八条学園騒動記
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第百七十話 騒ぎにしてしまう二人後編その四
「しかし見つけたからにはだ」
「任せてくれ」
「それでどうするんだ?」
「見つけてくれたのはいいけれど」
「こうする」
一人が釣り部の面々の言葉に応えながら一歩前に出た。そうしてであった。
注射針を出した。それは一メートルはあろうかという巨大なものであった。
もう一人出て来た。彼もまた同じ注射針を持っている。
「注射針?」
「そこにあるのは?」
「麻酔だ」
「これを使う」
それで大人しくさせるというのである。
「これなら間違いない」
「恐竜用だからな」
「恐竜か」
「それを使うんだな」
釣り部の面々はそれを見てまた言うのだった。
「何か凄いな」
「それを使うなんてな」
「しかもウルトラザウルス用だ」
「クロノサウルス用もなる」
風紀部の彼等はこうも言うのだった。釣り部の面々はその恐竜の名前を聞いて思わず言ってしまったのであった。
「確かウルトラザウルスって」
「クロトザウルスもな」
「そうだ、地上で最大の恐竜だ」
「クロノサウルスは海中でだ」
そうしたとにかく巨大な恐竜達である。なおウルトラザウルスは三十メートルあり黒のザウルスは二十五メートルある。とてつもない大きさなのである。
そうした巨大な恐竜達に使うその麻酔を二人に向ける。そして一気に突き刺した。
「よしっ、これでいい」
「これで大人しくなる」
効き目はすぐだった。彼等もその動きを止めたのだった。
そうして眠ってしまった。これで騒動は終わった。
「やっとだな」
「そうだな」
釣り部の面々はここでようやくほっとしたのであった。
「全く、いつも人騒がせな奴等だ」
「本当にな」
「まあこれでともかく」
「騒動は終わりで」
「一件落着ってな」
彼等は確かにそれで終わった。しかしであった。
「やれやれだったよな」
「だよね」
「あの二人にはね」
学園のある場所で車座になって話す一団がいた。
「スルメシュだのショッカーだのって」
「違うって」
「全く」
あの彼等だった。その今は誰もいないい体育倉庫の中で話していた。
「それで何であんなこと言ってたのかな」
「さあ」
それは彼等にもわからないことだった。
「どっちでもないっていうのに」
「普通間違えないけれどね」
「だよね、僕等の姿見たら」
「絶対に」
こう話すのだった。
「それで間違えるっていうのが」
「謎っていうか」
「意味不明だよね」
「本当にね」
こう話していくのだった。そしてこうも話すのだった。
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