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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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番外編 名門袁家のお嬢様と黄巾の乱

 
前書き
袁紹編です。
リクエストにお答えして袁紹編、袁術編を書かせてもらいます。
とうとう主人公と麗羽、揚羽の婚礼の日取りが決まります。 

 
私は正宗様が冀州に向け出征したのを見届けると、人材探しを始めましたわ。

今までは、正宗様の配下のお陰で支障はありませんでしたが、これからのことを考えると人材不足は否めませんわ。

正宗様から人材の情報をいただいたので、斗詩さんと猪々子さんを遣いに出しましたの。

手始めに、田豊、審配、沮授、荀溿、麹義、張コウの6名を招くことにしましたわ。

この他にも候補がいるのですが、その人物の名は淳于瓊といい、いずれ私の同僚になるので、洛陽を去るときに誘えばいいと但し書きがされていました。

荀溿は彼女の従姉の(しのぶ)さんに頼んで、士官の話を伝えて貰っていますの。

忍さんは潁川荀家の名門の出自で凄く慎み深い人で、私もお手本にしなくてはと思っている人物ですわ。

それに、私の同僚で黄門侍郎の官職についていますの。

できれば、彼女も私の陣営にお招きしたいですわね。

正宗様からいただいた人材情報の中に、私を破滅に追いやる可能性がある人物が2名いましたわ。

逢紀と許攸ですわ。

逢紀は自分のことしか考えない小人物だそうですの。

逢紀のことより、許攸の名を聞いたときは驚きましたわ。

まさか、(さき)さんが私を破滅に追いやる人物とは思いませんでしたわ。

でも、正宗様にご指摘をいただくと、思い当たる節はないではないですの。

正宗様に会うまでは咲さんは良い友達と思っていましたけど、正宗様の薫陶のお陰で彼女が守銭奴のような人物であることがわかり、最近は交流を避けていますの。

咲さんの方はしつこく私に付きまとってきますけど、彼女は私が名門袁家の出自だから媚を売っているのが有々ですの。

本当に、目障りな人ですわ。

それに品行もあまりよろしくないようですし、正宗様の情報を元に調べさせたら、咲さんは性格に問題ありすぎですわ。

私の臣下にはとても迎えることはできませんわね。





そういえば、もうそろそろ斗詩さんと猪々子さんが戻ってもいいころですわ。

荀溿さんは忍さん経由で渡りをつけて、黄巾の乱が収まったら洛陽に来てくれるらしいですの。

忍さんの姪ということは優秀な方だと思うので、凄く楽しみですわ。

「麗羽お姉ちゃん、これが分からないのだ」

鈴々さんが声を掛けてきました。

「どこが分かりませんの? 用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るは之に次ぐ。これは分かり易く言うと、鈴々さんに10人の敵が居たとしますわね。鈴々さんがその人達を叩きのめして従わせれば、お腹も減るし、怪我をするかもしれない。それは駄目だよと言っているんですの。10人の敵を倒すなら、お腹が減らなくて、怪我しない方法を考えなさいと言っているの」

