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八条学園騒動記

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第百七十話 騒ぎにしてしまう二人後編その三


「下手に傷でもつけられたら大変だ!」
「止めろ!」
「おい、ロープ持って来いロープ!」
「取り押さえろ、早くだ!」
「ぬうっ、邪魔するな!」
「悪を成敗するのが探偵の仕事よ!」
 ここでも意味を取り違えているのだった。
「だからこそここで!」
「魚達に正義の裁きを!」
「まずい、馬鹿だ」
「わかっていたけれど」
 これまた身も蓋もない言葉であった。
「馬鹿も進化するんだな」
「しかもなおらないのか」
「これもわかっていたにしても」
 馬鹿は不治の病と思われているのもこの時代でも同じであるのだ。
「それにしても凄過ぎるな」
「さすが二年S1組の三馬鹿の中の二人」
「まさしく」
 最後の一人はフランツである。とにかくこの二人の頭がそれであるという認識は学園の誰もが知っていて言うまでもないことになっているのである。
 その彼等はさらにであった。暴れ回るのだった。
「いかん、世界の為だ!」
「悪を討たせなさい!」
「だからただの魚なんだよ!」
「どうやったらそこまで馬鹿になれるんだ!」
 言っても仕方ないことだが言わずにはいられなかった。
「とにかく取り押さえろ!」
「ひっくくれ!」
「縄用意できたぞ!」
 ここでその縄が持ち込まれたのだった。それをそれぞれ手に持って。
「よし、ひっくくれ!」
「捕まえろ!」
「そのまま隔離しろ!」
 しかし二人は強かった。無意味どころか有害なまでに。
「そうか、わかったぞ!」
「あんた達敵の組織のスパイね!」
「工作員か!」
「学校の中にもいたのね!」
 完全にそう思い込んでいた。そのうえでさらに暴れる。
 縄で捕まえようにもそうはいかない。何と引き千切ってしまった。
 くくってもである。何と力を込めてそれで千切ってしまうのだ。
「何でこいつ等こんなに力が強いんだ?」
「ゴリラみたいだな」
「そうだよな」
 その怪力を見て釣り部の面々も唖然であった。
「馬鹿だからか?」
「それで力が強いのか?」
「行くぞジャッキー!」
「ええ、テンボ!」
 また言い合う二人だった。
「いざプールへ!」
「魚に化けていても誤魔化されないから!」
 こう言って今まさにプールに向かおうとする。しかしであった。
 ここで謎の一団が来た。彼等は。
「やっと見つけたぞ」
「手を焼かせる」
「何処にいたかと思えば」
「あっ、白い影か」
「特別風紀部か」
 釣り部の面々はその白い超長ランを見ながらほっとした顔になった。
 そうしてであった。その彼らに対して言うのだった。
「よく来てくれたよ」
「っていうか遅かったよ」
「済まない、とにかく何時何をするかわからないからな」
「この二人は」
 まさに歩くアクシデントなのである。 
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