彼は言う。
「その生き様を。いいですね」
「馬鹿を言え。もうこれから死ぬんだぞ、お父様は」
「酷なことを言いますが人は必ず死にます」
アズラエルはモニターを見据えていた。
「ならば・・・・・・その生き様を最後まで見ておくのです。それが死にゆく人への礼儀です」
「礼儀・・・・・・」
「そうです、いいですね」
「・・・・・・・・・」
カガリは答えられなかった。だがゆっくりと立ち上がった。
モニターには司令塔に迫るバルマーの軍勢が映っていた。そこにミサイルが襲い掛かる。
何機かそのミサイルで撃墜される。だが数が違い過ぎどんどん迫られる。そして。
「さらばだ、カガリ!」
司令塔が自爆し炎と化した。そこにバルマーのマシンが巻き込まれていく。オーブの獅子ウズミ=ユラ=アスハの壮絶な最期であった。
「御覧になられましたね」
「・・・・・・ああ」
カガリはアズラエルの言葉に頷いた。まだ目からは涙が溢れ出ている。
「お父上の生き様を」
「お父様・・・・・・」
「カガリ、疲れただろう?」
ここでユウナがそっと声をかけてきた。
「自分の部屋に戻るといいよ。さあ」
「こちらです。後でジュースを持って来ますので」
キサカもやって来た。彼等はカガリの両肩を支えるようにして彼女をそっと案内していく。アズラエルはそんな彼女の様子を振り向きもせず感じていた。
「このことはきっと彼女にとって大きなものになりますね」
「はい」
トダカがそれに頷く。
「それが彼女をどう変えていくかはわかりませんが」
カガリにとってはあまりに大きな衝撃であった。だがそれを支える者達もいた。彼女は一人ではなかった。それが大きな力になっていくのであった。
オーブ陥落はすぐにティターンズの上層部にも伝わった。ジャマイカンはそれを後ろに銀河が拡がる自身の執務室において聞いていた。報告しているのはバスクであった。
「では結果としてオーブ攻略は失敗か」
「はい」
バスクはジャミトフを前にして立っていた。そのうえで報告をしているのである。
「オーブは結局バルマーの手に落ちましたので」
「そしてガンダムのパイロットも一人失ったか」
「おそらくは捕虜になったものかと」
「ふむ」
ジャミトフはそこまで聞いたうえで眉をピクリと動かした。
「労多くして功少なくといったところだな」
「残念ながら」
「ジブリールもアイディアはいいのだがな」
「どうにも今一つのところがありますな」
「視野が狭いのだ」
ジャミトフはジブリールを評してこう述べた。
「正義感が強い」
「ええ」
それはよくわかった。
「潔癖症でな。だがそれがよくないのだ」
「あの男はあまりにも周りが見えておりません」
「その通りだ」
「言うならば原理主義者です。人類のみを考えた」
「そうだ。だから限界がある」
「どうされますか?駒にしますか?」
「それは考えたがな」
ジャミトフはそれに返した。
「だが。それにしては有能に過ぎる」
「では使われると」
「使うにしても厄介だ。あの時はすぐに一般市民なぞ気にせず攻撃を仕掛けるべきだった」
「全くです」
少なくとも彼等、とりわけバスクならそうした。
「だがそれをしなかった。企業家としてそうしたのだろうが」
「愚かな話です。これでは幾ら時間があっても」
「その反面コーディネイターは一人残らず殲滅すると主張する。あまりにも原理主義だな」
「扱いにくい男ですな、全く」
「だがいい。有能ではある」
「はい」
「とりあえずは使おう。レクイエムのこともあるしな」
「あれが完成すれば我がティターンズは今度こそ完全に地球圏を掌握することができますな」
「そうだ。まあよい」
そのうえで述べた。
「ジブリールにはこれからも地球及びレクイエムの指揮を執ってもらうとしよう」
「了解」
「だがその間にだ」
ジャミトフも何もしないつもりはなかった。
「さらなる軍備増強を急げ」
「はっ」
バスクはその言葉に敬礼した。
「近いうちにプラントともネオ=ジオンとも決戦を迎える。その時に備えてな」
「畏まりました」
ティターンズは次の牙を研いでいた。彼等とて馬鹿ではない。既に次の戦略を練っていたのであった。
ロンド=ベルはオーブを脱出した後再びネオ=ジオンと戦う為にまたしてもインドに向かっていた。ここでシンは思いも寄らぬ事実に遭遇していた。
「何でだよ」
彼は医務室で呆然としていた。
「何で君がこんなところにいるんだよ」
医務室にはステラがいた。医務室のベッドで横たわるステラを見てまるで悪夢を見ているかのような顔になっていたのである。
「どうしてなんだよ、これ」
「あのガンダムのパイロットだったのよ」
メイリンが彼に答える。
「それで」
「けれどどうして」
それでもシンはまだ信じられなかった。
「彼女が戦場に」
「多分私と同じね」
そこにいたフォウが述べた。
「フォウさんと一緒だって!?」
「彼女、強化人間ね。わかるわ」
フォウはステラを見て言った。
「私と同じよ」
「強化人間・・・・・・」
「正式には何て呼ばれてるかわからないけれど間違いないわ」
「それじゃあ」
「ああ。多分ティターンズの強化人間だ」
カミーユが述べた。
「あいつ等がよくやることだ」
「その通りですよ」
アズラエルがそれに答えた。
「アズラエル財団でも開発、研究をしていましたがね。ジブリール君もやっていましたから」
「それじゃあステラは」