私は鈴々さんにも分かり易いように説明しました。

正宗様は私に良く噛み砕いて説明してくれましたわね。

「お腹が空くのは嫌なのだ・・・・・・。でも、それは難しいことなのだ。なんでいけないのだ?」

鈴々さんは理解できないという表情をしました。

「お腹がへれば、ご飯を食べなくちゃいけないでしょ」

「でも、喧嘩しなくてもご飯を食べるのだ」

「そうね。でも、喧嘩したらいつもより沢山のご飯を食べるでしょ。そのご飯の材料は誰が作っているのかしら」

私は微笑んで言いました。

「農家のおじさん達なのだ。あっ! 分かったのだ。食べ物を沢山用意しないといけないから、おじさん達が大変なのだ。喧嘩はあまりしないようにするのだ」

「ええ、そうよ。でも、悪い奴とは喧嘩をして良いですわ。弱い者虐めは持っての他ですからね」

「うん、分かったのだ。麗羽お姉ちゃん、ありがとうなのだ」

鈴々さんは満面の笑顔で言いました。

「どういたしまして。それじゃ勉強を続けましょうか」

私は鈴々さんの頭を撫でて、彼女に勉強を促しました。

「分かったのだ」

鈴々さんは武は一流なのですが、学が無さ過ぎですわ。

それで、この私が彼女の勉強を見て上げることにしました。

私は秀才とまではいいませんけど、正宗様のお陰でそこそこの知識は知っていますわ。

知識を身につけることでより広い視野で物事を捕らえることができ、逆に無知では狭い視野しか物事を捕らえることができませんわ。

鈴々さんにも正宗様が私にしてくれたことをしてあげたい。

そうすれば、きっと立派な人物になってくれますわ。

「麗羽お姉ちゃん、これはどういう意味なのだ」

「どこがわからないのかしら」

その後、鈴々さんの勉強を二刻程見てあげましたわ。





鈴々さんの勉強が終わると、私は何進様の執務室に伺うことにしましたわ。

「おお、麗羽ではないか! 中に入ってくりゃれ」

「何進様、失礼いたしますわ」

私は礼をすると、何進様の進める席に座りましたわ。

「良い話を陛下から耳にしたぞ。麗羽、聞きたいか?」

何進様は悪戯っぽい表情で私を見ていましたわ。

「良い話ですとななんですの?」

「う――――――ん、乗りの悪い奴じゃな。御主の未来の旦那様のことじゃよ」

何進様は愉快そうな目付きで言いましたわ。

「ま、正宗様のことですの! 教えてください」

「御主は分かりやすの。そう慌てずとも教えてやる。劉正礼は冀州の黄巾賊を討伐したそうだ。戦後処理で忙しかったようだが、洛陽に近々戻ってくるじゃろう」

何進様は真面目な表情で語り始めましたわ。

「戻ってきますね・・・・・・」

私は両手を胸の前で組んで、心の底から安心しましたわ。

正宗様がお強いのは承知していますけど、心配で眠れない日が何度もありましたわ。

その心配からやっと解放されますのね。

「洛陽に戻ったら、劉正礼は陛下から褒美を貰うことになるじゃろう。それで、少し早いかもしれないが、劉正礼と御主の婚礼を執り行なおうと思っておる。揚羽の婚礼は御主の婚礼の数日後じゃ。既に、劉家、袁家、司馬家の者達とは内々に応諾をいただいておる。御主の気持ちは一応聞いておきたい」

私は何進様の言葉に心臓の動悸が止まりませんわ。

「まさかと思うが嫌なのか?」

何進様は私が黙っていたので、拒否している思っているようでしたわ。

「そ、そんなことあるわけがないじゃありませんの!」

私は椅子から立ち上がり、大声で何進様の言葉を否定しましたわ。

なんで、私が正宗様との婚礼を拒否しなくちゃいけませんの!

「ああ、そうか・・・・・・。そんなに恐い顔をせんでもいいではないか・・・・・・」

何進様は私の剣幕に引いていましたわ。

「やっと、正宗様と正式に結ばれますのね・・・・・・。オホホホホホ――――――、この日をどんなに待ちわびたことでしょう」

私は心が高揚して、何進様の前にも関わらず高笑いをしてしまいましたわ。

「ところで、麗羽。初夜の作法は心得ておるのか? 最初が肝心と思うぞ。もし、粗相をしては劉正礼に嫌われるかもしれぬ」

何進様は意地の悪いニヤケ顔で言いました。

「オホホホホ、この私、それくらい知っていますことよ」

私は顔が灼けるように熱いを手で扇ぎながら、平静を装いました。

新婚初夜・・・・・・。

密かに手に入れた本で勉強をしていますが・・・・・・自信がありませんわ。

「くく、麗羽は愛いのう。同じ女として、御主に教授してやらんでもないぞ」

「えっ! 本当ですの」

私はつい何進様の悪魔の囁きに耳を貸してしまいましたわ。

「何進様、見返りは何でしょう?」

私は不安気な表情で何進様に尋ねました。

「そうじゃの・・・・・・。御主は私の娘みたいな存在じゃ。そう値の張るものは要らぬ。初夜の結果をこっそり教えてくれぬか?」

何進様は冒頭心温まる言葉で私を感動させましたが、終わりは最悪の言葉でしたわ。

この人、頭がおかしいんじゃありませんの?

「なっ! なんで私がそんなことを話さなくちゃいけませんの」

私は顔を紅潮して何進様に抗議しましたわ。

「そんなに怒ることもないではないか・・・・・・。私はこの年になっても良い伴侶に巡り会って居らぬのじゃ。哀れな妾に潤いを与えてくれても良かろう。うううう」

何進様は急に泣き崩れて、目の端を絹の布で拭いましたわ。

「で、ですけど・・・・・・、恥ずかし過ぎますわ・・・・・・」

私は紅潮した表情をして、顔を俯き、消え入りそうな声で言いましたわ。

「揚羽は司馬防から初夜の作法の指南を受けるであろうな・・・・・・。劉正礼は揚羽の手練手管により、寵愛を一身に受けるかもしれぬ。そのようなことになれば、妾は麗羽が不憫でならぬ。ううううう」

何進様はわざとらしく涙を流しながら、声高に言いましたわ。

「何進様! わ、わかりましたわ。その取引のみますわ。で、でも、このことは絶対――――――に秘密ですわよ」

私は女の意地から、何進様に指南を受けることにしましたわ。

「心得ておる。この何進にお任せあれ。ホホホホ、劉正礼など私に掛かれば赤子じゃ」

何進様は私の言葉に機嫌の良い表情をして私に微笑みました。
 
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