| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百七十話 騒ぎにしてしまう二人後編その二


「昔から蛇とかそういうのに変身できるじゃない」
「まあそうだけれどな」
「特撮はな」
「だからそれよ」
 何の論理性もない断言であった。
「お魚に化けてあたし達から逃げようっていうのよ。あたし達の名推理からね」
「そもそも何でスルメシュやショッカーの話になってるんだ?」
「だよな、それもな」
「訳わからないよな」
「意味不明だしな」
 皆その話もするのだった。それも当然だった。いきなりそう主張されたからである。
「何だ?通りすがりの人を勝手にそう思ってるのか?」
「ひょっとして」
「俺達の目は誤魔化せない!」
「そうよ!」
 しかし彼等はこう主張するのだった。
「絶対にだ!」
「この目は節穴じゃないわよ!」
「じゃあ何なんだ?」
「一体」
「俺達は部室に入った客を見た」
「それをね」
 部の発表から話すのだった。
「突如部室に入って来たその異形の集団」
「それを見てピンと来たのよ」
 だからだというのであった。
「あの連中は怪しいってな」
「すぐにわかったわ」
「ああ、いつものことか」
「また勝手に思い込んだんだな」
「どうせそうだろうと思ったけれどな」
 周りの言葉は実に冷めていた。冷え冷えとさえしている。
「全く。毎回毎回騒動ばかり引き起こすな」
「迷惑な奴等だ」
「だからだ。俺にはわかったんだ」
「あたしもよ。奴等の正体が」
 それがそのスルメシュでありショッカーであるというのである。やはり滅茶苦茶な暴論である。もっと言ってしまえば暴論の域を超えてすらいる。
「スルメシュの工作員だとな」
「ショッカーの改造人間達だってね」
「何でそんな連中が学校の中をうろついてるんだ?」
「だよな」
 皆まずそれは言うのだった。
「そんな連中がうろつく学校って」
「ないない」
「絶対にないって」
 やはり常識に基く話であった。
「そんなのな。何があってもな」
「大体実在すらしないし」
「スルメシュも今は」
「その俺達に見つかったのが運の尽きだ!」
「覚悟しなさい!」
 しかし二人の暴走はまだ続くのだった。
 それぞれプールの中を指差してだ。叫ぶ。
「神妙にしろ!」
「お縄頂戴よ!」
「今度は何をしでかすんだ?」
「だから普通の魚だっての」
 二人に常識は通用しない。耳に入らない。
 だからこそ叫び続けるのだった。今度はこんなことを言い出してきた。
「プールの中に引き篭もるのなら!」
「そこに飛び込むまでよ!」
「おい、ちょっと待て!」
「売り物だぞおい!」
「何する気だ!」
 こう言って二人を取り押さえる釣り部の一同だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