「多分ね。ただ、普通の強化人間とは違います」
「どういうことですか、それは」
シーブックがそれを聞いてアズラエルに問う。
「違うって」
「私とも違うの?」
ロザミアもそれが気になり彼に問うた。
「はい。僕のところは強化してそこに常用的に薬物を投与したものですが」
「麻薬みたいなものか」
「そうです。元々死刑囚なのでかなりな扱いをしていたのは事実ですよ」
オリファーにそう返した。
「やはり死刑囚ですからね。それを使っていますから」
「あの三人何やったんだ?」
甲児はふとそれを問うた。
「殺人でもやったのかよ」
「まあ似たようなものです」
アズラエルはそれにも答えた。
「先の戦いで街を歩いていたジオンの兵士にマシンガンを乱射したり鈍器や刃物で斬りつけたりしてきたんですよ」
「それで死刑か」
「はい。それを拾ったんですよ。それも停戦後のことだったので」
「しかし何でそんなことをしたんだ?」
今度は大介が問うた。
「停戦後に」
「元々色々と問題があったそうで」
「ふむ」
「性格はいじっていないですよ。ただ身体を強化しただけで」
「じゃあ元々ああだっていうのかよ」
「そうなります。まあかなり厄介な性格なのは確かですね」
「それじゃああの娘も」
「彼女については詳しくは知りません」
エマへの返事はこうであった。
「僕が開発したのはあの三人だけなんですよ」
「それじゃあ」
「ええ。彼女はジブリール君の担当でして。その開発も彼の財団の技術なんですよ。ただ」
「ただ?」
「僕の方にも彼の方にもエルデ=ミッテ博士が深く関わっていますね」
「先生が」
アクアがそれを聞いて顔をきつくさせた。
「はい。彼女はそうした分野でも権威ですから。ただ採算を理解しないので」
「あんたとは切れたんだな」
「そういうことです。あげくの果てには研究材料で一般兵士までその対象としようとか言い出しましたし」
「あんたはそれには反対だったんだな」
忍が問う。
(ご冗談を。死刑囚だからまだどうにかなったんですよ」
死刑囚だから人権はないというわけである。
「孤児にしろ。保護されていない子はそのままだとストリートチルドレンになるか孤児院に行くか死ぬしかありませんからね」
「私と同じということね」
フォウはそれを聞いて暗い顔をした。
「ジブリール君はあれでもそうした難民の救済には熱心なんですよ。ただそうしたことにも手を染めていましてね」
「強化人間の開発にも」
「彼は全体主義者ですから。必要とあらば自分も強化しますよ」
「自分の理想の為にか?」
「ええ。人類だけの地球圏にね。元々ティターンズに考えが近かったんですよ」
「成程な」
聞いたラッセはその言葉に納得した。
「本当に原理主義者なんだな」
「道を誤らなければよりよいふうになったのでしょうがね。それは言っても仕方ありません」
「それでだ」
クワトロが問う。
「彼女のことは詳しいことはわからないのか」
「申し訳ありませんが」
「強化人間でしかもかなり改造されているようだが」
「かなりのダメージを受けているみたいよ」
ミチルが言った。
「この娘。戦闘だけのものじゃないみたい」
「じゃあ何なんだ!?」
シンがそれを聞いてミチルに顔を向ける。
「彼女は。ステラは何もないよな」
「ちょっと落ち着け」
隼人が彼を宥める。
「今はこうして寝ているだけだ。確かに弱っているが」
「けれど」
「とりあえず彼女に関しては俺が調べてみる」
「私もね」
サコンとリツコが名乗り出てきた。
「だからシン、今は落ち着け」
ハイネも言った。
「いいな」
「くっ」
シンは彼等の言葉に止むを得なく黙ってステラを見た。その顔はあどけない寝顔であり何処か今にでも壊れてしまいかねないものだった。シンは彼女が壊れるのではないかと思い不安を抱かずにはいられなかった。
「シンさん」
ルリがシンに声をかけた。
「早まっては全てが終わりですよ」
「そんなことはわかっている」
ルリにこう返した。
「わかってるさ。だから」
「そうでしたらいいですけれど」
「くっ・・・・・・」
彼は歯軋りしてその場を後にした。皆それを見送るだけであった。
「あいつ、俺に似ているな」
カミーユはそんなシンの後姿を見て呟いた。
「昔の俺と」
「そうね」
ファがそれに応える。
「一人じゃないのに一人だって思って」
「そうなんですか」
アスランがそれを聞いて顔を下に向けていた。
「あいつ、勝手にそう思い込んでいるんですね」
「ああ、多分な」
カミーユはアスランに答えた。
「自分でそれに気付くのは難しいだろうな」
「そうですか」
「あのままだと・・・・・・あいつ自身にとってもよくない」
「キラ君と随分衝突しているそうね」
「あいつ馬鹿だから」
今度はルナマリアが述べた。
「何かっていうとつっかかって」
「何とかしないとな。彼も」
「ええ」
オーブから脱出した戦士達はそれぞれの心の問題をも抱え込んでしまっていた。父の死のショックから立ち直れないカガリ、ステラとの思わぬ再開に心を揺れ動かすシン、彼との対立に悩むキラ。彼等はまだそれぞれの心を癒す手段を見つけられないでいた。それを見守る者達がいることにも気付いてはいなかった。

第百二十二話完

2006・10・30
 
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